交通事故の過失割合でもめるのは、どのようなパターンでしょうか。
過失割合とは、交通事故におけるそれぞれの当事者の過失の割合を示したものです。
交通事故は、当事者の両方に過失があるケースが多いものです。
たとえば、交差点での出会い頭の衝突事故や、交差点の右左折時の衝突事故などは、双方に何かしらの過失がある交通事故の典型といえます。
そして、相手方に請求できる額や自分側が支払うべきことになる額は、過失割合によって大きく変わってきます。
そのため多くの交通事故では、それぞれの過失割合についても協議のうえ示談をする必要がありますが、お互いの認識がまとまらず、もめてしまうということも少なくありません。
そこで、今回は
- 交通事故の示談交渉で、過失割合についてもめてしまう典型的なパターン
- その原因・対処方法
について解説していきます。
交通事故後、相手方の保険会社と過失割合でもめてしまっている方にこの記事がお役に立てば幸いです。
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1、交通事故の過失割合でもめるのはなぜか?
過失割合とは、実際に生じた交通事故における当事者それぞれの過失(注意すべき場面で不注意であったこと)の割合を示したものです。
「過失割合の大きい方が悪い当事者である」という印象にも直結するため、感情的な対立が生じやすく、このことが過失割合でもめる大きな原因の一つとなっています。
また、過失割合は、交通事故によって生じたそれぞれの損害をどちらがどの程度負担するのかという話ですので、交通事故当事者間において、お互いが支払うべき損害賠償の金額に大きな影響を与えます。
そのため、お金を払いたくないという現実的な理由も、過失割合でもめる原因となってきます。
2、過失割合でもめる3つのパターン
交通事故の示談では、過失割合をめぐってもめることは珍しいことではありません。
特に次のようなケースでは、もめてしまう可能性が高いといえます。
(1)客観的な証拠がない場合
実際に起こる交通事故では、「事故の状況を示す客観的な証拠がない」という場合が少なくありません。
ドライブレコーダーを搭載している車が増えてきたとはいえ、まだまだ広く一般に普及したとは言い難い状況ですし、仮に搭載されていたとしても、事故の瞬間が上手に撮影されていないという可能性もあります。
客観的な証拠がないケースでは、交差点での事故なのか、路外進入なのか、車線変更なのかといった客観的な類型によって大まかな過失割合が決まりますが、最終的には当事者双方の記憶・認識を頼りに事故の状況を思い起こし、お互いの過失割合を協議していくほかありません。
しかし、人間の記憶は常に正確というわけではありません。
「私は悪くない(相手が悪い)」という思い込みや願望が記憶をすり替えるということもありますし、そもそも死亡事故の場合には、事故当事者の片方は死亡していて、事故状況を語ることはできません。
また、人身事故として届けられている場合には、警察の捜査の結果として実況見分調書(交通事故現場見取図)が作られますので、ある程度は参考になります。
しかし、これは事故当事者の証言のみを元に書かれることも多いため、警察の作成した図面だからといって常に真実が書かれているというわけではありません。
そのため、実際には、ドライブレコーダーにはっきりとその瞬間が映っている場合や、事故現場を映していた防犯カメラの映像が入手できたような幸運なケースを除いては、事故状況がわかる明確な証拠というのは存在しないといわざるを得ないのが実情です。
そして、明確な証拠がないがためにお互いの主張が平行線を辿り、過失割合に限らず様々な面でもめてしまうというのが実情です。
(2)事故状況からして「どちらが悪い」と簡単にはいいきれない場合
交通事故の状況によっては、「どちらが悪い」とは一概に言えないケース(どちらも悪いといえるケース)も少なくありません。
たとえば、信号機もなく道幅も違わない交差点における出会い頭の事故などでは、どちらの方が悪いのかということは、正直判断のつかないところもあるでしょう。
そのような場合には、お互いが「責任を負いたくない」「相手方からより多くお金をとりたい」という気持ちが先に立って、過失割合についていつまでも話がまとまらないということになってくるのです。
(3)損害額が大きい場合
交通事故によって生じた損害が大きい場合にも過失割合でもめることが多いといえます。
損害額が大きいときには、過失割合が5%、10%変わるだけでも、最終的な負担額に数十万、数百万、場合によっては数千万の違いが出てしまうからです。
(2)で紹介したような「どっちもどっち」というケースで損害額が大きいときには、特に過失割合についての話し合いはまとまりづらいといえるでしょう。
3、過失割合でもめた場合の解決方法
示談交渉において過失割合でもめてしまって示談が成立しない場合には、次のような方法で解決することができます。
(1)民事訴訟を提起する
相手方との示談が全くまとまらないという場合には、裁判所に民事訴訟を提起することが考えられます。
この場合、裁判所が双方の主張を受けて過失の割合や損害賠償額について判断します。
裁判であれば、過去に発生した類似の交通事故のケースを参考に中立・公平な立場である第三者(裁判官)に判断してもらうことが可能です。
判決が確定すれば、相手方はその判断に従わなくてはなりませんので、(ほぼ間違いなく)何らかの結論が出て、紛争が終局的に解決します。
ただし、民事訴訟を提起する場合、自分で全ての手続を行うのは現実的ではありませんので、弁護士に依頼することになるかと思いますが、その場合には弁護士に依頼するための費用がかかります(※弁護士費用特約が利用できれば、弁護士費用の自己負担がなくなるかもしれません)。
また、自分の言い分を認めてもらえるだけの証拠を整える必要があり、手間と時間もかかります。
もちろん、しっかりとした準備をしておかなければ、逆に相手方に有利な判決がでてしまうリスクもありますので、その点も含めて訴訟を提起するのかどうかを決める必要があります。
(2)ADR(仲裁)を申立てる
民事訴訟を起こすとなると、さまざまな面で負担が重く、抵抗を感じる人も多いでしょう。
そのような場合に便利なのが、ADRと呼ばれる手続きです。
ADRというのは、裁判外で行われる紛争解決のための手続き(の総称)のことです。
交通事故紛争(損害賠償の示談)を解決するためのADRとしては、代表的なものとして、次の2つの機関が挙げられます。
いずれのセンターの手続きも無料で利用することができます。
ただし、民事裁判の場合と同様に、いずれのADRセンターも過去の類似事故を参考に中立・公平の立場から過失割合等に関する斡旋案及び裁決を示すことになるので、必ずしも自分が納得できる結果になる保証はありません(納得できないときには従わないという選択をすることが可能な点で裁判と異なります)。
なお、仲裁手続であるとはいえ、保険会社はセンターの決定に従わなければならない仕組みになっていますので、申し立てた側としては、センターの決定に納得できさえすればその時点で解決に至ることができます。
以下の関連ページではADRという制度について詳しく解説していますので、是非ご覧ください。
(3)損保会社に苦情を申し立てる
相手方の保険会社の担当者が「こちらが専門家ではないことを利用して、誠実に交渉してくれない」というような問題のある対応されたと感じたときには、その保険会社に苦情を伝えることも解決方法のひとつです。
その担当者の対応が問題で過失割合の話がまとまらないという場合には、保険会社の上司などが適切に対応してくれることで、示談がよい方向に進む場合もあるでしょう。
また、保険会社に直接苦情を伝えづらいという場合には、「そんぽADRセンター」を利用するのも方法のひとつです。
損害保険会社との間でトラブルが起きたときの解決機関で、損害保険会社への苦情も受け付けています。
そんぽADRセンターも無料で利用することができます。
(4)弁護士に相談・依頼する
示談交渉でもめてしまった場合には、弁護士に相談することが最も良い方法のうちの一つといえるでしょう。
交通事故の交渉では、過去の裁判例などの専門的知識や、きちんとした証拠を集められる能力が求められるため、弁護士ではない人がひとりで適切に進めることは簡単ではありません。
また、ADRでは、交通事故に関する紛争を仲裁してくれる弁護士から一定のサポートはありますが、あくまでも中立・公平な立場からの支援に過ぎませんので、自分の言い分がしっかりと伝わらないまま自身に不利な結果が出てしまわないとも限りません。
一方で、弁護士に相談・依頼をすれば「依頼人の味方」という立場から、事故について調査・分析を行い、最善の手続きを選択して、問題の解決(示談成立)に向けて活動してもらえます。
ADRを利用する場合でも、ご自身の言い分が最大限伝わるように手助けしてくれるでしょう。
さらに、相手方保険会社とのやり取りも弁護士が代わりに行ってくれるので、保険会社との交渉による精神的なストレスからも解放されます。
まとめ
交通事故の示談交渉において「過失割合の認定」はとても重要です。
「できればもめるのはイヤだ」というのは、誰もが考えることですが、納得できない過失割合で示談を進めてしまえば、「こんなはずではなかった」と後悔したり、「必要な補償をしてもらえなかったことで多大な損害を被ったまま泣き寝入りした」ということになるかもしれません。
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過失割合について相手方保険会社ともめてしまった場合には、弁護士の無料相談を上手に活用して今後の示談交渉に向けたアドバイスをもらうだけでも役立つことは多いと思います。
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