逮捕されてしまった時、どのような流れで法的手続きが進んでいくのかお分かりになりますか?
あなたやあなたのご家族、ご友人などが何か罪を犯してしまったとき、逮捕される可能性があります。
逮捕されてしまったら、勤務先や学校に行けなくなるなど、日常の生活は送れなくなってしまいます。長期間勤務先や学校に行くことができなくなるので、会社を解雇されたり、学校を退学になったりする可能性もあります。
そこで今回は、刑事事件の手続きの流れから、刑事手続において重要なポイントである
- 逮捕
- 勾留
- 起訴
それぞれの段階について、
- どのような手続きになるのか
ということを中心にお話したいと思います。ご参考になれば幸いです。
警察に逮捕については、以下の関連記事をご覧ください。
1、逮捕されてしまった時の刑事事件の手続きの流れは?
まずは刑事事件の手続きの流れについて図でご説明していきます。
以下の通りです。
2、 逮捕
(1)逮捕されたらどのような手続きとなるか?
被疑者(罪を犯した疑いのある人のことを被疑者といいます。)を逮捕する場合、警察官が被疑者の自宅などにきて、逮捕されます。
事前に連絡などはありませんので、突然逮捕されることになります。
逮捕されると、逮捕されてから最大で72時間、警察署の留置場にいることになります。
逮捕されている間は、法律上、身体拘束に対する異議申し立てをすることができません。
逮捕後は、48時間以内に、事件が警察官から検察官に送られます。
そして、そこから24時間以内に、検察官が、被疑者を引き続き身体拘束するのか、釈放するのかを決めることになります。
(2)弁護士の活動内容は?
①いまだ逮捕されていない場合
いまだ逮捕されていない場合、いつ逮捕されるかわからない状況にあります。
そこで、弁護士を同行させて、ご本人が警察署に出頭するという活動が考えられます。
そもそも、警察官や検察官は、被疑者が逃げてしまう可能性、証拠隠滅をする可能性を疑って、逮捕をします。
そこで、警察署に出向き、犯罪を行ったことを認める場合には、自分が行ったことを全て正直に話して、逃げるなどしないということを誓約します。
自分が犯罪を行ったということを正直に話せば、逃げるなどする可能性が低いと判断されやすいので、逮捕されるリスクを軽減することにつながります。
また、弁護士が担当警察官と面接をして、逃げるなどする可能性がないということを説明します。
逮捕した場合には、身柄拘束を解くための手続きをとる方針であるということも示していきますので、弁護士を同行させることも、逮捕されるリスクを軽減することにつながります。
②既に逮捕されてしまった場合
まず、既にお話したとおり、逮捕段階では、身体拘束に対する異議申し立てをすることができません。
そこで、次の段階の、検察官の勾留請求に対する準備を行うことになります。
まずは、弁護士が、ご本人と接見をしてご事情をうかがったうえで、検察官と面接をして、勾留請求をしないように求めていきます。
3、勾留
(1)勾留されたらどのような手続きとなるか?
検察官が、被疑者を引き続き身体拘束すると決めた場合、検察官は、裁判官に対して、勾留請求をすることになります。
勾留請求が認められれば、被疑者は、10日間、引き続き留置場にいることになります。
そして、検察官が勾留延長請求をして、これが認められれば、さらに10日間留置場にいることになります。
以上のように、突然逮捕された場合、逮捕、勾留により、最大で23日間も留置場にいることになります。
(2)弁護士の活動内容は?
検察官が勾留請求をした場合は、弁護士は裁判官に勾留を認めさせないような活動を行っていくことになります。
そもそも、裁判官は、どのような場合に勾留請求を認めるのでしょうか。
この点、裁判所が勾留を認めるのは、被疑者が逃げてしまう可能性がある場合、被疑者が事件の証拠を隠滅する可能性がある場合などです。
特に刑事罰が重い罪については、刑事罰を受けるのを嫌がって、逃げたり、証拠隠滅をする可能性を疑われることになります。
ご本人が逃げるわけがない、証拠隠滅することなどできるわけがないと考える場合でも、この段階では資料が少なく、裁判官もよく事件の内容が分からない場合があります。
そこで、弁護士がご本人からよくご事情を聴いたうえで、意見書などの書面を作成し、逃げたり、証拠隠滅をする可能性がないということを主張します。
そして、この書面を元に裁判官と面接をし、本件が法律的に勾留を認めるべきでない事件であることについて、裁判官に説明をすることになります。
裁判官は、証拠によって事情を判断しますから、弁護士からなるべくいろいろな証拠を提出できるよう、準備をすることが必要となります。
例えば、弁護士が被害者と早期に示談をして、示談書を証拠として提出するということが考えられます。
示談をすれば、不起訴が見込める事件では、逃げる必要も証拠隠滅する必要もありませんから、勾留が認められる可能性は低くなるといえます。
以上のような活動にもかかわらず、勾留請求がなされてしまった場合は、これに対する異議申し立てである手続(「準抗告」といいます。)をすることなります。
この場合も裁判官に対して、本件が法律的に勾留を認めるべきでない事件であることについて、説明することになります。
検察官より勾留延長請求がされた場合、裁判官により勾留延長が認められた場合もこれと同様です。
4、起訴
(1)起訴されたらどのような手続きとなるか?
勾留期間が終わると、検察官が裁判所に起訴をするか、不起訴にするかを決めることになります。
起訴された場合、裁判所で裁判が始まることになりますが、裁判が終わるまでは、警察の留置場や拘置所にいることになります。
裁判が1回で終わる事件でも、少なくとも約1カ月は身体拘束が続くことになります。
裁判が4~5回続く場合ですと、半年以上身体拘束が続く場合もあります。
(2)弁護士の活動内容は?
先ほどお話したとおり、起訴された場合、半年から1年以上身体拘束が続く場合もあります。
なるべく早く身体拘束を解くために、「保釈」をする必要があります。
この場合も、起訴前の場合と同様に、保釈申請書などの書面を作成し、裁判官と面接をし、保釈を認めるべき事件であることについて、説明をすることになります。
保釈が認められた場合には、「保釈金」が必要になります。
保釈金は200万円以上必要となる場合も多くあります。
もっとも、保釈金を準備できない場合でも、比較的簡単なお手続きで保釈金を貸してくれる団体もございます。
たとえば、下記のような団体を利用して、保釈金を貸してもらうこともできます。ご参考下さい。
まとめ
これまでお話したとおり、身体拘束を解くために、弁護士が活動できることはたくさんあります。
しかし、刑事事件は活動するために期間の制限があり、迅速に対応する必要があります。弁護士が多忙なことが多いので、これまでお話した活動を全てやってくれるとは限りません。上記のような活動をしっかりやってくれそうな弁護士を探すというのもよいかもしれません。
今回掲載した内容がご参考になれば幸いです。