交通事故の被害者となってしまった場合、ほとんどの方はまず何をすれば良いのかわからないと思います。
ですが、交通事故に遭った後、するべきことをしなかったことによって、保険会社から支払われる示談金額に影響が出ることがあります。適正な示談金を得るためには、事故直後に以下のことをやっておくことが大切になります。
【交通事故被害者が事故直後にやることリスト】
- 警察に連絡する
- 加害者の住所氏名、車両のナンバー、保険会社名等を確認する
- お互いの保険会社に連絡する
- 事故現場の状況を記録する
- すぐに医師の診察を受ける
以上のことが終われば、ひとまずは治療に専念したり、事故に遭った車を修理するなどして、示談に備えることになります。
しかし、その後も示談が成立するまで、注意しなければならないことがいくつかあります。そこで今回は、
- 交通事故が発生してから示談をするまでの流れ
- 交通事故の被害者が怪我の治療で注意すべきポイント
- 交通事故の示談で被害者が知っておくべきこと
などを中心に、交通事故の被害者がやるべきことについて弁護士が詳しく解説していきます。
この記事が、交通事故の被害を受けてお困りの方の手助けとなれば幸いです。
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目次
1、交通事故被害者が知っておくべき事故後の流れ
まずは、交通事故が発生してから示談が成立し、被害者が示談金を受け取るまでの流れをご紹介します。損害賠償で損をしないよう、どのように事故処理がなされていくかを知っておきましょう。
(1)警察を呼ぶ
交通事故に遭ったら、まず警察に連絡しなければなりません。警察を呼んで事故を処理してもらわなければ「交通事故証明書」が発行されず、これがないと原則として保険金の請求ができなくなります。
また、警察が来たら、その後の事情聴取や実況見分には誠実に対応し、事故の状況を正確に説明しましょう。ここでいい加減な対応をしてしまうと、事故の状況について相手方と言い分が食い違ったときに正しい状況を証明できる証拠を残すことができません。
そもそも、交通事故が起こったときは「当該車両の運転者」に警察への通報義務があります(道路交通法第72条1項)。これを怠ると3か月以下の懲役または5万円以下の罰金の対象となります。
加害者から「警察には通報しないように」と頼まれることもありますが、必ず通報は行うようにしましょう。
(2)加害者の住所氏名等を確認する
加害者がどこの誰なのかが分からなければ損害賠償請求ができませんので、事故直後に加害者に関する情報を確認しておく必要があります。
まずは加害者に運転免許証を見せてもらい、住所氏名をメモしましょう。その他にも電話番号や勤務先などもメモしておくべきです。加害者が名刺を持っていたら、1枚もらうとよいでしょう。
その他にも、車に関する情報として加害車両のナンバーも記録しておきましょう。
さらに、車検証を見せてもらって車の所有者を確認しておくことも大切です。なぜなら、所有者が加害者本人と異なる場合には、所有者に対しても損害賠償を請求できる可能性があるからです。
また、通常は保険会社に対して損害賠償請求することになるので、加害者が加入している保険会社名(自賠責保険と任意保険とで会社が異なる場合が多いので注意が必要です。)を確認しておきましょう。
(3)(こちらも自動車の場合)加入自動車保険会社に連絡
こちらも自動車を運転中に事故に遭った場合は、ご自身が加入している自動車保険会社にも連絡しておきましょう。なぜなら、加害者側の保険会社から保険金を支払ってもらえない場合に、ご自身が加入する保険会社から保険金を支払ってもらえる場合があるからです。
そのためには、事故直後から対応してもらった方がよいので、忘れないように連絡しておきましょう。
(4)事故現場の状況を記録する
以上のことが終わったら、事故現場やその周辺の状況を可能な限り記録しておくことが大切です。
警察の事故処理によって、ある程度の証拠は確保されますが、実況見分は後日となることも多くあります。事故から数日が経ってしまうと現場の痕跡が消滅したり、状況が変化することもありますし、当事者の記憶も薄れたり変化してしまうのが通常です。そのため、事故直後の状況はできる限り自分で記録しておきましょう。携帯電話やスマホのカメラでかまいませんので事故現場や周辺の状況、車の損傷部分、怪我をしている場合はその部位などを撮影しておきます。
加害者の事故直後の発言も、携帯・スマホの録音機能やボイスレコーダーを使って記録しましょう。録音できなかった場合は、最低限、その日のうちにメモに書いて残しておくべきです。
さらに、目撃者が近くにいる場合はその人の発言も記録し、後日証言してもらえるように依頼し、連絡先を確認しておきましょう。
(5)すぐに医師の診察を受ける
交通事故でケガをした場合は、必ずすぐに医師の診察を受けましょう。医師に診断書を発行してもらわなければ「人身事故」として届け出ることができないので、十分な賠償金を得ることができなくなります。
また、診察を受けるのが遅くなると、事故とケガとの因果関係を疑われてしまうことがあるので、できる限り事故に遭ったその日のうちに病院に行って診察を受けるようにしましょう。
できれば、ケガがないと思っても念のため、その日のうちに診察を受けることです。なぜなら、交通事故では直後に異常を感じなくても、翌日や数日後に症状が出てくるケースも少なくないからです。
すぐに診察を受けておけば因果関係が証明されますし、症状の悪化を防止できる可能性もあります。診察を受けてケガが判明したら、示談をする前にまずは治療に専念することになります。
(6)加害者側保険会社から示談金の提示
治療が終了したら、加害者側保険会社において示談金を計算し、示談案として提示してくるのが一般的です。
このとき、保険会社に言われるままに示談書(免責証書)にサインしてしまうと、損する可能性が高いので注意が必要です。具体的な注意点については、後ほど「3、交通事故被害者が示談で知っておくべきこと5つ」で詳しくご説明します。
もし、加害者側から連絡が来ない場合は、後記「4、交通事故の後に加害者から連絡がない場合はどうする?」をご覧ください。
(7)加害者側保険会社との示談交渉
提示された示談金額に納得できない場合は、加害者側保険会社と話し合うことになります。
このように、損害賠償額について加害者側と被害者側が話し合うことを「示談交渉」といいます。
示談交渉を適切に行うためには専門的な知識が必要となりますが、ご自身も任意保険に加入している場合は、その保険会社の担当者に示談代行を依頼できます。
もっとも、ご自身が無過失の場合や車の運転中以外で交通事故に遭った場合には、示談代行の依頼はできず、自分で示談交渉を行う必要があります。その場合、損をしないためには弁護士に相談した方がよいでしょう。
(8)示談成立
加害者側との話し合いがまとまり、一定の内容で合意ができたら示談成立です。
示談が成立したら、合意内容を証拠に残すために「示談書」を作成する必要があります。通常は、加害者側保険会社が「免責証書」というものを作成し、これに被害者がサインをすることになります。免責証書も、法的効力は示談書と同じです。いったん示談が成立するとそれで損害賠償の内容が確定しますので、後日納得できないと思っても追加で請求することはできなくなります。
したがって、示談書や免責証書にサインする前に、示談案に問題がないかどうかを慎重に検討することが大切です。
(9)損害賠償金の受け取り
示談の成立後は、指定した口座に加害者側保険会社から損害賠償金が振り込まれるのを待つだけです。示談書や免責証書にサインした後、1~2週間で振り込まれるのが一般的です。
2、交通事故被害者が治療で知っておくべきこと7つ
交通事故の被害に遭ってから損害賠償金を受けとるまでの流れをひと通り解説しましたが、その途中においても被害者として注意しておかなければ損害賠償で損をしてしまうことがあります。
ここでは、交通事故被害者が治療を受ける際に知っておくべきことを7つご紹介します。
(1)医師に大したことないと言うのはNG
まず、医師の診察を受ける際には症状を正確に伝えることが大切です。
性格上、「大したことない」と言ってしまう人もいると思いますが、そうすると医師は十分な検査・治療を行わず、軽傷として診断書を発行してしまう可能性があります。
実際の症状よりも軽く診断されてしまうと、その分だけもらえる慰謝料等が少なくなってしまいますし、なかなかケガが治らないことにもなりかねません。
気になる症状はすべて、医師に伝えるようにしましょう。
(2)できる限り詳しい検査を受ける
また、医師の診察を受ける際にはできる限り詳しい検査を受けることも大切です。検査の結果、重大な損傷が判明することもあるからです。ケガをした部位にもよりますが、単純なレントゲンだけでなくCTやMRIの検査も受けておいた方がよいでしょう。
また、後遺障害が残った場合には、後ほどご説明するように「後遺障害等級」の認定を受けることが必要になります。
しかし、早い段階で詳しい検査を受けていないと後遺障害を証明することができず、適切な後遺障害等級を獲得できないおそれがあります。そうなると、損害賠償で大きく損をすることになります。
病院では、念のためではあっても検査を申し出て、できる限り詳しい検査を受けましょう。
(3)労災や健康保険を使うことができる
通常は加害者側保険会社が治療費を支払うので心配はいらないのですが、相手方が無過失を主張している場合などで、保険会社が対応しないケースもあります。
そんなときは、病院で労災や健康保険を使うようにしましょう。
勘違いしている病院もありますが、交通事故の治療であっても労災や健康保険を使うことはできます。交通事故で健康保険を使う場合には、協会けんぽ(全国健保協会)に「第三者行為による傷病届」を提出します。
(4)タクシーや個室利用の場合は診断書をもらう
保険会社には通院交通費の請求ができますが、交通費の算出は、原則として、自家用車や公共交通機関の利用を前提として行われます。
また、入院費用も、原則として大部屋利用を前提として算出されることになります。タクシーでの通院や個室での入院費用は、それらを行う必要性が立証されなければ認められません。
したがって、タクシーや個室を利用する場合には、まず医師の判断を仰ぎ、それらを利用する必要がある旨の診断書を作成してもらうようにしましょう。
(5)適切なペースで通院を継続する
治療中は、適切なペースで通院を継続することも大切です。通院頻度が少ないと、「症状が軽い」「治療の必要性が乏しい」として、慰謝料を減額されることがあるからです。
適切な通院ペースは医師の指示に従うことになりますが、目安としては、むちうちの場合なら概ね週に4回前後のペースが適切と考えられています。
(6)保険会社による「治療費の打ち切り」に要注意
通院を続けていると、まだケガが治っていないにもかかわらず、保険会社から「そろそろ治療費を打ち切ります」と言われることがよくあります。
打撲や捻挫の場合で通院開始から1か月、むちうちの場合で3か月、骨折の場合で6か月が経過すると、このような連絡がくるのが一般的です。治療費の打ち切りに応じてしまうと、その後は自費で治療を続けるか、または後遺障害等級の認定申請をすることになります。
しかし、ケガの治療期間は千差万別であり、必ずしも上記の期間で治療が終了するわけではありません。
保険会社のいいなりになってしまうと必要な治療が受けられなかったり、慰謝料等で損する可能性が高いので注意が必要です。治療費打ち切りの連絡が来たら、医師によく相談し、場合によっては弁護士にも相談した方がよいでしょう。
(7)症状固定の診断を受けたら後遺障害等級認定申請をする
交通事故によるケガの治療をある程度の期間続けても完治せず、症状が良くも悪くも変化しない状態になることがあります。
これを「症状固定」といい、医師から「症状固定」の診断を受けた時点で治療は終了となります。
あとは、後遺障害等級の認定申請を行い、認定された等級に応じて後遺障害慰謝料や逸失利益を請求することになります。後遺障害に関する損害賠償は金額が大きいので、必ず認定申請を行い、適正な後遺障害等級を獲得することが重要となります。
3、交通事故被害者が示談で知っておくべきこと5つ
治療を終了し、後遺障害が残った場合には後遺障害等級も獲得したら、次に加害者側と示談交渉を行うことになります。
交通事故の被害者が示談で注意すべきポイントは、以下の5つです。
(1)事故直後にその場で示談してしまうのはNG
加害者が事故直後に、「〇〇万円をお支払いしますので、内々におさめてください」などと言って現場での示談を持ちかけてくることもありますが、これに応じてはいけません。先ほどもご説明したように、いったん示談をしてしまうと、その後に追加の請求はできなくなるからです。
交通事故の被害者が受け取れる損害賠償金は、ここまでご説明してきたように、治療を終了して、後遺障害が残った場合には後遺障害等級も獲得するまで確定しません。たとえ加害者が数百万円を支払うといっても、実際には数千万円の損害が発生することもあるのです。事故直後には適正な損害額は判明しないのです。
(2)交通事故の被害者がもらえるお金
ひとくちに「損害賠償金」や「示談金」といっても、その内訳にはさまざまな項目があります。
示談をする際には、漏れている項目がないか、項目ごとに金額は適正かどうかを確認する必要があります。以下で、物損事故の場合、人身事故の場合、死亡事故の場合に分けて、被害者(側)がもらえるお金をピックアップしますので、参考になさってください。
①物損事故でもらえるお金
物損事故で被害者がもらえるお金の一覧は、以下のとおりです。ケースによってもらえるものともらえないものがありますが、ひと通り確認しましょう。
なお、物損のみの事故では原則として「慰謝料」はもらえません。
- 修理代
- レッカー代
- 代車費用
- 評価損
- 買い替え差額
- 登録手続関係費
- 積み荷の損害
- 休車損
- 営業損害
- 雑費
②人身事故でもらえるお金
人身事故(被害者がケガをしたケース)で被害者がもらえるお金の一覧は、以下のとおりです。こちらもケースによってもらえるものともらえないものがあることにご注意ください。
- 治療費
- 入院雑費
- 付添看護費
- 通院交通費
- 休業損害
- 入通院慰謝料
- 後遺障害慰謝料
- 逸失利益
③死亡事故でもらえるお金
死亡事故で被害者側がもらえるお金の一覧は、以下のとおりです。被害者本人の損害と遺族の損害とを合わせて、遺族が受け取ることになります。
- 死亡慰謝料
- 逸失利益
- 葬儀関係費用
(3)保険会社から提示される示談金額は必ず確認
加害者側保険会社から示談金を提示されたら、必ず金額を確認しましょう。その際、上記の損害項目をそれぞれ確認するほかにも、「慰謝料」の金額に注目してください。
慰謝料の算定基準には、自賠責保険基準、任意保険基準、弁護士基準の3つがあります。
被害者がもらえる慰謝料の金額は、自賠責保険基準による場合が最も低く、弁護士基準による場合が最も高くなります。
加害者側保険会社は通常、任意保険基準によって慰謝料額を算定していますが、弁護士基準で示談ができれば、それだけで慰謝料額がアップします。
その方法についてはこちらの記事で解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
(4)過失割合も必ず確認
被害者がもらえる損害賠償額は、過失割合によっても異なってきます。なぜなら、「過失相殺」によって、被害者の過失割合に応じて損害賠償金が差し引かれてしまうからです。例えば、100万円の損害が発生した場合でも、被害者に2割の過失がある場合には、2割を差し引いた80万円のみを損害賠償金として受け取ることになります。
交通事故の被害者が過失割合について確認すべきポイントについて詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
(5)納得できない場合は裁判を躊躇しない
示談交渉をしても、双方の意見が噛み合わないことはよくあります。
そんなときは、争いの程度や金額にもよりますが、妥協して示談するよりも裁判で損害賠償を請求することをおすすめします。裁判で言い分を立証できれば、ご自身の主張する金額を満額、受け取ることができるからです。
また、裁判をすれば慰謝料は弁護士基準で算定されますので、それだけでも受け取れる金額がアップします。
さらに、判決を勝ち取った場合には、遅延損害金や弁護士費用の一部も付加して加害者側から回収できます。
交通事故の裁判について詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
4、交通事故の後に加害者から連絡がない場合はどうする?
以上のお話は、交通事故後に加害者側(通常は保険会社)から連絡があり、言い分はともかくとして、きちんと対応してくれることを前提としたものです。
しかし、中には加害者側から連絡がない場合もあります。そのようなときは、どうすればよいのでしょうか。
(1)加害者側保険会社が対応しないケース
加害者が無保険であったり、保険が切れているケースでは、当然ながら加害者側保険会社から連絡がくることはありません。加害者が自動車保険に加入しているとしても無過失を主張している場合には、保険会社も「保険金の支払い義務なし」と判断して対応しないことがあります。
このような場合には、加害者本人に対して損害賠償を請求する必要があります。
(2)加害者本人へ損害賠償請求するときの注意点
加害者本人へ請求する場合、まずは連絡を取る必要があります。
しかし、事故後に加害者が引っ越すなどして、連絡が取れなくなっているケースも少なくありません。
その場合は、所在調査が必要です。住民票を調査することによって、現在の住所を突き止めるのが一般的です。
連絡が取れたら、加害者本人と示談交渉をします。
その際には、冷静に話し合うことが大切です。当事者同士で示談の話し合いをすると感情的になりがちですが、それではまとまる話もまとまりません。
お互いの損害額や過失割合などについて、冷静かつ建設的に話し合いましょう。
加害者が責任を認めたとしても、支払い能力が不足しているケースも多いです。交通事故の損害賠償金は数百万円~数千万円にのぼることも多いからです。
その場合には、分割払いの交渉をして、少しでも多くの金銭の回収を図ることも大切です。
話し合いがまとまらないときや、加害者が感情的になって冷静に話し合えないとき、加害者が支払いを渋るときなどは、裁判をした方がよい場合もあります。
裁判で勝訴判決や和解が得られれば、加害者が支払わない場合には強制執行(財産の差押え)手続きによって回収できるからです。
(3)自分が契約している保険からもらえるお金
加害者から損害賠償金を回収できないときでも、ご自身が以下の保険に加入している場合には、その保険から賠償金をもらえる可能性があります。
契約内容をご確認の上、保険会社に相談してみましょう。
- 人身傷害保険
交通事故でご自身が負傷したときの損害を補償してもらえる保険です。
- 無保険車傷害保険
加害者が無保険の場合や、ひき逃げなどで加害者が分からない交通事故による損害を補償してもらえる保険です。
また、第三者が運転する車に同乗中に交通事故に遭った場合に、運転者が加入している保険に「搭乗者傷害保険」が含まれていれば、その保険会社から補償してもらうことができます。
5、交通事故被害者が弁護士に相談すべきケース
交通事故の被害者が対応に困ったときには、弁護士が心強い味方となります。
以下のようなケースでは、弁護士に相談することをおすすめします。
(1)提示された示談金額に納得できないとき
加害者側保険会社が提示した示談金額が適正かどうかを判断するには、専門的な知識が必要となります。
素人判断で示談に応じてしまうと損をしてしまう可能性が高いので、示談書にサインする前に弁護士にご相談ください。
(2)入通院期間が長引いたとき
重傷で入通院期間が長引けば長引くほど、保険会社の提示額と弁護士基準による損害賠償額との差が大きく開く傾向にあります。
そのため、入通院期間が長引いた場合には弁護士に相談すべきといえます。目安としては、入通院期間が概ね3か月を超えると、弁護士に相談した方が受け取れる損害賠償金がアップすることが多くなります。
(3)過失割合でもめているとき
過失割合で加害者との言い分が食い違っている場合は、保険会社に対してご自身の言い分を証明しなければなりません。適切な証拠を集めたり、証拠に基づいて保険会社を説得するにも、専門的な知識や高度な交渉力が必要になります。
そのため、弁護士に相談する必要性が高いといえます。
(4)加害者側保険会社が対応しないとき
加害者本人へ損害賠償を請求する際の注意点は先ほどご説明しましたが、示談交渉を含む損害賠償請求に慣れていない方が適切に対応するのは難しいものです。
弁護士に依頼すれば加害者との対応はすべて代行してもらえますので、弁護士に任せてしまった方がよいでしょう。
(5)自分が無過失の交通事故の場合
交通事故でご自身が無過失の場合は、ご自身が加入する保険会社には保険金の支払い義務がないため、示談代行を依頼することができません。
そのため、自分で加害者側と示談交渉を行う必要がありますが、やはり専門的な知識や交渉力がなければ不利になる可能性が高いです。
この場合も、弁護士に相談する必要性が高いといえます。
(6)弁護士費用特約に加入している場合
交通事故の被害に遭った場合、どのようなケースでも弁護士に相談するべきです。
しかし、唯一気になるのは弁護士費用を負担することによって費用倒れになるのではないかという点です。
弁護士費用特約に加入している場合には、保険会社が弁護士費用を負担してくれますので、原則自己負担なしで弁護士に相談・依頼ができます。
相談・依頼する弁護士はご自身で自由に選べますので、交通事故に強い弁護士を選びましょう。
まとめ
多くの方は交通事故の損害賠償について詳しい知識をもっているわけではないため、知らず知らずのうちにやるべきことをやらなかったり、やるべきでないことをやったりしてしまいがちです。
しかし、本記事でご紹介したことを知識として持っておけば、適切な対応ができるはずです。
もちろん、これだけ知っていれば絶対に適切な示談金を獲得できるというわけではありません。
それぞれの事故態様や被害者の状況によって、必要な事項は変わってきます。
ご不安であれば、一度交通事故に詳しい弁護士に相談してみることをお勧めします。