サラ金取り立て問題に直面すると、督促状や電話での催促により恐怖心を抱くことがあります。しかし、こうした取り立てが違法な場合もあることをご存知でしょうか?
本記事では、サラ金の取り立てに関する法律と、適切な対処方法について解説します。借金の滞納時に心配される自宅や職場への押しかけに対しても、正しい知識を持つことで対応策を見つけることができます。
また、サラ金だけでなくヤミ金にも注意が必要です。高金利や過度な取り立てなど、違法な行為には注意が必要です。
安心して返済を続けるためにも、本記事を通じて適切な回収に関する知識を身につけてください。これからも平穏な生活を送るために、正しい情報を活用してください。
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目次
1、サラ金の取り立ては法律で規制されている|禁止行為
まず、サラ金の取り立てに対しては「貸金業法」という法律による規制があります。
以下のような取り立て行為はされていませんか? 禁止されるものを列挙しました。
(取立て行為の規制)
第二十一条
貸金業を営む者又は貸金業を営む者の貸付けの契約に基づく債権の取立てについて貸金業を営む者その他の者から委託を受けた者は、貸付けの契約に基づく債権の取立てをするに当たつて、人を威迫し、又は次に掲げる言動その他の人の私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない。
引用:貸金業法
- 正当な理由がないのに、深夜や早朝に電話やFAXなどで督促したり訪問したりして取り立てること
- 正当な理由(※)がないのに、勤務先やその他の自宅以外の場所に電話をかけたり訪問したりして督促すること
※ 債務者と他に連絡する方法がないなど、よほどの事情がないと「正当な理由」が認められないので、勤務先宛てに督促をしてはなりません。 - 債務者の自宅や勤務先などの場所に取り立てに行ったとき「帰って下さい」と言われているのに退去しないこと
- はり紙や立看板などで「借金返せ」などの掲示をして、周囲に本人の借金問題を知らせること
- 別の業者や個人から借金して返すように迫ること
- 債務者以外の義務のない人に対し、代わりに返済するよう要求すること
- 債務者等以外の人が債務者の居場所や連絡先を言いたくないと言っているのに、無理に取り立てへの協力を求めること
- 弁護士や司法書士が債務整理に介入した後、正当な理由なく債務者に直接督促すること
このような取り立て行為が行われている場合はぜひ弁護士までご相談ください。
2、そもそもサラ金とは?闇金との違い
サラ金や闇金とは、どのようなものかをおさらいしておきましょう。
(1)サラ金とは
サラ金は、消費者向けの低額な融資を行う貸金業者です。「消費者金融会社」と同じものです。
もともとはサラリーマン相手に貸付を行うことが多かったので、「サラ金」といわれるようになりました。
無担保無保証で貸付をしていることが多いですが、最近では不動産を担保に取る融資なども登場しています。
日本では貸金業を行う場合、貸金業登録をしなければならないので、適法なサラ金は必ず都道府県や財務局で「貸金業」の登録をしています。
貸金業登録をした適法な金融会社は、貸金業法が定める範囲内で取り立て業務を行うことが許されています。
そこで、借金を滞納すると自宅に郵便が届いたり電話がかかってきたりするのです。
サラ金の取り立て自体が違法ということではありません。
(2)闇金とは
これに対し、貸金業登録をしていない違法業者を「闇金」と言います。
闇金はサラ金とは違い、そもそも違法組織ですので、上記の貸金業法以前に「存在自体」が許されず、あらゆる取り立て行為が禁止されます。
3、実際のサラ金が行っている取り立て手法
実際に、サラ金はどのような方法で取り立てを行っているのか、みてみましょう。
(1)督促の電話
サラ金への返済を滞納すると、まずは自宅や携帯電話に電話がかかってきます。
ただ、いきなり恫喝されるようなことは少ないです。
大手などの場合、丁寧に「ご入金が確認できないのですが、どうなっていますか?」などと聞かれるケースもみられます。
ただし業者によっても取り立て方法は異なります。
あまり誠意のない回答をしていると、相手が怒り出して強い口調で責められるケースもあります。
(2)郵便で督促
電話に出なかったり電話に出ても支払いについての話合いが進まなかったりする場合、自宅宛に郵便の督促状が届くようになります。
業者により、ハガキや封書が用いられるケースがあり、業者名が記載されるパターンと、債務者のプライバシーに配慮して業者名を伏せるパターンがあります。
(3)内容証明郵便が送られてくる
郵便や電話による督促を無視していると、2~3か月くらいが経過した頃に、内容証明郵便で一括請求書が送られてきます。
そこには「残債と未払いの利息、遅延損害金を一括で払うように」と書かれており、「きちんと対応しない場合には裁判をして給料等を差し押さえる予定です」とも記載されていることが多いです。
(4)債権回収業者に債権譲渡される
業者によっては、滞納状況が長びくと、債権回収業者に債権譲渡されることがあります。
そうなると、「〇〇債権回収」などの会社から、「今後はこちらに支払をしてください」という連絡書が届き、その後も債権回収業者から電話や郵便などで取り立てが行われるようになります。
(5)連絡が取れない場合、勤務先に連絡されることもある
一般に、自宅への連絡によって債務者と連絡が取れる場合にはあえて勤務先には連絡が行われませんが、ひっそり夜逃げするなどして連絡が取れないようにしていると、勤務先に電話をかけられるケースもあります。
(6)連絡が取れない場合、自宅を訪ねてくる
サラ金から督促が来ても無視して連絡をとらないようにしていると、自宅を訪ねて取り立てにやってくる業者もあります。
ただし、自宅にまで来る業者は少なく、大手の場合にはまずありません。
取り立ての厳しい中小の町金の場合などには、訪ねてきて強い口調で支払を求められる可能性があります。
4、サラ金の取り立てに悩む方が気になる3つのこと
サラ金の取り立てに悩んでいる方は、以下のような点が気になっていることが多いので、ご説明します。
(1)返済がどのくらい遅れるとブラックリストに載るのか?
まずはブラックリスト問題です。返済がどのくらい遅れると、ローンやクレジットカードを使えない状態になってしまうのでしょうか?
だいたい、61日以上滞納したケースです。2か月分くらい滞納すると、いつ信用情報機関に通知をされてブラックリスト状態になってもおかしくないと考えましょう。
(2)借金の時効
サラ金の借金を長期滞納していると、いずれ時効になって支払をしなくて良くなります。どのくらい支払をしていなかったら時効が成立するのでしょうか?
答えは「5年」です。最終取引日の翌日から数えて5年が経過したら、借金の消滅時効が成立します。
ただし、時効には「更新」があります。つまり、債務者が借金の存在を認めたり、債権者が裁判を起こしたり差押をしたりすると、時効の期間が当初に巻き戻ってしまうのです。
そのため、最終取引日から5年が経過していても、確実に時効が成立しているとは限りません。知らない間に裁判を起こされて時効を更新されているケースもあるので注意が必要です。
(3)会社に取り立てが来たことを理由に解雇されることは?
たいていの場合、会社員の方は会社への取り立ての連絡を恐れているものです。
勤務先に取り立ての連絡が来たら、解雇される可能性があるのでしょうか?
これについては、まず心配する必要はありません。法律上、解雇には厳しい制限があるからです。
解雇が認められるのは、解雇に客観的な合理性があり、社会的な相当性がある場合のみです。つまり、解雇が真にやむを得ないという事情が必要で、なおかつ解雇するときには解雇を避ける努力を尽くした上で、それでも解雇を回避できない場合にようやく解雇が認められるのです。
たとえば、無断欠勤や遅刻を繰り返し、会社が注意しても改善の態度が見られず、異動や仕事内容の変更などをしてもやはり改善せずに上司に反抗的な態度をとり続けてトラブルを起こした場合などです。
単に借金しているというだけでは解雇理由になりません。会社に取り立ての連絡があっても、解雇はできないので安心しましょう。
5、サラ金の取り立てに悩んだときのシーン別対処法
サラ金による取り立てに悩んだら、以下のように対処しましょう。
(1)取り立てを止めたい|借金を返済する
サラ金から電話や郵便などで取り立てが来て困っているならば、支払いをするのが一番の解決方法です。
ただし、他金融から借金をしての返済は考え直しましょう。
借金地獄への入り口となってしまいます。
(2)支払いを待って欲しい|支払日を相談する
しかし、督促が来たとき、すぐには一括払いに対応できないことも多いでしょう。
そのようなときには、支払い日や支払方法を相談することも可能です。
たとえば給料が入ってきたら支払えるのであれば、「~までに支払います」と約束をして、その通りに入金すれば、それ以上に大事になることはありません。
(3)誰かに相談したい|公的機関に相談
借金の返済が苦しく1人では解決できないので、誰かに相談したい場合には、国民生活センターや消費生活センター、法テラスや弁護士会、司法書士会などに相談することができます。
1人で抱え込んでいるとどんどん状況が悪化してしまうので、苦しいと感じたら早めの段階で相談することが大切です。
(4)悩みの解決に向けて具体的な動きをしたい|弁護士に相談
借金の返済を続けていけそうもない場合や内容証明郵便で一括請求書が届いてしまった場合などには、すぐにでも解決に向けての具体的な対応をとる必要があります。
このようなとき、債務整理によって解決する方法が効果的です。
債務整理を債務者1人で進めて行くのは困難なので、まずは弁護士に相談しましょう。
最近では、債務整理や借金問題の無料相談に対応している弁護士事務所がたくさんあるので、是非とも利用してみてください。
(5)身の危険を感じている|警察に相談
もしも金融業者からの違法な取り立てによって身の危険を感じているならば、警察に相談すべきです。
たとえば以下の場合には貸金業法違反であるだけではなく刑法違反も成立する可能性が高いです。
- 自宅にやってきてドアの前で待ち伏せして、「帰ってほしい」と言っても退去しない場合
- 勤務先におしかけてきて「金返せ」などと騒がれる場合
- 自宅マンションの集合ポストで、マンション住民全員に借金を知らせるような嫌がらせの紙を入れられた場合
- 電話などで「殺すぞ」と言われたり家族を脅迫されたりした場合
- また、相手が闇金の場合には、存在自体が違法なので、警察に申告したら取り締まってもらえます。
警察に行って良いのかどうかわからない場合、先に弁護士に相談をして、違法な取り立ての相談をすることも可能です。
恐ろしい取り立て行為を我慢している必要は一切ないので、おかしいと感じたらすぐに弁護士か警察の助けを借りましょう。
まとめ
サラ金の取り立ては、一般的にはさほど恐れるようなものではありません。
しかし、時には違法な取り立てが行われることもありますし、相手が闇金であるケースもあります。 取り立てが恐ろしい場合や返済が厳しい場合には、すぐに弁護士に相談しましょう。
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