自転車事故に巻き込まれてしまった際に知っておきたい9つのこと

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身近に誰でも利用でき、日常生活に欠かせない自転車。

誰でも利用できるからこそ、誰もが自転車事故の加害者や被害者になり得る可能性があります。

また、自転車事故は、想像以上に重大な結果を引き起こすことが多いことから、平成25年には道路交通法が改正され、罰則が設けられる等厳罰化が進みつつあります。

また、損害賠償額も高額になることがあるのですが、過失割合の判断が困難であったり、加害者が任意保険に入っていない場合が多かったりする等、被害者となった場合にも示談交渉が難航する傾向があります。

ここでは、ベリーベスト法律事務所の交通事故専門チームの弁護士が自転車事故の当事者になってしまった場合に知っておきたい示談交渉のポイントや相談先等についてご説明します。

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1、自転車事故の傾向と実態

平成28年の交通白書によると、自転車事故については、ここ数年、発生件数自体は減少しているものの、平成27年の自転車関連の死亡事故は前年よりも増える等、自転車事故への対策が必要であることが指摘されています。

特に近年、スマートフォンや携帯型音楽プレーヤーのイヤホンを耳に差しながら自転車を運転したり、ひどい場合には、画面を見ながら運転したりすることが自転車事故の一つの大きな原因になっており、特に歩行者と衝突した場合に死亡や重傷等の重大な結果を引き起こしてしまうことが問題となっています。

また、自転車事故においては、運転者が事故を起こした場合の損害賠償義務について、任意保険に加入していないことが多く、多額の損害賠償金を自費で支払わなければならなくなるという問題点も指摘されています。

2、自転車事故における過失割合

自転車事故の多くは、自転車と自動車の事故か、自転車と歩行者のものであり、自転車同士の事故というのはあまり多くありません。

そして、自転車は公道上では車両としての扱いをうけるため、自転車と自動車の事故においては、どちらが優先ということはなく、優先道路を走っていたのはどちらか、一時停止等の規制があったかどうか、速度超過等の違反があったかどうか等、自動車同士の過失割合とほぼ同じような考え方で判断されます。

ただ、自転車と自動車では自転車の方が損害が大きくなる可能性が高い事から、自転車と自動車の不注意が全く同程度であった場合、損賠賠償を行う上での過失割合は、やや自動車の方が高く評価されます。

これを「優者危険負担の原則」といいます。

逆に、自転車と歩行者の事故では、双方の不注意が同程度の場合、自転車の方が過失割合が高く評価される傾向にあります。

また、自転車は歩行者と同様の感覚で歩道を走行しがちであるところ、原則として歩道または路側帯と車道の区別がある道路では車道を走行しなければならないとされているため、歩道における自転車と歩行者の事故の場合、自転車が歩道を走行していることだけで交通違反となり、自転車の方の過失がかなり大きくなってしまうことが多いことに注意が必要です。

なお、一定のパターン毎の基本的な過失割合については、自動車の場合と同様、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準【全訂5版】別冊判例タイムズ38号」に記載されています。

3、自転車事故における損害賠償について

自転車を運転していて車両や自転車同士、歩行者と衝突し、相手方に損害が発生した場合、自転車の運転者は、自動車事故の場合と同様、過失割合に従って相手方に発生した損害を賠償する義務を負います(自動車の場合、運転手以外にも自動車の所有者が運行供用責任に基づいて損害を賠償しなければならない場合がありますが、自転車の場合は運転していた者だけが損害賠償責任を負います)。

また、損害賠償の対象となる損害も、自動車事故の場合と同様、自転車の修理費や事故によって破損した所持品の修理費等の物損(物的損害)と、事故で負傷した場合の治療費や休業損害、入通院に対する慰謝料等の人損(人的損害)があります。

4、自転車事故における高額賠償の事例

前述のように、自転車事故においても、相手方に対する損害賠償義務が発生します。

自転車を運転されている方の中には、自転車は自動車よりも速度も遅く、質量も軽いことから、自転車で仮に事故を起こしてもそんなに損害が生じないだろうと思われている方もおられます。しかし、自転車の事故の場合でも損害賠償額が高額になることは多く、特に自転車と歩行者の衝突の場合は、損害賠償額が高額になる傾向にあります。

例えば、神戸地方裁判所平成25年7月4日判決は、11才の男児が夜、歩道と車道の区別のない道路を自転車で走行していたところ62歳の女性と正面衝突し、その女性が頭の骨を折るなどして意識が戻らない状態となった事案で、総額9、521万円の支払いを命じました(この判決では、11歳の男児の親にも監督責任が認められたという点で当時注目を浴びました。)

また、東京地方裁判所平成20年6月5日判決では、男子高校生が、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断した際に、対向車線を自転車で走行していた24歳の男性に衝突した事案で、衝突された男性に言語機能の喪失などの後遺障害が残ったこともあって総額9、266万円の支払いが命じられました。

上記の事案以外にも、自転車と歩行者の衝突の場合で、歩行者側が重篤な傷害を負う事案においては、高額な損害賠償が認められる事例が数多く見られます。

5、自転車事故と保険

バイクや自動車の場合、自賠責保険に入ることが強制されており、多くの方が自賠責保険に加えて任意保険に加入していることから、万が一交通事故に遭って相手方に生じた損害を支払わなければならなくなったとしても、保険から支払うことができ、本人が金銭的な負担をする必要がないのが一般的です。

しかし、自転車には、自賠責保険のような強制加入の保険はなく、任意保険に加入されている方の割合も少ないのが現状です。

そのため、相手方に生じた損害は、自費で支払わなければならない場合がほとんどです。

ただ、前述のように、自転車が歩行者を衝突して歩行者が負傷したような場合は、損害賠償額が高額になることもあります。

ですから、自転車を運転する機会のある方は、任意保険に加入されておいた方がよいといえます。自転車の事故の際に利用できる保険は、自転車事故専用のものだけでなく、自動車の任意保険や火災保険、クレジットカード付帯保険等に自転車事故の場合に利用できる特約を付加することができる場合も多いので、一度、ご自身が加入されている保険に特約として付加できるかどうかを確認しておかれるとよいでしょう。

なお、自転車の任意保険については、兵庫県において、「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」が制定され、平成27年10月から、自転車を利用する者は任意保険に加入することが義務付けられるようになり、その他の都道府県でも同様の動きが見られるようになってきています。

6、自転車事故における問題点

(1)未成年者の利用者が多い

自転車は、自動車のような免許制度がなく誰でも乗れることから、中学生や高校生等の未成年者の利用者が多いところ、このような未成年者が事故を起こした場合で、任意保険に加入していない場合に、損害賠償を行う資力がないことがしばしば問題となります。

未成年者が違法行為を行った場合は、その親権者(両親等)に対し監督責任を追及できる場合もあるのですが、自転車に乗ること自体は違法行為ではないことから、事故の結果について親権者(両親等)に法的責任を追及することが難しく、かといって未成年者自身に損害を支払うことのできる財産等はないのが普通であるからです。

(2)後遺障害の認定制度がない

自転車が相手の交通事故においても、打ち所が悪い場合等は、骨折による機能障害やむち打ち、脳挫傷などの後遺障害が残るケースもあります。

自動車による事故の場合、強制加入である自賠責保険が窓口となり、損害保険料率算出機構が後遺障害についての調査と等級認定を行う制度があります。

しかし、この制度は、自賠責の加入対象ではない自転車同士や自転車と歩行者の事故においては利用できません。

ですから、自転車の事故で後遺障害が残ってしまった場合、後遺障害が何級程度のもので、どの程度の損害が発生しているかは、当事者同士の示談交渉の中において決めるしかありません。

ただ、当事者同士の話し合いだと意見の食い違いが大きいことが多く、なかなか示談の話し合いがまとまらないという問題があります。

そして、当事者同士の話し合いでまとまらない場合は、裁判を起こさざるを得なくなります。裁判においては、後遺障害を負った側が、どの程度の後遺障害を負って、どの程度の損害が生じているかということを立証しなければなりません。

(3)ながら運転が多い

昨今、スマートフォンを見ながら自転車を運転したり、音楽プレーヤーで音楽を聴きながら運転したりする人が増えてきています。

自転車は危険性が低いという認識でこのような危険な運転を行う者が増えてきているのも自転車の事故に多い問題点の一つです。

7、自転車事故で適正な損害賠償を受けるためには

(1)相手方加入の保険会社へ請求をする

自転車との間で交通事故に遭って相手方に損害賠償を請求する場合、相手方が自転車の事故に関する任意保険に加入していれば、自動車事故の場合と同様、相手方の加入する任意保険会社の担当者と交渉し、示談が成立すれば、その保険会社から支払いを受けることになります。

(2)相手方本人へ請求する

ただ、前述のとおり、自転車の事故についての任意保険に加入している方の割合は少ないのが現実です。相手方が任意保険に加入していない場合は、相手方本人に請求するしかありません。

とはいえ、相手方と直接交渉をしても、過失割合や損害額などについての意見の相違がある場合が多く、また当事者同士ということで感情的になりがちなこともあり、なかなか示談が成立しないという傾向があります。

そこで、第三者に間に入ってもらって、相手方との間の示談交渉を進めるという方法があります。例えば、簡易裁判所における民事調停を利用したり、交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センター等が行っている仲裁あっせんを利用したりする方法(いわゆるADR)が考えられます。

調停やADRを利用した場合、相手方と直接交渉をするのではなく、調停委員や弁護士等の専門家が中立な立場で間に入って双方の主張を聞いた上で、妥当と考えられる解決案を提案してもらうことが可能です。

なお、調停やADRは、あくまで和解案を提案してもらえるだけですので、最終的に双方が合意しない限りは解決しません。

そのような場合は、最終的には裁判で決着をつけざるをえなくなります。

(3)自分の加入している保険を利用する

自転車を運転していたのが未成年者であった場合、その未成年者に対し、法的には損害賠償を行う権利がありますが、資力がないために、権利があっても実際に損害賠償を受けることができない可能性があります。

そのような場合であっても、ご自身の加入している自動車保険等において、「人身傷害保険(特約)」や「無保険車傷害保険(特約)」に加入している場合は、その保険を利用して保険金を受け取ることができる場合がありますから、一度加入されているかどうか確認をして、未加入の場合は加入を検討されてみてもよいでしょう。

8、自転車事故の加害者になってしまった場合の対処法

自転車を運転していて事故を起こしてしまうと、自動車を運転していた場合と同様、相手に生じた損害を賠償しなければなりません。

そして、相手方が歩行者であった場合等は、相手方が大きな怪我を負う可能性も高く、損害賠償額が高額になるおそれがあります。

ですから、このような民事上の責任に対応するためには、自転車事故でも適用される任意保険に加入しておいた方がよいでしょう。

任意保険に加入している場合はその任意保険会社が示談交渉の代行をしてくれる場合もあります。

しかし、任意保険に加入していない場合は、最終的にどのような方法で支払うかは別としても、示談交渉を自分で行わなければなりません。

ただ、妥当な過失割合や損害賠償額がいくらかという判断には専門的な知識が欠かせません。

ですから、相手方と直接示談交渉しなければならない際は、不当に高額な賠償に応じなくても済むよう、事前に法律の専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。

また、自転車を運転していて相手方を負傷させてしまった場合、刑法上の過失致死傷罪や重過失致死傷罪、道路交通法違反によって刑事責任を追及される可能性があります。

その場合、警察や検察等の捜査機関の取り調べが行われ、検察官が起訴をするかどうかを判断します。

起訴された場合は、刑事裁判となり、裁判所で量刑が判断されます。

量刑は、罰金の場合と懲役の場合があり、執行猶予が付く場合と付かない場合とがあります。

不当に重い処罰を受けないためにも、重過失致死傷罪や道路交通法違反で捜査機関の取り調べを受ける可能性がある場合は、事前に弁護士に相談されたうえで、対処法を相談したり、場合によっては、刑事弁護を依頼されたりすることを検討した方がよいでしょう。

特に、この刑事上の手続きにおいて、起訴されるかどうかの判断や、また起訴されてしまったときに、裁判で執行猶予が付くかどうかという判断においては、被害者との間で示談が成立しているかどうかという点が重要視されます。

つまり、刑事事件の判断がなされる前に、被害者との間の示談が成立していれば刑事責任が軽くなる可能性があるのです。

このような観点から、自転車事故の加害者になってしまった場合は、刑事弁護だけでなく、民事上の示談交渉も弁護士に依頼されたほうがよいといえます。

9、自転車事故に関する相談先

自転車による交通事故においては、過失割合の判断や損害賠償額の算定等が自動車の交通事故の比べると困難である場合が多く、また、自動車による交通事故と異なり、当事者間に保険会社が入らない場合が多く当事者同士で直接交渉しなければならないことから、示談交渉が難航する場合が少なくありません。

ですから、自転車との間で交通事故に遭ってしまった場合は、早い段階で一度弁護士に相談されるとよいでしょう。

実際に示談交渉を依頼するかどうかは別としても、過失割合の判断方法や、妥当な損害賠償額、相手方との交渉方法等についてアドバイスをしてもらうだけでもその後の示談交渉に役立つと言えるでしょう。

まとめ

交通事故の被害者や加害者になってしまうことは、一生のうちに何度もあることではありません。

そのため、事故後の示談交渉等は一般の方にとっては負担が大きく、特に、交通事故で怪我をしたときに、治療もしながら示談交渉も行うのはかなりの負担と言わざるを得ません。

怪我の治療に専念し、また、一刻も早く通常の生活を取り戻すためにも、示談交渉については専門家である弁護士に任せることをおすすめします。

また、万が一、自転車事故の加害者になってしまった場合には、損害賠償や刑事罰等の責任を負うことになりますが、対処法を誤るとその後の人生に悪影響を与えてしまいかねません。

自転車事故の加害者になってしまった場合は、一人で悩むことなく、弁護士に相談されるとよいでしょう。

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