「交通反則通告制度について詳しく知りたい」、「青キップが切られる基準や反則金の支払い方がよく分からない」という方のために
今回は、
- 交通反則通告制度の全体像
- 反則金の支払い手続き
- 反則金を支払わなかった場合の影響
などについて、分かりやすく説明していきます。ご参考になれば幸いです。
交通事の行政処分について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
1、交通反則通告制度とは?
交通反則通告制度とは、自動車や原動機付自転車(※)の運転中の「軽微な」交通違反について、一定期日までに反則金を支払うことで刑事手続きを省略する制度です。
※自転車等の軽車両による違反は、交通反則通告制度の対象外です。
本来であればすべての交通違反について刑事裁判が行われるはずですが、交通反則通告制度の適用により、一定の交通違反については行政上の手続のみで完了し、役所や裁判所、運転者の負担を減らすことを目的としています。
交通違反では「キップ」が交付されることはご存知の通りです。
このキップには「青」と「赤」があり、「青」が比較的軽微な違反、「赤」がそうではない違反という区別がされています。
交通反則通告制度が適用されるのは、「青」キップが交付される違反です。
交通反則通告制度が適用される交通違反行為は、細かいものを合わせるとその数は多数にのぼります。
行為の詳細をご確認する場合は、こちらのページをご覧ください。
警視庁:「反則行為の種別及び反則金一覧」
(1)青キップが交付される違反について
速度超過、放置駐車違反、信号無視など、比較的軽微な違反で反則者に渡される書類が「青キップ」(正式名称:「交通反則告知書」)です。
青キップと共に、反則金の仮納付書が渡されます。
その翌日から7日以内(末日が土曜・日曜・休日にあたる場合は次の平日)に仮納付すれば事件は終了し、刑罰は科されません。
なお、軽微違反であっても、赤キップに相当する事情(無免許、酒気帯び等)が重なれば、青キップではすみませんのでご注意ください。
(2)赤キップが交付される違反について
無免許運転や酒気帯び運転など、深刻な違反で反則者に渡される書類が「赤キップ」(正式名称:「道路交通違反事件迅速処理のための共用書式(交通切符の告知票)」)です。
赤キップが渡された場合、基本的に刑事事件として刑事処罰を前提として立件されます。
赤キップが渡される事件では、一般的に、以下のような手続きが進められます。
- 後日指定された検察庁または簡易裁判所へ出頭
- 略式手続による刑事手続
- 罰金の略式命令
2、反則金の納付の流れ
反則金を納付する流れを解説します。
(1)反則の告知
交通違反が警察官に確認されると、現場で止められます。
その場で青キップを交付され、反則の告知を受けます。同時に反則金の仮納付書の交付を受けます。
速度取締機(オービス)によって交通違反が確認された場合は、後日青キップと仮納付書が郵送されてきます。
(2)仮納付
反則金の仮納付は納付書の納付期限欄に記載の日までに、銀行・郵便局の窓口にて行います。
分納はできず、現金のみ支払いが可能です。
期限内に仮納付すれば、事件は終了し刑事手続を受けることはありません。
(3)納付
仮納付の期限を過ぎてしまった場合でも、告知のあった日の翌日から10日以内(末日が土曜・日曜・休日にあたる場合は次の平日)であれば、交通反則通告センターで納付することができます。
それも過ぎてしまった場合は、交通反則通告センターに出頭し、新たな納付書を交付してもらいましょう。
忙しくてそれも足を運べない場合は、青キップを交付された日からおおむね40日後に、「交通違反通告書」と反則金相当額と送付費用を合わせた「本納付書」が郵送されてきます。
こちらの納付書を使用して、納付期限内に指定の金融機関で支払いましょう。
3、反則金を支払わないでいるとどうなるか?
仮納付の期限は7日以内とあっという間。
そして本納付書が送付されてくる時期も40日後と、違反したことなど忘れてしまっている頃かもしれません。
忙しい日々では反則金を支払うタイミングを逸した!という場合も少なくないでしょう。
反則金を支払わないでいるとどうなるのでしょうか。
軽微な交通違反とあなどると全く良いことはありませんのでご注意ください。
(1)「本納付書」でも支払わない場合
本納付書が届いても反則金を支払わない場合、警察から電話やはがきなどで支払い催促されます。
(2)それにも応じなければ刑事手続へ
反則金の納付を拒み続ける(無視し続ける)と、「刑事手続」に移行します。
刑事手続に移行すると、裁判を終えるまで長期にわたって取り調べを受けたり拘束される場面が増えてきます。
また交通違反は現場で警察官が確認している違反であることが多いので、証拠が残っています。
そのため有罪となる確率は高く、前科がついてしまう可能性も高いでしょう。
(3)「本納付書」で支払わない場合、出頭要請を受けることも
「本納付書」で支払わない場合、警察や検察から出頭要請を受けることもあります。
これを無視した場合、被疑者は逃亡のおそれがあるなどと警察に判断され、道路交通法違反の容疑で「逮捕」される可能性もあります。
スピード違反など「たいしたことじゃないじゃない」「風化していく(時効にかかる)に違いない」などと甘くみていると、「こんなはずじゃなかった」という事態になる可能性があります。注意してください。
4、反則行為はしていない!そんな場合の対応方法は?
反則金を支払うということは、反則行為をしたことを認めたことと同じです。
何らかの間違いにより、反則行為自体をしていない、という場合もあるでしょう。
そもそも反則金とは支払わなければならないお金ではありません。
刑事手続を免除したい場合にだけ支払えば良いのです。
反則行為の有無について争いたい場合は、反則金は支払わず、あえて刑事手続へ移行させ争うことも可能です。
刑事手続への移行は、たしかに黙っていても当局からのアプローチにより始まると言えます。
しかし、ノーリアクションではその後の対応において不利になる可能性があります。
この場合は弁護士の助言を受けながら刑事手続へ移行し、そして違反通告への反論の準備をしていきましょう。
5、行政処分の点数制度、何年で元に戻るのか
交通違反して加点された点数は原則として3年間で消滅します。
ただし、例外として、違反行為のあった日から継続して1年間無事故・無違反で過ごした場合、点数は1年で消滅します。
まとめ
交通反則通告制度は、反則金を支払うことで刑事手続を回避できる、反則者にとってメリットと言える制度です。
つまり、反則金さえ支払えば、刑罰を受けることも、前科が付くこともありません。
支払いを拒み続けて刑事罰を受けるよりは、すみやかに反則金を支払ったほうが得策と言えるでしょう。
しかし、交通違反とされたこと自体に納得がいかない場合など、何かお困りのことがありましたらぜひ弁護士までご相談ください。
交通事故の経験が豊富な弁護士なら、きっとあなたのお役に立つことでしょう。