離婚での財産分与でもめたとき、弁護士に相談したら費用はどのくらいかかるのでしょうか。
弁護士費用の料金体系は法律事務所ごとに異なりますが、財産分与の弁護士費用の相場は、おおむね以下のとおりです。
- 着手金…15万円~30万円程度
- 報酬金…獲得した金額の10%~20%
なお、多くの場合は離婚問題全般を弁護士に依頼して、そのなかで財産分与の問題も解決していく流れになります。
その場合の弁護士費用の相場は、以下のとおりです。
- 着手金…20万円~30万円程度
- 報酬金…「20万円~50万円」+「獲得した金額の10%~20%」
この場合の「獲得した金額」には、財産分与だけでなく、慰謝料など他の金銭的請求にかかるものも含まれます。
財産分与の弁護士費用の相場をざっくりとご紹介しましたが、「高い」「安くない」と感じられた方も多いと思います。
そこで今回は、
- 弁護士費用を払ってでも財産分与の問題解決を依頼するメリットはあるのか
- 財産分与の弁護士費用を抑える方法とは
- 財産分与でもめたときにおすすめの法律事務所とは
について掲載、解説していきます。
離婚をお考えの方やすでに離婚した方で、財産分与の問題で相手方ともめてお困りの方のご参考になれば幸いです。
目次
1、財産分与での弁護士費用を見る前に〜財産分与のトラブル事例
まずは、財産分与でもめやすい原因としてどのようなものがあるのかをみてみましょう。
ここでは、財産分与でよくあるトラブル事例をご紹介します。
(1)家・自動車・ペットなど、代わりの効かない物の分与
財産分与では、夫婦共同の財産を原則として1/2ずつ分け合うことになります。
対象となる財産が預貯金・財形貯蓄・株式・退職金などのように金銭的に分割しやすいものであれば問題は少ないのですが、そうではない財産もあります。
家や自動車、ペットなども財産分与の対象となりますが、これらの財産は1/2ずつに分割して分け合うわけにはいきません。
それでも預貯金などがそれなりにあれば、全体として財産を1/2ずつ分け合うことは可能です。
しかし、代わりの効かない物については、「どうしてもこの家に住み続けたい」「絶対にこの車を手放したくない」「愛情を注いできたペットと離れたくない」というように当事者の意見が噛み合わず、もめてしまうこともあります。
また、夫婦で自営業を営んでいた場合は、仕事上の什器備品や道具なども財産分与の対象となり得ます。
離婚後も夫婦ともに同じ業種で仕事を続ける場合には、仕事上の財産をどちらが取得するかでもめることになりがちです。
さらに、夫婦共通の趣味のため二人で利用していた物があるときも、それをどちらが取得するかでもめることがあります。
(2)夫が保有する財産が不明
公平に財産分与を行うためには、前提として対象となる財産を正確に特定することが必要です。
ところが、相手がどれだけの財産を保有しているのかが不明な場合もあります。
妻のへそくりなどの隠し財産が問題となることもありますが、もめやすいのは夫が保有する財産が不明な場合です。
例えば、夫の収入から見てそれなりの預貯金があるはずなのに「ない」と言われ、確認しようとしても口座を教えてもらえないことがあります。
なかには、夫が隠し口座を作成して、そちらにお金を貯めているようなケースもあります。
他にも、不動産や株式などの有価証券を夫が保有しているにもかかわらず、妻には隠しているケースも少なくありません。
また、夫の勤務先での財形貯蓄や退職金なども財産分与の対象になります。
これらの財産がいくらあるかは調べれば分かりますが、夫が開示しない場合に妻が調べるためには手間がかかり、難しいことが多いものです。
(3)離婚後の財産分与
離婚後でも2年間は財産分与の請求が可能です。
したがって、何らかの事情で急いで離婚し、財産分与をしていなかったような場合は離婚後でも財産分与を請求すべきです。
しかし、財産を分与する側は離婚が成立した時点ですべての問題が解決したと考えがちなので、離婚後の財産分与の請求に応じないケースが多くあります。
話し合いに応じてもらえたとしても、離婚後に相手が財産を使い果たしてしまい、分与されるべき財産を回収することが難しいケースもあります。
2、パターン別|財産分与での弁護士費用シミュレーション
離婚問題に強い弁護士に財産分与の問題解決を依頼すれば、どのようなケースでも適切な解決を図ることが可能です。
ただ、事案に応じて弁護士の活動内容も異なるため、弁護士費用も異なってくることがあります。
そこで、ここではパターン別に弁護士費用のシミュレーションをご紹介します。
(1)代わりの効かない物の分与のケース
まずは、代わりの効かない物の分与のケースとして、夫名義の持ち家を妻が財産分与として取得したケースを例として、弁護士費用をご説明します。
【事例】
Kさん(50代女性)は、30年前に夫と結婚し、2人の子どもはすでに独立しているため夫とは二人暮らしでした。
あるとき、夫が長年にわたって不倫をしていたことが発覚し、Kさんは離婚を決意しました。
夫には浪費の傾向があったため、めぼしい預貯金はなく、財産分与の対象となる財産は住宅ローンを支払い終えた持ち家(夫名義、評価額500万円)のみでした。
夫は不倫の事実は認めたものの離婚には反対したため話し合いが進まないことから、Kさんは夫と別居を開始して弁護士に離婚問題で相談しました。
【弁護士の対応】
弁護士はKさんから詳しい事情を聴き、夫に対して離婚と慰謝料・財産分与を請求したいというKさんの希望を確認し、夫と交渉を開始することにしました。
まずは内容証明郵便にKさんが希望する請求内容を明記し、夫宛に送付しました。
しばらくすると夫から弁護士に「離婚には応じられない」との連絡があったため、弁護士は夫と面談して交渉することにしました。
弁護士は、Kさんの離婚の意思は固く、不倫の事実も明らかなので、最終的には裁判によって離婚が認められる可能性が高いことを説明しました。
その上で、慰謝料の300万円と財産分与として250万円(持ち家の評価額500万円の2分の1)の合計550万円の支払いを求めることも伝えました。
弁護士は、できる限り円満に離婚を成立させた方が慰謝料や財産分与の問題についても柔軟な解決が可能になると考え、すぐに調停や裁判を起こすことはせず、夫のペースで話し合いを重ねていきました。
やがて夫も弁護士の説得に従って離婚には同意しましたが、550万円ものお金は到底支払えないとのことでした。
そこで弁護士は、Kさんと打ち合わせをした上で、持ち家を財産分与としてKさんに譲ってもらえるのであれば、それ以上の金銭的請求はしないということを夫に提案しました。
夫は即答はできなかったものの、しばらく考えた末に弁護士に連絡があり、提案どおりの条件で離婚に応じるとのことでした。
弁護士が粘り強く交渉したこともあり、依頼を受けてから離婚が成立するまでにかかった期間は約6ヶ月でした。
結果として、Kさんは夫と離婚することができ、評価額500万円の持ち家を取得して、離婚後はその持ち家にKさんが住むことになりました。
【弁護士費用】
Kさんは離婚問題全般を弁護士に依頼したため、離婚事件の着手金は20万円でした。
財産分与にかかる弁護士費用としては、500万円の財産を取得したことから、その10%に当たる50万円が報酬金となりました。
Kさんは夫から現金を取得したわけではないので弁護士費用を一括で支払うことはできませんでしたが、結果に納得して分割でお支払いになりました。
(2)夫が保有する財産が不明
次に、夫が保有する財産が不明であったものの、弁護士による調査で夫名義の預貯金が判明し、財産分与として200万円の現金を取得したケースを例として、弁護士費用をご説明します。
【事例】
Mさん(30代女性)は、5年前に夫と結婚しましたが、性格の不一致により離婚を決意し、別居を開始しました。
離婚すること自体については夫との話し合いによって合意できましたが、Mさんが財産分与を求めると、夫は「財産はない」と言い、預貯金通帳の開示にも応じませんでした。
夫はそれなりの大企業に勤めており、特に浪費もしていないので、ある程度の預貯金はあるはずだとMさんは考えていました。
そこでMさんは、財産分与について弁護士に相談しました。
【弁護士の対応】
Mさんからの依頼を受けた弁護士は、(1)のケースと同じように内容証明郵便を送付した上で、夫との交渉を開始しました。
しかし、夫は弁護士に対しても、Mさんとの離婚には応じるものの、「財産はない」との一点張りで、財産分与の話し合いには応じませんでした。
弁護士は離婚調停を申し立てましたが、調停でも夫の態度は変わらなかったため、早々に切り上げて離婚訴訟を提起しました。
訴訟において「調査嘱託」という制度を活用して夫の財産を調査したところ、夫には銀行に250万円の預貯金と、勤務先に150万円の財形貯蓄の合計400万円の財産があることが判明しました。
これによって夫も諦めたのか、和解の話し合いに応じるようになり、400万円の2分の1に当たる200万円を夫が支払って離婚するという和解が成立しました。
【弁護士費用】
Mさんのケースでは、財産分与の問題解決のみの依頼でしたが、裁判手続きを要したので着手金は30万円、報酬金は獲得した200万円の20%に当たる40万円となりました。
Mさんは、夫から受け取った現金の中から報酬金をお支払になりました。
(3)離婚後の財産分与
三つ目は、財産分与をせずに離婚してしまったものの、離婚後に弁護士に依頼し、財産分与として400万円の現金を取得したケースを例として、弁護士費用をご説明します。
【事例】
Oさん(40代女性)は、夫の浮気が原因で協議離婚し、その際に慰謝料として200万円を支払ってもらい、その後も子どもの養育費として毎月3万円を支払ってもらっていました。
しかし、離婚する時点では財産分与を請求できるということを知らなかったため、請求していませんでした。
そこで、離婚後でも財産分与を請求できるのかについて弁護士に相談しました。
【弁護士の対応】
離婚後も2年以内なら財産分与を請求することができます(民法第768条2項但し書き)。
Oさんからの依頼を受けた弁護士は、(1)や(2)のケースと同じように早速、内容証明郵便を送付した上で、夫との交渉を開始しました。
夫からの回答は、「慰謝料も養育費も支払っているのだから、これ以上お金を支払う必要はない」というものでした。
弁護士は夫に対して、財産分与は慰謝料や養育費とは異なる趣旨のものなので、別途清算する必要があることを説明して説得を試みましたが、夫は応じませんでした。
この時点で「離婚後2年以内」の期限まであと1ヶ月しかなかったため、弁護士は家庭裁判所へ「財産分与請求調停」を申し立てました。
財産分与の請求期限である「離婚後2年以内」というのは、時効期間ではなく除斥期間といって、内容証明郵便の送付などによっても中断しないためです。
調停で夫は財産を開示しませんでしたが、弁護士は「調査嘱託」や「文書送付嘱託」という裁判上の手続きを活用して夫の財産を調査しました。
その結果、500万円の預貯金と300万円の生命保険(解約返戻金見込額)の合計800万円の財産分与があることが判明しました。
弁護士は調停期日を重ねて根気強く夫に対する説得を図りました。
調停委員からの説得もあり、夫は財産分与に応じることになりました。
夫は生命保険は解約したくないとのことだったので、預貯金の中から400万円をOさんに支払うことで調停が成立しました。
【弁護士費用】
Oさんのケースも財産分与の問題解決のみの依頼でしたが、調停の申し立てが必要だったため着手金は20万円、報酬金は獲得した金額の15%で計算して60万円(400万円×15%)となりました。
Oさんは、夫から受け取った現金の中から報酬金をお支払になりました。
3、財産分与の弁護士費用を抑える方法
財産分の弁護士費用について事例を交えてご説明しましたが、やはり「高い」と感じられた方も多いと思います。
弁護士費用をできる限り抑えるためには、以下の方法をとることができます。
(1)低料金の事務所を探す
まずは、できる限り料金の安い法律事務所を探すことです。
料金が安すぎるところは弁護士の経験値が低いなどの問題がある可能性があるのでおすすめできませんが、料金が高いほど弁護士の腕がよいというわけでもありません。
一般的に、実績のある法律事務所ほど、良心的で利用しやすい料金体系を備えているものです。
なぜなら、離婚問題に力を入れている事務所はたくさんの方に利用してもらうことを第一に考えるものだからです。
また、多くの人にとって利用しやすい料金体系だからこそ数多くの依頼があり、その事務所の実績となっているということもいえます。
まずは離婚問題の実績が豊富な法律事務所をいくつか探し、その中で料金の安い事務所を選ぶとよいでしょう。
(2)着手金無料や分割払いの事務所を探す
報酬金については財産分与で獲得した財産の中から支払うことができても、着手金を用意できないために弁護士への依頼を躊躇してしまう方も少なくありません。
しかし、離婚問題に力を入れている法律事務所の中には、着手金無料や分割払いに応じる事務所もありますので、探してみましょう。
ただし、着手金無料の場合は報酬金が高くなるのが一般的なので、トータルで見て弁護士費用が高くなりすぎないかを確認することも大切です。
(3)法テラスを利用する
法テラスには「民事法律扶助」という制度があり、一定の条件を満たす場合は低料金で、かつ毎月5,000円~1万円の分割払いで弁護士に依頼することができます。
条件をご確認の上、民事法律扶助制度の利用が可能な場合は利用してみるのもよいでしょう。
法テラスの利用条件や利用方法などについて詳しくは、「法テラスの利用条件やメリット・デメリットは?賢く問題解決する方法」をご参照ください。
4、財産分与でお困りならベリーベスト法律事務所へご相談を
財産分与の問題で弁護士をお探しなら一度、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。
当事務所には以下の特色があり、多くのお客様に選んでいただいております。
(1)初回相談料は無料
ベリーベスト法律事務所では、初回のご相談は60分まで無料で承っております。
正式にご依頼されるかどうかはご相談後に決めていただけますので、まずはお気軽に無料相談をご活用ください。
(2)リーズナブルで明瞭な料金体系
多くのお客様に利用していただきやすいように、リーズナブルで明瞭な料金体系を備えております。
必要となる費用はご依頼前に必ず具体的にご説明しますので、思わぬ追加費用がかかることもありません。
(3)専門チームによる高度なサポート
ベリーベスト法律事務所では、各分野ごとに経験豊富な弁護士を中心に構成された専門チームを備えています。
離婚問題には「離婚専門チーム」の弁護士が対応しますので、より専門的で高度なサポートをお約束いたします。
財産分与の弁護士費用に関するQ&A
Q1.財産分与でよくあるトラブルとは?
- 家・自動車・ペットなど、代わりの効かない物の分与
- 夫が保有する財産が不明
- 離婚後の財産分与
Q2.財産分与の弁護士費用を抑える方法とは?
- 低料金の事務所を探す
- 着手金無料や分割払いの事務所を探す
- 法テラスを利用する
Q3.ベリーベスト法律事務所の特色とは?
- 初回相談料は無料
- リーズナブルで明瞭な料金体系
- 専門チームによる高度なサポート
まとめ
財産分与は、婚姻中に夫婦が共同で築いた財産を清算するものです。したがって、離婚をお考えのあなたにも必ず取り分があるはずです。
配偶者との話し合いがスムーズに進まない状況では、弁護士にご相談の上で適切に財産分与を請求すべきです。
ただ、弁護士選びを間違えると、場合によっては財産分与によって得られる財産よりも弁護士費用の方が高く、費用倒れになってしまうおそれもありますので注意してください。
ベリーベスト法律事務所では、無料相談において結果の見通しも踏まえて費用を丁寧にご説明いたします。
財産分与でお困りのときは、一人で悩まず、お気軽に弁護士の無料相談をご活用ください。