「痴漢対策」は、どのようにすると良いのでしょうか。
満員電車での通勤、通学…。
満員電車は乗るだけで、身体・精神的にも大変なストレスです。
その上痴漢に頻繁に遭ってしまっていたら…怒り、憤り、そして恐怖など、さらなるストレスがあるのは間違いありません。
痴漢は違法行為として犯罪も成立するので相手を訴えることも可能ですが、そもそも痴漢には遭いたくありません。
そこで今回は、
- 痴漢に遭わずに安心して通勤・通学するための対策
をご紹介します。ご参考になれば幸いです。
目次
1、痴漢対策について知る前に|痴漢被害の概要
まずは痴漢被害の概要をみてみましょう。
(1)67.1%の女性が痴漢被害の経験あり
いったいどのくらいの方が痴漢被害に遭っているのでしょうか?
埼玉県が採ったアンケートによると、67.1%もの女性がこれまでに痴漢に遭った経験があるということです。
引用:埼玉県「第86回簡易アンケート「痴漢犯罪の抑止について」」
(2)痴漢被害は電車内だけじゃない!路上での痴漢被害も…
痴漢というと電車内で触られてしまうイメージがありますが、実際には電車内に限りません。
たとえば路上でいきなり抱きつかれてしまうようなケースも少なくありません。
駅構内や店内、公園内など、開かれた公共の場で痴漢被害が発生する例もあります。
引用:埼玉県「第86回簡易アンケート「痴漢犯罪の抑止について」」
(3)痴漢されても我慢してしまう人が約60%
痴漢に遭ったとき、被害者はどのように対応しているのでしょうか?
実は、59.8%もの被害者が、その場では何もできずに我慢しているというデータがあります。
痴漢は、触っているのか、手やカバンが当たってしまっただけなのか、という微妙な感覚で触れてくるケースも多いでしょう。
それに加え、女性は痴漢行為の異常性に恐怖を感じてしまいます。
そういった、故意の行動なのかが曖昧、異常な行動への恐怖といったことが原因となって、被害に遭っても訴えずに泣き寝入りしているケースが多いと考えられます。
引用:埼玉県「第86回簡易アンケート「痴漢犯罪の抑止について」」
(4)痴漢被害に遭ったとき逃げた人が約50%
痴漢被害に遭って対応した場合、具体的な対応方法としては「逃げた」と答えた割合が52%にも及びます。
足を踏むなど抵抗した方は45.9%です。
他には、身をよじったりカバンなどで防いだりしたという回答がみられます。
引用:埼玉県「第86回簡易アンケート「痴漢犯罪の抑止について」」
2、狙われやすい女性の特徴
痴漢に狙われやすいのはどのような女性なのか、みてみましょう。
(1) 女性的な外的要素
女性特有の外的要素は痴漢に狙われる特徴でしょう。
香りがする、服の素材が女性らしい、肌色がきれい、などが挙げられます。
(2) 音楽を聞いたりスマホをいじったりしている
ヘッドホンで音楽を聴いていたりスマホの操作をしていたりすると、痴漢は狙いをつけやすいので注意です。
注意力が散漫になっているので、手を出しやすいと考えられてしまいます。
(3)おとなしそうな雰囲気
また、痴漢は、被害者が抵抗したり騒いだりすることを恐れているので、おとなしそうな印象の女性を狙うといわれています。
(4)露出が多い
露出が多いと痴漢の気を引いてしまうので、被害に遭いやすくなるでしょう。
(5)姿勢が悪い
背筋を伸ばして堂々としている女性よりも、姿勢が悪く引っ込み思案に見える女性は、おとなしそうな雰囲気の方と同様に、騒がれないだろうと考えられて痴漢被害に遭いやすいです。
3、狙われやすい場所
痴漢に遭いやすい場所も押さえておきましょう。
(1)電車の乗車口付近
電車内の場合、乗降口付近では痴漢に遭いやすいです。
乗降口付近は、痴漢をしていることが他の乗客から見えにくく、被害者が抵抗して騒ぎになったときにもすぐに逃げることができるからです。
(2)車両の連結部分
同じような理由で、車両の連結部分も痴漢被害に遭いやすいと言えます。
中の乗客から見えにくく、まずい状況になったらすぐに別の車両に移って逃げることができるからです。
(3)電車やバスの端の席
電車やバスの座席の場合、端の席や窓側の席に座っていると痴漢に遭いやすいです。
端に女性がいると、内側の乗客からは痴漢行為が見えにくくなりますし、何かあったらすぐに通路に出て逃げることができるからです。
(4)人通りが少ないところ
路上の場合でも、人通りが少ないところで被害が発生しやすいです。
(5)薄暗い通り
ライトがなく薄暗い場所も痴漢が出やすいです。
大きな道から一本入った人通りのない薄暗い道路を通るときなどには、痴漢に充分注意が必要です。
4、痴漢に遭いやすい時間帯
痴漢に遭いやすい時間帯は1日の中でいつ頃なのでしょうか?
警視庁の統計資料によると、「強制性交等・強制わいせつ事件」が数多く発生するのは夜の10時から深夜の2時までとなっています。
痴漢に遭わないためには、深夜の時間帯にはなるべく外に出ないようにするべきです。
引用:警察庁
5、痴漢は立派な犯罪|加害者が問われる罪と条例違反
痴漢をした犯人にどのような罪が成立するのか、みてみましょう。
(1)迷惑防止条例違反
一般的な痴漢行為は、「迷惑防止条例」という条例違反になるケースが多いです。
迷惑防止条例では通常、「公共の場所で本人の同意なく身体を触ることや撮影すること、卑猥な言葉を投げかけること」が禁止されています。
条例なので、詳細は各自治体によって異なることもありますが、刑罰の内容はだいたい似通っています。
たとえば東京都の場合には、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が刑として定められています。
(2)強制わいせつ罪
痴漢の中でも悪質な場合には、強制わいせつ罪という犯罪が成立することがあります。
強制わいせつ罪は、暴行や脅迫の手段を用いて相手の抵抗を困難にした上でわいせつな行為を行う犯罪です。
痴漢で強制わいせつ罪が成立するのは、下着の中に手を入れて執拗に直接性器を触ったり、夜道で被害者に抱きついて服を脱がせたりキスをしたりした場合など、相当悪質なケースです。
強制わいせつ罪が成立する場合、加害者には6か月以上10年以下の懲役刑が科されます。
罰金刑がないので執行猶予がつかない限り、犯人は刑務所に行くことになります。
6、痴漢に遭わないためにできる対策
痴漢に遭わないためには、空いている時間帯の電車に乗る・女性専用車両を利用することができればベストですが、通勤・通学は自由に大幅に時間帯を選べるものではなく女性専用車両に乗れないこともあります。
以下では、一般車両に乗る際に痴漢に遭わないため、今すぐできる対策として3つの方法をご紹介します。
(1) 痴漢の行動パターンを意識して避ける
上記「2」〜「4」でご説明した痴漢に遭いやすい行動・場所・時間帯を避けることです。
これらの痴漢の典型的な行動パターンに留意するだけで変化が出る可能性は高いでしょう。
例えば、電車での立つ位置に気をつける、姿勢に気をつける、夜遅い外出を控える(家族の迎えをお願いする、タクシーを利用する)、遠回りでも大通りを歩くなどです。
(2)自分の行動パターンを変える
いつも同じ車両で痴漢に遭ってしまう方は、同じ痴漢からターゲットにされている可能性があります。
その場合、時間帯や乗る車両を変えることで、再度痴漢に遭うことを避けられるかもしれません。
(3)痴漢を牽制する「痴漢抑止バッジ」をつける
泣き寝入りしない、との強いメッセージが示された「痴漢抑止バッジ」をつけておくと、気の弱い痴漢なら「この人はやめておこう」と思うでしょう。
「痴漢抑止バッジ」とは、2015年に関西から広がったバッジで、販売店や公式サイトで販売されています。
また、万が一痴漢に遭ったときのため、夜道を一人出歩くときなどには防犯ブザーを持ち歩くようにしましょう。
7、万が一、痴漢の被害に遭ったときは
痴漢に遭わないように気をつけていても、被害に遭ってしまうケースはあります。
その場合には、以下のように対応しましょう。
(1) 親や友人に目撃者になってもらう
毎日同じ電車で被害に遭うケースでは、多くの場合同じ犯人です。ぜひ勇気を出して、やめさせましょう。
一人で行動を起こすのは怖いでしょう。
そのため、親や友人など頼れる人に同じ電車に乗ってもらい、目撃者になってもらいます。
痴漢は証拠が残りづらいため、犯人が言い逃れをすると水掛け論になり徒労に終わるかもしれません。
しかし目撃者がいたり、証拠の動画があるなどであれば話は別です。
数日にわたり協力してもらうことになってしまうかもしれませんが、解決の可能性は高まります。
(2)顔を確認する
触っている手は誰のものなのか、恐怖もありそばにいるのに意外と特定できません。
そんな中でも、可能であれば顔を確認しましょう。
背後から痴漢されてしまうことが多い場合は、手鏡を持ち歩いて、鏡を使って特定する方法もあります。
(3)勇気を出して声をあげる
顔を確認し、相手もそれに気づいているのにやめないこともあります。
そんな時は、「やめて下さい」「痴漢!」など、声をあげることが大切です。
何もせずに我慢していると相手を助長させるだけですし、顔を覚えられると、毎日のように狙われる可能性もあります。
特に満員電車など、周囲に人がたくさんいるときであれば、声をあげると周囲の人が気づいて犯人を取り押さえてくれることもあるので、勇気を出しましょう。
(4)近くにいる人に助けを求める
周囲に人がいる状況であれば、近くの人に助けを求めましょう。
大声を出すのが恐ろしい場合、となりの人などに「この人、痴漢です!」などと言って周囲に気づいてもらえれば、痴漢を取り押さえてもらえたり駅員室に連れて行くのを手伝ってもらえたりすることがあります。
(5)相手の衣服をつかむ
痴漢被害に遭ったとき、何もしなければ相手がドアから出て逃げてしまいます。
そこで、痴漢を検挙したい場合には、痴漢の手や服(袖口など)をつかんでしゃがみ込み、相手が逃げられないようにしましょう。
自分を触っていた手や袖をそのままつかむことにより、人違いやえん罪を防ぐことにもつながります。
その上で、「この人、痴漢です」と言って周囲に知らせると良いでしょう。
(6)目撃者を確保する
痴漢は、後になって「痴漢なんかしていない」「えん罪だ」と言い出すことがあります。
そこで、その場で痴漢被害を目撃していた人がいないかどうかを確認し、目撃者を確保しておくことが大切です。
見ていた人がいたら、後で何かあったら協力してもらえるように、連絡先を確認しておくと良いでしょう。
周囲に動画撮影している人がいて、後に有効な証拠になるケースもあります。
(7)弁護士に相談する
痴漢被害に遭ったときには弁護士に相談するのも効果的です。
痴漢が行われたとき、その場で痴漢を駅員室に連れて行っても、後で「痴漢していない」などと言い出すことがあります。
また、痴漢から示談の申し入れがあり、自分一人ではどう対応したら良いかわからないこともあるでしょう。
夜道で痴漢に遭ったときには、痴漢を捕まえるどころではなく、逃げるだけで精一杯だったということもありえます。
このようなときには、痴漢に適正な処分を受けさせるため、弁護士のサポートを受けてケースに応じた対応をしてもらうことが重要です。
まとめ
頻繁に痴漢に遭う場合、適切な対処をとることで被害を避けられる可能性があります。
また、痴漢に遭ったときに泣き寝入りせず、慰謝料請求などをして戦うことも可能です。
痴漢被害に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひ一度弁護士までご相談下さい。