アイフルに過払い金返還請求をする際のポイントをご紹介します。
複数の金融業者と取引していた経験があり、テレビやラジオ、インターネットなどで過払い金返還請求についてご存知の方でも、各消費者金融・信販会社によって、過払い金返還請求への対応に違いがあることをご存知の方は少ないのではないでしょうか。
今回は、消費者金融業者の中でもアイフルに対する過払い金返還請求に焦点を絞って
- アイフルからの過払い金の返還状況
- アイフルから過払い金を返還してもらうための流れ
- アイフルから過払い金を返還してもらう際の注意点
などについてご紹介したいと思います。
アイフルに対する過払い金返還請求についてご理解いただき、無事に過払い金を取り戻して頂ければ、幸いです。
目次
1、アイフルとは?過払い金返還請求のための基礎知識
アイフル株式会社は、京都市に本社をおく東証1部上場の消費者金融業者です。
アコム、プロミス、レイクなどの消費者金融業者が銀行の傘下に入り、武富士が倒産した現在においては、最大の独立系消費者金融業者といえるでしょう。
アイフルは深刻な経営難に陥っており、平成21年には事業再生ADRを利用して再建を図る方針を表明しました。
そして、事業再生期間は平成26年7月に無事終了しました。
アイフルは、残りの債務について一部弁済を行うと同時に、債権者より金融支援を継続して受けることを決定しました。
また、公開されている決算短信では「継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております」とのことであり、経営状態については引き続き注視していく必要性はあるものの、現在はある程度経営状況が安定しているものと思われます。
2、アイフルからの過払い金の返還状況
上記のような経営状況から、アイフルに対する過払い金返還請求は、消費者金融業者に対する過払い金返還請求の中でも特に厳しいものとされています。
つまり、過払い金の返還を請求したとしても、満足できる金額を迅速に支払ってもらえるという状況にはありません。
過払い金返還請求をする場合には、まず、アイフルと任意の交渉をすることになりますが、請求する過払い金の100%を支払ってくると可能性は極めて低い状況です。
任意で交渉をして和解をする場合には、アイフルの提示額は過払い金の30~60%程度といわれています。また、その場合でも、返金までの期間は3~8か月程度かかるようです。
そこで、過払い金の全額の返還を求めるためには、訴訟を提起して過払い金返還請求をする必要があります。
現在、アイフルは、任意の交渉ではなかなか過払い金を支払ってはくれませんが、裁判所で勝訴判決を取得することができた場合には、判決通りの金額を判決後1か月程度で支払っています。
したがって、アイフルに対する過払い金返還請求は、受け取ることができる金額に大きな差が出ることになりますので、アイフルに対して過払い金の返還を求める場合は、基本的に訴訟を提起するのが良いといえます。
なお、裁判所で勝訴判決を取得した場合には、過払い金に加えて、支払日までの利息も支払ってもらえます。
3、アイフルとの過払い金の返還請求は弁護士・司法書士に依頼すべき?
では、アイフルに対する過払い金の返還請求は弁護士や司法書士に依頼すべきでしょうか。
弁護士などの専門家に依頼するメリットとデメリットを見てみましょう。
(1)弁護士・司法書士に依頼するメリット
①時間・手間が省けること
まず、過払い金返還請求をする前提として、アイフルに対して取引履歴の開示を求めることになりますが、個人で請求した場合にはなかなか開示してこないことがあるので注意が必要です。
専門家が対応した場合には、個人が請求する場合に比べて迅速な対応をしてもらえることが多いといえるでしょう。
取引履歴を開示させた後は、過払い金の金額を正確に計算することになります。
これを引き直し計算といいますが、ご自身で行うことは、特に取引期間が長い場合にはかなりのご負担となることでしょう。
一方で、弁護士などに依頼すれば、引き直し計算も行ってもらえます。
次に、アイフルに対して過払い金返還請求を行い、担当者と交渉をしていくことになりますが、上記2.のような状況から、納得できるような金額を提示されることはなかなか考えられないでしょう。
交渉によって和解できない場合には訴訟を提起する必要がありますが、訴訟を提起するためには、訴状を作成する必要がありますし、アイフルと書面によるやり取りをしなければなりません。
裁判で勝訴したとしても、アイフルは基本的に控訴してきますので、1年から1年半程度の期間は、ご自身で過払い金返還請求のための裁判手続きなどを行う必要があるのです。
専門家に依頼した場合には、これらの面倒な手続きを基本的にすべて任せることができるのです。
また、不慣れな手続きをご自身で行うよりも、専門家に任せた方が、短期間で終結する可能性が高いと言えます。
②過払い金返還請求をしていることや過去に借金があったことを家族や知人に知られないように徹底的に配慮してくれること
過払い金返還請求をする方の中には、以前お借り入れがあったということや過払い金返還請求をしているということなどを家族や知人に知られたくないという方が多くいらっしゃるのではと思います。
専門家に依頼した場合には、
- 以前、借金していたこと
- 専門家に依頼して過払い請求していること
- アイフルや裁判所からの書類の受取場所を事務所にしてくれる
を家族や友人に知られないように様々な配慮をしてくれます。
ご自身で過払い金返還請求をする場合ですと、金融業者や裁判所からの書面は基本的にご自宅に送られてきますので、同居する家族や知人の目に触れてしまう可能性があります。
ただし、アイフルの場合には、専門家が裁判を提起している場合においても、本人に対して特定調停に関する書面(裁判所における話合いで解決しましょうという内容の書面。)を送付してくる可能性がありますので、上記のような様々な配慮を行った場合でも、同居する家族や知人の目に触れてしまう可能性がやはりありますので、その点には注意が必要です。
③高額の過払い金を獲得できる可能性があること
アイフルに対して任意交渉をするのは非常に難しいので、特にご自身で交渉をする場合には、過払い金の金額の10~20%程度しか返還してもらえないことがほとんどのようです。
専門家に依頼することによって、はじめて任意交渉における和解の金額を30~60%程度まで引き上げることができるのです。
(2)弁護士・司法書士に依頼するデメリット
専門家に依頼した場合にデメリットがあるとすれば、それはやはり費用の問題でしょう。
下記(3)で費用の相場について、ご説明します。
(3)弁護士・司法書士に依頼した場合の費用の相場
①相談料
まず、相談料がかかる可能性があります。しかし、現在多くの弁護士事務所・司法書士事務所では、相談は無料で対応しています。
②着手金
専門家に過払い金請求を依頼した場合、着手金として業者1社ごとに費用がかかります。
相場としては、1社につき4万円程度です。
③基本報酬
着手金がかからない弁護士事務所・司法書士事務所でも、基本報酬として1社ごとに費用がかかります。
相場としては着手金と同様に4万円程度です。
④成功報酬
過払い金を回収した場合に回収した金額に応じてかかる費用です。
裁判をせずに回収した金額の20%ほどが相場です。
もし、裁判で回収した場合には、金額が少し上がり、相場としては25%ほどです。
⑤減額報酬
その他、まだ借金が残っていた場合には、減額した借金の額に応じて費用がかかります。
減額した金額の10%程度が相場となります。
以上のような、メリット・デメリットを比較してご自身で手続きを進めるか、弁護士などの専門家に依頼するかを判断しましょう。
4、アイフルから過払い金を返還してもらうための流れ
(1)取引履歴開示請求
まず、正確な過払い金の金額を計算するため、アイフルに対して取引履歴の開示請求をします。
(2)引き直し計算
アイフルより取引履歴を取得したら、過払い金がどのくらいの金額であるかを正確に計算します。
(3)過払い金返還請求
過払い金の金額について計算が完了したら、アイフルに対して過払い金の返還を請求する意思表示をすることになります。
(4)アイフルとの交渉
それから、アイフルの担当者と直接やり取りをして過払い金の返還に関する交渉をしていくことになります。
アイフルの場合には、交渉での提示額は、弁護士などの専門家に依頼しても過払い金の30~60%程度にしかなりませんので、基本的に裁判を提起して過払い金を回収することになります。
(5)訴訟提起
上記(3)における任意の交渉で、アイフルより満足できる金額の提示がない場合には、やはり裁判を提起することになります。
(6)和解交渉
裁判中においても、併行して和解交渉を進める場合があります。
(7)判決
裁判で証拠が提出されると、裁判官が判決を下すことになります。
裁判に勝訴した場合、現在のところ、アイフルは判決通りの金額を支払っていますので、過払い金を回収することは可能です。
しかし、アイフルは基本的に控訴してきますので、裁判が終結するまで1年から1年半程度の期間はかかってしまうでしょう。
(8)返還
裁判での勝訴判決よりだいたい1か月程度で過払い金に支払日までの利息を加えた金額の入金がされることになります。
5、アイフルから過払い金を返還してもらう際の注意点
以上のように、アイフルに対して過払い金返還請求をして過払い金の満額を回収しようとする場合には、基本的に裁判を提起することになりますのでご自身だけで手続きを進めるには負担が大きいといえます。
ただし、弁護士などの専門家に依頼したとしても、ご自身に対して特定調停に関する書面(裁判所における話合いで解決しましょうという内容の書面。)を送付してくる可能性があり、そこから過払い金請求をしていることがご家族など点に知られてしまうことがありうる点は注意が必要です。
弁護士などの専門家に依頼している場合、アイフルから何らかの連絡を受け取ったときには、すぐに相談するのがよいでしょう。
まとめ
アイフルに対して過払い金返還請求をする際に知っておいて頂きたい5つの点について、まとめさせていただきました。
参考にして頂き、少しでも多くの過払い金を取り戻して頂ければ幸いです。