夫が生活費をくれないという状況に悩む方もいらっしゃるでしょう。
今回は、夫からの生活費が不足している場合の理由や説得方法、そして夫が生活費をくれない場合の対処法についてご説明します。
目次
1、夫が生活費をくれない!その理由とは?
夫が生活費をくれない理由をまずは考えてみましょう。
夫にだって言い分があるはずです。
夫の考えを理解することで対処法が見えてくるかもしれません。
(1)「俺が稼いだ金は俺のもの」感が強い
男性の中には自分で稼いだお金は自分のものだという意識が高い男性がいます。
自分が苦労したのだから基本は自分のもの。
必要に応じて妻にもお金を渡す考えの男性です。
しかし実際は、夫の実力で稼いでいるというよりは、家族のいる男性には扶養を考慮した額が支払われるという社会システムから給与額が定められているケースも多いもの。
また、夫が稼いだお金とは妻の内助の功があってこそのお金。
夫が仕事に専念できるのも、妻の支えがあるからです。
この手の男性は、この辺の認識を変えなければ、生活費に関する意識が変わることはないでしょう。
(2)生活費を把握していない
生活費を把握していない夫も生活費をくれません。
よくある大きな勘違いポイントは食費は1ヶ月に3万円もあれば十分だと感じているケース。
地方のデータをもって「月2万円でやりくりしている人がいる」と言われても、首都圏に在住する家庭には無関係です。
2024年の調査によると、2人以上世帯が食費にかける支出平均値は89,550円、生活費全般の平均値は297,428円。
家計全てを預かる主婦に5万円しかくれない場合には生活ができない事態に陥るでしょう。
この手の男性は生活費を一切くれないわけではないですが、生活費を勘違いしているため、「俺は渡している」と間違った認識をしています。
(3)お金を自分で使い込んでいる
お金を何らかの理由で自分で使い込んでいる夫は妻に生活費を渡せません。
例えばギャンプルなどに使い込んでいるケースや、借金を抱え稼ぎは返済に充てているケースなど。
妻に渡したくても渡せない事情がある場合です。
(4)妻も稼いでいると勘違いをしている
共稼ぎで多いのが、財布の紐は別だと認識している場合です。
妻もフルタイム勤務で正社員なら各家庭の考え方もあるため、理解もできるでしょう。
しかし、妻がパートタイムで週3程度の勤務なら夫との収入の差は歴然です。
ですが、生活費は妻がまかなっていると考えてしまう夫は生活費をくれません。
パートタイマーで先に述べたような1ヶ月の生活費283,072円を毎月稼げる妻はほぼいないでしょう。夫の大きな勘違いポイントです。
(5)子どもの成長とともにお金がかかることを理解していない
新婚当初は夫婦2人の生活費でしたから大きな金額は生活にかかっていなかったかもしれません。
しかし子どもが増えるにつれて生活費はかさんでいきます。
夫婦で認識を合わせて年々生活費を多くもらっていかなければ、生活費は不足していくでしょう。
子どもの成長とともに学費が多くなり、食べる量も増えていきます。衣料費も高くなっていく傾向です。
この辺りを夫が理解していなければ生活費は新婚当初のまま過ごしてくことになってしまいます。
当然生活費は不足に陥る結果に。
(6)夫の稼ぎが良くない
稼ぎが良くなければ、最低限しか妻に渡すことができません。
その割に自らのものは新しいものを購入したりしている場合は、稼ぎが良くないことに加え、上の(1)〜(5)のいずれかの理由が重なっています。
稼ぎが良くない場合の対処法は、夫婦でのお財布を一緒にしてしまうこと。
そうでなければ、上記のように家庭内で不公平なお金の使われ方がなされてしまいます。
夫も妻も自らの稼ぎをオープンにし、二人の生活で使うもの、お互いに使いたいもの、と公平に分担していくことが必要です。
もし、夫がお財布を一緒にすることを拒むようであれば、妻に対して一定の気持ちを抱えていることが考えられます。
一定の気持ちとは、「(稼いでいると思わせ)カッコつけたい」「(節約を耐えてくれる妻に)甘えている」「自分が稼ぎが良くないことを認めたくない」などの気持ちです。
このような夫の気持ちの壁を取り払っていくような、優しいコミュニケーションをとっていくことが必要になるでしょう。
2、生活費をくれないのは立派な経済的DV
夫に経済力があるにも関わらず生活費をくれないのは、実は立派な経済的DVと認められています。
場合によっては悪意の遺棄に相当し夫婦の扶助義務に違反しているとして法定離婚事由にも。
夫が生活費をくれないことを理由に法的には離婚もできるということです。
そのことを夫に理解してもらうことが解決のキーポントになるでしょう。
3、生活費をくれない夫を説得する5つの方法
では、生活費をくれない夫を説得して生活費をもらう方法をご紹介します。
夫が生活費をくれない理由を把握した上でそれぞれの対処法を実践するといいでしょう。
(1)婚姻費用は分担する義務があることを説明する
婚姻費用(生活費)は夫婦で分担する義務が法律で定められていることを夫に理解してもらいましょう。
この対処法は「俺の稼いだお金は俺のもの」だと勘違いしている夫には効果的。
もしも婚姻費用を分担しなかった場合には、悪意の遺棄に相当し離婚もできる旨を説明すれば納得してくれるはずです。
とはいえ、生活費にいくらかかっているかも理解できていないケースがありますので、まずは弁護士に相談するなどし、あなたの家庭での婚姻費用分担+養育費の額がいくらくらいになるのか、確認してみると良いでしょう。
もしその額を支払ってもらえないのであれば、別居をして裁判所に申し立てるつもりだと伝えてみてください。
(2)家計簿をつけて見せてみる
生活費にいくらかかっているのか理解できていない夫に対しては家計簿をつけて見せるのも効果アリです。
とはいえ、これまで生活費をもらっていないわけですから、正しい数字はでない可能性も。
きっと節約し切り詰めて生活しているでしょう。
ですから、実際にかかっている生活費+αで提示する方が効果があります。
本来ならこの程度かかっているという数字を夫に提示してみましょう。
あなたの節約術でなんとか乗り切っていることを理解してもらうことを説明することもお忘れなく。
(3)お互いの収入とお金の使い途をチェックする
もしも夫が自分でお金を使い込んでいるケースなら、お互いのお金の使い途をチェックしてみましょう。
夫は借金などは隠したがるかもしれません。
ですから、あなたから先に提示し、生活できずに困っている旨を訴えかけるのです。
夫は自分で使い込んでいることに罪悪感を感じているはずですから、素直に交渉に応じるでしょう。
しかし、夫のギャンブル癖や借金は夫婦で解決していく必要があります。
「どうしてお金を使い込んでるの!?」と攻め立てることはせずに夫婦で解決策を見出していきましょう。
例えば、借金を債務整理する方法やギャンブル依存から抜け出す方法などです。
詳細は下記記事をご覧ください。
(4)夫婦の財布を一緒にする
妻がパートをしているケースでは、いっそのこと財布を一つにしてしまうのも一案です。
妻の稼ぎが見えていないからこそ、子どもに新たにかかる塾代や新調した生活用品代をパート代でまかなえていると妄想しているのでしょう。
妻がパートをしている場合、妻側にも「私が稼いだ」という発想をする人も少なくありません。
夫の稼ぎは家族で共有、パートの稼ぎは私が使う(額が大きくないのだからそれでいいでしょ)、という発想は捨て、二人で稼いだお金を二人の生活に使って行きましょう。
友人や後輩などと出かける交際費、また自分だけの趣味の出費は、できれば配偶者に迷惑をかけたくないと考えてしまいがちです。
しかし、お財布を一緒し、行動もオープンにすることで、夫婦の絆も深めるとともに、自由な関係が築けるのではないでしょうか。
(5)子どもにかかる費用は子どもから夫に話をさせる
生活費が子どもの成長とともに増加し不足している場合には、子どもから必要な費用を伝えさせることも効果的でしょう。
子どもにかかる費用は夫が責任をもって負担しようとするはずです。
さらに、可能なら子どもから「お母さん、毎日働いて節約をしているのに食費が足りないと言っている」などと夫と交渉してもらうこともできるかもしれません。
子どもが比較的に大きいならぜひ協力してもらいましょう。
4、説得しても生活費をくれない夫への対処法
もしも夫が経済的に問題ないにもかかわらずに生活費をくれない場合には、婚姻費用分担調停を申し立てできます。
生活費をくれないだけで他に問題のない夫となら、離婚に踏み切る前にまずは実践してみるといいでしょう。
(1)別居する
別居して、婚姻費用の請求をするというのもひとつの手段でしょう。
このまま離婚を考えているわけではないのであれば、一時的に住まうことができる実家やきょうだいの家など、頼れるところを探しましょう。
(2)内容証明郵便の送付
内容証明郵便で婚姻費用の分担請求をします。内容証明郵便で送付されてくるだけでも夫には効果があるはず。
もしも、その時点で生活費をもらえたなら、あとは夫婦の話し合いで和解していきましょう。
もしも内容証明郵便でも夫が生活費をくれない場合には、次のステップに進みます。
(3)婚姻費用分担調停を申し立てる
婚姻費用分担調停を家庭裁判所に申し立てましょう。
婚姻費用分担調停ではお互いの収入や資産を考慮して相応の婚姻費用の分担額を決めていきます。
もしも調停で話がまとまらない場合には審判に移行することに。詳細はこちらの記事を参考にしてください。
(4)給料の差押え
もしも調停が成立した場合や審判が結審し、婚姻費用が支払われることになった場合にでも夫が婚姻費用を支払わなかったなら強制執行が可能です。
給料や貯金の差し押さえができますから、生活費をくれない事態は免れるでしょう。
5、生活費をくれない夫との離婚も1つの方法
いろいろ手を尽くしても夫が生活費をくれなければ離婚が頭をよぎるかもしれません。
(1)悪意の遺棄による離婚を弁護士に確認
生活費をくれないのは場合によっては法定離婚事由の「悪意の遺棄」に相当します。
この事由をもって離婚の調停を申し立てることができますので、弁護士に相談しましょう。
(2)別居婚により婚姻費用をもらい続ける方が得策な場合も
離婚も一つの手段ではありますが、実は、離婚よりも婚姻費用をもらい続ける方が得策かもしれません。
別居婚を継続し、婚姻費用分担調停により、婚姻費用と養育費をもらい続ける方が得策なケースもあります。
あなたに貯金が多くあり、仕事も順調で子どもを育てるだけの経済力が備わっているなら離婚も一つの手段です。
ですが、これまで専業主婦で子どももまだ幼くフルタイムで勤務できないなら、婚姻費用と養育費をもらい続けてみましょう。その方が生活は楽なはずです。
6、生活費をくれない夫との離婚は弁護士に相談
生活費をくれない夫との離婚を決意したなら弁護士に相談することをおすすめします。
慰謝料の請求、養育費の請求など財産分与も含めた交渉を代理でしてもらえます。
1人で解決しようとしても生活費をくれない夫ですから、お金の交渉に応じるとは考えられません。
離婚することでさらなる窮地に陥らないためにも弁護士の存在は心強いものになるでしょう。
生活費をくれない旦那に関するQ&A
Q1.夫が生活費をくれない!その理由とは?
- 「俺が稼いだ金は俺のもの」感が強い
- 生活費を把握していない
- お金を自分で使い込んでいる
- 妻も稼いでいると勘違いをしている
- 子どもの成長とともにお金がかかることを理解していない
- 夫の稼ぎが良くない
Q2.生活費をくれないのは経済的DV?
夫に経済力があるにも関わらず生活費をくれないのは、実は立派な経済的DVと認められています。
場合によっては悪意の遺棄に相当し夫婦の扶助義務に違反しているとして法定離婚事由にも。
Q3.生活費をくれない夫を説得する5つの方法?
- 婚姻費用は分担する義務があることを説明する
- 家計簿をつけて見せてみる
- お互いの収入とお金の使い途をチェックする
- 夫婦の財布を一緒にする
- 子どもにかかる費用は子どもから夫に話をさせる
まとめ
生活費をくれない夫は場合によっては悪意の遺棄に相当し、少なくとも夫婦の扶助義務に違反しています。
夫が生活費をくれない理由が「俺が稼いだお金は俺のもの」という意識が強い方なら考え方を改めてもらうべきです。
夫の稼ぎは妻の協力があってこそのもの。
そして妻が外に出て働くことに非協力的なら、なおさら夫の意識を変えてもらいましょう。
妻が働くこともできず生活費をもらえない事態は死活問題です。
ご紹介した対処法でも解決できないなら、婚姻費用分担調停を申し立て、強制的に支払ってもらうことも視野に入れてください。
弁護士などの第三者への相談も含めて検討していきましょう。
あなたと子どもの幸せのためにも泣き寝入りはしないでください。
今できることを実践して、生活を豊かにしていきましょう。