夫婦関係がうまくいかなくなると離婚が頭をよぎるものですが、離婚には「デメリット」もあります。
子どもがいたなら当事者はそのぶん増えるため、自分だけの感情で決めることもできません。
今回は、
- 離婚のデメリット
- 夫婦関係を修復する方法
について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
目次
1、離婚のデメリットって何?
最初に離婚の数あるデメリットを確認してみましょう。
これらのデメリットを超えてもなお離婚の決意が変わらないのか、確認してみてください。
(1)女性のデメリット
女性が離婚する主なデメリットは下記の7つです。
① 経済的に苦しくなる
近い将来、または現在も一部の女性には無関係なデメリットかもしれません。
しかしやはり、まだまだ男性が主な稼ぎ役、という役割分担であった家庭も多いことでしょう。
結婚によって仕事をセーブした専業主婦の女性が経済的に一人立ちするには、相当の時間も必要となります。
確かに離婚をすることによって夫から養育費や慰謝料をもらえる可能性はあります。
しかし、特に養育費は確約されたものではありません。
もし夫が途中で支払いをやめた場合、訴えることはできますが、それには時間も労力もお金も必要なのです。
結局継続的な養育費は夫の気持ちや誠意のみが頼みの綱。
自分でなんとかできるものではありません。不安定と言わざるをえないでしょう。
その他公的支援など使える手当はあるものの、子どもを抱えて女性が一人で生きていくにはそれ相応のお金は必要です。これまで通りの生活水準は保てない可能性が高いでしょう。
② 子どもが傷つく
子どもがいる場合には、子どもに片親がいなくなってしまいます。
子どもが傷つくことを一番に考えてください。
思春期を迎える頃には反抗が強くなる可能性があります。
そして子どもの戸籍の変更などがあると、学校や友人などから「お父さんはいないの?」などと言われて傷つく結果になるでしょう。
親の離婚について子どもがどのくらい傷つくか、こちらの記事も参考にされてください。
③再婚できるとは限らない
離婚をしてもいずれ再婚できるだろうというのは希望的観測です。
バツイチの女性とは結婚したくはないと考える男性も世の中にはいます。
男性が承諾したとしても、親族が反対するケースもあるでしょう。
再婚できるとは限らないと認識した上で離婚は決意しなければなりません。
④周囲の目が厳しい
離婚をすることで同僚や近所が根も葉もない噂をする可能性があります。
事実無根な話に傷つく可能性もあるでしょう。好奇の目で見られることも。
「離婚したんだって」「母子家庭だって」などと後ろ指を指される可能性も否定はできないでしょう。
⑤職に就きづらい
離婚をしてから就活をしたとしても、なかなか仕事は見つかりません。
子どもが幼いなら、余計に仕事は見つかりにくいでしょう。
場合によっては仕事だけではなく、住居の確保も困難です。
定職がない限りは賃貸住宅を借りられない可能性も。
⑥寂しさが増す
夫婦関係がうまくいかずに離婚したにもかかわらずに一人になると寂しさが増す可能性があります。
食事をするのも一人、休日外出するときにも一人、というケースもあるでしょう。
子どもがいてもイライラが募って余計に寂しい思いをするかもしれません。
⑦子どもを一人で育てていく
離婚をして親権(監護権)を得たなら、子どもは一人で育てていくことになります。
日本の法律では離婚をしたなら親権は夫婦どちらか一方しか持てないのです。
女性一人で子どもを育てていくには覚悟が必要です。
細かい話、夜は一切家を空けられない、朝はどんなに体調がすぐれなくても起きて世話をしなければなりません。頼れる男手はないと認識しましょう。
(2)男性のデメリット
男性が離婚することによるデメリットも主に7つです。
①世間体が悪い
男性が離婚をして辛いと感じるのは世間体が悪いことです。
「奥さんに逃げられた」「子どもに会えなくなったらしいよ」などと噂されたり、直接聞かれたりします。
例え、間違った情報でも、会社内ではそれなりの噂は覚悟しなければいけません。
ムキになって否定しても余計に格好がつかないことでしょう。
②子どもに会えなくなる可能性も
基本的には面会交流権がありますから子どもにも会えるチャンスはあるでしょう。
しかし、離婚の条件で、面会交流は認めないことになっている場合には、子どもには会えなくなってしまいます。
そして、例え離婚当初は会えたとしても、徐々に会える回数は減って行く可能性もあるでしょう。
小さいうちは気がつかないものですが、子どもはすごい勢いで成長するのです。
あっという間なのです。
日々大人時間を過ごしていると、次に子どもに面会したとき急激に子どもが大人になっていて、何を話せばいい⁈という状況になることも。
相手が再婚した場合には、二度と会えなくなる可能性もあります。
③子どもに憎まれる可能性も
子どもは離婚によって父親に捨てられた、と感じるかもしれません。
事実とは違っていたとしても、子どもの感性はわからないもの。
離婚した父親は子どもに憎まれる可能性があるのです。
二度と会いたくないと感じられることもあるでしょう。
④一人で家事をこなさなければいけない
男性は離婚によって独身に戻ります。
そのため、これまで妻がこなしてくれていた家事一切をやっていかなければなりません。
家事が得意な男性なら平気でしょう。
しかし、これまで家事一切を妻に任せっきりだった場合には、仕事との両立は至難の業。
慣れるまでは時間がかかるかもしれません。
⑤再婚できるとは限らない
バツイチの男性が再婚できるとは限りません。
男性の場合には、一度の失敗で結婚する意欲が失せる可能性もあります。
また、運良く再婚相手が見つかったとしても、今度はうまくいくとは限りません。
前妻との間に子どもがいる場合には、トラブルの元です。
⑥多額の慰謝料や養育費が発生することも
離婚をすることで親権は母親が持つケースが多く、多額の養育費や慰謝料を支払うケースもあるでしょう。
男性が離婚をするデメリットの多くは金銭問題です。
婚姻を続けていた方が金銭面では辛くはない可能性が高いといえます。
慰謝料は決まった金額を払い終えればそこで終わりですが、養育費は子どもが成人するまで基本的には続きます。
⑦寂しさが増す
帰宅しても一人です。
食事をするときも寝るときも一人になるでしょう。
一緒に笑い合える家族がいないことは寂しいと感じる可能性が高いのです。
もしも病気になっても看病してくれる家族はいません。
寂しさは離婚後の方が大きいといえます。
親の介護も一人で(または兄弟と)乗り越えなければなりません。
2、離婚の大きなデメリット!子どもが傷ついた体験談
離婚のデメリットは子どもが傷つくということです。
離婚をした結果、子どもが深く傷ついた体験談をご紹介します。
幼い頃に両親の離婚により、親権を持つ母親にDVを受けた子どもの例です。
幼い頃の虐待の記憶は思春期を迎えても薄れることはありません。
思春期を迎える頃には「死にたい」という感情が大きく芽生えてしまいました。
たまに離婚した父親を含めて外食をする際にも母親から暗に「来るな」という視線を浴び、嘘をついて留守番をするようになっていたのです。
父親はがっかりしてくれますが、母親は心底ホッとした様子。
顔を合わせれば身体的虐待に精神的な虐待を受け続け、生きていく気力も薄れています。
もしも死んだなら、母親が後悔してくれるのか?などと考える毎日です。
離婚は両親が勝手にしたことです。
その八つ当たりを子どもにするべきではありません。
それでなくても子どもは傷ついています。
辛いのは子どもなのだと理解して子どもの心をケアしながら生活をしていく必要があるでしょう。
この例では母親がまだ幼い心の持ち主だということです。
何があっても子どもにDVを加えてはいけません。
3、デメリットが多い離婚を回避し夫婦関係を修復する方法
離婚のデメリットを確認し、離婚は避けようと感じられたのなら、こちらの夫婦関係を修復する方法をご覧ください。
(1)配偶者に改心してもらう
まずは、配偶者に改心してもらうことを考えてみましょう。
例えば、配偶者の浮気が原因なら浮気はやめて家庭に戻るように仕向けてみるのです。
配偶者のギャンブル癖なら依存症外来などを受診して治療に専念してみましょう。
ここで重要なのは、配偶者だけが改心するのではないということです。
どんなに配偶者だけの責任であったとしても、あなたは夫の配偶者として、歩み寄ることが一番の近道となるでしょう。
お互い和解することが重要です。
(2)冷静に家族の今後を話し合う
配偶者に改心するように働きかけたなら、こじれた夫婦関係の修復のために冷静に家族の今後を話し合ってみましょう。
離婚するべきなのか、それとも関係を修復してやり直すのか、あなたからできるだけ離婚は避けたいという意思をはっきり示してください。
夫婦関係の修復を決めたなら今後お互いにどうしていくのかを具体的に話し合うようにしましょう。
(3)夫婦の約束ごとを決める
夫婦関係に修復に向けて、お互いの約束事を決めてみてください。
新婚夫婦が円満夫婦に向けて約束事を決める感覚と一緒です。
約束事は小さなことで構いません。むしろ小さなことにするべきです。
例えば、お互いに一日一回は「ありがとう」と感謝を伝えるなど。
守れそうで今まで守れなかった約束事をお互いの日課にしてみましょう。
お互いを束縛するような約束事は逆効果。
できることから始めてみてください。
(4)子どもの心理を訴える
DVなどの場合を除いては、両親の離婚を望む子どもなどいません。
子どもが今どういう心理状態なのかを母親のあなたから夫に説明しましょう。
夫婦関係が険悪なことは子どもも気が付いているはず。
子どもは深く傷ついていることでしょう。
「離婚しないで」などと子どもが泣いている可能性もあります。
しかし、父親はそのことに気が付いていない可能性もあるでしょう。
(5)離婚のデメリットを伝える
ここまでの方法でも夫が離婚の方針を変えないならば、離婚のデメリットを夫に説明してみましょう。
離婚することで、どのような影響があるのかをしっかり説明してください。
実は上記の通り男性にもデメリットが多いもの。
男性は離婚するまでその現実に気がついていない可能性があります。
解決策が本当に離婚しかないのかを夫婦で話し合ってみてださい。
(6)円満調停
実は、家庭裁判所に円満調停を申し立てることで、第三者が夫婦関係の修復のお手伝いをしてくれます。
関係修復に向けての解決策の提示をしてもらえ、離婚するべきか悩んでいるカップルでも利用することができるのです。
(7)弁護士に相談
円満調停の手続きなどは弁護士が代理で行ってくれます。
弁護士は離婚についての相談だけではなく夫婦関係の修復についても相談に乗ってくれるでしょう。
双方の意見を聞きながら公正に法律と照らし合わせてアドバイスしてくれます。
どうしても夫婦関係の修復が当事者同士では難しい場合には弁護士に相談してみるといいでしょう。
4、離婚のデメリットを理解しても夫婦関係を修復できない場合には?
離婚の数あるデメリットを認識しても夫婦関係の修復が難しい場合には、離婚を選択することになるでしょう。
離婚は女性にはデメリットがたくさんあるため、できるだけ有利に進めていくべきです。
離婚の際には離婚問題に詳しい弁護士に相談してください。
慰謝料や養育費なども有利になるように離婚を進めてくれるでしょう。
まとめ
離婚にはデメリットがたくさんあります。
デメリットを理解すれば夫婦関係の修復を目指したくなるかもしれません。
離婚を決意する前に本当に離婚した方が家族のためにいいことなのかを一度立ち止まって考えてみてください。
それでも本当に離婚するしか道がないと感じられたなら、早い段階で弁護士に相談してみましょう。
離婚をするならできるだけ有利に離婚をし、あなたと子どもの幸せを考えてください。