婚約とは、「結婚しよう」とプロポーズをしたら「婚約」したことになるのでしょうか。
一言に婚約といっても具体的に何をすればいいのかわからない方も少なくはありません。
また、法的に拘束力があるのか等も気になるところでしょう。
実は婚約とは法的に特別な形があるわけではありません。
婚約方法もケース・バイ・ケースです。
今回は、
- 婚約の定義
- 婚約するには何をすればいいのか
- 婚約から結婚の流れ
についてご紹介します。
愛する人と幸せになるために素敵な婚約を交わしていただければ幸いです。
目次
1、そもそも婚約とは?
そもそもの婚約の意味を正しく理解していますか?
結納を以って婚約というわけではありません。
婚約の意味を見ていきましょう。
(1)「婚約」の意味
婚約とは、カップルが当事者同士で結婚の意思を確認し合うことです。
「結婚の約束をすること。また、その約束。」(引用:大辞林 第三版)と辞書には記載されています。
つまりは、結納のような儀式をしなくても婚約は成立するのです。
(2)法律上の手続きは必要?
婚約する上で法律上の手続きは必要ありません。
あくまでも当事者同士または親族間で結婚の意思を確認することにすぎないため、提出書類などもありません。
ただし、正当な理由もなく一方的に婚約を破棄すると債務不履行(約束を実行しないこと)となり、慰謝料や損害賠償責任が生じる恐れがあります。
(3)「婚約」のスタイル
婚約のスタイルはさまざまです。どんな婚約のスタイルがあるのか見ていきましょう。
①口約束
「結婚してください」とプロポーズをして「はい」と返事をされた状態も婚約です。
単なる口約束かもしれませんが、それでも婚約したことになるのです。
プロポーズをして承諾されたなら、二人は婚約関係でお互いに婚約者と呼ぶこともできます。
②結納を交わす
昨今のカップルでは少なくなってきていますが、正式に結納を交わした状態も婚約をした状態です。
口約束だけでは不安を感じるカップルや、形式を重視したい両親がいる場合には、正式な結納の儀式を行うことになるでしょう。
結納を交わした状態ならお互いに意識の齟齬が生じることもなく、後々のトラブルも少なくなります。
③婚約指輪を贈る
多くのカップルはプロポーズと同時に婚約指輪を贈るものです。
記念品を交換して婚約成立と考えるカップルは少なくありません。
お互いに誓いの品を渡すことで形に見える婚約になり、安心感が芽生えるのでしょう。
④両家の親に挨拶
お互いに結婚の意思を表明し、両親に認めてもらって初めて婚約したと実感できるカップルもいます。
両親の承諾を得られない限りはまだ婚約は成立していないと考えるケースです。
お互いの実家に出向くパターンもあれば、食事会などを催しお互いの両親同士で挨拶をするスタイルがあります。
⑤両家顔合わせの食事会(※結納品取り交わしなし)
昨今主流なのは、堅苦しい結納の儀式ではなく、レストランや料亭などで行う両家の顔合わせ会です。
その際には結納の儀式はせずに、和やかなムードで会話と食事を楽しみます。
その際にエンゲージリングなどの記念品をお互いに交換しあって婚約の証とします。
ただし、記念品を交換せずとも口約束だけで婚約が成立です。
両家の親族が婚約の証人になってくれるので、安心してできるでしょう。
⑥婚約パーティー
海外で主流なのが婚約パーティーです。
結婚披露宴のように友人・知人を招いて婚約式を行います。
大勢の前で結婚の約束を交わす儀式なので証人がたくさんいることが特徴です。
2、婚約が成立していることを証明できるもの
婚約が成立していることを証明できるものには何があるのでしょうか。
口約束だけのカップルでは、婚約を証明できる術が少ないかもしれません。
実は、婚約解消やその他トラブルが発生した際には、婚約を証明できた方が有利なシーンがあります。
できれば口約束だけではなく、婚約を証明できるようにしておく方が賢明です。
結婚を誓い合った婚約証明書があれば、明確に婚約の証明になるでしょう。
しかし、婚約証明書は必ず作るものではなく、自分たちの意思で作るものです。
そのため、急に証明が必要になっても作成していないカップルがほとんどでしょう。
その他、結婚式場の予約表や結婚式の招待状なども婚約の証明になります。
すでに同居しているなら、賃貸契約書の中の同居人の続柄の欄に「婚約者」と記載されていればそれが証拠です。
また、婚約指輪に婚約を示唆する刻印がある場合や、結納、婚約パーティーなどをしていれば、第三者の証言が婚約の証拠になり得ます。
LINEやメールで婚約した文面が残っていても婚約の証拠になりますし、結婚する約束をした音声や画像などが残っていても証拠になります。
3、婚約の事実を公正証書に残すことはできるの?
婚約の事実を公正証書に残すこともできます。いわゆる婚約証明書と呼ばれるものです。
弁護士や行政書士などに依頼して作成してもらいましょう。
婚約証明を作成しておくことで、万が一の婚約破棄や、一方の不貞行為が発覚した際には慰謝料の請求対象になります。
婚約の証拠を残しておくことは後々のトラブル対処の際には重要になるでしょう。
4、婚約から結婚までの流れ
一般的な婚約から結婚までの流れを見ていきます。
あくまでも一例であり、カップル間で順番が入れ替わったり、割愛したりする流れもあります。
(1)彼女にプロポーズ
最初はどのカップルでも結婚の意識をお互いに確認するためにプロポーズを行うことでしょう。
男性から女性へ結婚の申し入れを行うのが一般的ですが、昨今では女性から男性にプロポーズする逆プロポーズも多くなっています。
(2)両家の親へ結婚報告・挨拶をする
結婚の意思が固まったなら、お互いの両親に結婚の報告や挨拶に伺います。
そこで初めて恋人の両親に会うケースも少なくありません。
両親が遠方に住んでいる場合でも挨拶に出向くのが一般的です。
(3)婚約する
どのようなスタイルかは別として、プロポーズをして両親に挨拶したなら婚約の成立です。
婚約パーティーや結納式を行うカップルもいるでしょう。
(4)入籍日を決める
次に具体的な入籍の日取りを決めます。
結婚記念日がややこしくならないように結婚式と入籍日が同じカップルも多数です。
海外挙式などでは先に入籍してから挙式するパターンやその逆もあります。
大事な記念日になりますからカップル間でよく話し合うようにしましょう。
(5)結婚式場選び
いよいよ結婚式場選びです。
披露宴に招待する人数やプランなど会場によって特徴があります。
予算とこだわりに従って、複数の式場を回って気に入った会場を選ぶようにしましょう。
お料理の試食会やウエディングドレスの試着会に参加すれば、素敵な会場に巡り会えます。
(6)結婚指輪の購入
結婚式の際に交換する結婚指輪を選びます。
エンゲージリングは男性が選んでも問題ありませんが、結婚指輪は女性主導で選んでいくようにしましょう。
気に入ったデザインでサイズが合わなくては結婚式で困ってしまいます。
結婚指輪には入籍の日付や挙式の日付、イニシャルや愛のメッセージなどを刻印することになるでしょう。
(7)新居探し、同棲をはじめる
新居を探して同棲を始めるのもこの頃です。
中には挙式後からの同居のカップルもいますが、正直なところ挙式後ですと引越しが大変になります。
少し早めに同棲を開始して、挙式の日は同じ家から会場に向かう方が安心できます。
(8)会社や友人に結婚の報告をする
会社や友人などに結婚の報告を行います。
挙式の招待状を送るのもこの頃です。
女性の中には結婚と同時に退職する人もいます。
もしも結婚と同時に退職するならもう少し早めに報告と引き継ぎを行った方が無難かもしれません。
結婚式の後に新婚旅行に旅立つ場合には、長期間の休暇の取得も必要です。
上司にはできるだけ早めに報告しておくといいでしょう。
(9)入籍(婚姻届を提出)する
準備ができたなら、入籍です。
役所に婚姻届を提出しましょう。
婚姻届は夜間・休日でも受け付けてもらえます。
お互いに納得できる日取りで一緒に婚姻届を提出することで結婚の幸せを共有できるでしょう。
もちろん都合でどちらかが一人で提出しても問題はありません。
(10)結婚式当日
いよいよ挙式です。
結婚式当日は予定の時間に遅刻しないようにカップル二人で出向きましょう。
前日は緊張して眠れないかもしれません。あまり緊張せずに早めに休むようにしてください。
お互いの存在に幸せを感じながら結婚式を迎えられるといいでしょう。
5、婚約から結婚をスムーズにするために大切なこと
婚約から結婚をスムーズに進めるためには、お互いへの気遣いが必要です。
花嫁はやることも多く結婚の準備に疲れ果ててマリッジブルーにもなりがちです。
新郎が新婦を支えながら一緒に挙式の準備を進めていけるといいでしょう。
忙しいからと相手に任せきりではダメ。
結婚するのは愛を誓い合った二人です。
一方や両親に頼ってばかりでは結婚生活はうまくいきません。
大切なことは信頼することです。
お互いに信頼していれば婚約中にどんな困難に合ったとしても乗り越えていけるでしょう。
6、婚約証明の作成や婚約中のトラブルは弁護士に相談
婚約証明が欲しいカップルは弁護士に相談してみるといいでしょう。
公正証書で婚約証明書を作成してもらえます。
また、婚約中にトラブルがあった場合でも弁護士に相談することで解決できるかもしれません。
まとめ
婚約とは、愛し合う二人が結婚を約束することです。
決まった形式はありませんので、自分たちのスタイルで婚約するといいでしょう。
法的にも必要な書類はありませんし、法的な義務や責任が生じることもありません。
ただし、婚約をするということは、法的な制約はなくても相手に対する責任が大きくなることは事実です。
婚約後の不貞や裏切り行為、正当な理由がない婚約破棄は許されません。
愛する人と幸せになるために、自分たちのスタイルで婚約・結婚し、素敵な新婚生活を送れることを願います。