痴呆症(認知症)になった人が書いた遺言書も、必ずしも無効であるとは限りません。
加齢による脳血管の萎縮が引き起こす痴呆(認知症)は、誰にでも起こりうることです。特に日本は世界有数の認知症大国であり、2025年には65歳以上の高齢者の5人に1人が認知症になるとの推計もあります。このような社会事情を背景に、「痴呆(認知症)の方でも有効な遺言書を作成できるか?」という問題が顕在化しています。
そこで、この記事では、「痴呆(認知症)と遺言」をテーマとして、以下の内容を中心に解説していきます。
- 痴呆(認知症)でも有効に遺言を作成するための条件
- 痴呆(認知症)の方が作成した遺言に関する判例(有効例と無効例)
- 痴呆(認知症)の方に有効な遺言書を残してもらうための手順
「親が最近物忘れが激しくて、認知症かもしれない。相続が始まる前に、できれば遺言を書いてもらいたいと思っていたのだが、ちゃんとした遺言が書けるだろうか……」
そんな不安を抱えている方は、ぜひこの記事をお読みいただき、参考にしていただければと思います。
遺言書について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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目次
1、痴呆(認知症)の親が書く遺言書は有効?無効?
痴呆(認知症)の方が書いた遺言だからといって、一概に「絶対無効」とは言えません。
その理由を、民法が定める遺言の要件にしたがって確認してみましょう。
(1)3つの遺言要件
遺言が有効に成立するには、次の3つの要件を満たす必要があります。
- 遺言能力を有していること
- 15歳以上であること
- 法律が定めた方式に則っていること
(2)遺言の有効性は「遺言能力の有無」が判断基準となる
上記3つの遺言要件のうち最も重要なのは「遺言能力を有していること」です。
遺言能力とは、遺言書に書いた内容を理解し、その是非を適切に判断できる能力のことです。遺言能力が失われている状態で作成した遺言は法律上無効であり、ただの紙切れとなります。
重い痴呆(認知症)の場合、この遺言能力がすでに失われていることがあり、その状態で書いた遺言は当然無効です。
ただし、認知症といっても軽度から重度まで症状はさまざまです。
そのため、遺言によって損をする当事者は「親父が遺言を書いたとき、すでに遺言能力は失われていた!」と主張し、反対に遺言によって得をする当事者は「いや、遺言能力はぎりぎりあったはず!」と主張するなど、遺言能力の有無がしばしば大きな争点になるのです。
痴呆(認知症)の方が書いた遺言の有効性が問われた過去の裁判例については、後ほど別の見出しで紹介していきます。
(3)痴呆(認知症)患者に遺言能力はあるか
遺言を行う意思能力があるか否かは、遺言時における本人の具体的状態に応じて判断します。
よって、痴呆(認知症)だから必ず意思能力が認められないというわけではありません。
遺言を作成しようとする者の痴呆(認知症)の進行度、自分の財産に対する認識の状態、遺言作成の動機や経緯、遺言によって生ずる法律効果の複雑性、遺言条項の複雑性などを総合的に判断し、遺言者が遺言条項及びその効果を理解できるような場合には、その遺言については意思能力があると認められます。
2、痴呆(認知症)の方が書く遺言書の有効例
この見出しでは、過去の裁判例で遺言の有効性が争われたケースを紹介します。
まずは、「痴呆(認知症)の方が書いた遺言でも有効」と判断されたケースです。
有効例① 東京地判平成24年12月27日(判例集未登載)
【事案】 l 遺言者(被相続人)はアルツハイマー型認知症 l 次男に全財産を相続させる旨の自筆証書遺言が作成された(相続人は長男、次男のみ) l 遺言者は長男に対する貸付金が未返済であることに強い不満を表明していた l 遺言作成時に意思能力があったとの鑑定書がある l 長谷川式スケール(※)の評価は遺言書作成の2か月前で10点 ※認知症の有無の判断基準として医療現場で採用されている。30点満点中20点以下で認知症の疑いありとされ、点数が低いほど認知症の疑いが濃くなる。
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この裁判例は、アルツハイマー型認知症の状態にある被相続人が、「長男には財産を譲らない。次男だけに相続させる」という趣旨の自筆証書遺言を作成したというケースです。
このケースでは、「遺言作成の瞬間には遺言能力があった」ということが鑑定で確認されています。
遺言能力の有無は、「遺言を作成したとき」が基準時となるので、この鑑定が証拠として採用されるのは当然のことです。
他方で、遺言作成の2か月前に長谷川式スケールで「10点=認知症の疑いあり」と評価されていますが、長谷川式スケールは認知症の有無を選別するものに過ぎず、認知症の重症度を判定するものではないため、証拠としては採用されませんでした。
本判決では、遺言者が長男の態度に対して強い不満を抱いており、次男にだけ遺産を相続させるという内容の遺言を自らの意志で書いたとしても何らおかしくないことも考慮され、遺言は有効という最終判断に至っています。
なお、「次男に全財産を相続させる」という遺言が有効だとしても、長男には遺留分があることに注意してください。相続人が子供しかいない場合、全体の遺留分は「相続財産の2分の1」です。これを相続人の頭数で割るので、長男には遺産の4分の1を遺留分として相続できる権利があります。
したがって、本ケースの場合、長男が遺留分侵害額請求をすれば、次男が相続できるのは遺産の4分の3までです。
有効例② 東京地判平成24年7月6日(判例集未登載)
【事案】 ・遺言者(被相続人)はアルツハイマー型認知症 ・遺言作成から5か月後の長谷川式スケール評価は15点で、遺言作成の7か月後には成年後見開始の審判がなされている ・相続人は数名の妹で、そのうちの一人Aに全財産を遺贈する旨の公正証書遺言が作成された ・遺言者は、Aではない別の妹Bと養子縁組をしていたが、常日頃からBに不満を抱いていた。「このまま自分が死ねば、自分の全財産を相続人であるBに丸ごと持っていかれてしまう」という危機感を持っていたものの、養子縁組を法的に解消することが困難であることから、次善の策として上記のような遺言を行うことで、妹Aに全財産を相続させることにした
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このケースは、先ほどの裁判例①とは異なり、公正証書遺言で遺言が作成されています。
公証人が仲介する公正証書遺言であっても、遺言者本人の遺言能力に問題があれば、遺言の有効性にも疑義が生じることは当然です。
このケースでは、遺言者は認知症であり、しかも成年後見人が選任されているなど、著しく判断能力が落ちていることがうかがえます。
それにもかかわらず、裁判所が「妹に全財産を相続させる」という内容の遺言を有効と判断したのはなぜでしょうか?
これは、公証人と2名の証人が立ち会って遺言を作成していることで、遺言作成時に遺言能力があったかどうか、比較的容易に証明できることが影響しています。特に、公証人は元裁判官であることが多いので、遺言能力の判断基準、すなわち「どのような状態であれば遺言能力があるといえるか」について十分に理解しています。
そのような公証人に対して、もし遺言者が意識の曖昧な状態で遺言作成に臨めば、公証人は「この人には遺言能力がないので、これ以上手続きを進めることはできない」と判断するはずです。
言い換えると、有効な公正証書遺言が存在するということは、それだけで「遺言作成時、遺言者には遺言能力があった」という事実の証明になりうるわけです。
また、【事案】でも挙げているように、遺言者は、妹Bとの間で不本意な養子縁組をしていることに強い不満を抱いており、自分の遺産をBに渡したくないと常日頃から考えていました。このような事情も、「全財産を妹Aに相続させるという遺言は有効」との判断に影響したものと思われます。
3、痴呆(認知症)の方が書く遺言書の無効例
では次に、「この遺言は無効」と判断されたケースを紹介します。
無効例① 東京高判平成22年7月15日(判タ1336号241頁)
【事案】 ・遺言者(被相続人)は認知症の状態 ・長谷川式スケールの評価は、遺言作成の7か月前で20点だったのが、遺言作成の9か月後には11点と、大幅に認知症が進行していたと認められる ・遺言者と長年同居して介護にあたっていた養子夫婦には財産を一切相続させず、養子夫婦が居住している不動産を含む全財産を妹に遺贈するという極端に不合理な内容の遺言が作成された
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このケースでは2つの事実が「遺言は無効」との判断に影響しています。
1つめの事実は、長谷川式スケールの評価の推移です。
すでに説明したように、長谷川式スケールだけでは、遺言作成時の遺言能力の有無を判別できません。
しかし、遺言の作成7か月前の時点で20点だったということは、その時点で認知症を発症していたと推測できる上、遺言作成から9か月後には11点まで悪化しています。
このような推移を考慮すると、遺言作成時に正常な遺言能力はなかったのではないかという疑いが生じても不思議ではありません。
2つめの事実は、遺言内容があまりにも不合理だということです。
長年同居して介護を続けるなど、遺言者の人生に多大な貢献をしている人に一切遺産を譲らず、他方で、介護に何の貢献もしていない妹一人に全財産を相続させるという遺言は、遺言者に正常な判断能力があるならありえない内容です。
裁判所は、これらの事実を総合的に考慮し、「遺言は無効」と判断したわけです。
無効例② 京都地判平成25年4月11日(判時2192号92頁)
【事案】 ・遺言者(被相続人)は血管性またはアルツハイマー型の初期認知症 ・遺言者が経営するA社の元顧問弁護士Xに対して、全財産を遺贈する旨の自筆証書遺言がなされた ・遺言者はA社の全株式を有している ・遺言作成前に、Bを会社の後継者として指名している
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このケースで裁判所が「この遺言は無効」と判断したのは、遺言者が代表取締役であり、かつ全株式を保有している会社の将来について、まったく正反対の意思表示を示していたからです。
【事案】にもあるように、遺言者は、自分が経営者かつ所有者である会社Aの後継者として、Bを指名しています。
ところが、その後、Aの元顧問弁護士Xに株式を含む全財産を遺贈するとの自筆証書遺言を書いているのです。
全株式を元弁護士が引き継げば、先に後継者として指名されたはずのBがXによって排除されることもありうるのですから、これは明らかに矛盾した意思表示であり、正常な遺言能力がなかったと推定できる証拠になります。
4、痴呆(認知症)の方に有効な遺言書を残してもらうための手順
この見出しでは、痴呆(認知症)の方に有効な遺言書を残してもらうための手順を紹介しますので参考にしてください。
(1)検査機関における認知症検査
病院などのしかるべき検査機関で認知症の検査をしましょう。
これは、遺言者に遺言能力があることを「間接的に推定させる証拠」となります。
遺言作成の現場で検査するわけではありませんので、遺言能力を直接的に証明する証拠にはなりえないことに注意してください。
認知症の検査では、先に紹介した「長谷川式スケール」のほか、「ミニ・メンタルステート試験」といった方法も駆使して、認知症の可能性の有無をチェックします。
注意したいのは、どちらの方法も、認知症のリスクの有無を調べるだけであり、認知症の確定診断には使えないということです。
認知症の確定診断には、CTやMRIなどによる脳の画像検査が必須です。
もし、認知症と確定診断された場合は、すみやかに成年後見人を選任するなどして、将来の遺言作成に備えましょう。
(2)遺言書の専門家へ相談
認知症であるか否かにかかわらず、遺言を作成する際は、弁護士などの法律の専門家に相談して、有効性をチェックしてもらうことが大切です。
遺言に関して専門家にしてもらうべきことは次の3つです。
①遺言書に書ける内容を特定する
遺言書に書ける内容のことを「遺言事項」と言います。
遺言事項は法律であらかじめ規定されており、自由に書くことはできませんので注意が必要です。
以下、代表的な遺言事項を列挙します。
- 相続分の指定(民法第902条)
「長女に財産の4分の2、次男に4分の1、残りを他の子供たちに相続させる」というように、各相続人が相続する割合を指定できます。
- 遺産分割方法の指定、遺産分割の禁止(民法第908条)
「自宅の所有権は妻、別荘の所有権は子供達全員」というように、相続財産を具体的に特定して、分割方法を指定することができます。
- 包括遺贈および特定遺贈(民法第964条)
遺言によって、相続人やそれ以外の第三者に遺産を贈与することを、「遺贈」と言います。
- 遺言執行者の指定(民法第1006条)
遺言書に書かれている内容を実行する役割を担うのが「遺言執行者」です。
相続財産が非常に高額である場合などは、誘惑にかられた相続人が「ずる」をしてしまうおそれもあります。
そのような場合は、遺言通りに相続を実行できるよう、遺言で遺言執行者を指定します。
以上のほかにも、認知(民法第781条第2項)、相続人の廃除(民法第893条)、保険金受取人の変更(保険法第44条)など、14種類の遺言事項があります。
遺言事項について詳細を知りたい方は、弁護士の法律相談などを利用して確認すると良いでしょう。
②遺言能力の有無の証拠に関するアドバイス
ここまで説明してきたように、遺言の有効無効で主に問題になるのは、「遺言能力の有無」です。
この判断には、過去の判例など高度に専門的な知識が欠かせません。
「認知症の父に遺言を書いてもらいたいと考えているが、遺言能力が否定されないためには、どんな証拠を用意しておけば良いのだろう……」
そんな悩みを抱えている場合は、弁護士に相談することが最善の選択です。
③遺言の形式を間違いなく揃えるためのアドバイス
遺言書は「形式」が非常に重視されます。
たとえば、「○○年○○月吉日」などと書いてしまうと、それだけで遺言は無効になります。
また書き間違いを訂正する際も、法律が定める方式を厳守しないと、これまた遺言自体が無効になります。
遺言は、疑義や解釈の余地を一切与えないほど、明確に書かれていないといけないからです。
公正証書遺言であれば、公証人がすべて管理しながら作成するので心配無用ですが、自筆証書遺言の場合は、一つでも法律の要件に違反するとただの紙切れになってしまいます。
自筆証書遺言を作成する場合は、事前に弁護士からしっかりアドバイスをもらい、形式を間違えないよう慎重に書いてください。
(3)遺言書の作成
認知症の検査、専門家のアドバイスと進んだら、最後に遺言書を作成します。
遺言書を書く際は、「遺言書を作成する瞬間に遺言能力が備わっているか?」に十分注意してください。
前述の判例にも見られたように、たとえ認知症と確定診断されている場合でも、遺言作成時に遺言能力があると認められれば、遺言は有効です。
ただ、現実には、認知症の確定診断があり、しかも重症である場合は、遺言能力に相当程度の「疑義」が生じます。
そのような場合に自筆証書遺言を作成し、有効と裁判所に認めてもらうには、かなり高いハードルを乗りこえる必要があります。
そこでおすすめしたいのが、公正証書遺言です。
〈公正証書遺言の作成の流れ〉
l 遺言者が公証人の面前に座り、遺言の内容を口頭で説明する l 説明を聞き取った公証人が、遺言書の真意にそえるよう遺言として書き起こし、形式を整える l できあがった遺言を遺言者に見せて、OKをもらう l 最後に、遺言者および立ち合い証人2名、そして公証人が署名押印をして、正式に公正証書遺言として完成させる
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公正証書遺言は、遺言の本文を公証人がワープロで作成しますので、「認知症や病気のために、ペンを持つこともできない」という方でも大丈夫です。
どのような遺言を残したいか、自分の気持ちを口頭などで公証人にしっかり伝えることさえできれば、公正証書遺言は作成できます。
病気やケガで公証役場に出向くことさえできない場合は、公証人が自宅などに出張して公正証書遺言を作成することも可能です。
公正証書遺言は、開封時の検認手続きが不要ですので、遺言者が亡くなった後、スムーズに遺言の内容を確認し、実行することができます。
また、原本が公証役場に保管されるので、自筆証書遺言でしばしば起きる破棄、隠匿、改ざんといったリスクが皆無であるのも大きなメリットです。
〈自筆証書遺言の保管制度がスタート〉
民法改正により、2020年(令和2)7月10日から、自筆証書遺言を法務局に保管できる制度がスタートしています。
この制度を利用すれば、公正証書遺言と同様に検認手続きが不要となりますし、保管されている間は破棄、隠匿、改ざんといったリスクも回避できます。
ただ、この制度を知らずに自筆証書遺言を書いてしまうケースもありえますので、遺言の破棄等のリスクを完全に回避したいなら、やはり公正証書遺言を活用するのがおすすめです。
5、争族(争続)を避けるための遺言以外の方法として「遺産分割協議」がある
「争族(争続)」という言葉をご存知ですか?
争族(争続)は、時に家族同士の争いの種になってしまうことを表す造語です。
遺言がない相続では、相続人同士で「権利の主張」が始まり、争族(争続)になってしまうことがしばしばあります。
このような場合の解決法として法律が用意しているのが、「遺産分割協議」という制度です。
(1)遺産分割協議とは?
遺産分割協議とは、相続人全員が参加し、被相続人が遺した遺産の分配方法について話し合いをし、その内容を遺産分割協議書としてまとめることを言います。
遺産分割協議は相続人だけで行うことも可能ですが、やはり法律の専門家である弁護士に参加してもらうのがおすすめです。
(2)弁護士は行司役または代理人をつとめる
弁護士は、相続が争族(争続)にならないよう、当事者の立場を十分に考慮しながら行司役をつとめます。
もし、すでに相続人同士が仲違いをしてしまい、お互いに同席して分割協議をしたくないという場合は、弁護士が一方の代理人の立場で当事者の主張を聞き取り、相手方に妥協案を提示するなどして、遺産分割協議をまとめることもあります。
6、まずは弁護士の無料相談を利用するのがオススメ
あれこれ悩む前に、まずは弁護士の無料相談を利用しましょう
無料相談を利用したからといって、弁護士への依頼を無理強いされることは決してありませんので安心してください
弁護士の無料相談は、自治体役場や弁護士会、法テラスなどでも実施しています。
また、法律事務所によっては、事務所独自のサービスとして、30分間程度の時間制限を設けた無料法律相談や、メールでの無料法律相談を実施している場合もあります。
気になる方は、各窓口に問い合わせてみましょう。
(1)家族によって相続の形がある
相続は、各ケースによって、相続人の形態(相続人の数、代襲相続の有無など)や相続へのニーズ(遺産を平等に分配したいのか、特定の相続人に多く与えたいのかなど)が異なります。
そこで、無料相談をする際は、「自分たちがどのような相続人構成で、どのように遺産を分配したいか」を弁護士に詳しく伝え、適切なアドバイスをもらうようにしましょう。
(2)相談するなら早めに!
痴呆(認知症)はどんどん進行していく病気です。
「昨日までは正常に会話できていたのに、今日になって自分の名前を思い出すこともできなくなった」といった事態も決して珍しくありません。
弁護士の法律相談を利用して有効な遺言を作成したいなら、痴呆(認知症)が軽いうちに、できるだけ早めに行動することが大切です。
まとめ〜遺言は「遺言能力」がたしかなうちに残そう
たとえ痴呆(認知症)でも、自分の家族に財産をしっかり遺したいという気持ちは健常者とまったく同じはず。
遺言を上手に活用すれば、痴呆(認知症)の方でも希望通りの相続が可能です。
ただし、何度も説明したように、有効な遺言を残すためには、遺言能力の有無が鍵となります。
有効な遺言が残せるほどの遺言能力があるかをまず見極めたうえで、遺言の作成が危なくなりそうな状態なら、すぐに遺言の作成に取りかかりましょう。