
離婚裁判を検討している方にとって気になるのが、「離婚裁判にかかる期間ってどのくらいなのだろう?」ということではないでしょうか。
離婚裁判は金銭的にも負担となるので、できるだけ期間を短くしたい、早期に終わらせたい所でしょう。
今回はそのような方にご参考頂けるよう、
- 離婚裁判にかかる期間はどのくらいか?
- 離婚裁判の期間の長短に影響を与えるのはどのような事情か?
- 離婚裁判の期間を長引かせずできるだけ早期終了させる方法
について、ベリーベスト法律事務所の離婚専門チームの弁護士がまとめました。
今回の内容が離婚裁判の流れや期間を知って悩みを解消するご参考になれば幸いです。
関連記事目次
1、離婚裁判の期間について知る前に|離婚裁判の流れ
離婚裁判の期間について知るにあたり、まずは離婚裁判の流れについて知っておきましょう。
(1)離婚裁判の前に離婚調停
既に調停が不調に終わっている方には関係ない話かもしれませんが、日本の法律上、調停前置主義がとられています。調停前置主義とは、裁判の前にはあらかじめ調停をしておかなければならない、ということです。
まだ離婚調停をしていない場合、離婚裁判の前に調停をしなければなりません。それにかかる期間はケースによって異なりますがは6ヶ月から1年程度かかることが多いでしょう。
離婚調停の期間について詳しくは「離婚調停の期間の相場|最短かつ有利に進める方法を弁護士が解説」をご参照下さい。
関連記事(2)離婚裁判の流れ
次に実際の離婚裁判の流れについてみていきましょう。
①原告が家庭裁判所に訴状を提出する
②第1回口頭弁論期日の指定
③被告からの反論を記載した答弁書の訴状の提出
④口頭弁論
第1回目の口頭弁論(言い分主張・証拠提出のための機会です。)は、訴状の提出から約1ヶ月後に行われます。
口頭弁論はその後1ヶ月に1回のペースで行われますが、審理の流れはおおまか以下の通りで進んでいきます。
- 争点の整理 →双方の言い分が食い違う点が整理されます
- 原告からの証拠の提出 →争いとなる事実が存在することを証明する証拠の提出が必要となります
- 被告からの証拠の提出 →原告の主張を否定する証拠が被告(相手方)から提出されます。
- 以後、裁判官が納得するまで原告と被告の証拠の提出が繰り返されます
⑤離婚裁判における事実の認定
⑥離婚裁判の判決
離婚裁判の流れについて詳しくは「離婚裁判の流れについて知っておくべき5つのことを徹底解説」をご参照下さい。
関連記事2、離婚裁判にかかる期間はどのくらいか?
そのような離婚裁判ですが、どのくらいの期間がかかるのでしょうか?
期間の相場についてみていきましょう。
離婚裁判がどのくらいかかるかは争われている事実の内容と、どのような証拠があるかにもよりますが、早くて半年、長引けば3年ほどかかることもあります。
期間としては1年から2年ほどかかるとみておくとよいでしょう。
ちなみに、裁判所が公表している、平成24年1月〜12月の人事訴訟事件の概況によると、離婚裁判の平均審理期間(訴えが提起されてから,判決また和解により事件が終わるまでの期間)は11.6ヶ月となります。
これには一方が裁判に参加せずに欠席判決で早期に終了してしまうケースも含まれています。双方が裁判に出席し、かつ判決まで至ったものに限ると、平均期間は15.9ヶ月となっております。
3、離婚裁判の期間の長短に影響を与えるのはどのような事情か?
次に、実際にあなたが離婚裁判した場合にどのくらいの期間がかかるのかの見通しを立ててもらうために、裁判の期間の長短に影響を与える事情について書いていきます。ご参考下さい。
(1)決定的な証拠があるか?
離婚裁判において、あなたの主張を決定的な証拠があれば、裁判官は早期にあなたの主張が正しいと判断してくれます。裁判官の判断(事実認定)が早ければ裁判は早期に終了します。
具体的な決定的証拠として、以下のようなものが挙げられます。
①不貞行為(不倫)を証明する場合に、探偵会社等の写真・動画付きの報告書
②不貞行為を証明する場合に、相手方や不倫相手の不貞行為を認めるメールの画像やメモ
③不貞行為を証明する場合に、ラブホテルの領収書など
④婚姻関係が破綻していることを証明する場合に、原告が暴力や精神的苦痛を受けた事を証明する診断書など
⑤婚姻関係が破綻していることを証明する場合に、被告の暴力により破られた洋服や壊れた物の写真など
もし以上のような決定的な証拠が当事者双方にないと、審理が長期化することが多いといえます。
(2)第一審で敗訴すると長期化する!
以上のように決定的な証拠がないと、場合によっては第一審で敗訴してしまう可能性があります。
それでも離婚したいというのであれば、高等裁判所に控訴せざるを得ません。この場合、かなり長期化する傾向があります。
(3)離婚するか否か以外に親権をどちらが持つかについて争っている
離婚裁判においては、離婚するか否かに加えて以下の内容も争われることがあります。
- 慰謝料を支払うか、支払うとしたらいくらか
- 財産分与を支払うか、支払うとしたらいくらか
- 養育費を支払うか、支払うとしたらいくらか
- 親権はどちらが持つか など
離婚するか否かに加えてこれらの事情が争われているのであれば、裁判は長期化する傾向があります。
4、離婚裁判の期間を長引かせず早期に終わらせたいなら和解も視野に!
離婚裁判を進めていると、裁判官が和解提案を出してきます。
もしその和解提案が納得いくもので、早期に離婚裁判を終わらせたいというのであれば和解提案を受け入れてもよいでしょう。
5、離婚裁判が長期化するのに備えて婚姻費用分担請求をしておく!
離婚裁判が長期になると、どうしても経済的負担が気になるではないでしょうか。もしあなたが相手と比較して収入が低い状況であれば、婚姻費用分担請求として生活費を請求できます。
ちなみに、婚姻費用は離婚までの間支払い続けなければならないので、婚姻費用分担請求をすることは裁判を早期に終わらせることにも繋がります。
なお、婚姻費用分担請求について詳しくは「婚姻費用分担請求で高額の生活費をもらうために重要なポイント7つ」の記事をご参照下さい。
関連記事まとめ
今回は離婚裁判にかかる期間について書いていきましたがいかがでしたでしょうか?
期間を知って頂いた上で離婚裁判を進めて頂ければ嬉しいです。