肝硬変とは、肝炎ウイルスや食生活、またはアルコール多飲の影響などにより肝臓の細胞破壊・破裂が繰り返されることで慢性肝炎が進行し、肝臓が固くなった状態の疾患のことをいいます。
今回は、
- 肝硬変の末期症状
- 肝硬変と余命
- 肝硬変の末期と診断された方が必ず知っておくべきこと
について、解説していきます。
1、肝硬変の末期症状はどのような症状が出るのか
肝硬変では、病態の進行に伴い、様々な症状がでてきます。わかりやすい症状の一つとして、腹水があげられます。
腹水とは、腹部に体液が貯留すること、またはその体液のことです。少量であれば大きな症状は発生しませんが、その貯留の量が多くなることで、腹部が膨らみ、さまざまな症状を併発するおそれがあります。
腹水の兆候、または腹水の症状としては、以下のものが挙げられます。
- 腹部が膨張する
- 呼吸が苦しくなる、息が切れやすくなる
- 食欲がなくなる、お腹が膨れやすくなる
- 下腹部が痛む
- 消化が悪くなる
- 便秘気味になる
- 体重が増える
- 普段より疲れやすくなる
- 吐き気がする
- 足首が膨張する
この腹水への治療の多くは対症療法ですので、根本的な解決は期待できません。腹水が多量になってくると、医師から余命宣告されるケースもあるようです。
腹水以外の肝硬変の症状としては、以下の内容があげられます。
- むくみやすくなる
- 吐血、下血する
- 手のひらが赤くなる
→原因:肝臓内の血液の流れが悪くなるため
- 皮膚が黒褐色になる
- 黄疸が出る
- 出血しやすくなる
- 女性様乳房が出現する
- うとうとしやすくなる
- 意味不明の行動・言動をする
→原因:肝細胞の働きが悪くなるため
2、肝硬変末期の余命はどのくらい?
肝硬変の末期症状では、余命を宣告されるケースもあります。
通常、肝硬変の末期症状を完治させることは難しいですが、それでも食事改善や禁酒などにより、その進行を抑えることは可能です。
余命宣告を受けた場合であっても、お酒をやめたり食事改善を徹底すれば、宣告された余命を大きく超えて、生存することができる例もあるようです。
生活の改善を行うことで、余命宣告を受けた後でも、その進行を遅らせることは十分に可能であるということです。
3、肝硬変末期の治療とは?
では、肝硬変の末期と診断された場合、その治療はどのようなことが行われるのでしょうか?
まず、肝硬変は完治が難しく、一般的には、根本的な治療方法はないとされていますが、食事療法や対症療法により、その進行を遅らせることは可能です。
たとえば、浮腫や腹水といった症状に対しては、利尿剤等を投与し、たんぱく質を補給するなどの治療が行われます。また、絶食や点滴といった治療も行われます。
また、肝機能が全面的に失われてしまい、肝不全の状態になってしまった場合にも有効な治療として、肝移植があります。
1989年に日本で初めての生体部分肝移植が行われて以来、2008年末までに約5、000人以上の方が肝臓移植の治療を受けられたとのことで、肝移植は、重症肝臓病の治療法として既に確立された治療法となっているようです。
しかし、肝硬変に対しては一般的には対症療法しかなく、常に規則正しい食生活や栄養摂取を心がけることが、現在の治療法としてもとても重要であるといえるでしょう。
4、肝硬変の末期だと宣告された方へ
B型肝炎ウイルスが原因で、肝硬変の末期だと診断された場合、B型肝炎訴訟を行うことで、最大3600万円の給付金や助成金がもらえる可能性があるということをご存知でしょうか?
なぜこのようなB型肝炎訴訟があるのかというと、『国が肝炎の感染の責任をとるため』であり、集団予防接種等の注射の使い回しにより、B型肝炎ウイルスに感染したことの責任が国にあるとされるからです。
しかし、まだまだこの給付金制度を知らないために、実際に手続きをする人の数はそう多くはないようです。
該当し給付金を受け取ることができれば、多少なりとも治療費の不安が軽減できますし、病気に対する悔しい思いを晴らすきっかけにもなると思いますので、ぜひご自身が該当するかどうかご確認ください。
(1)給付金について
B型肝炎訴訟を行うことで、最大で3600万円の給付金を受け取ることができる可能性があります。
一定の条件を満たす場合には、所定の手続きにより給付金を受け取ることができますので、肝臓に病気を抱えている場合には、必ずこの給付金制度をご検討ください。
(2)助成金について
B型肝炎に対して、インターフェロン治療やテノゼット、バラクルードなどの核酸アナログ製剤治療を受けている方は、厚生労働省と都道府県による医療費の助成制度を利用できる場合があります。
所得制限はありますが、場合によっては、自己負担額を1万円まで軽減することもできます。対象の方はこちらも必ず利用するようにしましょう。
まとめ
今回は、肝硬変の末期症状や治療法などを解説してきました。
肝硬変の完治は難しく、その治療の多くが一時的な対症療法ですが、それでも規則正しい食生活であったり、しっかりと栄養をとったりすることで、その進行を遅らせることは十分可能です。
また、肝硬変などの病気にかかった際は、国や厚生労働省から助成金や給付金を受け取ることもできますので、治療費の足しにしたり、悔しい思いを少しでも晴らしたりするために、このことは必ず抑えておくようにしましょう。