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雇用保険と労災保険―違いを知り活用するポイント5つ

雇用保険 労災保険

企業で働いていると、「雇用保険」「労災保険」などの言葉を耳にすることは多いと思います。
もっとも、それらがどのような制度なのかはよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

 今回は、この2つの保険の内容と注意点について5つのポイントに絞って弁護士がわかりやすく解説します。

  • 雇用保険や労災保険の制度内容
  • 雇用保険と労災保険の加入方法や保険料の負担
  • うちの会社は加入している?雇用保険と労災保険の加入義務と加入の確認方法
  • パートやアルバイト等非正規社員は雇用保険と労災保険に加入できるのか
  • 雇用保険と労災保険で困ったときの相談窓口

働く人が公的な制度でしっかり守られていることを理解いただき、これからも元気で仕事に励んでください。

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1、「労働保険」としての雇用保険と労災保険

雇用保険と労災保険―違いを知り活用するポイント5つ

雇用保険と労災保険(労働者災害補償保険)は、共に「労働保険」と言われ、労働者を保護するため、国家が運営する公的な保険です。
自分の事業のために労働者を雇っている会社などは、労働者のために必ず労働保険に加入しなければなりません。

(1)雇用保険とは

雇用保険とは、文字通り「雇用」についての「保険」です。
雇用されなくなったとき、つまり労働者が失業したりその他の事情で働けなくなったりした場合に、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、その就職を促進することを目的とした保険です。

代表的な給付としては、生活の安定を図るための失業等給付があります。
また、就職を促進するために、就職促進給付や教育訓練給付もあり、再就職をすることによる手当の給付や教育訓練の受講料の補助がなされます。

このように、雇用保険は、労働者が、定年、倒産、自己都合等の理由により離職した場合に、失業中の生活を心配しないで仕事探しができ、また再就職先で定着できるように支援するものです。

主な給付は次の通りです。大変充実したものとご理解いただけるでしょう。

 ① 基本手当(いわゆる失業手当)

雇用保険の一番代表的な給付です。
失業された方が安定した生活を送りつつ、1日も早く就職するための保障として給付されます。

給付の期間は、仕事をやめた日の年齢、雇用保険の被保険者期間、仕事をやめた理由などによって90日~360日の間とされています。

給付の額は月給の額の概ね45%~80%程度です。

給付を受けるためには、単に失業しているというだけでなく、働く意欲と能力を持っていることが必要です。
例えば次のような場合は給付を受けられません。
妊娠、出産、育児や病気、ケガですぐに就職できない、そもそも就職するつもりがない、家事や学業に専念したい場合などです。

 ② 就職促進給付

基本手当の受給中に就職が決まった場合、再就職後の定着を支援するために、一定の条件を満たしていると支給されます。

次の種類があります。

  • 再就職手当:正社員で働くときにもらえる手当です。
  • 就業促進定着手当:再就職先で6か月以上継続して働いているが、以前の就職先よりも賃金が低い場合にもらえます。
  • 就業手当:失業手当の受給者がパートやアルバイトで働くともらえる手当です。
  • 常用就職支度手当:45歳以上の方や身体障害者などが、1年以上の雇用が見込まれる職業に就いたときにもらえる手当です。

 ③ 教育訓練給付

就職のための教育訓練経費の一部がもらえる手当です。

④ 雇用継続給付

高齢者や、育児休業、介護休業した方がもらえる手当です。
このほかに雇用保険では、雇用安定事業、能力開発事業といった事業も行っています(「雇用保険二事業」と呼ばれます)。
事業主への雇用維持や職業訓練のための助成金、中高年齢者・若者・子育て女性に対する就労支援などが行われています。

(2)労災保険とは

労災保険とは、労働者が仕事(業務)が原因で、または通勤中に、負傷したり病気になったり亡くなった場合に、被災労働者や遺族を保護するための給付等を行うものです。
あわせて被災した労働者の社会復帰の促進等の事業も行っています。

後述の通り、保険料は事業主(会社)負担であり、労働者には負担がありません。

主な給付の内容は次の通りです。被災労働者本人のみならず家族までも面倒を見てくれます。
とても手厚い給付だとご理解いただけるでしょう。

 ①療養給付(業務災害の場合には「療養補償給付」というように「補償」の文言が入り、通勤災害の場合には「補償」の文言は入りません。他の給付も同様ですが、ここでは、まとめて「補償」の文言は含めず表記します。)

ケガや病気が治る(症状固定となる)まで、被災した労働者が自己負担なく診察及び治療等が受けられる、というものです。
通常、3割の自己負担分のある健康保険と違って、被保険者の自己負担はありません。労働災害である以上は労働者の保護を徹底する、ということがおわかりいただけるでしょう。

 ② 休業給付

ケガや病気のため働けず賃金を得られないときに、概ね月給の80%を支給する、というものです。

 ③ 傷病年金

ケガや病気で療養をはじめて1年6ヶ月たっても治らず、重い症状が継続しているときには②の休業給付に代えて年金が支払われます。

 ④ 障害給付

ケガや病気が治りきらないまま重い障害が残った場合には、その状況により年金または一時金が支給されます。
その場合、上記の①療養給付と②休業給付の支給は終了し、障害給付に切り替わります(③の傷病年金の支給を受けている場合も、ケガや病気が一応治ったならば④障害給付に切り替わります。)。

 ⑤ 遺族給付

労働災害によって労働者が亡くなった場合に、遺族に年金または一時金が支給されます。

(3)その他の社会保険

雇用保険と労災保険は、「社会保険」の1つです。
社会保険というのは、私的な保険と異なり、国が運営し、該当者の加入が強制されており、いわば国全体で助け合う保険制度です。

社会保険には雇用保険と労災保険の他にもいくつかの保険が用意されています。
本項では、原則として会社で働いている労働者向けの社会保険について説明します。

① 健康保険

健康保険も社会保険の1つです。
ケガや病気になったときに療養の給付を行う保険です。

前述の労災保険は、労働者の業務や通勤によるケガ・病気を対象とする保険ですが、健康保険は業務・通勤災害以外の、いわゆる私傷病についての保険です。

保険料は会社と労働者(被保険者)が原則として折半して負担し、療養を受ける場合には被保険者も原則3割の自己負担が必要です。

なお自営業者や働いていない人などは「国民健康保険」に加入します。

② 年金保険

いわゆるサラリーマンは、社会保険のひとつとして、「厚生年金」と呼ばれる年金保険にも加入しています。

被保険者の老齢、障害、死亡などのときに年金が支給されるものです。会社などで働いている人は厚生年金に加入し、保険料は原則として健康保険と同様に会社と労働者が折半して負担します。

自営業者や働いていない人については、国民年金保険に加入します(*)。

障害や死亡(遺族補償)に対して労災保険の給付がある場合には、年金保険の給付と重複することがあります。このような場合には一定の調整が行われます。

(*)正確には、会社などで働いている人、自営業者、働いていない人もすべて国民年金保険に加入の上、会社などで働いている人はその上乗せで厚生年金保険にも加入している、という2階建ての仕組みになっています。

③ 介護保険

介護を家族だけの負担とせず社会全体で支えるための保険です。
40歳以上の人が全員加入し、原則として65歳以上で要介護や要支援になった人に居宅サービスや施設サービスを提供するものです(65歳未満の方でも一定の場合にはサービスが提供されます)。

2、雇用保険と労災保険の加入方法―保険料は誰が負担?

雇用保険と労災保険―違いを知り活用するポイント5つ

次に、労働保険について加入の仕方や保険料負担のあらましを確認しておきましょう。

(1)加入方法

労働者を1人でも雇っている事業場(会社)は労働保険への加入義務があります。
ここで労働者というのは、常勤、パート、アルバイト等の名称や雇用形態にかかわらず、原則としてすべて対象です。

強制適用事業場から除かれるのは、5人未満の労働者を使用する個人経営の農林水産の事業の一部のみです。

従って、会社に雇用されるときに「当社では労働保険に加入していません。」などといわれたら、虚偽か違法状態であると考えた方が良いでしょう。

(2)保険料の負担

雇用保険と労災保険では、保険料の負担のあり方が違います。
労働者に支払う賃金総額に一定の料率をかけて計算します。

① 雇用保険

事業主(会社)と労働者双方の負担になります。
保険料率は、労働者と会社では異なり、また業種による違いもあります。

平成31年度は次のとおりです。料率は「1000分の○(パーミリ)」で示しています。

①労働者負担

(失業等給付の保険料率のみ)

②事業主負担

雇用保険料率(①+②)

失業等給付の保険料率

二事業の保険料率

一般の事業

農林水産・清酒製造の事業

11

建設の事業

12

 ② 労災保険

全額事業主負担です。労働者の負担はありません。
人を雇って仕事をしている以上は、労働災害については、雇っている側が責任を持つべきだ、という考え方によるものです。

労災保険料率は、事業の種類で大きく異なっており、50以上の事業ごとに定められています。労災の発生の可能性などを考慮したものです。

料率は「1000分の○(パーミリ)」で示しています。

(例1)労災保険料率が高い事業
金属鉱業、非金属鉱業(石灰石鉱業又はドロマイト鉱業を除く。)又は石炭鉱業:88
林業:60
(例2)建設事業:事業の種類により6.5から62(発電・水道など)
(例3)製造業:同3.5から26(その他の窯業又は土石製品製造業)
(例4)運輸業:同4から13(港湾荷役業)
(例5)その他の事業:同2.5から13(清掃、火葬、と畜)

(参考:厚生労働省「労災保険率表」

3、うちの会社は加入している?雇用保険と労災保険の加入義務と加入の確認方法

雇用保険と労災保険―違いを知り活用するポイント5つ

(1)雇用保険

① 加入義務

前述の通り、労働者を雇っている会社は原則として加入義務を負い、労働者を被保険者として加入手続きを行います。労働者自身は、特に手続きはしません。

② 加入確認方法

雇用保険に加入している場合には、会社から「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書」「雇用保険被保険者証」が交付されます。
交付されていない場合には、会社に確認してみてください。

また、雇用保険の保険料のうち、失業等給付にかかる部分は労働者も負担しており、給料から天引きされています。
給与明細を見て雇用保険の保険料が掲載されていれば、加入されていることが把握できます。
会社が加入手続をしていないと思えば、労働者自身でハローワークに確認をすることができます。

(2)労災保険

① 加入義務

雇用保険と同様に、労働者を雇っている会社は原則として加入義務を負い、労働者を被保険者として加入手続きを行います。労働者自身は、特に手続きはしません。

② 加入確認方法

労災保険料の保険料は全額会社が負担していますので、労働者としては給与明細を見ても加入の有無はわかりません。
厚生労働省の次のサイトで勤務先が加入しているかどうか検索することができます。
雇用保険と労災保険の両方とも検索できます。

「労働保険適用事業場検索~労働保険の加入に必要な手続を事業主の皆様が行っているか、この検索機能により、どなたでも確認することができます~」

4、パートやアルバイト等非正規社員の雇用保険と労災保険の加入について

雇用保険と労災保険―違いを知り活用するポイント5つ

雇用保険については、一定の制約があります。
労災保険については、原則全員加入です。

(1)雇用保険

パートアルバイトなどについても事業所の規模にかかわらず、次に該当する場合には雇用保険の被保険者となります。

① 1週間の所定労働時間が20時間以上であること

② 31日以上の雇用見込みがあること

この②の要件は「31日以上雇用が継続しないことが明確である場合を除く」という意味です。
次の場合も該当します。

  • 雇用契約に更新する場合がある旨の規定があり、31日未満での雇止めの明示がない。
  • 雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある。

パートやアルバイトについて会社がよく知らず(あるいは意図的に)雇用保険の被保険者としていない事案もあるようです。

パート、アルバイトの方はぜひ一度確認されることをおすすめします。

(2)労災保険

パートアルバイトなどの短時間労働者を含む全ての労働者が対象となります。
たとえ短時間の労働者であったとしても、業務災害や通勤災害にあった場合には労災保険の給付の対象になります。

会社によっては「パートやアルバイトは関係ない」などと思い込んでいるところもあります。
会社が労災保険の請求をしないなら、労働者自ら労働基準監督署で請求手続きをすることが可能です。

5、会社が雇用保険、労災保険に未加入?!相談先をご紹介

雇用保険と労災保険―違いを知り活用するポイント5つ

会社が雇用保険や労災保険に加入していないとか、特定の労働者を被保険者にしていない、といった事態も時折見かけられます。
そのようなときは、次の相談先に相談してみてください。

(1)雇用保険について

ハローワーク(職業安定所)が所管しています。全国の所在地は次の通りです。

全国ハローワークの所在案内

(2)労災保険について

労働基準監督署が所管しています。全国の所在地は次の通りです。

全国労働基準監督署の所在案内

(3)全般にかかる相談窓口

どこに相談したらよいかわからないとか、様々な相談事があるという場合は総合労働相談コーナーがおすすめです。
職場のトラブルに関するご相談や、解決のための情報提供をワンストップで行っています。
このコーナーで相談すれば必要に応じて上記のハローワークや労働基準監督署に取り次いでもらえます。

総合労働相談コーナーのご案内

まとめ

雇用保険や労災保険は、労働者やその家族を守るための充実した仕組みです。
ただし、仕組みがかなり複雑で、働く人にとってはすぐには理解しにくいかもしれません。
また会社の担当者でも十分に理解できず、間違った取扱いをすることがあるようです。

雇用保険や労災保険は、問題なく勤めているときにはほとんど関係がありません。
問題が発覚するのは、現実に失業したり労働災害が発生してしまったりしたときなのです。
そのときに加入漏れなどが判明すると、あわてて対応せざるを得なくなるばかりでなく、本来であれば受けることのできた補償が受けられないかもしれません。

この記事では、全体のイメージをつかんでいただくため、5つのポイントに絞って簡潔にまとめてみました。
この記事が皆様のお役に立つことを祈っています。

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