バイク事故は、他の事故と比べて重大な被害を受けることが多いと聞いたこともあると思いますが、具体的にはどのようなことに気を付ければよいのでしょうか……。
今回は、バイク事故を未然に防ぎたいと考えている人に向けて、
- バイク事故の特徴
- バイク事故で重大な被害を受けないための注意点
などについてベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
併せて、万が一バイク事故に遭った場合の具体的な対処法や損害賠償請求などについても説明します。
この記事が、バイク事故を防ぎ快適なツーリングライフを送りたい方々の参考になれば幸いです。
交通事故の被害者がやるべきことについては以下の関連記事をご覧ください。
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目次
1、バイク事故は死亡などの重大な被害を受けやすい
まず、第一に、バイク事故に遭ってしまうと自動車で事故にあった場合よりも、死亡及び重症などの重大な被害を受けやすいということを知っておく必要があります。
ここでは、バイク事故の発生件数や特徴などについてご説明します。
(1)バイク事故の発生件数
警視庁が発表している統計によれば、2019年に全国で発生した交通事故による死者数は3,215人で、そのうち510人がバイク事故(原付バイクによる事故を含む)によるものです。
全体の死者数のうち15.9%がバイク事故によるものとなっています。
東京都内に限ってみると、全体の死者数は133人で、そのうちバイク事故による死者数が28人となっており、21.1%を占めています。
したがって、交通量が多い地域ほど、バイク事故による重大な被害が発生する可能性が高いと思われます。
もっとも、交通量が少ない地域であっても注意が必要であることに変わりはありません。
(2)バイク事故の被害内訳
次に、上記の警視庁の統計を分析して、バイク事故の特徴を細かくみていきましょう。
まず、バイク事故による負傷部位についてみると、致命傷となった負傷部位として最も多いのは頭部で(35.7%)、次に胸部(32.1%)、腹部(21.4%)と続いています(東京都内におけるデータ)。
この3つの部位で全体の約90%を占めていますので、バイクを運転する際にはヘルメットやプロテクターを適切に装着して、これらの部位を守ることが重要といえるでしょう。
次に、死亡事故でどのような類型の事故が多いのかについてみると、右折時の事故と単独事故が圧倒的に多くなっています。
このことから、バイクの運転時には特に交差点における安全確認を徹底することと、スピードの出し過ぎにも注意する必要があるといえるでしょう。
(3)なぜバイク事故は死亡事故になりやすい?
では、なぜバイク事故は他の事故と比べて死亡事故になりやすいのでしょうか。
その原因は、何といっても運転者の身体が自動車のような車体に保護されていないことにあります。
自動車の場合は、他の車と衝突したとしても車体が衝撃を吸収しますので、運転者の身体はある程度守られています。
また、自動車のエアバッグが運転者の身体を守る役割を果たします。
それに対して、バイクの運転者には自動車のようなガードが何もないため、事故に遭うと運転者の身体に衝撃が直接加わります。
さらに、バイクが転倒して運転者が路上に投げ出されることによっても身体にダメージを受けますし、後続の車両に轢かれてしまうおそれもあります。
このように、バイクの運転者は事故の衝撃などを身体に直接受けやすいことから、死亡事故や重傷事故につながりやすいといえます。
2、バイク事故に特有の発生原因
バイク事故には、自動車同士の事故とは異なる発生原因もあるため、交通事故が発生しやすいといえます。
バイク事故に特有の発生原因として、以下の3つがあります。
(1)運転者の視界が狭い
バイクを運転する際にはヘルメットを着用しなければなりませんが、そうすると視野が狭くなってしまいます。
さらに、運転中は前傾姿勢を保つ必要があり、首を動かして周囲を視認できる範囲にも限りがあります。
そのため、バイクの運転者の視界は自動車の運転者よりも格段に狭くなっています。
その結果、バイクの運転者が危険に気付きにくくなり、ブレーキをかけるのが遅れて重大な事故が発生する可能性が高くなります。
(2)バイクは自動車の運転者から見えにくい
自動車の運転者はバイクの運転者よりも視界が広いとはいえ、自動車の構造上、死角が必ず生じます。
バイクが自動車の付近を走行するときは自動車の死角に入りやすく、バイクが近づいていることに気付かない自動車の運転者が進路変更するなどによって発生する事故が多発しています。
また、自動車の運転者には他の自動車はよく見えても、バイクは見落としがちになる傾向があります。
特に夕方や夜間にはその傾向が強いようです。
右折時の事故は、自動車の運転者がバイクを見落としたことにより発生するケースが多いと考えられます。
(3)無理な追い越しやすり抜けをしやすい
バイクには自動車と異なり、追い越しやすり抜けが容易にできるという特性があります。
この点は、渋滞に巻き込まれるとなす術のない自動車とは異なるバイクのメリットともいえます。
しかし、バイクの運転者がこのメリットを活かそうとして、無理な追い越しやすり抜けをすることも少なくありません。
追い越しをする際はスピードが出がちですし、車と車の間をすり抜けるには高度な運転技術が必要なこともあるでしょう。その分、ミスも生じがちです。
また、追い越し中やすり抜け中にバイクが自動車の死角に入ってしまい、自動車の運転者がバイクに気付かずに進路変更をするなどして事故が発生するケースもよくあります。
3、バイク事故の過失割合は四輪車よりバイクが有利となる
バイクは交通事故に遭いやすく、被害も重大になりやすいといえますが、バイクと自動車との交通事故が発生した場合、過失割合においてはバイクの方が有利となります。
事故の類型にもよりますが、自動車同士の事故の場合よりもバイク側の過失が5~10%程度、軽減されます。
たとえば、交差点を青信号で直進する車両と右折する車両が衝突した場合、自動車同士であれば、基本の過失割合は「直進車:右折車=20:80」です。
しかし、直進車がバイクの場合は基本の過失割合は「直進車:右折車=15:85」となり、右折車がバイクの場合は基本の過失割合は「直進車:右折車=30:70」となります。
このようにバイクの過失割合が軽減される理由は、バイクが交通事故に遭いやすく、被害も重大になりやすいことによります。
また、自動車の運転者に対して、特にバイクには注意すべき義務を課すことによって、交通事故を減らすという狙いもあると考えられます。
バイク事故のさまざまな類型における過失割合については、こちらの記事で解説していますので、併せてご参照ください。
4、バイク事故で重大な被害を受けないために注意すべきこと
バイク事故に遭ってしまうと、ご自身が重大な被害を受けてしまいます。
それを回避するためには、バイクを運転する際に以下の点に注意することが大切です。
(1)無理な運転をしない
最も重要なことは、無理な運転を避けることです。
運転中は常に危険を予測し、「かもしれない運転」をするようにしましょう。
この点は、自動車の運転者にとっても同じことです。
バイクを運転する際は、特に前記「2」でご紹介したバイク事故に特有の発生原因を念頭に置いて、あらかじめ危険を回避すべきです。
つまり、視野が狭いからこそ安全確認は念入りに行い、自動車の運転者からバイクが見えにくいことを前提として、もし自動車が急に進路変更をしたとしても衝突の回避が可能な距離を保つことです。
その上で、無理な追い越しやすり抜けも避けるようにしましょう。
(2)日頃の点検や整備を怠らない
車両に不具合があると、事故を招く原因となります。
自動車であれば、事故が発生しても車体によって身体が守られているので被害が軽いこともありますが、バイクの場合は重大な被害に直結しやすいので、日頃から点検や整備をしっかりと行いましょう。
(3)ヘルメットを確実に装着する
バイクに乗る際にはヘルメットを着用されると思いますが、確実に装着することも重要です。
先ほどご紹介した警視庁の統計によりますと、2019年に発生したバイクの事故による死亡者のうち、約40%は事故時にヘルメットが脱着していたとのことです。
あご紐もきちんと締めて、万が一事故に遭ってもヘルメットが脱着しないようにしておきましょう。
(4)グローブや胸部プロテクターも装着する
バイクの運転者の身体は車体でガードされていませんので、頭部だけでなく、他の部位もできる限り保護することが大切です。
胸腹部損傷による死傷事故も多いので、胸部プロテクターも装着すべきでしょう。
手を保護するために、グローブも着用しましょう。
(5)保険に加入する
万が一、バイク事故に遭った場合に備えて、保険には必ず加入しておきましょう。
バイクをお持ちの方の多くは、きちんと保険に加入されていると思いますが、補償内容は十分でしょうか。
自動車保険と比べると、バイク保険はやや軽視されがちな傾向があるように思われます。
事故に遭った場合の被害は自動車の場合よりも重大になりやすいのですから、十分な補償内容の保険に加入しておくことが大切です。
5、バイク事故に遭ったときにやるべきこと
次に、バイク事故に遭ってしまったときの対処法についてご説明します。
(1)すぐに診察を受ける
バイク事故に遭った場合は、自分では怪我をしていないと思っても、原則として医師の診察を受けた方がよいでしょう。
特に、バイクが転倒した場合には必ず身体に衝撃が加わっていますので、診察を受けるべきです。
また、事故後「すぐに」診察を受けることも大切です。
交通事故による負傷は数日後に症状が出てくることも少なくありませんが、事故から受診までの期間が長く空いてしまうと、事故と負傷の因果関係の証明が難しくなる傾向があります。
保険会社等に因果関係を疑われないためにも、すぐに診察を受けておきましょう。
また、診察を受ける際には、頭部や胸腹部については慎重に診てもらうことも大切です。
手足を怪我した場合は比較的わかりやすいですが、頭部や胸腹部の場合は思わぬ損傷が潜んでいる可能性もあるからです。
できる限り詳しい検査を受けた方がよいでしょう。
そして、事故後は怪我が治癒するか、症状固定に至るまで、適切なペースで通院を継続しましょう。
通院回数が少ないと、実際よりも怪我が軽いと保険会社に判断されてしまい、慰謝料などを減額されてしまうおそれがあります。
怪我の内容にもよりますが、できれば週に2、3回、少なくとも週に1回は通院した方がよいでしょう。
(2)物損について示談をまとめる
バイク事故に遭った場合、怪我の治療が最優先ですが、落ち着いたら物損についても示談をまとめておきましょう。
バイク事故の場合、車体の損傷だけでなく、衣服やヘルメット、携帯品などが破損する可能性が自動車の場合よりも高いです。
これらの物品が損傷した場合には、物損として損害賠償請求ができますので、物損の被害をまとめておきましょう。
具体的には、事故後速やかに損傷した物品の写真を撮影し、修理見積もりをとり、修理した場合には領収書を保管しておきましょう。
また、物品の時価や購入価格を調べましょう。
(3)損害が判明・確定した段階で示談交渉する
人身に関する損害賠償の場合は、怪我の治癒または症状固定に至った段階で、また、物損に関する損害賠償の場合は、修理見積もりや時価・購入価格を調べた段階で、示談交渉に移ります。
バイク事故で示談をする際に注意すべき点は、以下のとおりです。
①バイク事故における後遺障害等級認定
バイク事故は被害が大きくなりやすいため、怪我の後遺障害が残る可能性が大きいといえます。
もし、怪我が完治しない場合には、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できる可能性があります。
これらの請求を行うためには、基本的には後遺障害等級認定を受ける必要があります。
バイク事故では頭部や胸腹部に損傷を受けやすいので、高次脳機能障害や内臓の損傷については詳しく検査を受けて、後遺障害等級認定の申請を行いましょう。
これらの後遺障害で等級認定される場合は、損傷や症状の程度にもよりますが、後遺障害等級1級~3級といった重度の等級に認定される可能性もあります。
また、手足も大きなダメージを受けていることが多いので、これらの部位に後遺症が残る可能性もあります。
痛みが残存した場合などの神経症状の場合には12級や14級の後遺障害が認定される可能性がありますし、関節が動かしにくくなった場合など機能障害が残ったり、手・足・指の切断が余儀なくされたりした場合には、より重度の等級に認定されることもあります。
その他にも、顔を擦り剥くなどして外貌に醜状が残った場合には、7級や12級、14級の後遺障害に認定される可能性があります。
後遺障害等級に関する詳細や、後遺障害等級認定を申請する方法については、以下の記事で解説していますので、併せてご覧ください。
②バイク事故の示談の流れ
損害額が確定した段階で、加害者側と示談交渉を行います。
通常、加害者が契約している保険会社から示談案が提示されますので、その内容と金額が正当かどうかを検討することになります。
バイク事故では重大な被害が発生していることが多いので、示談案の正当性を慎重に確認することは特に重要です。
死亡事故の場合は、死亡慰謝料、逸失利益、葬儀費用が主な損害項目となります。
死亡慰謝料とは、被害者本人が事故で味わった精神的苦痛と、遺族が大切な人を失ったことで受ける精神的苦痛を慰謝し賠償するために遺族に対して支払われるお金のことです。
逸失利益とは、被害者が事故で亡くならなければ将来得られたであろう利益を賠償するために支払われるお金です。
また、葬儀費用についても一定の金額が支払われます。
これらの賠償金が正当かどうかを判断するための考え方については、以下の記事をご参照ください。
また、重傷事故の場合は、先ほどご説明したように、後遺障害慰謝料と逸失利益を請求できる可能性があります。
これらの請求を行うためには、まず、症状固定に至るまではしっかりと治療を受け、症状固定後、後遺症が残存した場合には後遺障害診断書を医師に発行してもらうことになります。
その後、後遺障害等級認定の申請を行いますが、その際は加害者側の保険会社に手続を任せるよりも、自分で申請手続を行う方が有利となる可能性が高いです。
加害者側の保険会社に申請してもらう方法を「事前認定」、自分で申請する方法を「被害者請求」といいます。
どちらの方法で申請した場合でも、認定結果に納得できない場合は異議申し立てをして再審査をしてもらうこともできます。
保険会社が提示してきた示談案に納得できない場合は、後遺障害について、以上のステップに漏れがなかったかを見直してみましょう。
場合によっては、診療録を取得して記載内容を確認し資料として提出したり、再度詳しい検査を受けてその結果を提出したりするなど、異議申立てをすることで、より有利な後遺障害等級を獲得できる可能性もあります。
後遺障害に関する損害賠償請求について、より詳しくは以下の記事をご参照ください。
6、万が一バイク事故で困ったときは弁護士に相談しよう
万が一、バイク事故に遭ってしまい、示談交渉で困ったときには弁護士に相談することをおすすめします。
交通事故に関する事案の経験豊富な弁護士に相談することで、以下のメリットが得られます。
(1)保険会社の提示する示談金が正当かを判断してもらえる
保険会社は利益を確保する必要もありますし、加害者の言い分を尊重せざるを得ない立場にもあるため、被害者に不利な示談案を提示してくる可能性が高いです。
しかし、被害者自身が提示された示談案が正当かどうかを正確に判断することは困難です。
弁護士に相談すれば、損害項目ごとに金額が正当かどうかの判断も可能ですし、過失割合の正当性も判断してもらえます。
過失割合によっても示談金の額は左右されますので、弁護士に相談し、事故の状況や過去の裁判例から提示された過失割合が適切かどうか確認してもらうことは重要です。
②保険会社との交渉を代行してもらえる
示談案に納得できない場合は保険会社と示談交渉をする必要がありますが、被害者自身が交通事故に精通している保険会社と対等に交渉することは困難です。
しかし、弁護士に依頼すれば、弁護士が代理人として代わりに交渉してくれます。
法律のプロとして適切な交渉を行ってもらえるので、正当な内容で示談できる可能性が高まります。
また、自分で保険会社と直接やりとりする必要がなくなるので、精神的にも楽になるでしょう。
③高額な示談金の獲得が期待できる
保険会社は、慰謝料を計算する際に「任意保険基準」という算定基準を使用していますが、それによって慰謝料額が不当に低い金額となっている可能性が高いです。
弁護士に示談交渉を依頼すれば、「弁護士基準」という算定基準を用いることによって、より高額の慰謝料額で示談できることもあります。
つまり、弁護士に依頼するだけで慰謝料が増額できる可能性があります。
慰謝料の算定基準について詳しくは、以下の記事をご参照ください。
まとめ
バイクは身軽で便利な乗り物ですので、通勤・通学・買い物などに利用したり、趣味でツーリングを楽しんでいる方も多いことでしょう。
しかし、その反面で交通事故に遭いやすく、いったん事故に遭うと重大な被害を受けやすいということは常に念頭に置いておく必要があります。
くれぐれも無理な運転は避け、万が一事故に遭った場合にも被害を最小限に抑えるために、ヘルメットやプロテクターを適切に装着しておきましょう。
もし、バイク事故に遭って困ったときは、弁護士にご相談の上で、適切な損害賠償を求めることをおすすめします。