親権者を変更するために知っておくべき8つのこと

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asian baby relaxing on the carpet

「子どものために一度決めた親権者を変更したい!」

  • 夫の不倫がショックでうつ状態になってしまったために、夫の言われるままに親権を渡してしまった
  • 妻を信じて親権を渡したものの、恋愛に夢中で子どもの面倒をほとんどみていないらしい

このような場合、子どものために親権を変更したいと希望されるでしょう。しかし、親権者の変更が認められる場合は限られており、そもそも養育環境が悪化しているといえなければ親権者の変更が認められないのが現状です。

今回は、「それでも何とか親権者を変更したい!」という方にご参考戴けるような内容を書きました。

以下では、

  • 親権者変更の方法
  • 親権者変更を認めるかにあたって判断される事情
  • 親権者変更調停手続の流れ

について書いています。ご参考頂ければ幸いです。

目次

1、一度決めた親権者を変更できる?

まず、そもそも一度決めた親権を変更できるのでしょうか?

離婚時には様々な事情を踏まえて親権をどちらが持つか判断されたかと思います。
もし裁判手続きや調停手続きを経て離婚されたということであれば、親権についてかなり激しく争ったのではないでしょうか?

子どものことを考えると、離婚時に諸々の事情を考慮した末に決めた親権は父母の話し合いだけでころころ変えるべきではないでしょう。

よって夫婦の話し合いのみでは親権者の変更はできません。

2、親権者の変更はどのような方法でできる?

では、親権者変更はどのような方法でできるでしょうか?実は、親権を変更する方法は法律で決まっています。

(1)話し合いでは親権者の変更はできない!

まず、元夫婦間の話し合いのみでは親権を変更することはできません。離婚する際には夫婦間の話し合いで親権を決めることができましたが、離婚後に親権を変更する場合には話し合いのみではできないのです。

そのため、仮に離婚協議書に「子どもが10歳になったら親権者を母親から父親に変更する」と記載しておいたとしても、父母の話し合いのみでは親権の変更はできません。

これは、法律が「一度決めた親権は子どものためにもコロコロ変えるべきではない」と考えているためです。

(2)親権の変更は親権者変更調停で!

では、親権はどのような方法で変更できるでしょうか?結論からいうと、親権変更調停という手続きを利用することによって親権の変更は可能です。

①親権者変更調停とは?

そもそも親権者変更調停は、離婚時に決めた親権を変更することを目的とする調停です。

法律上、離婚する際に決めた親権を変更するためには、家庭裁判所の調停・審判をしなければならないことになっています。

例え調停において父母の間で親権変更について話がついていたとしても、他の調停とは異なり、家庭裁判所調査官が子どもの福祉を判断するために調査をします。もっとも、父母間で親権変更に合意がある場合にはない場合に比較して親権変更は認められやすくなるでしょう。

②家庭裁判所調査官とは?

子どもが父母の親権争いに巻き込まれると、長期間にわたって深刻な心の傷を受けます。
特に一度決めた親権を変更するという場合、離婚後の子どもの気持ちや環境に配慮しながら離婚後の親子関係を慎重に判断していくことが必要です。

そして判断をするためには現状の調査が必要不可欠となります。

裁判所の命令を受けてこのような調査をするのが家庭裁判所調査官です。家庭裁判所調査官は、親と会うほか,子どもと会ったり、家庭訪問、学校訪問などを行います。

(3)例外的に親権者変更調停の申し立てが不要な場合がある

もっとも、例外的に認知した父を親権者に指定する場合(例えば、離婚後に生まれた子の親権者を父に指定する場合)には,父母の合意に基づき届出をすることができます。そのため、調停などの家庭裁判所の手続は不要です。

3、親権者変更が可能となる場合とは?

では、調停の申立てさえすればどのような場合でも親権の変更はできるのでしょうか?
親権が変更できる場合についてみていきましょう。

(1)親権者の変更は簡単にはできない!

結論からいうと、親権の変更が認められる場合は限られています。

それは、一度決めた親権を簡単に変更すべきではないという考えに基づいています。
つまり、子供の福祉や利益が最大限考慮されることは当然ですが、一旦は、どちらか一方に親権者が定められている以上、容易に変更すべきではないという考えがあります。

そのため、裁判所が離婚時に親権者を決めるために考慮する事情と、離婚後に親権者を変更するために考慮する事情は異なります。つまり、親権変更の場合には「どちらが子どもを育てるのに適切な親権者か」、ということに加え、「離婚時に比較して現在の親権者による養育環境は悪化したか。悪化の程度はこのまま親権者を維持するべきではないと考えるほどのものか」という点も重視されます。

ちなみに、父母の間で親権変更について合意があれば比較的親権変更は認められやすくなりますが、合意がない場合、親権者変更調停でも親権を変更するのは大変難しいでしょう。

(2)具体的に親権者変更が認められるような場合とは?

親権者変更が認められる一例としては以下の通りです。

  1. 親権者が、ギャンブルや恋愛にのめりこんでこどもの世話をせずに、放置している場合
  2. 親権者が子どもを虐待しているような場合
  3. 親権者が死亡してしまった場合で親権を変更することが子どもの成長によいと思われる時

(3)不倫をした側であっても親権者変更調停の申立ては可能!

ちなみに、有責配偶者であっても親権変更の申立ては可能です。

離婚に至った直接の原因が浮気であったとしても、親権は別問題として捉えるため、有責配偶者であることをもって、直ちに親権者としての資格がないとは言いきれないからです。

あくまで、どちらの親に養育された方が子どもにとってメリットが大きいか、という見地から判断されることとなります。

4、親権者変更にあたり基準となる事情は?

親権の変更を勝ち取るためには、親権者変更にあたって裁判所が考慮する基準を知っておきましょう。

裁判所のホームページによると、「親権者の変更は,子どもの健全な成長を助けるようなものである必要があるので,調停手続では,申立人が自分への親権者の変更を希望する事情や現在の親権者の意向,今までの養育状況,双方の経済力や家庭環境等の他,子の福祉の観点から,子どもの年齢,性別,性格,就学の有無,生活環境等に関して事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらうなどして事情をよく把握し,子どもの意向をも尊重した取決めができるように,話合いが進められます。」とされています。

これだけだと分かりにくいので、以下の通り分類してみました。
これらの事情を総合的に考慮した上で、親権変更を認めるべきか判断されることとなります。

(1)親権者変更調停を申し立てられた親の側の事情

親権変更にあたっては親権変更を申し立てられた親側の事情が考慮されます。
基本的に、離婚時と比較して養育環境が悪化したなどの事情がない限り親権の変更は認められないでしょう。
具体的に考慮されるのは以下の通りです。

①養育環境は悪化していないか?

養育環境は居住環境、教育環境、家庭環境などを踏まえて判断されます。
具体的には、申し立てられた側の親がギャンブルによる浪費などで生活が困窮しており、子どもに十分な食事を与えられてないような場合には、養育環境が悪化したと判断されます

②子どもに対する愛情は十分か?

親権を変更するか否かを判断するにあたっては、申し立てられた側の親の子どもに対する愛情も考慮されます。そして、愛情の有無・程度は客観的事情を踏まえて判断されます。具体的には子どもを虐待している場合などは愛情がないか少ないか、と判断されることになります。

③申し立てられる親の心身が健康か?

親権変更の可否は申し立てられた側の親の心身の状況も考慮されます。
申し立てられた親が重病で子どもの養育が難しいような場合には申し立てられる側の親が健康ではないと判断されます。また、うつ病などの精神的疾患の場合にも親の心身が健康ではないと判断されます。

(2)親権者変更調停を申し立てた親側の事情

親権を申し立てた親についても、基本的に申し立てられた親と同じ点について調査されます。
その上で、子どもの健全な成長のためにはいずれの親に育てられた方がよいかが判断されます。

①養育環境は適切か?

申し立てる側が定職についているために安定した収入があり、かつ子どもを毎日保育園に送り迎えできる状況にある場合には、養育環境が適切だと判断されることとなります。

②子どもに対する愛情は十分か?

ここは調停で家事審判調査官や調停委員へのアピールがポイントになりますが、子どもに対する愛情が十分だと親権を変更すべきだと判断されやすくなります。

③申し立てる親の心身が健康か?

子どもの健全な成長にあたってはやはり親が心身ともに健康であることが大前提となります。
そのため、親権変更の可否の判断にあたっても申し立てた側の親が健康であるか否かが判断材料とされます。

(3)子ども側の事情

以上のような両親の状況に加えて、子どもの事情も考慮されます。

①子の年齢

子どもが幼いほど母親が育てるべきだ、という考えがいまだ根強くあります。そのため、母親に親権がある場合では、虐待などで養育環境がかなり悪化したような場合でない限り、親権の変更が認められることはないでしょう。

子供が15才以上の場合は子の意見を聞かなければならないことになっていますが、最近では15才以下の場合でも子の意見を聞くことが多くなっています。具体的には、子供が自分の意思を持つ頃(だいたい12歳前後)には、裁判所は子供の意思を重視します。

②子どもの精神的安定

次に、子どものそれぞれの親に対する愛情の程度の大きさが判断されます。やはり、愛情の大きい方がより親権者として適任だと判断されます。

これに加えて、現状の学校で担任の先生とうまくいっているか、友達とうまくいっているかなどを踏まえて、現在の教育環境を維持すべきかも考慮の対象となります。もし、担任の先生や同級生から激しいいじめを受けているような場合には、親権を変更することにより教育環境を変えた方がよいと判断される傾向にあります。

4、親権者変更調停の申立て方法は?

では、具体的に申立ての方法についてみていきましょう。

(1)親権者変更調停の申立て

親権者変更調停は、原則として相手方の住所地の家庭裁判所に申し立てをします。

①必要書類について

まずは必要書類ですが、以下の通りです。

  • 親権者変更調停申立書
  • 当事者目録
  • 申立人の戸籍謄本
  • 相手方の戸籍謄本

②親権者変更調停申立書の書き方

必要書類のうち、メインとなるのは親権者変更調停申立書でしょう。
下記文字をクリックして頂くことで裁判所のサイトからダウンロードできますので、ぜひご利用下さい。

親権者変更調停申立書のダウンロードはこちら

また、記入例は下記サイトをクリックして頂くことでダウンロードできる記入例をご参考下さい。

必要書類の記入例

③当事者目録の書き方

次に当事者目録ですが、下記文字をクリックして頂くことで裁判所のサイトからダウンロードできます。

当事者目録のダウンロードはこちら

一番左の欄に上からそれぞれ、申立人、相手方と記載した上で氏名や住所を記載しましょう。

(2)申立てにかかる費用

次に申立ての費用ですが、子供1人につき収入印紙1200円分が必要となります。
ですので、2人いれば2400円ということになります。

手数料以外にも、郵便切手が必要になります。これは、家庭裁判所によって異なりますが、大体800円前後です。電話で聞いてみると確実でしょう。

5、親権変更調停の流れ

次は親権変更調停の流れについてみていきましょう。
大きな流れは離婚調停(夫婦関係調整調停)と変わりません。

離婚調停は以下の流れで進みます。

  1. 家庭裁判所へ調停の申立て
  2. 調停期日の決定
  3. 第一回の調停
  4. 第二回以降の調停
  5. 調停の終了

調停の間に前述の家庭裁判所調査官による調査が入ります。

6、親権の変更を勝ち取るためのポイント

では、実際に親権変更を勝ち取る

(1)ポイントは調停委員!調停委員にきちんと事実を伝える

調停は原則として話し合いの場ですが、どのような結果になるかは調停委員が重大な影響を及ぼします。ですので、調停委員を味方につけておくことが重要でしょう。味方につけるためには、「3、親権変更にあたり基準となる事情は?」で記載した内容を参考に、なぜあなたに親権を変更すべきなのかを証拠を踏まえて主張していきましょう。

(2)家庭裁判所調査官の調査に注意

家庭裁判所は親権変更を認めるかにあたり、「3、親権変更にあたり基準となる事情は?」で記載した内容を踏まえて判断します。そして、これらの内容は家事審判調査官が家庭訪問、学校訪問、親や子どもへの意見聴取などによって調査します。ですので、家庭裁判所調査官の調査がこちらに有利なものとなるよう、事前にしっかり準備しておきましょう。具体的には、あなたの側に子どもが健全に成長するための養育環境が整っていることなどを伝えられるとよいでしょう。

(3)弁護士に依頼した方がいい?

親権調停は必ずしも弁護士に依頼しなくても申立てをして進めることができます。

とはいえ、親権者変更調停を起こすにあたっては弁護士に依頼した方がいいでしょうか?

弁護士に依頼することによって、弁護士の知識や経験を味方につけることができるので、その意味では心強いでしょう。

また、弁護士に依頼することで「弁護士費用をかけてまで調停にのぞむということはこの人は親権変更に真剣だ」という印象を与えることができます。調停で有利な結果を獲得するには調停委員から好印象を勝ち取ることが重要ですので、この点も弁護士に依頼するメリットといえそうです。

もっとも、どうしても弁護士費用を捻出することが難しいという方も少なくないでしょう。その場合でも、調停にのぞむにあたって気になる点を弁護士に相談して確認してみるとよいでしょう。最近は相談だけであれば無料の法律事務所も増えているので、これらの事務所を利用するとリスクがないでしょう。

7、調停成立の場合

実際に調停が成立し、親権者の変更が認められた場合、以下の通り対応して下さい。

(1)親権者変更の届出

新たに親権者になった者には、戸籍法による届出義務があります。
ですので、調停が成立した日から10日以内に,市区町村の役場に親権者変更の届出をする必要があります。

(2)届出時に必要な書類

届出には,以下の書類が必要とされます。

  1. 調停調書謄本
  2. 父母それぞれの戸籍謄本

詳しくは届出をする役場にお問い合わせください。

8、調停不成立の場合

以上のような調停成立の場合に対して、不成立の場合はどのようになるでしょう。

(1)審判手続きに移行する!

調停は不成立として終了しますが、審判手続に移行します。
審判手続きでは、必要な審理が行われた上で結論が示されることになります。

この場合、調停調書の代わりに審判書謄本及び確定証明書が発行されることとなります。

(2)親権の変更が認められなくとも、より有利な面接交渉権を獲得しておく!

仮に親権が変更できなくとも、より有利な面接交渉権を獲得できるように相手方と話し合いましょう。もし、相手が拒否するなら 再度調停を申し立ててもよいかもしれません。

まとめ

今回は親権者を変更するための親権者変更調停について書いていきましたが参考になりましたでしょうか。ご参考頂き、親権者変更を実現して頂ければ幸いです。

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