アスペルガー症候群を抱える旦那との結婚生活において、疲れを感じている方もいることでしょう。
ここでは、旦那のアスペルガーが原因で妻が疲れる理由や、カサンドラ症候群についても考え、疲れた妻たちが取るべき対処法を5つ紹介します。
目次
1、アスペルガー症候群とは?
旦那のアスペルガーで悩んでいる人は、悩みを解決の方向へ導くためにもアスペルガー症候群がどのような病気なのかを確認しておきましょう。
(1)発達障害の一種
アスペルガー症候群とは、社会性やコミュニケーションの障害、想像力や共感性の不足、興味や活動のかたよりなど、自閉症に見られる特徴を持つものの、知能に異常がなく、言葉にも遅れがない症状の総称です。発達障害の一種で、近年では自閉症スペクトラム障害(ASD)の一つとして位置づけられています。
幼少期に発達障害の診断を受けている人もいますが、大人になってから発達障害であることに気がつく人もいます。中には、自分では発達障害だと気づいておらず、周囲の人の発言により本人が発達障害であることを自覚するケースもあります。
(2)完治させる方法はない
アスペルガー症候群の夫を持つ妻は、アスペルガー症候群を治す薬や治療法の存在について調べる人が多いでしょう。残念ながら、アスペルガー症候群の人は生まれつき脳機能に障害があるため、完治は難しいのが実情です。しかし、症状を軽減させることはできる場合があるため、症状の軽減を目指す場合は本人の根気と周囲のサポートが必要となります。
(3)本人に悪気はないことが多い
アスペルガー症候群は生まれつきの脳機能の障害なので、本人は自分の症状について疑問や悪気を感じていないことが多いです。本人の発言が周囲を傷つけたとしても、本人は人を傷つけようと思ってその発言をしているわけではないことが少なくありません。そのため、問題発言や問題行動について本人を責めても意味のないことが多く、社会生活に適切に順応させるためには、専門的な医学的アプローチが必要なこともあります。
2、旦那のアスペルガーで妻が疲れてしまう理由
では、ここからは旦那のアスペルガーで妻が疲れてしまう理由をみていきましょう。夫がアスペルガーであることはわかっていても、なぜ夫と一緒にいると疲れてしまうのか、その原因をなかなか理解できていない女性は多いです。自分の疲れの原因がわかるだけでも少し心が軽くなりますので、以下で疲れる理由を確認してみてください。
(1)神経質で気難しいことが多い
アスペルガーの人は神経質で気難しいことが多いです。自分の生活習慣や行動パターンにこだわりを持ち、同じパターンを繰り返すことを好みます。そのため、自分の行動パターンを崩すことを極端に嫌ったり、臨機応変に柔軟に対応することができなかったりします。結婚生活を続けていれば、急に予定が変更になったり突発的な用事が入ったりすることもあるはずですが、それに対応することがアスペルガーの人には難しいのです。
(2)コミュニケーションが十分にとれない
アスペルガー症候群の人とはコミュニケーションを図ることが難しい場合が少なくありません。アスペルガーの人は他人の話をじっくり聞いたり共感したりすることが苦手で、自分の話したいことを一方的に話す傾向が強いです。そのため、妻が夫に話を聞いてもらいたい・共感してもらいたいと思っても、アスペルガーの夫にはそれが難しく、話を聞いてもらえない妻のストレスは溜まる一方です。
また、悪気があるわけではないのですが、アスペルガーの人は思ったことをそのまま口にしてしまいます。言われた側が傷つくことであったとしても、空気を読んで発言しない・オブラートに包むということがアスペルガーの人には難しいのです。
(3)精神的なつながりが感じられない
アスペルガーの人はパートナーの話に共感したり人と深い絆を作ったりすることを苦手とする人が多いです。そのため、結婚して同じ家に住んでいても、心を通わすことができず、一人ぼっちのような気分になってしまう妻が多いです。
(4)他人とトラブルを起こすことが多い
アスペルガーの人は空気を読むことができないので、人が傷つく発言を堂々としてしまったり人が嫌がることを平気でやってしまったりすることがあります。そのため、他人とトラブルを起こすことが多いです。本人に悪気がないので、謝ることもなかなかできません。
また、「夫婦だったらこうするよね」等の価値観を理解することができないので、配偶者の親戚の集まりに出席したり葬儀に出席したりすることもなかなか難しいです。
(5)パートナーとの問題を第三者に理解してもらえない
見た目や浅い付き合いだけでは、アスペルガーの夫に精神障害があることが他人にはわかりません。そのため、アスペルガーの旦那との問題をなかなか第三者に理解してもらえないのも妻にとっては辛いところです。
3、疲れを放置するとカサンドラ症候群を発症するかも?
アスペルガーの夫を持つ妻が疲れを放置するのはとても危険です。カサンドラ症候群を発症するリスクがありますので、以下確認していきましょう。
(1)カサンドラ症候群とは
カサンドラ症候群とは、発達障害の配偶者にストレスを感じ、睡眠障害やうつなどの不調が生じる状態をいいます。正式な疾患名ではありませんが、アスペルガーの旦那を持つ妻はカサンドラ症候群になっている場合が少なくありません。
(2)カサンドラ症候群の症状
カサンドラ症候群の症状は人によって違いますが、精神的な症状として、うつ状態、不安感が強まる、無力感や自己否定に襲われる等があります。
また、身体面にも症状が出ることがあります。頭痛、胃痛、疲れやすい、眠れない、食欲がわかない、突然涙が出る等の症状があります。
(3)カサンドラ症候群になりやすい人の特徴
カサンドラ症候群になりやすい人の特徴は、自分を責める癖がある、真面目、責任感が強い、人に相談できない、完璧主義、我慢強い等が一例として挙げられます。
一つでもこれらの特徴に当てはまり、旦那がアスペルガーの人は、自分がカサンドラ症候群にならないように注意することが必要です。
4、旦那のアスペルガーに疲れた妻たちが取るべき対処法5つ
旦那のアスペルガーに疲れを感じているにもかかわらず放置していたら、いつかは妻の心身がボロボロになります。ここからは旦那のアスペルガーに疲れた妻たちが取るべき対処法をご紹介します。
(1)専門医の治療やカウンセリングを受けさせる
夫婦だからといって、旦那のアスペルガーによる疲れや悲しみを妻が全て背負ってしまっては心身ともにボロボロになってしまいます。アスペルガーは精神疾患なので、妻が一人で背負いこむのではなく医学的な対処で症状を軽減させることが大切です。
ただ、アスペルガーの人は気難しい人が多いです。旦那本人が治療を拒む場合、まずは妻だけでも受診し専門家からのアドバイスを受けましょう。
(2)アスペルガーの特性を理解する
相手は脳機能に障害を抱えているのですから、普通の人と同じようにコミュニケーションをとろうとしても難しいのは当然です。アスペルガーの特性を理解し、相手が対応可能なコミュニケーションをとるように工夫しましょう。そのためにも、専門医やカウンセラーからアドバイスを受けるとよいでしょう。
現在の医学では、アスペルガー症候群の原因となっている脳機能の障害を改善する治療方法は見つかっていません。そのため、症状を軽減させるための治療法としてカウンセリング等による認知行動療法がとられますが、その効果を上げるためには、本人だけでなく周囲の人たちがアスペルガーの特性を理解し、根気よく対応していくことが重要となります。
(3)家庭内でのルールを定める
アスペルガーの人の行動や気持ちは読み切れませんし、特定の行動を強制しようとするとトラブルが生じがちです。ですので、あらかじめ相手の気持ちが落ち着いているときに生活上の必要性を説明した上でルールを取り決め、円満に暮らしていくための「約束」をしておきましょう。
たとえば「水曜日19時からは夫婦でゆっくり話す時間を作る」「月曜日の子供の習い事の送迎は旦那が行う」などはっきりとした約束事を決めておくとアスペルガーの人もルールを守れる可能性が高くなります。曖昧にルールを決めて、察してくれるはず!と期待することはやめましょう。
(4)うまくいかなくても落ち込まない
相手に悪気はないのですから、相手とのコミュニケーションがうまくいかなくても自分を責める必要はありません。難しい人を相手にしているのですから、コミュニケーションをとろうと試みるだけでも素晴らしいことです。
うまくいかないことがあるたびに落ち込んでいては身が持たないので、「うまくいかない方が普通」など考え方を変えてみると心が楽になるでしょう。
(5)我慢できないときは相手と距離をとる
相手の言動が目に余るもので全く改善が見られない場合や、ご自身がカサンドラ症候群で辛い場合、子どもに悪影響が及ぶ場合などは、別居や離婚を検討することもやむを得ないでしょう。
夫婦になったのだから我慢して当たり前と考える人がいますが、一番大切なのはあなたの心と体の健康です。自分をないがしろにして旦那の世話ばかりをすることがないよう、自分の心身のケアも大切にしましょう。
5、アスペルガーの旦那と離婚したいと思ったら…
最後に、アスペルガーの旦那と離婚したいと思ったときの流れや注意点を確認していきましょう。
(1)アスペルガーを理由として離婚できる?
旦那がアスペルガーであることから結婚生活に限界を感じ離婚を考える人もいるでしょう。ここでおさえておかなければならないのが、旦那が離婚に同意してくれない場合、アスペルガーであるというだけでは「重度の精神病」とまではいえず、法定離婚事由に該当しない可能性が高いという点です。アスペルガー以外に離婚事由にあたるものが見当たらない場合は、裁判をしても離婚できない可能性があることを頭に入れておきましょう。
これに対し、モラハラやDV等、アスペルガー以外の要素で「婚姻を継続しがたい重大な事由」がある場合は、法定離婚事由にあたります。アスペルガーの夫が単に空気を読まない、コミュニケーションがとれない、というだけでなく、モラハラやDVに該当する言動を行っている場合には、その点を主張して離婚を求めることが考えられます。
なお、話し合いで合意できる場合は、法定離婚事由がなくても離婚できます。
(2)まずは別居するのがおすすめ
いきなり離婚の話を進めるのはハードルが高いと感じる人も多いでしょう。ご自身と子供の身の安全を確保するために、まずは別居をしてみるのもおすすめです。別居期間が長くなると、裁判をやったときに離婚が認められる可能性が上がる場合があるので、一つの選択肢として別居も検討してみてください。
(3)離婚手続きを進める方法
離婚をするには、離婚協議、離婚調停、離婚訴訟の3つの方法があります。
夫がアスペルガー症候群であるというだけでは法定離婚事由にはなりにくいので、できる限り話し合いで協議離婚の成立を目指した方がよいでしょう。
ただし、アスペルガーの人は自分の主張がコロコロ変わることが多いので、財産分与や子供の教育費等、大切な部分は話し合いのみで終わりにせず、必ず書面にまとめておくことをおすすめします。
話し合いでまとまらない場合は、離婚調停に進みます。日本では調停前置主義が採用されているので、訴訟の前に調停を行うこととなっています。離婚調停では、夫婦当事者の間に調停委員という中立・公平な立場の第三者が入って離婚の話し合いを進めていきます。当事者のみでは感情的になってしまう夫婦も、第三者が間に入ることで冷静に話を進めることができる場合があります。
調停でも話がまとまらなかった場合は離婚訴訟に進みます。離婚訴訟では裁判官が離婚の判断を下しますので、法定離婚事由に該当する要素がないと判断されれば離婚をすることができません。どのような主張をするかで離婚できるかどうかが変わってきますので、裁判まで進みそうな場合は早めに弁護士に相談をしておきましょう。
6、旦那のアスペルガーで疲れたら弁護士に相談を
旦那のアスペルガーに疲れたら弁護士に一度相談をしてみましょう。弁護士に相談をすることで心が楽になる人は多いです。また、離婚を考えているのであれば、離婚までの流れや必要な証拠等も弁護士からアドバイスをもらうことができます。さらに、夫婦問題の解決実績が豊富な弁護士に相談すれば夫婦カウンセラーを紹介してもらえることもあるでしょう。
旦那のアスペルガーに疲れたに関するQ&A
Q1.アスペルガー症候群とは?
アスペルガー症候群とは、社会性やコミュニケーションの障害、想像力や共感性の不足、興味や活動のかたよりなど、自閉症に見られる特徴を持つものの、知能に異常がなく、言葉にも遅れがない症状の総称です。発達障害の一種で、近年では自閉症スペクトラム障害(ASD)の一つとして位置づけられています。
Q2.旦那のアスペルガーで妻が疲れてしまう理由とは?
- コミュニケーションが十分にとれない
- 神経質で気難しいことが多い
- 精神的なつながりが感じられない
- 他人とトラブルを起こすことが多い
- パートナーとの問題を第三者に理解してもらえない
Q3.旦那のアスペルガーに疲れた妻たちが取るべき対処法5つとは?
- 専門医の治療やカウンセリングを受けさせる
- アスペルガーの特性を理解する
- 家庭内でのルールを定める
- うまくいかなくても落ち込まない
- 我慢できないときは相手と距離をとる
まとめ
旦那がアスペルガーだとコミュニケーションがうまくいかないことや旦那の気難しさ等に疲れてしまうことが多いでしょう。夫婦といえども、すべてを一人が抱え込む必要はないので、アスペルガーの旦那に疲れたときは自分自身の心のケアも大切にしてくださいね。
離婚を検討している場合は上記のようにアスペルガーという理由だけで離婚することは難しい場合も多いので、旦那に離婚の話をする前に一度弁護士に相談することをおすすめします。