結婚生活に疲れた……と、思わずため息を漏らしてしまう人は少なくありません。
付き合っていた頃はお互いの良い部分ばかりが目に入っていたカップルも、結婚して1つ屋根の下で一緒に生活すると、嫌でも相手の欠点が目に入ります。そうすると「こんなに辛い思いをしてまで結婚生活を続ける必要があるのかな」と離婚が頭をよぎる人もいるでしょう。
今回は、結婚生活に疲れたと感じる原因や対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が詳しく解説します。
目次
1、結婚生活に疲れたと感じる原因は?
なぜ、「結婚生活に疲れた」と感じてしまうのでしょうか。その原因について、見ていきましょう。
(1)自分が自由に使えるお金が減った(なくなった)
独身の頃は、自分で稼いだお金を自分で自由に使えていたのに、結婚してからは自分のお金を好き勝手に使うわけにはいかなくなった人も多いのではないでしょうか。
自分で稼いだお金は、家庭に入れなければなりません。なかには、結婚や出産を機に専業主婦となったことから、自分で自由に使えるお金が一切なくなってしまった人もいるでしょう。
自由に使えるお金がほとんどない制限された状態で、この先何十年と結婚生活を続けていくとなれば、結婚生活に疲れたと感じるのも無理はありません。
(2)1人になれる時間がない
夫婦になると、1つ屋根の下で結婚生活を送る人が多いですから、夫婦は同じ家で長い時間を共にすることになります。
「たまには1人になりたい」と思っても、夫や子供が家にいれば1人になれる時間がありませんよね。
ずっと家族と一緒にいる生活に、窮屈さを感じている人もいるでしょう。
(3)相手の欠点や価値観の違いが受け入れられない
結婚生活を続けていると、結婚前とは異なり、相手の欠点や価値観の違いが嫌でも目に入ります。
付き合っている頃は我慢できていた相手の欠点も、毎日同じ家で顔を合わせていると、どうしても許せない気持ちになることもあるでしょう。
(4)相手に興味がなくなった
結婚生活を続けるにつれて、付き合っていた頃に感じていた愛情が冷めていくのは珍しいことではありません。
相手に興味がなくなってしまうと、なぜ結婚生活を続けなければならないのか、どっと疲れが出てくる人もいるでしょう。
(5)夫婦間での会話がほとんどない
同じ家に住んでいても、ほとんど会話がない夫婦は少なくありません。
大きな喧嘩をしているわけではなくても、段々と会話がなくなれば、同じ家に住んで結婚生活を続けることに疲れを感じるのも自然なことでしょう。
(6)家事や育児の負担が自分に集中している
本来、夫婦は2人で共同生活を営んでいるわけですから、家事や育児も共同で負担するのが自然な姿です。
しかしながら、日本では女性が仕事をしていたとしても「家事や育児は女性がやるもの」と考えている男性が少なくありません。知らず知らずのうちに、家事や育児の負担が女性側に集中しているケースも、珍しくないでしょう。
自分も仕事で大変ななか、家事や育児の負担が自分に集中しているとなれば、結婚生活に疲れたと感じるのも無理はありません。
(7)専業主婦でいることに疲れた
独身の頃は仕事をしていた女性が、結婚して専業主婦になると、社会との繋がりが無くなることになります。
社会との繋がりを持っていないと、自分の存在価値がわからなくなり、専業主婦でいることに疲れたと感じる女性もいることでしょう。
(8)相手の家族との付き合いが大変
結婚は、夫婦本人同士の話だけでなく、家と家の問題でもあります。
相手の家族との付き合いや嫁姑問題が発生すると、家族間での付き合いから結婚生活に疲れを感じる人もいます。
(9)性生活に対する意見の相違、不満がたまっている
夫婦間で性生活に対する意見の相違や不満がたまると、それが結婚生活を続けるべきかという問題にまで影響することがあります。
性生活の問題はデリケートなため、夫婦でなかなか真剣に話すことができず結婚生活に疲れを感じている人もいるでしょう。
(10)子育てに関する方針に大きな違いがある
夫婦だからといって、子育てに関する方針が一致するかといったらそういうわけではありません。
一方は「子供のことは怒らずのびのび育てたい」と思っていても、もう一方が「しっかりしつけをしたい」と思っている可能性もあります。
以上のように、子育ての方針に大きな違いがあれば、夫婦で衝突し結婚生活に疲れたと感じてしまうのも無理はないでしょう。
(11)DVやモラハラがある
夫のDVやモラハラがある場合、結婚生活に疲れを感じないほうが不自然です。
DVやモラハラをしてくる夫と同じ家で生活をしていると、いつ暴力や暴言が夫から飛んでくるのかビクビクしながら、ストレスを抱えることになるでしょう。
2、結婚生活に疲れたときの対処法
ここからは、結婚生活に疲れたときの対処法を見ていきましょう。
(1)1人になれる時間を意識して作る
夫婦が一緒に家にいると、1人になれる時間がなく疲れが取れない人もいるでしょう。
この場合は、ストレスがたまる前に1人になれる時間を意識して作るのがおすすめです。
家で1人になれない場合は、1〜2時間ほど1人でカフェに行くというようなリフレッシュ方法も良いでしょう。
(2)家事や育児の分担を夫婦で決める
家事や育児は、放っておくと女性側に負担が集中してしまいがちです。
家事や育児の負担が自分に集中していると感じる場合は、夫婦で家事や育児の分担について話し合いましょう。
(3)お金の使い方を夫婦で見直す
自分が使えるお金の額に不満がたまると、結婚生活自体に不満が溜まっていきます。
夫婦のどちらか一方にお金に対するストレスが集中しているのであれば、2人でお金の使い方を見直してみましょう。
(4)お互いの不満や正直な気持ちを話してみる
夫婦が離婚に至る原因は、何か1つの事情に限定されるわけではなく、日々の不満が積み重なり、不満が限界に達したときに離婚に至るケースが一般的です。
結婚生活を続けていくためには、お互いが不満をためこみすぎないように、定期的にお互いの不満や正直な気持ちを話してみることが大切です。
夫婦であっても、実際に話してみないとお互いの正直な気持ちはわかりません。話し合うことで、初めてお互いの不満や悲しみを理解できることもあるでしょう。
(5)一度実家に帰る
どうしても結婚生活を続けることがつらくなった場合は、一度実家に帰ってみるのも1つの選択肢です。結婚生活に疲れたからといって、いきなり離婚話を進めてしまうと、後悔が残る可能性があります。
一度実家に帰れば、夫と物理的に距離が離れるため、落ち着いてこれからのことについて考えられるでしょう。
(6)友達と会ってストレスを発散する
夫婦といえども、自分の気持ちを全て夫に理解してもらおうとするのは、無理がある場合も多いです。
結婚生活にストレスがたまる場合は、友達と会っておしゃべりすることでストレスを発散するのもいいでしょう。
(7)相手に期待しすぎない
相手に期待しすぎると、「やってくれると思ったのに!」「なんでやってくれないの?」などと不満の気持ちがたまりやすいです。
相手は完璧な人間ではないので、自分のストレスを溜めないためにも、相手に期待しすぎるのはやめましょう。
3、結婚生活に疲れた状態を放置し続けるとどうなる?
結婚生活に疲れた状態が続いていても、「一度結婚したのだから我慢し続けなければいけない」「離婚するよりも今の結婚生活を続ける方がマシ」などと考えて、結婚生活の疲れを放置してしまう人が少なくありません。
ですが、結婚生活に疲れた状態を放置し続けると、以下のような影響が生じる可能性があるので注意してください。
(1)ストレスでうつ病に
結婚生活での疲れや不満がたまっていくと、ストレスでうつ病になる人もいます。
結婚生活は、あまりにも日常の一部であるため、本人もストレスが溜まっていることに気づかないケースが少なくありません。
一度うつ病になってしまうと、回復するまでに時間がかかる人もいますので、ストレスをためこみすぎないように注意しましょう。
(2)家庭での不満が仕事に悪影響を及ぼす
結婚生活の疲れは家庭内の問題ですが、家庭での不満を家庭内にとどめ、仕事に何の影響も及ぼさないのは難しい話です。
家庭での不満が原因で、仕事でのパフォーマンスが悪くなってしまう人もいるでしょう。
(3)夫婦仲が悪いことが子供にも悪影響を及ぼす
子供には、大人の事情や両親の気持ちの細かい部分まではなかなか理解できません。
母親が疲れて笑顔がなくなってしまったり、両親が家で喧嘩していたりする姿を見るのは、子供にとってなかなか辛いものです。
(4)最悪の場合、離婚に発展する
結婚生活の疲れを放置していると、最悪の場合は離婚に発展します。
1つ1つの不満や疲れは小さなものであったとしても、それが積み重なると取り返しのつかない事態に発展し兼ねません。
離婚を避けたい場合は、日々の小さな不満や疲れを無視しないよう心がけましょう。
4、夫婦円満でいる秘訣
夫婦といえども元は赤の他人同士ですから、結婚生活を継続していくには、お互いに努力していくことが必要です。
(1)挨拶をちゃんとする
職場では「お疲れ様です」と挨拶するのが日課になっている人も、家庭内でパートナーに挨拶をしているかといったらおろそかになっている人が多いのではないでしょうか。
結婚生活に疲れ切っている人や夫婦の会話がなくなってしまった人も、まずは「おはよう」「おかえり」などの挨拶からでいいので、相手に言葉をかけるようにしましょう。
(2)日常的に会話をするようにする
パートナーと挨拶ができる人は、日常的に少しずつ会話をすることを心がけていきましょう。
結婚生活に対する疲れや不満は、日々のちょっとしたことが蓄積されて大きな不満へと発展します。
そうした不満は、日々のコミュニケーションの希薄さが原因である可能性が高いでしょう。
(3)感謝の気持ちを言葉にして伝える
結婚生活が長くなると、ついつい感謝の気持ちを言葉にするのを忘れてしまいますよね。
ですが、「ありがとう」や「いつも助かっているよ」などと言われて、嫌な気分になる人はいません。
最初は照れくさいかもしれませんが、あきらめずに感謝の気持ちを言葉にして伝えましょう。
(4)命令や指示ではなく「お願い」のスタンスを忘れない
相手に何かをやってもらうときは、「やっておいてよ!」「これやって」等の命令や指示の形で伝えるのではなく、お願いするスタンスを忘れないようにしましょう。
言い方を少し変えるだけでも相手に与える印象は大きく変わります。
(5)相手にばかり期待しない
人間はつい相手に期待したり相手にばかり求めてしまったりしますが、自分も相手に何か与えることができているかを見直すようにしましょう。
(6)思いやりの心を持って接する
自分自身も、相手に対する思いやりの気持ちを忘れないようにしましょう。
何か家事などをやってくれたら、「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えるなど小さなことでも思いやりを持って接することが大切です。
(7)お互いが1人で自由に過ごせる時間を作る
結婚して夫婦になったといえども、元は育った環境が違う赤の他人です。
結婚生活を長く続けていくためにも、お互いが1人で自由に過ごせる時間を意識的に作るようにしましょう。
1人で思いっきり羽を伸ばせる時間があると、夫婦が一緒に過ごす時間のありがたみもわかるでしょう。
5、結婚生活に疲れている人が離婚を考える瞬間
結婚生活に疲れている人が離婚を考える瞬間をあらかじめ知っておくと、離婚を回避する1つのきっかけになります。
(1)相手の浮気が発覚したとき
相手の浮気が発覚すれば、離婚を考えるのも無理はないでしょう。
浮気が発覚したのであれば、夫婦のどちらか一方あるいは双方に何らかの不満がある可能性が高いといえます。
浮気が発覚した後も結婚生活を続けたいのであれば、今後について夫婦で徹底的に話し合うことが大切です。
(2)結婚生活のストレスが限界に達したとき
浮気が発覚した等のわかりやすい理由だけが離婚の原因になるのではなく、日々の不満やストレスが限界に達したときに離婚を考えるケースも少なくありません。
1つ1つのストレスは小さなものに見えても、それが積り積れば大きなストレスになり、取り返しのつかない事態になり得ます。
離婚を回避したいのであれば、普段から小さなストレスを見逃さないようにしましょう。
(3)DVやモラハラがおさまらないとき
DVやモラハラがおさまらないときに、離婚を考える人も多いのが現状です。
DVやモラハラをパートナーから受けている場合は逃げることも大切なので、自分の身の安全を第一に考えましょう。
(4)あまりにも性格や価値観がずれすぎているとき
夫婦といえども赤の他人ですから、性格や価値観が違うのはある意味自然なことです。
ですが、あまりにも性格や価値観がずれていると、何をするにも意見が一致せず、これが積み重なると離婚を考えるほど大きなストレスになるケースがあります。
(5)相手の家族(姑等)との関係に耐えきれないとき
結婚生活は、夫婦双方がうまくいっていれば万事解決のように見えますが、結婚は家と家の問題も含んでいます。
パートナーとはうまくいっていたとしても、パートナーの家族に極度の不満があれば、それは離婚を考える1つのきっかけにもなります。
(6)夫婦喧嘩が子供に悪影響を及ぼしていると感じたとき
夫婦喧嘩をしていることが、子供に悪影響を及ぼしていると感じたときは、離婚を考える1つのきっかけになるでしょう。
6、離婚をパートナーに切り出す前に弁護士に相談を
離婚をパートナーに切り出すのであれば、事前に自分の中で気持ちを固めたり、離婚の流れを確認したりしておくことが大切です。
離婚の気持ちが固まっていないのに、パートナーに離婚を切り出してしまうと、話が複雑になる可能性があります。
離婚を検討している人は、パートナーに切り出す前にまずは弁護士に一度相談してみるとよいでしょう。
まとめ
大きなトラブルがなかったとしても、結婚生活を続けていくことに疲れを感じるのは不自然なことではありません。
結婚生活の疲れやストレスを放っておくと、うつ病等の取り返しのつかない事態に発展する可能性がありますので、日々のストレスを溜めないようにしましょう。
どうしても結婚生活を続けることが難しくなった場合は、まずは一度弁護士に相談してみることをおすすめします。