借金の取り立てについての悩みは、取り立てる方も、取り立てられる方も絶えることがありません。特に、取り立てられる方にとっては怖い思いをすることもあるでしょうし、受け身の立場からどのように対処すべきか分からず、右往左往してしまうこともあります。
このような悩みを解決するために、当記事では「借金の取り立て方」という検索キーワードに関連する情報をお伝えします。
個人間の借金取り立て方法にはどんなものがあるのか、代行者から取り立てられた場合はどうすればよいのか、友達や家族から借金を取り立てられた場合の注意点は何か、取り立てが怖いと感じた時にどうすればよいのか、さらには会社に債権者からの電話がかかってくる際にどのように対処すれば家族に迷惑をかけずに済むのか、これらの疑問にお答えします。
借金の取り立てに悩んでいる方はもちろん、借金を返済してもらえなくて困っている方にも役立つ情報を提供します。行き過ぎた取り立てをしないように、信頼性のあるベリーベスト法律事務所の弁護士が債権回収と債務整理の両面に精通して、具体的な対策やアドバイスをお伝えします。皆さまの借金問題の解決に向けて、是非参考にしてください。
「借金 返せない」に関してはこちらの記事をご覧ください。
1、まず、借金の取り立ての方法を知る
まずは、借金の取り立て方法の種類と、その方法には効果があるのかということを学んで、後述する対処法に生かしましょう。
そもそも、借金の取り立てとは、借金を払わない相手に対し、払うように求めることです。
取り立てる側が、払わない相手に払わせる方法として、次の2つがあります。
- 相手の気持ちを動かす
- 相手の気持ちを無視して強制的に取り立てる
では、具体的な取り立て方について見ていきましょう。
(1)電話や面会による借金取り立て
①心構え
一番基本となる取り立て方は、話し合いです。電話や、直接会って話すということがメインになります。
たまに、いきなり弁護士や司法書士に取り立てを依頼したり、裁判に踏み切ってしまったりする人がいます。
しかし、話し合いの段階を経ずにいきなり強烈な手段を取ってしまうと、相手が強く反発することがあり、そうなると返ってうまくいきません。
また、弁護士費用、強制執行費用、裁判の手間もかかります。100万円以下の借金ならたちまち費用倒れです。
きちっとした証拠がないと裁判にも負けます。ですから、話し合いの段階というのは本当に大切です。特に、少額の借金であれば、これがほぼ唯一の方法です。
②書面にする
「分割払いでお願いします。」等という内容でも口で言うだけなら軽いですが、書面は、裁判との関係でも、借金が存在するということの決定的な証拠になります。
また、借金は一定期間が経つと時効で消滅してしまいます。そんなとき「払うつもりですが、待ってください。」という、一見意味のなさそうな念書が有効です。
支払いを待ってほしいと頼むのは、民法で言う「承認」に当たり、時効をリセットされてしまうのです。
③相手に払う気を起させる方法
話し合いをした結果、分割払いの約束になることが多いと思います。こういった約束は、2~3回で破られることが本当によくあります。
「のど元過ぎたら熱さ忘れる」のとおり、一生懸命話し合ったことや、貸主の気迫も、時間が過ぎればあっという間に忘れてしまうのが人情です。
それを見越して、裁判でよく使われる方法を紹介します。
「100万円の借金があることを認める。月5万円ずつ20か月にわたって返済する。もし15か月滞りなく返済すれば、残りは免除する。」という約束です。
つまり、誠実に払えば、最後の分は免除してあげるというものです。こうすれば、返す方にもモチベーションが生まれて、返済が止まりにくくなります。
(2)内容証明郵便による借金取り立て
①内容証明郵便とは
次に良く使われるのが、内容証明郵便です。内容証明郵便というのは、普通の郵便とだいぶ違います。送った書面の内容を郵便局が記録に残して、証明してくれるのです。
送りたい内容の書面を3セット用意して郵便局に持っていくと、1枚が本人控え、1枚が相手送付用、1枚が郵便局保管用となります。郵便局が、1枚を保管しておいてくれるのです。
②内容証明郵便の効果
内容証明郵便の効果は、相手に心理的な圧迫を与えることです。普通の手紙に比べて相当仰々しい雰囲気の書類となるので、受けとった相手は事態の深刻さを受け止めることになります。
これで払うようになる人も多いです。文面は、行政書士や司法書士、弁護士に書いてもらう人が多いです。その場合、費用は1万円~3万円くらいになります。
ちなみに、法律上、内容証明郵便に特別な効果はありません。この点、誤解している方が多いので、要注意です。
(3)裁判・強制執行による借金取り立て
裁判、強制執行は、(1)、(2)が失敗し、相手がどうしても払わないときに必要となる手続きです。
この方法は弁護士や司法書士に依頼すると、数か月の期間と、数十万円の費用がかかります。しかし、少額の借金の場合は、安い費用でおこなえる少額訴訟という制度もあります。
詳しくは「意外と簡単!お金を払わない相手から少額訴訟で債権回収する方法」をご参照ください。
裁判は、証拠がなければ勝てません。契約書・領収書がないと負けます。口でいくら言っても、勝てません。
また、裁判に勝っても、相手が払わない場合、強制執行で回収しなければなりません。早くても1か月、長いと数カ月かかります。しかし、借りた方に財産がなければ、これも費用倒れになります。
(4)連帯保証人への借金取り立て
連帯保証人に取り立てに行くというのは、とても効果的です。基本的に、連帯保証人は債務者と全く同じ立場です。
連帯保証人になる方は、義理堅い方が多いので、払ってくれることがありますし、そうでないときにも、本人に払うように説得してくれることがあります。ですから、とても有効な方法です。
2、取り立て方別!借金の取り立てへの対処法
(1)普通の取り立てには、どんな対処法があるか
電話や面会、書類の送付、裁判や強制執行と言った取り立て方法は、どれも合法的です。
よく、取り立てには様々な規制があると思っている方がいますが、それは貸金業法によるものです。一番有名なのは、弁護士が付いたら、取り立てをしてはいけないというものです(貸金業法21条1項)。
しかし、この規定は、貸金業者、債権回収機構でない個人には適用がないので、注意してください。
対処法としては、無視するか、対応するか、2つに1つです。不動産等の高価な財産がない場合又は借金が少額な場合は、無視すると相手はそれ以上の方法を取ることができません。
なので、そういった場合は無視が有効な対処法になります。
そうでない場合は、様々な対応が考えられますが、迂闊に財産を隠したりすると、強制執行妨害罪という犯罪になったり、詐害行為として取り消されてしまったりします。
そうなると、協力してくれた人にものすごい迷惑がかかります。なので、専門家に相談するのがお勧めです。
(2)借金取り立ての禁止行為と、その対処法
①一般人からの取り立ての規制は?
一般人の取り立てには、殆ど規制がありません。しかし、「暴行」や「脅迫」を行った場合、恐喝罪という犯罪になりますし、面会を強要した場合には、強要罪という犯罪になります。このような場合は、直ぐに警察に相談しましょう。
ただ、それ以外の規制はあまりなく、グレーゾーンであっても違法とまでは言えないケースが多いです。そういった場合、警察は守ってくれないので、専門家に相談するのが一番です。
②会社や親戚に電話がかかってくるケースのときはどうしたらいいの?
債務者本人への取立ではなく、会社や親戚に電話をするのは、相手に支払義務がないので、かなりグレーゾーンな行為です。
債務者ではない人を精神的に追い詰めるようなことをされた場合には、悪質とみなされて、「面会強要禁止の仮処分」「架電禁止の仮処分」といった決定を裁判所からとれることがあります。
そうなると、相手方は一回違反する度ことに数十万円の金銭を支払う義務を負うことになります。
それと借金とを相殺すれば、借金から免れることができる可能性があります。かなり専門的な問題になるので、弁護士に相談すべきです。
③貸金業者からの取り立ての規制は?
一方、貸金業者の取り立てには、いくつもルールがあります。
資金業法21条に禁止行為がまとめられています。重要なものを列挙します。
- 早朝、深夜の取り立て
- 威圧的な取り立て
- 弁護士等の受任通知が出ているのに本人に連絡すること
- 本人以外の家族等に対する取り立て
これらに当たる取り立てに対しては、行政からの罰則と、刑事罰が用意されています。
なので、このような行為があった場合には
- 警察:各地方自治体に窓口があります。
- 弁護士会:各都道府県に窓口があります。
- 国民生活センター:03-3446-1623
- 貸金業協会:03-5739-3861
- 金融庁:各地財務局に窓口があります。
等に相談する必要があります。
連絡先の詳細は、「金融庁 相談窓口」のページからまとめて確認できます。
相談の際、録音データ等があると、警察が相手の逮捕に踏み切ってくれる場合もあるので、証拠はきちんと残しておいてください。
③取り立て屋、闇金や反社会的組織からの取り立て
これらの取り立ては、十中八九何らかの法律にひっかかっていることが多いので、すぐに警察、弁護士会に相談すべきです。
詳しくは、「闇金の恐ろしい取り立てから解放され平穏な日々を取り戻す方法」をご参照ください。
3、家族・友人からの借金取り立て
家族、友人からの取り立ては、貸した方も返すように強く言いにくいですし、口約束でお金を貸すことが多いので、証拠が残っていないこともよくあります。
家族との関係では、生活費のやり取りとの区別も難しく、強制執行しようにも、他の家族に迷惑がかかったりします。
なので、あきらめてもらえることも多いです。もっとも、離婚して家族ではなくなった場合には、財産分与の話し合いの中で、借金を返すように交渉されてしまいます。
友人との関係では、借用書が残っていれば、裁判などで負ける可能性があります。ただ、友人との争いはお互い相当精神的に疲労がたまります。
友人だと思っていた相手が、平気でののしってくることがあります。皆さんが思っている以上に、裁判は人を変えます。普通の人でしたら、本当に傷付きます。なので、そのことも考慮に入れて、どうすべきか判断しましょう
まとめ
- 貸金業者の取り立てには、貸金業法をチェック
- 違法な取り立ては犯罪、警察に相談を
- 家族や友人からの取り立ては、諦めてもらえることも多いが、人間関係を考えれば、きちんと対応すべき