バイトが突然クビになったときは、驚きとともに衝撃を受けることでしょう。
あんなに一生懸命働いていたのにと、もやもやしてしまう人は決して少なくありません。
また、バイトのクビを何度も経験してしまうという人も。
バイトをクビになると、お金に困ってしまうだけでなく、自分は社会に不適合なのか?と精神面でのストレスが大きくなってしまうこともあるでしょう。
今回は、バイトをクビになってしまった人に向けて
- バイトはクビになりやすいのか?
- バイトをクビになった場合の対処法
- バイトをクビになってしまったら次の応募に影響があるのか
- バイトをクビになった場合に保険は利用できるのか
- バイトをクビにならないための心がけ
などについてご紹介します。
同じことを繰り返さないために、本記事の内容をぜひ参考にしてください。
1、バイトはクビになりやすいの?
正社員と比べてバイトはクビになりやすい。
そんなイメージはありませんか?
以下、本当にバイトはクビになりやすいのか、見ていきましょう。
(1)バイトであっても正社員と同様の解雇基準
まず、クビとは、法的には、「解雇」のことをいいます。
そして、「解雇」とは、使用者による労働契約の一方的解約のことをいいます。
この解雇ですが、法律上の解雇基準は、バイトであっても正社員であっても同様です。
ですから、法的には、バイトだからクビになりやすいということはありません。
(2)解雇の種類
解雇と一口にいっても、おおまかに分けると以下の3種類に分類されます。
①普通解雇
普通解雇とは、労働者の勤務態度が悪く遅刻や無断欠勤などが相次いだり、病気で全く出勤できない状態が継続するなど、解雇せざるをえない場合の解雇です。
また、仕事が全くもってできないなど、仕事の能力を理由とすることもあります。
②懲戒解雇
会社のお金を横領したなどの重大な違反行為が発覚した際に、そのことを理由として解雇することを懲戒解雇といいます。
罰としての解雇に等しく、普通解雇とは大きく異なります。
懲戒解雇扱いになってしまうと、正社員なら次の就職が難しくなることもあります。
解雇された事情を退職証明書などに記載するうえ、再就職先の会社にその提出を求められることもあり、それがきっかけで懲戒解雇されたことが次の就職先にも伝わってしまうからです。
もしも経歴に偽りを記載すれば経歴詐称ですし、何かのきっかけで発覚してしまうことは、十分に考えられます。
また、面接などでも会社を辞めた理由を聞かれることがありますから、正社員採用の場合、隠しきるのは難しい場合が多いでしょう。
この点、バイトの場合には、懲戒解雇処分を受けても、次のバイト先には伝わりにくく、バレない可能性が高いでしょう。
③整理解雇
整理解雇とは、会社の倒産の危機などのケースで人員を整理する場合に行われる解雇のことです。
会社側と条件などを十分に話し合い、納得した上での解雇になるケースであれば、会社側と労働者側でのトラブルにはなりにくいといえます。
他方で、突然、一方的に整理解雇として解雇宣告をされるケースもあり、その場合には、それが不当解雇であったとして争う余地は十分にあります。
バイトの場合にも整理解雇があり得るので注意が必要です。
(3)不当解雇とは
上記3つのいずれかの解雇に当たるとしても、適法に解雇をするための基準・手続は厳しく考えられており(解雇の種類によってその基準も異なります。)、裁判等では、解雇をすることが妥当ではなかったと判断されるケースも多くあります。
それら、実際は解雇すべきではなかったのになされてしまった解雇が、「不当解雇」に当たります。
不当解雇の詳しい解説は、こちらの記事をご覧ください。
(4)バイトはクビになりやすい事実上の理由とは
とはいえ、バイトは事実上クビになりやすいといえます。
なぜでしょうか?
それは、これまでアルバイターは、若年層の学生や世帯主ではない主婦であるケースが多く、生活がかかっていないために不当解雇であっても泣き寝入りしやすく、トラブルに発展しにくかったことが背景にあげられます。
そして、このような背景から不当解雇がまかり通っていたことを裏付けとして、大きな問題意識を持たない雇用主がまだまだいるということが、バイトがクビになりやすい大きな理由の一つとなっています。
特に、大きな会社として組織されておらず、自営業を手伝うという形式のバイトであれば、雇用主側に知識がないことも多く、なおさらバイトが不当解雇としてのクビになりやすいという現実があります。
しかし、近年では、雇用形態はバイトだけれど生活をかけて働いている勤務スタイルの方が増えてきているので、雇用主側はもちろん、アルバイター側も自分のこととして解雇に関する知識を持っておくということが重要になってくるでしょう。
2、バイトでクビになったときの法的対処法
バイトで不当にクビになった場合、法的手段で対処していくことができます。
基本的な対処法は正社員の不当解雇の場合と同様で、金銭的解決を図るのが一般的です。
法的な構成としては、
だから
|
という形が主流です。
また、不当解雇を理由として、慰謝料としての損害賠償請求をするということも考えられます。
もちろん、純粋に復職を求めることも考えられますが、不当にクビになった職場にあえて戻りたいと考える方はあまり多くないのが実情です。
いずれの主張をするにしても、雇用主との交渉がポイントとなりますので、弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士が代理人として交渉すれば、適切な額の補償をしてもらえることも多いです。
また、もしモラハラ・パワハラ等の被害もあった場合は、証拠となる音声や画像があれば、弁護士が間に入ることで、賃金相当額のほか慰謝料も上乗せして交渉してくれる可能性もあるでしょう。
なお、解雇予告手当(一定の金銭)をもらっている場合は注意が必要です。
本来、解雇予告手当を払ったからといって、何ら理由もなく(理不尽な理由で)解雇することは許されません。
そのため、形式的には、解雇予告手当をもらっていたとしても、慰謝料の請求等それ以上の金銭的請求をすることは可能です。
しかし、不当解雇の慰謝料のみの金額は決して高くないのが実情です。
どのような請求をするのかを含め、弁護士と相談するようにしましょう。
3、バイトでクビになったときの本質的対処法
バイトでクビになった場合の本質的な対処法は、法的措置よりも「次のバイトに向けた対策」です。
もし、上司などとの私的な感情のもつれなどからクビになったことが明らかな場合は、バイト先との金銭的解決を図るに止まりますが、あなたの仕事ぶりなどに問題があったかもしれないと思われるのであれば、以下の観点を振り返り、次のバイトに活かしていきましょう。
(1)真摯に取り組んでいることを理解してもらえていたか
「元気に声を出す」「ミスをしない」「遅刻欠勤は言語道断」。
上記のようないわゆる「社会人マニュアル」のようなものは、すぐに実践できる方であれば迷わず実践しましょう。
そうすることで、やる気を見せることができるからです。
声を出すのが苦手などであれば、笑顔や雰囲気でカバーし、ミスをしたのであればすぐ報告して繰り返さない努力をし、遅刻したのであればその分迷惑をかけたことをきちんと謝罪するようにしましょう。
大切なのはあなたの仕事に対する「真摯な気持ち」です。
(2)自分に合っている仕事だったか
本当に自分に合っている仕事だったのかを考えてみましょう。
個人には、それぞれの仕事の適性があります。
たとえばバイトの王道ともいえる接客業は、向き・不向きが大きく分かれるもの。
接客業に適性がないのであれば、そもそも良いパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。
次回のバイトでは、接客業以外の仕事を選択する方が賢明です。
自分が得意なものは何なのか。
時給や勤務地なども大切ですが、まずはそこにも目を向けてみましょう。
(3)「お金をもらう」ということの意味
バイトをすることでお金という対価がもらえます。
お金を稼ぐということは、誰かの役に立ち、バイト先の利益に貢献しなければいけないということです。
この点、難しいところですが、良かれと思ったことが雇用主のしてほしいことと違うということも生まれます。
このような場合は、雇用主は、雇用主の手が足りないところを補う要員を募集したのだ、ということをまずは理解することです。
次にまたバイトとして働く場合、まずはマニュアル(同僚等がやっていること)を理解すること。
それを一定量こなした上で、自分の色を出していく。
このような手順を意識してみてはいかがでしょうか。
4、バイトをクビになって法的措置をとりたい場合は弁護士に相談を
バイトをクビになってそれが不当解雇だと感じるなら、弁護士に相談してください。
法的措置を取ることも可能です。
とはいえ、弁護士費用もかかってしまいますので、まずは費用対効果を確認するために無料相談をしてみてはいかがでしょうか。
最近では、多くの法律事務所で無料相談を実施しています。
まとめ
バイトをクビになったからと気落ちしすぎないでください。
どうしてクビになったのかを振り返り、次の仕事に活かせば良いのです。
今の辛い経験が、きっとあなたを強くしているはずです。
もし法的措置を考えるなら、迷わず弁護士に相談してください。
あなたの納得いくような解決に導いてくれることでしょう。