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中高年の結婚における注意点7選|事実婚や相続について徹底解説

中高年の結婚における注意点7選|事実婚や相続について徹底解説

晩婚化が進み、中高年による結婚は珍しくない時代です。
中高年の結婚専用の結婚相談所もあるくらいですから、出会いの場も増えていることでしょう。

一方で、中高年になってからの結婚は歳を追うごとにリスクが高くなることもあり、躊躇しがちになってしまうかもしれません。
そして、前婚での子どもがいる場合には、相続問題などが気になることもあるかもしれません。

ここでは、

  • 中高年の結婚のリスクと対策
  • 中高年の結婚での相続問題の対処法中高年の結婚で大切なこと

について、それぞれ詳しくご紹介します。

この記事が幸せな結婚に向けた一歩を踏み出すためのお役に立てば幸いです。

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1、結婚したら発生する義務とは

まず、結婚したら発生する義務について、改めてチェックしていきましょう。

(1)入籍(姓の統一)と同居義務

結婚とは入籍することです。姓の統一をする必要があります。
中高年まで独身の場合には、互いに責任ある仕事に就いている場合も多くあり、姓を統一することが難しいケースもあるでしょう。

また、法律では同居義務が規定されています。
お互いが同意して別居婚となることに問題ないことは周知の事実ですが、相手が同居を求めているにも関わらず、居住にかかる費用も関与せずに別居を強いることは、離婚などの揉め事になったときに義務違反として不利になるのは間違いありません。

(2)婚姻費用分担義務

婚姻費用分担の義務もあります。
婚姻費用分担とは、結婚生活にかかる費用は夫婦で分担しなければいけないという義務のことで、民法第760条で規定されています。

たとえば、夫婦の片方が高収入であるが他方の収入が低いといった場合には、高収入の方が生活の上で経済的な負担が大きくなるということです。
互いに自由に生活をしたいと感じていても、原則的には婚姻費用は分担しなければなりません。

(3)貞操義務

もちろん、結婚したからには貞操義務が発生します。
夫婦は互いに配偶者以外の異性と性交渉を行ってはいけません。
それが結婚であり、守らなければならない最低限の義務です。

中高年とはいえ、自由に浮気をしてもいいということにはなりません。
万が一不貞を働いた場合には、慰謝料請求の対象になります。

(4)その他

民法第752条によると「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」とあります。
これは、夫婦は協力し互いに助け合い、扶助する義務があるということです。

互いに助け合い扶助するとは、経済面だけの話ではありません。
互いに愛し合い、一方が困ったときには心に寄り添って一緒に解決していくということです。
そのためにも基本的には同居を行い、コミュニケーションを取りながら夫婦として生活していくと良いでしょう。

2、結婚したら発生する「相続関係」について

中高年の結婚で悩みの種は、「相続問題」です。

一方に子どもがいる場合には相続がどうなるのか、これから子どもができた場合にはどうなるのか、などが気になるところでしょう。

(1)夫婦はお互いに相続人になる

夫婦はお互いに相続人になります。
配偶者が死亡した場合には他方の配偶者はこれを相続することができます。

前婚で子どもがいれば、この結婚(再婚)がなければの相続人は子どもだけであったのですから、子どもからしてみれば、相続の取り分が減るということになります。
そういった理由から、結婚に反対される可能性もあります。

そして中高年の結婚で子どもを授かった場合には、2人の間の子どもも相続人になります。
これによりさらに前婚における子どもの相続分は減ることになりますので、やはり結婚に反対される可能性は否めません。

(2)前婚で子どもがいる場合は注意

もしも中高年の結婚で一方に子どもがいるなら要注意。
相続問題に発展する可能性があります。

2つの例で考えてみましょう。

①夫に前婚があり、子どもがいる場合

上で見たとおり、離婚をすれば前妻の相続権はなくなりますが、前妻との間の子どもには夫の相続権があります。
そのため、前妻との間の子どもから、再婚に反対される可能性は否定できません。
子どもの相続分が減ってしまうからです。

このケースの場合には、再婚した妻(及び再婚妻との間の子ども)に財産を多めに譲るように遺言を残すことができます。
しかし、前妻との子どもには遺留分をもらう権利もありますから、あらかじめ、遺留分を考えた遺産相続をアレンジした方がいいでしょう。

また、前妻との子どもに養育費を支払っているなら、再婚したことで養育費を減額できる可能性があります。
再婚に先立ち経済的に不安があるなら、弁護士に相談し、養育費の減額を検討しておきましょう。

②妻に前婚があり、連れ子がいる場合

結婚する相手の女性に連れ子がいる場合には要注意。
養子縁組をしなければ、妻の連れ子には、夫の財産に関して、相続権はありません。
連れ子は前婚の実父から相続をすることはできますが、実母が再婚したからといって、当然には再婚後の夫の相続関係には入らないのです。

しかし、養子縁組をした場合には、連れ子にも相続権が発生することになります。
このケースの場合には、連れ子が実父から養育費をもらっていれば、養子縁組をすることで、養育費がもらえなくなる可能性があります。

もしも、連れ子にも法定相続人として財産を相続をさせたいという場合には養子縁組をした方がいいといえますが、その代わり実父からの養育費がもらえなくなる可能性があるということを覚えておきましょう。

なお、養子縁組をせずに遺産を連れ子に残したい場合、遺言で遺産相続させることは可能です。
反対に連れ子に財産を相続させたくない場合には、養子縁組をしなければいいでしょう。

もっとも配偶者には相続権がありますから、配偶者に渡った資産がその後の相続で連れ子に渡る可能性はあります。

3、しがらみは御免!自由な二人が選択する事実婚とは

相続問題や介護問題など、しがらみが面倒だと考えるなら、結婚ではなく事実婚を選択するという方法もあります。

「高齢になってから寂しい思いをしたくない」
「共に歩むパートナーは欲しいけど、面倒な相続問題などとは関わり合いたくない」

というときには、事実婚を選ぶカップルもいることでしょう。

(1)相続関係なし

事実婚であれば、相続問題は基本的に関係なくなります。
例え事実婚で子どもができたとしても、認知しなければ相続問題は発生しません。
お互いにその方法で合意できているなら面倒がなくいいでしょう。

(2)入籍は不要(別姓でいられる)

事実婚なら入籍は必要ありません。夫婦別姓でもいられます。
そのため、仕事の都合で姓を変えたくない方には嬉しい選択になるでしょう。

(3)婚姻費用分担はあり。ただし・・・

事実婚でも婚姻費用は分担しなければいけません。

一人の寂しさを紛らわしたい、生活に不安があるので経済的な支えがほしいという女性には嬉しい選択になるでしょう。
ただし、あくまでも事実婚は同居している場合に限ります。

別居した場合には婚姻費用の分担はできません。
これに対して結婚を選択した場合には、別居しても婚姻の事実があれば婚姻費用は分担することになっています。

(4)貞操義務はある

事実婚でも貞操義務は発生します。
婚姻していないからと浮気をしてもいいことにはなりませんのでご注意ください。
浮気した場合には慰謝料請求の対象になる可能性があるでしょう。

(5)住民票の記載はどうなる?

住民票で事実婚を証明したい場合には、続柄の欄に「妻(未届)」と記入してください。
もしも事実婚を証明する必要性がない場合には、続柄欄には「同居人」と記入するだけで問題ありません。

(6)事実婚解消時の財産分与等は結婚と大きな差はない

もしも事実婚を解消した場合でも財産分与は発生し得ます。
基本的には結婚をしていた場合と変わりなく財産分与ができますが、事実婚の関係を証明できることが前提条件です。
事実婚時代に共同で築いた財産なら、すべて分与の対象となる可能性があります。

ただし年金分割においては、事実婚では期間を証明しにくいため、妻が扶養に入っていた期間のみが分割の対象です。
子どもを認知していた場合には、養育費は婚姻関係と同様に発生します。

4、事実婚の3つのデメリット

面倒なことがなく、しがらみも少ない事実婚ですが、いいことばかりではありません。
デメリットもいくつかありますから注意してください。

まず第一に、事実婚はまだまだ社会的な体裁があまりよくない側面があります。
近所の人への説明も面倒になるかもしれません。

(1)婚姻関係よりも相続時の税金が多額に

事実婚の場合には、余計なしがらみがない反面、法定相続人になることもできません。
しかし、内縁関係でも遺言で相続する方法や、特別縁故者になって相続する方法があります。
ただ、そのどちらの方法を選択しても、婚姻関係にある場合よりは多額の相続税を支払うことになるでしょう。

内縁の夫や妻が資産家であればあるほど、かかる税金も多額になります。
これが婚姻関係であれば、配偶者控除を適用することができるため1.6億円までは非課税で相続することが可能です。
配偶者控除は以下の3点を満たしている場合のみ利用することができます。

  • 戸籍上の配偶者であること
  • 相続税の申告期限までに遺産分割が完了していること
  • 相続税の申告書を税務署に提出すること

つまり、戸籍上の配偶者ではない事実婚では相続税の配偶者控除を受けることができません。

(2)子どもをもうける場合は父子関係が複雑化

事実婚で子どもをもうけた場合には、父子関係が少し複雑になります。
もしも子どもをもうける予定なら、事実婚は不向きかもしれません。

①相続関係を発生させたいなら認知が必要

もしも遺産を内縁の妻の子に相続させたいと考えるなら、子どもを認知する必要があります。

もちろん遺言や生前贈与などの方法も考えられますが、税金をできるだけ少なくしたいなら、正当な相続人にした方がいいでしょう。

②父には親権がない

事実婚での子どもの場合には、親権は母親のみのものです。
実父でも親権はもつことができません。
例え子どもを認知しても、内縁関係の妻の子は非嫡出子となり、戸籍上は父親の戸籍には入れません。

裁判所に届け出を出すことで、戸籍を父親に移すこと自体はできます。
しかし、内縁関係の夫婦の子どもについて、両親が共同親権を持つ方法はないのです。

③子どもと父は姓が別

事実婚でできた子どもは、子どもと父親の姓が別姓になってしまいます。
これは、上記でご紹介したように親権が母親のもので、戸籍上の非嫡出子は父親の戸籍には入らないからです。

(3)配偶者特別控除が受けられない

また、税金面では配偶者控除が受けられないため、内縁の夫の税金が減らないことになります。
事実婚でも扶養には入れますが、税制面で事実婚は結婚よりも優遇措置がなされていないと認識しておきましょう。

事実婚の場合には社会保険の手続きが面倒なこともデメリットのひとつです。
実際に事実婚も婚姻関係も社会保険が受けられることに変わりはありませんが、住民票などで事実婚の事実を証明する必要があります。

具体的には、住民票の続柄の欄に「妻(未届)」と記載する必要があるということです。

5、結婚の障害が前婚親族の相続問題だけの場合

中高年の結婚の障害が前婚親族の相続問題だけなら、財産について事前に取り決めをすれば、事実婚を選ぶのではなく、法律婚をされて良いものと考えます。

(1)婚姻前に親族と財産についての取り決めを

婚姻前に親族に対して財産の取り決めをしておければ、親族からの反対を受けずに済むかもしれません。

例えば男性に前婚での子どもがいる場合には、その子どもは男性の法定相続人です。
そのお子さまと財産の確保をあらかじめ取り決めておければ、再婚に反対される可能性は低くなり、子どもの不安も和らげることができるでしょう。
そうして取り決めた内容は書面に残し、公正証書などにして保管しておくことをおすすめします。

相続問題に発展しそうになったときにも、書面があれば争いを避けることができます。

(2)妻(夫)とは夫婦財産契約を

結婚するにあたり、夫婦財産契約を婚姻前に締結する方法があります。
これは民法755条〜759条に記載されています。

しかし、日本人には馴染みが薄く実際のところはあまり利用されていません。
なぜなら、離婚や死亡の際に有効となる契約内容を婚姻前に取り決めるという習慣が、日本人には元々ないからです。

夫婦財産契約とは、婚姻前の個々の財産の所有や、婚姻後に共同で築いた財産は誰のものかを明確に取り決めたり、婚姻費用の分担の割合を決めたりすることができる契約です。
これによって相続の際に第三者に対して夫婦の財産であることを主張できます。

ただし、夫婦財産契約は婚姻前に取り決める必要があり、入籍する前に登記まで済ませなければ無効になってしまいます。
日本人には馴染まない法律ですが、中高年の結婚では財産に関する悩みも多く、それが結婚を躊躇する大きな要因になっているくらいなら、夫婦財産契約を明確に締結しておくことも一つの解決策となるでしょう。

6、中高年の結婚で大切なのは条件よりも情熱や愛情!

ここまで、中高年の結婚について条件面で懸念事項となりそうな点を色々とご紹介してきましたが、とはいえあまり心配し過ぎても幸せで安定した結婚生活からは遠ざかってしまうかもしれません。

1番大切なのは、何より相手を思いやり愛する心です。
幾つになっても恋愛感情は大切なもので、条件にばかり目がいっていては素敵なパートナーと出会うチャンスを逃してしまうでしょう。

また、条件面のみで結婚を決めてしまった場合、条件が想定とは異なっていたときに結婚したことを後悔する可能性もあります。
そういったケースでも、そこに愛情があれば、多少の条件の変化は気にならないものです。

若いうちこそ結婚の決め手は愛情と情熱だと感じられる方も多いかもしれませんが、実は反対です。
中高年の結婚にこそ、情熱や愛情は必要不可欠なものになるでしょう。
あと一歩踏み出せなくても愛情と情熱・信頼があれば、互いに手を取り障害にも立ち向かうことができます。

7、結婚、相続でお困りの際は弁護士へご相談を

中高年の結婚や相続問題でお困りの場合には、弁護士への相談をおすすめします。
あなたの大切な財産を守るために弁護士が知恵を貸してくれるでしょう。
夫婦財産契約を作成する場合にも力になってくれます。

その他、結婚に際し連れ子がいる場合には、養子縁組の手続きの代行も可能です。
さまざまな面で心強いサポートを受けられることでしょう。

まとめ

中高年の結婚は条件にばかり気を取られてしまい、結婚の本質を忘れてしまいがちです。
とはいえ、中高年だからこそ、相続問題や子どもに関する悩みがあるのは当然のこと。
もしも結婚に関して不安な点や不明なことなどが出てきたときには、迷わずに弁護士に相談してみてください。相談することで結婚に向けて前向きに進めるかもしれません。

また、考えすぎは禁物です。
あなたに充分な愛情があれば、多少の困難には立ち向かえるでしょう。
諦めず、幸せな結婚に向けて一歩踏み出してみましょう。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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