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緊急避難と正当防衛の違いとは?

緊急避難

「緊急避難」について、正当防衛と関連して調べていた方も多いかと思います。

緊急避難は正当防衛と同様に、成立すれば犯罪として認定されない点が共通しています。

では、具体的に緊急避難と正当防衛の違いとは何でしょうか?

今回は、

  • 緊急避難とは何か
  • 正当防衛との違い
  • 緊急避難の主張方法

について解説します。 ぜひこの記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。

実刑について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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1、緊急避難とは

緊急避難とは

(1)緊急避難は具体例で理解しよう-カルネアデスの板

例えば、「あなたが乗っていた船が沈没してしまい、海に投げ出されたとします。岸までは遠く泳いで行ける距離ではありません。
すると一枚の板が流れてきました。あなたはその板にしがみつきました。
ところが、同じように海におぼれかけていたYさんもその板にしがみついてきました。
その板は一人の男性を支えるには十分な大きさでしたが、二人がつかまると沈んでしまいます。
そこで、あなたはYさんを突き飛ばして溺死させました。
この場合、あなたを殺人罪に問うことができるか、というのが「カルネアデスの板」の話です。
緊急避難の例としてよく引用されます。
結論をいえば殺人罪に問うことはできません

(2)緊急避難が成立するための3つの要件

では、いかなる場合に緊急避難が成立するのでしょうか?
緊急避難は刑法37条1項に規定されています。

自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。

ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

①自己又は他人の生命・身体・自由・財産に対する現在の危難があること

「現在」とは、危難が現に存在しているか、又は間近に押し迫っていることをいいます。
「危難」とは、法益に対する侵害又はその危険のある状態をいいます。
危難の発生原因は、人の行為のみならず、自然現象(水害、火災、洪水など)であってもよいとされています。

②避難行為が「危難を避けるため、やむを得ずにした」ものであること

避難行為は、やむを得ずにしたものであること、すなわち、その危難を避けるために必要な唯一の方法であって、他に方法がなかったことを必要とします。
もっとも、他に一切方法がなかったことまでの必要はなく、現実的可能性のある方法として唯一のものあればよいとされています。
他の方法がなかったときに限って補充的に許される手段という意味で「補充性の要件」とも呼ばれています。

③「避難行為によって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった」ものであること

避難行為によって侵害された法益が、避難行為によって危難から免れた法益よりも大きくなかったことを意味し、これを「法益権衡の要件」といいます。
したがって、価値の小さい法益を救うために価値の大きい法益を犠牲にすることは許されません

(3)緊急避難が成立すると犯罪は成立しない

刑法37条1項では「罰しない」と規定されています。
これは、緊急避難が成立した場合は「犯罪が成立しない=無罪」だということを意味しています。

(4)過剰避難であれば犯罪は成立した上での刑の減免(任意的減免)

ただし、刑法37条1項但書では、避難行為が「その程度を超えたとき」、すなわち、「補充の原則」に反した場合、又は、法益権衡の原則に反した場合について規定しています。
これらの場合を「過剰避難」といいます。
過剰避難が成立した場合は、犯罪が成立した上で、刑の減軽や免除の効果を受ける場合があります

2、緊急避難と正当防衛との違い

緊急避難と正当防衛との違い

緊急避難も正当防衛も成立すれば「犯罪が成立しない」ことは同じです。
では、どの点に両者の違いがあるのでしょうか?

(1)「やむを得ずにした行為」の意味の違い

正当防衛の場合にも「やむを得ずにした行為」が必要です。
しかし、緊急避難の場合とではその意味内容が異なるとされています。
すなわち、緊急避難の場合、上記のように「補充性の要件」が必要とされていますが、正当防衛の場合は比較的緩やかに解され、具体的状況の下において、その防衛行為が侵害を排除し、又は法益を守るために必要かつ相当なものであれば足りるとされています(「相当性の要件」とも呼ばれています)

(2)「法益権衡の要件」の有無の違い

上記のとおり、緊急避難の成立には「法益権衡の要件」が必要です。
それに対して、正当防衛に関する刑法36条1項には、緊急避難の「法益権衡の要件」に相当する文言が規定されていません。
つまり、正当防衛の場合、「防衛行為によって侵害された法益が侵害されようとした法益よりも大きくなかったこと」は必要ではないと考えられています。

(3)違いの理由〜「正対正」と「正対不正」

どうして上記のような違いが生じるのでしょうか?
それは、緊急避難は「正対正」、正当防衛は「正対不正」の関係にあるからだと考えられています。

「正対正」とは、自分の正当な行為(侵害する側)対 第三者(または社会)の正当な利益(侵害される側)という意味です。

「正対不正」とは、自分の正当な行為(侵害する側)対 違法な侵害(侵害される側)という意味です。

そのため、緊急避難の場合、第三者の正当な法益を犠牲にしてまで自己の行為が正当だと許されるためには、「補充性の要件」や「法益権衡の要件」が必要となります。
つまり、自己の行為を正当化するための要件が厳しいのです。

他方、正当防衛の場合、不正な行為よりも、自己又は他人の権利を守る行為を手厚く保護すべきですから、「補充性の要件」や「法益権衡の要件」までは必要とされません。
つまり、自己の行為を正当化するための要件が緊急避難に比べ緩やかなのです。

3、緊急避難が争われた実例3選

緊急避難が争われた実例3選

では、緊急避難の成否が争われた裁判例をご紹介いたします。

(1)あおり運転を受けてスピード違反(札幌高裁 平成26年12月2日)

被告人が、法定速度時速60kmのところを時速94kmで運転した事案です。
被告人は、後続車からあおり運転をされていたことから、スピードを上げて走行せざるを得なかったのであるから、緊急避難が成立すると主張しました。

しかし、裁判所は、ブレーキを軽く踏んで制動灯を点灯させたり、進路変更したりするなど、後続車の接近を避ける方法が他にもあったこと等を理由として、緊急避難の成立を否定し、被告人に罰金4万円の有罪判決を言い渡しています。

なお、「正対正」において、「煽り運転は正なの?」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、スピード違反における「侵害される側」とは、交通の安全という社会的な利益です。煽り運転をした者ではありません。
煽り運転をした者へ何らかの侵害を行なった場合は「正対不正」になり、正当防衛を検討することになります。

(2)拳銃を突き付けられて覚せい剤を使用(東京高裁 平成24年12月18日)

第一審の裁判所は、緊急避難の成立を認めず、被告人を有罪としました。

しかし、控訴審では、被告人が、覚せい剤を使用していた密売人からこめかみに拳銃を突き付けられ、覚せい剤を使用するよう指示されていたことから、生命の危険が切迫し、覚せい剤を使用するほかなかったとして緊急避難を認め、被告人に無罪判決を言い渡しています。
こちらも「拳銃を突きつけた人が正なの?」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、覚せい剤使用罪における「侵害される側」とは、保健衛生という社会的利益です。拳銃を突きつけた者ではありません。
拳銃を突きつけた者へ何らかの侵害を行なった場合は「正対不正」になり、正当防衛を検討することになります。

(3)娘が発熱しスピード違反(堺簡易裁判所 昭和61年8月27日)

被告人が、指定速度時速50kmのところを時速88kmで運転した事案です。
被告人は、娘が高熱を出しており、病院に急行するためやむを得ず速度超過をしたのであるから、緊急避難が成立すると主張しました。
裁判所は、かかりつけの病院が犯行場所から約7、8分で到着する場所にあり、左程遠くないのであるから、運転行為は、危難を避けるため、やむを得ずにした行為とはいえないとして、緊急避難の成立を否定しました。
もっとも、程度を超えた過剰避難に当たるとし、被告人に刑の免除の判決を言い渡しています。

4、緊急避難を主張したい!緊急避難で無罪を勝ち取る方法

緊急避難を主張したい!緊急避難で無罪を勝ち取る方法

刑事裁判で緊急避難を主張して無罪を勝ち取る方法をお伝えします。

(1)可能な限り早めに弁護士に相談

刑事裁判では、弁護人があなたや証人に質問をしたり、緊急避難の主張を裏付ける証拠を提出するなどしてくれます。
しかし、そのためには、あなたはもちろん証人との打ち合わせ、書類の作成など裁判のための準備期間が必要です。
今日相談し、明日の刑事裁判に対応するのはどの弁護士でも不可能ですから、できる限り早めに弁護士へ相談し、綿密な打ち合わせや準備を行ってもらい、裁判に臨みましょう

(2)緊急避難に当たる事由が存在することの証明

緊急避難に当たる事由(要件)が存在しないことを証明するのは検察官です(これを「挙証責任」といいます)。
しかし、検察官が犯罪の成立を証明すれば、緊急避難に当たる事由が一応存在しないと事実上推定されてしまいます。

そこで、被告人・弁護側は、緊急避難に当たる事由が存在することを立証する必要が生じてきます(これを「挙証の必要」ともいいます)。
少なくともこれを証明しないと有罪とされてしまいます。

(3)自ら証拠を保全しておくことも必要

自ら証拠を保全しておくことも必要です。
例えば、先ほどのあおり運転の例でいうと、事件当時のドライブレコーダーの映像を保存しておくなどです。
その場で警察に検挙された場合は、警察官から任意提出を求められることもあるかとは思いますが、そうでない場合は、自分の身を守るという意味でも証拠は確実に保全しておく必要があります。
内容によっては、裁判で使えることがあります。

まとめ

以上、緊急避難について説明しました。
緊急避難は、正当防衛よりも成立するためのハードルは高いですが、成立が認められれば正当防衛と同様、犯罪そのものが成立しないという効果を受けることができます。

この記事をお読みになって、少しでも「緊急避難に当たるのではないか」とお感じになった方は、是非一度弁護士へご相談ください。

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