労働問題を抱えているけどどんな弁護士に相談したらいいか分からない。 そんな方いらっしゃいませんか?
「会社にサービス残業をさせられている」
「上司のパワハラ・セクハラがひどい」
そんな職場の労働問題を解決したいときには、弁護士を味方につけて交渉を進めていくのが最もスムーズで効率的です。
そこで今回は、
- 弁護士に相談すべき労働問題の例
- 弁護士に依頼するメリット
- 労働問題に強い法律事務所の見つけ方
などについて、それぞれ詳しくご紹介していきます。
今まさに労働問題に頭を悩ませている皆様にとって、この記事が最強の弁護士に出会い、再びストレスなく働ける日々を取り戻すためのお役に立てば幸いです。
労働問題について解決したいと考えている方は以下の関連記事もご覧ください。
目次
1、弁護士に相談すべき労働問題の例
それでは早速、弁護士に相談することで問題解決を目指すことができる労働問題の種類について、具体的に見ていきましょう。
(1)不当解雇・退職勧奨
解雇とは、会社が従業員との間の雇用契約を一方的に解約することです。
労働契約法では、解雇には「客観的合理性」と「社会通念上の相当性」が必要と定められています。
また、法律上解雇が禁止される場合もあります*。
これらに反する解雇は、「不当解雇」です。
会社は従業員から「不当解雇」を理由として訴えられると困ります。
そこで、解雇ではなく、「退職勧奨」が行われることもよくあります。
「退職勧奨」とは従業員から退職の意思を示してもらえるように会社側から働きかけることです。
退職勧奨に応じるかどうかは労働者の自由意思ですが、行き過ぎた退職勧奨すなわち「退職強要」がされることもあります。
上司が部下に叱責を繰り返したり、労働者が退職する意思がないと明確に表明しているにも関わらず退職に応じるまで長時間の説得を続けるというようなものです。
このような行き過ぎた退職勧奨は不法行為となり会社に損害賠償責任を発生させる可能性があります(参考判例:下関商業高校事件)。
解雇の有効性や退職勧奨に応じるべきかは判断の難しい問題ですので、弁護士などの専門家に相談することが望ましいでしょう。
*法律で会社が従業員を解雇してはならないケースの例
- 産前産後の休業期間及びその後30日間の解雇(労働基準法第19条)
- 労働者が育児休業、介護休業の申し出をしたこと、又は実際にそれらの休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第10条、第16条)
- 行政官庁や労働基準監督署などへの申告を理由とする解雇(労働基準法第104条第2項、労働安全衛生法第97条第2項)
- 労働者が労働組合の組合員であることや、組合に加入したり組合を結成しようとしたことなどを理由とする解雇(労働組合法第7条第1号)
(2)未払賃金(残業代)請求
働いた分の賃金が正当に支払われていない、本来支払われるはずの残業代が支払われないなど、賃金の未払いも大きな労働問題のひとつです。
賃金の請求に関しては原則として2年が時効と定められているため、現在支払われていない残業代がある場合にはなるべく早めに弁護士に相談しましょう。
労働時間の記録がきちんと残されていない場合などもあり、労働時間の立証は一般の方にとっては困難なこともあります。
そこで、弁護士のアドバイスを得て、証拠書類を集めることが重要になってきます。
(3)労災関連
労災(労働災害)とは、労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉塵等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいいます(労働安全衛生法第2条1号)。
これを簡単にいうと、従業員が業務上の事由によって、負傷(ケガ)をしたり、病気に見舞われたり、不幸にして亡くなられることをいいます。
最近では、過労死・過労自殺等も労災として認定されることが増えています。
長時間の残業や休日出勤が続いて過労で倒れた、ハラスメントなどによる心理的負荷で精神障害を起こした、等も労災に該当することがあるのです。
労災として認定されれば、療養中の生活を支えるための給付金、後遺障害が残った場合の給付金、労災で不幸にして亡くなった場合の労働者の遺族に対する給付金等を受け取ることができます。
このような制度を労災補償制度といいます。
もっとも、労災補償制度では労働者に生じた損害の全てが賠償されるとは限りませんので、使用者に対して安全配慮義務違反を問うことにより、精神的損害(慰謝料)や逸失利益などを含む全損害の賠償を求めることができます。
使用者の安全配慮義務違反を問うには専門的知識が必要なので、弁護士に依頼することがベストな選択といえるでしょう。
(4)ハラスメント関連
職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えるパワハラ、性的に不快な言動で相手を追い詰めるセクハラ、妊娠中の女性に対するマタハラなど、職場では日々様々なハラスメントが起こります。
こういったハラスメント関連の労働問題に対しても、弁護士に相談することで適切に解決を図ることができる可能性があります。
(5)内部告発・公益通報
勤め先が商品の産地を偽装している、法律で禁じられた成分を使用しているなど、不正行為に手を染めていることが発覚した場合には、内部告発を行うことで企業のコンプライアンスを正すことができます。
内部告発は真実であると信じるに足りる根拠があり、会社への加害目的がなく、告発の方法が相当である等の一定の要件を満たしていれば、「公益通報」にあたるとされます。
会社は、公益通報をした者について解雇等の不利益処分をすることはできません。
しかし、方法や目的いかんでは企業側から逆に信用毀損による損害賠償請求をされたり、刑事告訴されるといったリスクもあります。
内部告発にはこのようなリスクがありますので、弁護士に相談しながら慎重に進めていきましょう。
2、労働問題の相談先
(1)相談窓口の一例
上記でご紹介したような労働問題にお悩みの場合、皆様が利用できる相談窓口には次のようなものがあります。
一般的な相談ならば、労働基準監督署をはじめとする国の機関に相談をすることで問題が解決することもあります。
(2)何らかのアクションを起こしたいときは弁護士がおすすめ
しかし、被った損失に対して損害賠償を請求する、不当解雇や未払い賃金について交渉を行うといったアクションを起こしたい場合、どこかのタイミングで弁護士に相談することになるでしょう。
また、公的な機関に相談して納得がいかないというような場合、弁護士に相談すれば最適な解決策を考えてくれることもあるでしょう。
労働基準監督署は企業が労働基準法等の法律を遵守しているかを取り締まる機関であり、必ずしも相談者個人の問題解決を目的として動いてくれるわけではありませんし、あっせん等には裁判の判決のような強制力があるわけではありません。
このような背景から、どの窓口に相談をするにしても、会社と交渉をしたり法的措置をとる際には弁護士の力が必要になる場合が多いのです。
最終的に依頼をしないとしても、早い段階で一度弁護士に相談してみることをお勧めします。
3、労働問題について弁護士に依頼するメリット
ここからは、労働問題を弁護士に相談するメリットについて、詳しくご紹介していきます。
(1)対処方法を総合的に判断します
労働問題は、その問題を解決したあとで本人が職場に残りたいのか、それとも退職したいのかといった希望によってもアプローチの仕方が異なるものです。
職場に残りたい場合は、やはりその後の仕事のしやすさなども考慮して、より円満な解決方法を模索することが重要なポイントとなるでしょう。
また、話合いにより解決をすべき事案なのか、労働審判や訴訟などの法的措置をとるべきなのか、弁護士だからこそ考えられる手続きがあります。
皆様の状況に最も適した対処方法を法的な観点から導き出します。
(2)会社との交渉から審判、裁判まで全て代理します
従業員である皆様が会社と直接交渉を行うのは、気が重いものでしょうし、会社の言っていることが法的に正しいのか判断がつかないことも多いでしょう。
弁護士は、会社との交渉だけでなく、労働審判や訴訟の手続でも代理人として活動をすることができます。
(3)あなたの絶対的な味方になります
弁護士は、どんなときでも依頼人である皆様の味方です。
労働問題の悩みは、同僚や身近な人に相談しても必ずしも理解が得られるとは限りません。
しかし、弁護士はいつでも全力で依頼者の力になります。
精神的に追い詰められているときには特に、この安心感を得られるだけでも弁護士に依頼する価値があるでしょう。
4、労働問題に強い法律事務所の見つけ方
実際に弁護士に相談を行う際には、どの法律事務所に相談をするかが重要なポイントです。
ここでは労働問題に強い=実績のある法律事務所の見つけ方をご紹介します。
(1)弁護士会に相談
実績のある法律事務所を探したいときには、弁護士会に相談することで、労働問題に詳しい弁護士が在籍する法律事務所を紹介してもらうことができます。
たとえば東京弁護士会では紹介料自体は無料、労働問題の場合初回の相談料も30分間は無料です。
(参考)https://www.toben.or.jp/bengoshi/syoukai/
(2)口コミ
過去にその法律事務所を利用したことのある人から、「この事務所に依頼したおかげで労働問題を無事解決することができた」という口コミを聞くことができれば、より心強いでしょう。
知り合いに労働問題について弁護士に相談や依頼をしたことがあるという方がいらっしゃれば、その方が相談や依頼をした弁護士がどうだったのかを尋ねてみるのもよいでしょう。
(3)インターネット
手っ取り早く情報を収集したいときには、インターネットでの検索も便利です。
直接口コミを聞ける知り合いがいなくても、インターネット上なら様々な人の体験談を手軽にチェックすることができますし、お住まいの地域をキーワードに入れて検索を行うことで、近所に労働問題の実績がある事務所があるかどうかを簡単に確認することもできます。
ただし、ネットの情報には間違ったものも混じっています。あくまで候補をあげるための手段の一つと考えておいた方がよいでしょう。
(4)広告
チラシや看板などの広告で労働問題の実績を謳っている法律事務所は、労働問題に自信があると考えられます。
こういった広告を手掛かりに法律事務所を見つけるのもひとつの方法です。
5、労働問題について相談・依頼をする法律事務所を決めるポイント
続いて、相談・依頼をする法律事務所を決めるにあたって注目しておきたいポイントについてもまとめてご紹介していきます。
(1)相談しやすい環境が整っているか
法律事務所は、1度依頼することを決めるとその後何回か足を運んで打ち合わせをすることが多いです。
なるべく自宅や職場などの生活圏に近い場所にある事務所を選んだほうが、通う負担が少なくなっておすすめです。
また、初回相談が無料で行えることや、電話・メール・LINEなど相談できる手段の豊富さについてもチェックしておくと良いでしょう。
(2)労働問題解決の実績が豊富か
先ほどもご紹介しましたが、事務所自体に労働問題を扱った実績が多いかどうかはまず確認しておきたいポイントです。
ひと口に法律事務所と言ってもその得意分野は様々です。
その事務所が何に力を入れているのかに注目しましょう。
(3)相談はスムーズに行えたか
相談の予約がなかなか取れなかった、当日も面談まで少し待たされたなど、対応がスムーズでない弁護士には信頼して仕事を任せることができないでしょう。
また、弁護士といえども人間ですから、皆様と相性が合うかどうかは実際に話してみなければ分かりません。
初回相談で「話しやすい」と感じることができたか、相談の流れがスムーズだったか、この2点には特に注目してください。
(4)相談者の話に耳を傾けてくれたか
少し事情を聞いただけで「それはこういうことなので、こうしましょう」と一方的に方針を決定してしまうような弁護士よりは、皆様の話にしっかり耳を傾けて一緒に解決方法を考えてくれる弁護士のほうが、安心して依頼することができるのではないでしょうか。
また、解決策は一つとは限りませんので、いくつかの選択肢を丁寧に説明してくれる弁護士は親身に話を聞いてくれていると思われます。
問題解決後の納得感にも影響する部分なので、なるべく親身になって話を聞いてくれる弁護士を選びましょう。
(5)説明が分かりやすいか
ある分野に強い弁護士なら、その内容を分かりやすく皆様に説明することもできるはずです。
具体例もまじえて丁寧に解説してもらえたか、専門用語を並べるだけでごまかそうとしていないか、弁護士の話しぶりから能力の有無を見極めましょう。
少しでもわからないことがあれば、遠慮なく弁護士に尋ねてみてください。
そのときの弁護士の対応を見れば、信頼できるかどうか見極められるでしょう。
6、相談者としての注意点
弁護士との相談であれ公的な機関への相談であれ、できれば次のような点は注意しておいた方が良いでしょう。
(1)相談前の準備
時系列などで事実関係をできるだけ簡潔に分かりやすくまとめておいたほうが、説明はスムーズに進みます。
相談者が事前に準備をしていれば、相談を受ける側も相談に応じやすいでしょう。
準備をしていかずその場で思いつくままに話をすると、間違いなどが起こりえますし、時間も無駄になります。限られた時間を効率よく使うよう意識しましょう。
なお、事実関係をまとめる際は、不明なことは不明なままで、不都合な事実があったとしても包み隠さず弁護士に話すことが大切です。
いざ争うときになって、相手方だけが当方に不都合な事実をつかんでいると、弁護士としても対応できなくなりますし、弁護士との信頼関係も損なわれます。この点は、公的機関への相談の場合も同様です。
(2)基本的な知識をもって
基本的な知識はある程度ご自分でも持っておかれる方が望ましいでしょう。
公的な機関では、様々なパンフレット類も用意されています。
少しだけ知っているのと全く知らないのとは大違いですし、弁護士と話した際に信頼することができるか否かを見極めるのにも役立ちます。
まとめ
弁護士に相談することで解決できる労働問題には、不当解雇や未払賃金をはじめ、ハラスメント関連・内部告発など様々なものがあります。
一個人である労働者が、組織である会社に対して声を上げることは難しいことも多いでしょう。
しかし、そんなときこそ法律のプロである弁護士を味方につけ、会社と交渉を行っていくことで理不尽な思いを晴らしていきましょう。
今回は、実際に足を運ぶ法律事務所の選び方や、依頼する弁護士の見極め方についても具体的にご紹介しました。今回解説した内容を参考に、ぜひ皆様も労働問題に強い弁護士を探してみてください。
【参考サイト】