給料が安い・・・。
給料日の入金額が安いと感じるとき、モチベーションが下がる瞬間です。
30歳の平均年収(414万円)から手取り額を計算すると、月額は約26万7,500円(ボーナスなしで計算)です。もし、30歳以上であるのに手取りがこれより安い、20代で手取りが10万円台であるなどのケースでは、たしかに「安い」と感じるかもしれません。
もっとも、給料は業種や経験値(スキル)によっても平均値は異なりますし、会社の昇給システムにも左右されています。同年代の平均値と比較して現状の給料が低いとしても、長い目でみれば今は受け入れるべきである状況にある人もいるため、一概に嘆く状況であるとは言えません。
とはいえ、もしも給料が安い理由が会社が残業代の支払を怠っているなどの理由なら、適切な対策をしていく必要があります。
本記事では
- 日本人の給料平均値
- 給料が安いと感じる理由
- 給料を上げる方法
- 給料が上がらない場合の対処法
についてご紹介していきます。ご参考になれば幸いです。
目次
1、給料が安いのは本当?日本人の給料の平均値
まず最初に、自分の給料が本当に安いのか確認してみましょう。
給料は学歴、年代、業種などによって異なってきます。あなたの給料は、相対的に考えた場合、本当に安いでしょうか。
(1)年代別
年代別の給料の平均値は下記の表の通りです。
2018年日本人の平均年収は497万円でした。
年代別にみると50代の年収が一番高く605万円で、60代になると徐々に下がり始めます。
年代 | 平均年収 |
20代 | 366万円 |
30代 | 479万円 |
40代 | 561万円 |
50代 | 605万円 |
60代 | 397万円 |
※平成30年賃金構造基本統計調査より算出
(2)業種別
業種別では電気・ガス・熱供給・水道業の年収が一番高い結果に。次いで金融業、保険業です。
業種の違いで年収の違いが顕著に表れることがわかります。
業種 | 平均年収 |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 687.2万円 |
金融業、保険業 | 627.9万円 |
学術研究、専門・技術サービス業 | 623.4万円 |
情報通信業 | 613.8万円 |
教育、学習支援業 | 604.4万円 |
鉱業、採石業、砂利採取業 | 551.2万円 |
建設業 | 546.5万円 |
不動産業、物品賃貸業 | 527.1万円 |
製造業 | 510.1万円 |
卸売業、小売業 | 493.0万円 |
複合サービス事業 | 478.7万円 |
運輸業、郵便業 | 466.1万円 |
医療、福祉 | 434.9万円 |
サービス業(他に分類されないもの) | 390.0万円 |
生活関連サービス業、娯楽業 | 381.7万円 |
宿泊業、飲食サービス業 | 362.4万円 |
※平成30年賃金構造基本統計調査より算出
(3)学歴別
給料は学歴の違いでも表れます。
学歴と男女別の給料(月額)の全世代での平均値を見ていきましょう。
大卒・院卒と高卒の差は歴然です。また男女でも大きな違いがあることがわかります。
性別 | 大学・大学院卒給料 | 高専・短大卒給料 | 高校卒給料 |
男性 | 40.1万円 | 31.4万円 | 29.2万円 |
女性 | 29.0万円 | 25.8万円 | 21.3万円 |
(4)会社の昇給システムを確認して本当に給料が安いのかをチェック
給料が安いかどうかは会社の昇給システムにも左右されます。
例えば、公務員の場合には、比較的に若年層の場合は給料が安いかもしれません。
しかし、昇給システムが明確で法律によって決まっており、勤務成績と勤務年数で確実に昇給していきます。
入社当時は給料が低いと感じられるかもしれません。
しかし、長期間勤務していればいずれは大企業にも見劣りしない昇給が果たせるシステムになっています。
このように昇給システムは会社によって違うため、例えば、20代で周囲に比べて給料が低いと感じられていても実は30代、40代と進むに連れて周囲を抜いて昇給していくシステムの可能性もあります。
まずはしっかり自社の昇給システムをチェックしてみるといいでしょう。
2、給料が安いと感じる6つの原因
給料が安いと感じる原因は人それぞれです。
何かと比較して低いと感じるケースや自分の絶対的な基準で安いと感じている場合もあるでしょう。
(1)残業時間の割には給料が安い
毎日残業をしている割には給料に反映されていないと感じている人は多いのではないでしょうか。
残業しているはずなのに、給料のどの部分が残業代なのかよくわからない場合もあるでしょう。
年俸制でも残業代は支払われるべきものです。
うやむやにせずに就業規則や賃金規定などを確認していきましょう。
(2)同期と比べて給料が安い
同期入社の人たちと比べて自分だけ給料が低いと感じるケースもあるでしょう。
先の見出しでもご紹介した通りに学歴でも給料には顕著な差が出てきてしまいます。
また、配属された部署や職種でも給料は細かく規定が決まっているでしょう。
例えば、総合職の方が事務職よりも給料が高く設定されているケースは多いものです。
同期と比べて給料が著しく低く感じるなら会社の給与体系を今一度チェックしてみるといいでしょう。
(3)同級生と比べて給料が安い
学生時代の同級生との飲み会などで初任給の話題や、今現在の給料の話題が上ることもあるでしょう。
話を聞いていると「自分だけやけに給料が安い」と感じるケースがあるかもしれません。
しかし、会社の給与システムや昇給システム、業種などによって給料は異なってきます。
どの程度の違いなのかを把握して、その違いが適正であるか判断しましょう。
(4)同業他社の同年代に比べて給料が安い
同業他社の同年代と比べて給料が低い場合には疑問を感じることでしょう。
同じ業種でそこまで給料の違いがあるのか?学歴も同じで入社年度も同じ場合には不満を感じても不思議ではありません。
会社によって給与システムはまちまちですが、本当に今のまま会社に勤務し続けてもいいのかは検討していくべきことかもしれません。
(5)重労働の割には給料が安い
また、深夜勤務などの時差勤務や1日の勤務時間が長い場合などの重労働のケースでも給料が低いのではないか、と感じるケースがあるでしょう。
重労働は心身ともに疲弊してきます。
疲れが溜まったり、体調を崩してしまうと安い給料のまま働き続ける気持ちは徐々に失せてしまうかもしれません。
(6)労働内容の割に給料(時給)が安い
パートやアルバイトによくありますが、労働内容が正社員と変わらないのに時給が低いということがあります。
また、契約社員や派遣社員など、やはり正社員以外の雇用形態の場合、労働内容が複雑であるにも関わらず給料が安いということは珍しくありません。
しかしこれは、今般の働き方改革の1つである「同一労働同一賃金」により一掃される見込みです。
3、給料が安いと感じた場合の対処法 |給料を上げるには?
では、様々な事情で給料が安いと感じているなら給料を上げていくことはできないでしょうか。
どのような手段があるのかご紹介します。
(1)会社の残業代システムを確認する
まずは会社の残業代システムを確認しましょう。
就業規則には残業代が支払われる条件などが記載されています。
残業代が十分に支払われているのかをまずはチェックしてください。
年俸制だからといって残業代を支払わなくてよいということはありません。
年俸に「みなし残業」時間相当分が組み込まれている場合もありますが、オーバーした分は法的に支払われるべきものです。
しっかりチェックし、不足があれば会社に訴えましょう。
(2)面談のときに給料の交渉をする
会社には年に数回面談の機会があることでしょう。
そこで業務の成績や会社の業績などの話を聞くことになります。
給料アップのチャンスでもありますので、面談の場できちんと昇給の交渉をするといいでしょう。
ちなみに、年に一回は昇給できる機会がもうけられているのが一般的です。
(3)会社の昇給システムを確認する
会社の昇給システムをしっかり把握することも大切です。
勤続年数に応じで自動的に昇給していくシステムなのか、自身の業務成績に応じて昇給するのか、昇給試験に合格すれば昇給できるのか、企業によって違いがあります。
把握した昇給システムと自身の昇給状況が一致していないなら会社側に説明を求めてみましょう。
(4)異例の成果を出せば昇給する会社もある
成果を出せば昇給できる企業も存在します。
ベンチャー企業など異例の成果を出せばその分昇給するシステムを採用している企業もあるでしょう。
ただし、そういう会社はごくわずかです。
4、どう考えても給料が安い・・・やりがい搾取の可能性も?
給料が安いと感じられるのは、やりがい搾取の可能性もあるでしょう。
やりがい搾取とは、会社が労働者にやりがいを強く感じさせて、その分不当に賃金を与えないことを指しています。
例えば、「休みを返上してでも納期を守る」のが「素晴らしいことだ」「社員の鏡だ」というような社風にし、自主的に休日を返上して働かせるのです。
その仕事が好きでやりがいをもって働く従業員の気持ちを利用しているといえます。
このようにやりがいを不当に搾取されることがやりがい搾取の状態です。給料が安いと感じられるのも、長時間勤務の割に給料が安いからかもしれません。
やりがい搾取についてはこちらの記事で詳しくご紹介していますので、参考にしてみるといいでしょう。
5、不当に給料が安い場合の対処法と対策4つ
明らかな労働基準法違反があったり、残業代の未払いがあるにもかかわらず会社側に相談しても対応してくれない場合には、次のような対処法を実践してください。
一刻も早く給料が安い状態を脱していきましょう。
(1)労働組合に相談する
もしも会社に労働組合があるなら組合に相談してみましょう。
労働組合は、職場環境の改善や、未払いの賃金などを支払ってもらえるように会社と交渉できる労働者の団体です。
ただし、労働組合がない企業も多いので、まずは自社に労働組合が存在しているのかを確認するといいでしょう。
交渉が成立すれば労働協約が締結され、就業規則よりも強い拘束力を持つことになります。
(2)労働基準監督署に相談する
労働基準監督署に相談するのも一つの手段です。
労働基準監督署は全国の自治体に設置されている労働基準法などの関係法令に関する各種届出の受付や、相談対応、監督指導を行う厚生労働省の第一機関です。
未払いの残業代などは労働基準監督署に相談することで会社に適切な指導をしてもらえます。
ただし、労働基準監督署に相談したからといって会社が未払いの残業代を支払ってくれるとは限りません。
労働基準監督署は会社に適切な指導を行い、労働基準法違反の是正をしてくれます。
労働基準監督署に相談し、申告するためには残業代が未払いであることがわかる証拠を集めて申告しなければいけません。
その証拠を元に調査して会社に指導してもらえることになります。
(3)弁護士に相談する
弁護士に相談することでも未払いの残業代を回収できます。
労働基準監督署とは違い、直接訴訟などを起こして会社から未払いの残業代を回収することが可能です。
証拠をもって法的に対応できるのでぜひ利用してみるといいでしょう。
(4)転職を検討する
法律違反もなく、会社の就業規則を確認しても契約どおりの給料がきちんと支払われている場合には、転職を検討してもいいでしょう。
同業他社では同年代でももっと給料が高いケースがあるかもしれません。
転職の際には自分の希望の給料を転職エージェントに相談するなどし、希望の給料をもらえる会社を探してみてください。
また、転職先に給料の条件を交渉することも考えてみるべきでしょう。
できるだけ希望に沿った給料がもらえる会社への転職を検討してみてはいかがでしょうか。
いつまでも給料が安い状態では仕事に対するモチベーションは上がりません。
自分の才能・能力にはもっと対価があってもいいはずだと感じるなら、転職を検討してみてはいかがでしょうか。
6、給料が安い原因が残業代未払い等のブラック企業である場合には弁護士に相談しよう
残業代の未払いや不当な重労働を強いられている場合など、労働問題に関する相談は弁護士にするといいでしょう。
弁護士は法律に則り、違法な労働環境や賃金の未払いなどに適切に対処してくれます。
また、面倒な裁判や調停などの手続きも代理人として対応してくれるので安心です。
労働環境でお悩みの場合や給料が安くて不信感がある場合には、一度弁護士に相談することをおすすめします。
まとめ
給料が安いと感じている方は、自分の給料が本当に安いのかをチェックしてみてください。
そして、もし会社が残業代を十分に支払っていないなど、違法性があって給与が低いのであれば、弁護士に相談してみましょう。
残業代の未払いや違法の重労働はあってはならないことです。
一刻も早く対処し正当な給料を手にできることを願います。