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無職の元夫(妻)でも養育費請求可能!弁護士がコツを解説

元夫(妻)が無職でも養育費の請求は可能!そのコツを弁護士が解説

「無職の夫と離婚したいけれど、養育費を請求できるのかな?」
「離婚した夫が無職になり、養育費の支払いを止められてしまった」

このような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

結論からいいますと、元夫(妻)が無職であっても養育費を請求することは可能です。親である以上は子どもを養わなければならない法律上の義務があるからです。

とはいえ、実際には元夫(妻)に収入がないのに養育費を支払ってもらうことは容易ではありません。無職の元夫(妻)に養育費を請求するには、いくつかのコツがあります。

「ベリーベスト法律事務所」の弁護士が、無職の元夫(妻)へ養育費を請求する方法や上手なコツについてやさしく解説します。

無職の元夫(妻)へ養育費を請求するのが可能な場合と不可能な場合、無職の元夫(妻)から強制的に養育費を回収する方法、そして無職の元夫(妻)へ上手に養育費を請求するコツを詳しく解説します。

無職の元夫(妻)から養育費をもらえるのか不安な方にとって、この記事が手助けとなれば幸いです。法律的なアドバイスを得ることで、養育費に対する不安や疑問を解消し、子どもの幸せな未来をサポートしていきましょう。

養育費については以下の関連記事をご覧ください。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

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1、元夫(妻)が無職でも養育費を請求できる理由

まずは、本当に無職の元夫(妻)に養育費を請求することができるのか、この点について法律ではどのように定められているのかを確認しておきましょう。

(1)親子には扶養義務がある

離婚後の養育費の支払い義務は、民法第766条1項・2項に定められています。夫婦が離婚する際には、「子の監護に要する費用の分担」について定めることとされているので、この規定に基づいて夫(妻)は養育費の分担義務を負うことになります。

また、民法第877条1項では親子に扶養義務があることが定められているので、この規定に基づいて子ども自身から養育費を請求することが可能です。

これらの義務は無職であっても免れることはないので、無職の元夫(妻)に対しても養育費を請求できるのです。

ただし、両親の間で養育費の負担をどのように分担するのかについては、基本的にお互いの収入や子どもの年齢・人数に応じて決められます。裁判所の「養育費算定表」では、元夫(妻)の収入が0円の場合に請求できる養育費は月0~1万円とされています。

参考:裁判所

(2)通常は潜在的稼働能力がある

では、無職の元夫(妻)に養育費を請求できても月1万円が上限となるのかといえば、そうではありません。働かない元夫(妻)にも通常は潜在的稼働能力があるからです。

潜在的稼働能力とは、今は働いていなくても、働こうと思えば働いて収入を得ることができる能力のことです。

親の未成熟子に対する扶養義務は、自分の生活水準を切り下げてでも自分と同程度の生活を保障しなければならないものと考えられています。この義務のことを「生活保持義務」といいます。余裕がある場合に援助すればよい「生活扶助義務」とは異なります。

言い換えれば、親はきちんと働いて子どもを養わなければならないということができます。

相手が心身ともに健康であれば、親の介護などで手が離せないといった特段の事情がない限りは潜在的稼働能力があるはずです。そのため、潜在的稼働能力を主張して養育費を請求することが可能です。

2、無職の元夫(妻)への養育費の請求が認められにくいケース

無職の元夫(妻)に潜在的稼働能力も認められない場合には、養育費を請求することはできません。

以下のようなケースでは、養育費を請求するのは難しいと考えておく必要があります。

(1)病気や障害のため働けない場合

相手が重い持病を抱えていたり、交通事故などで重度の後遺障害を負ったために働けない場合には、養育費の請求は認められない可能性が高いといえます。

これに対して、治癒することが可能な病気で失職したような場合は、働けないといっても一時的な事情に過ぎませんので、養育費の請求は可能です。

ただし、実際に養育費を請求する場合には、相手の病状や稼働状況を見ながら無理のない範囲内で話し合っていくことになるでしょう。

(2)生活保護を受給している場合

生活保護は受給する世帯の最低限の生活を保障するものですので、そこから養育費を支払ってもらうことはできません。実際にも、相手が養育費を支払う余裕はないでしょう。

もっとも、働こうと思えば働けるのに生活保護を受給している人もいるようです。その場合には、きちんと働いて養育費を支払ってもらうように話し合う余地はあります。

(3)乳幼児が複数いて監護の負担が大きい場合

親権者である元妻が働いていない場合、養育費を支払っている元夫が「元妻も働けるはずだから、養育費を減額してほしい」と主張することがあります。

養育費は両親が分担して負担すべきものですので、元妻に潜在的稼働能力がある場合にはこの主張も認められる可能性があります。子どもが小学生以上でさほど手がかからない場合や、乳幼児がいても1人だけなのに働いていない場合は、元夫からの養育費の減額請求が認められる可能性が十分にあります。

しかし、元妻が複数の乳幼児を抱えていて育児から手を離せない場合は実際に働くことは難しいといえます。子どもを保育園に預けて働くとしても、保育料を支払えば手元に給料があまり残らないこともあるでしょう。このような場合には、元夫からの養育費の減額請求は認められません。

3、無職の元夫(妻)へ上手に養育費を請求するコツ

無職の元夫(妻)へ養育費を請求できる場合でも、スムーズに支払ってくれることはあまりありません。

ここでは、無職の元夫(妻)へ上手に養育費を請求するコツをご紹介します。

(1)できる限り話し合いで養育費を取り決める

元夫(妻)が無職の場合は、家庭裁判所の調停や審判、離婚裁判などで養育費を請求するよりも、できる限り話し合いで取り決めるのが得策です。なぜなら、調停や審判、裁判になると、現実に相手が無職なら養育費0円と決められがちだからです。
相手の潜在的稼働能力を立証できれば養育費を獲得することも可能ですが、そのハードルが高い場合もありますので、まずは話し合いで決着をつけることを目指しましょう。

話し合いにおいては、子どものためにどうしても○万円ほどの養育費が必要であることや、親である以上は養育費の支払い義務があること、相手が働くことで子どもが幸せになれることなどを伝えましょう。相手が「子どものために働こう」という気持ちになるように仕向けるのが話し合いをまとめるコツです。

(2)いつから・いくら支払ってもらうのかを明確に取り決める

相手が働く気になってくれたら、いつから・いくら支払ってもらうのかを明確に取り決めることが大切です。

「仕事に就いたら支払ってもらう」という仮定の取り決めでは、法律上の具体的な請求権とはなりません。したがって、このような内容で公正証書を作成したとしても、相手が約束を守らない場合に強制執行できないことに注意する必要があります。

相手がいつから働くのか未定であっても、具体的な時期と金額を決めるべきです。

例えば、令和3年7月に話し合い、3ヶ月後から養育費を支払ってもらうとした場合、「令和3年10月から養育費として毎月5万円を支払う」というように取り決めることです。

(3)取り決めを公正証書にしておく

具体的に養育費を取り決めたら、その内容を公正証書強制執行認諾文言付き)にしておきましょう。

そうすることで、万が一相手が約束を守らない場合には、裁判をすることなく強制執行を申し立てて相手の財産を差し押さえることが可能になります。

4、無職の元夫(妻)から強制的に養育費を回収する方法

養育費を取り決めても、相手が約束どおりに支払わないケースは多々あります。

そこで次に、無職の元夫(妻)から強制的に養育費を回収する方法をご紹介します。

(1)公正証書で養育費を取り決めている場合

強制執行認諾文言付きの公正証書を作成している場合は、その公正証書に基づいて強制執行を申し立てます。

ただし、無職の相手に対して強制執行を申し立てた場合には、空振りする可能性が高いことを頭に置いておく必要があります。

養育費を回収する場合には、相手の給料や預金を差し押さえるのが一般的ですが、相手が無職の場合は給料を差し押さえることはできません。

ただ、無職なのに生活できているということは、口座にある程度の預金がある可能性はあります。

そこで、裁判所の「財産開示手続」や「第三者からの情報取得手続」を利用して相手の口座を調査した上で、強制執行を申し立てましょう。

(2)資産や不労所得がある場合

相手が無職であっても、資産や不労所得がある場合にはそれを差し押さえることによって養育費を回収できます。

元夫(妻)が無職のまま生活している場合、何らかの資産や不労所得を有している可能性が十分にあります。不動産や自動車、株式配当など、さまざまなものが考えられるでしょう。

ここでも、裁判所の「財産開示手続」や「第三者からの情報取得手続」を利用して相手の財産を調査した上で、強制執行を申し立てましょう。

(3)潜在的稼働能力の立証が可能な場合

公正証書を作成していない場合は、新たに元夫(妻)と話し合って公正証書を作成する必要があります。

話し合いがまとまらない場合で、潜在的稼働能力の立証が可能な場合には家庭裁判所へ調停や審判を申し立てましょう。相手が働けることと、働いた場合にどれくらいの収入が見込めるかを証明できれば、潜在的稼働能力を加味して養育費を決めてもらうことも可能です。

「働けること」については、相手が心身ともに健康であれば、親の介護などで手が離せないといった特段の事情がない限り証明することは難しくないでしょう。

「どれくらいの収入が見込めるか」については、相手が以前に働いていた場合は、そのときの収入が一つの目安となります。

以前の収入を証明することが難しい場合は、「賃金センサス」が用いられることもあります。
賃金センサスとは、政府が毎年行っている賃金に関する調査に基づいて、労働者の性別や年齢、学歴等の別に平均収入をまとめた資料のことです。

ただ、審判で相手の潜在的稼働能力を前提に養育費の支払いを命じてもらうのは容易でないのが現実です。そのため、できる限り調停での話し合いで合意を得るのが得策といえます。

調停や審判で養育費の支払いが決まったら、調停調書や審判書に基づいて強制執行が可能となります。

5、途中で無職になった元夫(妻)から養育費の減額を請求されたときの対処法

なかには、離婚時に養育費を取り決めて支払ってもらっていても、途中で元夫(妻)が無職になり、養育費の減額を請求されることもあります。

その場合は、どのように対処すればよいのでしょうか。

(1)詳しい事情を確認する

相手が無職になったからといって、安易に減額に応じるべきではありません。まずは、詳しい事情を確認しましょう。

無職となった理由はどういうことなのか、退職金や失業保険はどれくらい支給されるのか、次はいつ頃、どのような仕事に就くつもりなのか、といったことは聞き出すべきです。

それだけでなく、預貯金などの資産や不労所得があるかどうかも聞き出しましょう。嘘をつかれる可能性もあるので、資料の提示も求めたいところです。

事情を確認した結果、今までどおりに養育費を支払うことが可能と判断した場合は減額に応じる必要はありません。

(2)多少の減額には応じた方がよいケースもある

しかし、相手に資産や不労所得がなく、退職理由もリストラなどやむを得ない事情によるもので、本人の生活が苦しくなるため本当に養育費の支払いが難しいという場合もあるでしょう。

その場合は、多少の減額に応じるのもひとつの方法です。養育費の支払いを打ち切られるよりは、多少は減額してでも支払いを続けてもらった方がよいでしょう。

(3)いつから元に戻すのかを取り決めておく

減額に応じるとしても、いつから元に戻すのかは明確に取り決めておきましょう。前記「3」(2)でご説明したのと同じように、3ヶ月後なら3ヶ月に元に戻すと具体的に決めておくことです。

もし、3ヶ月経っても次の仕事が見つからない場合には、そのときに再協議を行うと取り決めておくとよいでしょう。

6、元夫(妻)が無職で養育費の請求が難しいときは弁護士に相談を

元夫(妻)が無職で養育費の請求が難しいときは、一人で抱え込まず弁護士に相談することをおすすめします。

離婚問題や親子の問題に詳しい弁護士に相談すれば、養育費の請求が可能なケースかどうかを的確に判断した上で具体的なアドバイスが得られます。

請求可能な場合には、相手との交渉は弁護士に任せることができます。法的な観点から冷静に話し合いをしてくれますし、高度な交渉力で相手を説得してくれますので、養育費を獲得できる可能性が高まります。

調停や審判が必要な場合でも、弁護士がついていればサポートが受けられるので安心です。

元夫(妻)が無職でも諦めずに、弁護士の力を借りて適切な養育費を獲得しましょう。

元夫(妻)が無職でも養育費の請求に関するQ&A

Q1.元夫(妻)が無職でも養育費を請求できる?

できます。

離婚後の養育費の支払い義務は、民法第766条1項・2項に定められています。夫婦が離婚する際には、「子の監護に要する費用の分担」について定めることとされているので、この規定に基づいて夫(妻)は養育費の分担義務を負うことになります。

Q2.無職の元夫(妻)への養育費の請求が認められにくいケースは?

(1)病気や障害のため働けない場合
(2)生活保護を受給している場合
(3)乳幼児が複数いて監護の負担が大きい場合

Q3.無職の元夫(妻)へ上手に養育費を請求するコツは?

(1)できる限り話し合いで養育費を取り決める
(2)いつから・いくら支払ってもらうのかを明確に取り決める
(3)取り決めを公正証書にしておく

まとめ

無職の元夫(妻)が養育費を支払ってくれないという場合は、まずその理由を確認することが大切です。

病気や障害のために今後長期間にわたって働けず、資産や不労所得もないという場合は、養育費を請求するのは難しいです。

しかし、そうでない限りは親としての扶養義務を果たしてもらわなければなりません。子どもを育てていくためには、養育費を獲得することがとても大切です。

お困りの場合は弁護士にご相談の上、適切に養育費を請求していきましょう。

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