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大麻で逮捕されたらどうなる?|大麻に関する罪とやめる方法

大麻 逮捕

「大麻に手を出してしまったが、逮捕されたらどうなるのか」
と不安を抱えていませんか?

平成30年度版犯罪白書によれば、平成29年に検察庁において大麻取締法違反で受理した被疑者の数は4540人。平成3年以降では最も多い数となっています。
また、大麻取締法違反での「少年」の検挙数もここ5年で急激に増加しています。

このように、大麻は私たちの身近に潜む犯罪といっても過言ではありません。

今回は、

  • 大麻に関する罪とその罰則
  • 大麻がもたらす危険性、有害性
  • 大麻を止めるための方法

をご紹介するとともに

  • 万が一大麻で逮捕された場合の流れ
  • 大麻で逮捕されたときに弁護士に依頼するメリット

などについてご紹介いたします。
この記事が大麻でお悩みの方のための一助となれば幸いです。

警察に逮捕について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

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1、 大麻で逮捕されてしまったら|その罪とは

大麻で逮捕されてしまったら|その罪とは

大麻に関する罪は「大麻取締法(以下、法という)」に規定されています。
法では、

  • 所持
  • 譲り受け
  • 譲り渡し

などを禁じ、罰則を設けています。

(1)大麻の使用自体は罪にならない

通常、薬物犯罪では、薬物の「使用」も処罰の対象としています。
しかし法で は、大麻の「使用」に関し処罰規定を設けていません。
その理由としては様々あるようですが、一番大きな理由は私たちの生活に関係しているようです。

すなわち、七味唐辛子の麻の種は元々大麻草から取れたものであったり、また神社にあるしめ縄の原材料の麻は大麻草の茎から作られていると言われています。
これらは幻覚成分がなくなった成熟した種や茎を使用しているので、使用したからといって特に害は生じないからです。

他方で、幻覚成分がなくなった種や茎を摂取しても、尿検査において微量の大麻成分が検出される可能性がゼロとはいえず、規制対象とされている花や葉っぱ、大麻樹脂を摂取した場合と区別ができなくなるといわれています。

こういった経緯から、法では使用の罪を処罰対象から除外しているのです。  

法で処罰対象とされている主な態様及びその罰則については以下の表のとおりです。

所持、譲受、譲渡5年以下の懲役
営利目的所持、譲受、譲渡7年以下の懲役又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金
栽培、輸入、輸出7年以下の懲役
営利目的栽培、輸入、輸出10年以下の懲役又は情状により10年以下の懲役及び300万円以下の罰金
栽培、輸出入の予備3年以下の懲役

(2)医療大麻ってなに?

元女優の高樹沙耶さん(益戸育江さん)で一般的にも広まった「医療大麻」。
医療大麻とは大麻に含まれる成分を用いた治療薬をいいます。
原料自体は大麻やその成分であることに変わりはありません。
日本では、上記のとおり大麻の所持などは禁じられており、医療大麻も禁止されています。

しかし、海外に目を向けると、カナダ、ウルグアイなど医療目的のみならず嗜好目的での大麻の所持などを認める国、イギリス、オランダ、ドイツなど医療目的に限って大麻の所持などを認める国などがあります。

なお、アメリカは、連邦法では大麻を「もっとも乱用性が高く、医療用途がなく、安全性に欠如した物質」として禁止薬物に指定している一方で、医療用の大麻の所持などを認める洲法を設けている州(カリフォルニアなど)もあります。

このように、国によって対応が異なるのも大麻の特徴と言えるでしょう。

(3)その他の薬物犯罪

薬物といえば、大麻のほかにも覚せい剤、あへん、モルヒネ・コカインなどの麻薬、向精神薬、危険ドラッグなどが挙げられます。

覚せい剤は覚せい剤取締法、あへんについてはあへん法により、麻薬、向精神薬については麻薬及び向精神薬取締法により、また、危険ドラッグについては、主に平成26年11月25日から施行された改正医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律で規制されています。

2、 なぜ,日本では大麻は禁止されているのか?

なぜ,日本では大麻は禁止されているのか?

「1」でご紹介したように、世界には大麻を合法とする国も存在します。
ではなぜ日本では大麻は禁止されているのでしょうか?

(1)心身に有害だから

まず、大麻を使用すると大麻に含まれるTHC(テトラヒドロカンナノビール)と いう成分が脳の中枢神経に作用し、その結果、酩酊、陶酔、興奮、パニック、妄想幻覚 などを引き起こすと言われています。

また、統合失調症などの精神疾患の発症や集中力・ 記憶力の低下など精神や知能にも影響を及ぼすと言われています。

大麻を繰り返し使用すると薬物依存となり、半永久的に依存の状態から抜け出すことはできません。

(2)社会に有害だから

上記害悪の結果、家族、仕事、人間関係など、その人を取り巻く環境に様々な悪影響を及ぼします。

また、大麻に関わる犯罪のみならず、交通事故など他の犯罪を誘発しやすくなります。

薬物中毒者が車を運転し、歩行者を死傷させたとして危険運転致死傷罪に問われた事件などは、これまで繰り返し報道されてきました。
さらに、大麻の取引で得られたお金は暴力団などの反社会的勢力の資金源にもなりかねず、そのことがまた新たな犯罪を生むきっかけにもなりかねません。

個人の身体を害することについては個人の責任であったとしても、じゃあ国民全員(または多くの国民)がそういう状態になったら?ということを考えれば社会問題であることがわかっていただけるかと思います。

(3)大麻に代わる繊維産業を発展させたかったから?

日本で大麻の所持等が全面的に禁止されたのは戦後になってからです。
当時、アメリカでは大麻に代わる繊維産業を発展させようという経済的理由から、事実上大麻を全面的に禁止していました。
そうした中、GHQは、ポツダム省令(大麻を麻薬として規制)により日本での大麻の所持等を全面的に禁止したのです。

しかし当時、日本では大麻は繊維素材や薬としてごく普通に日常生活に取り入れられていました。

そこで、大麻だけは麻薬規制から独立した形で規制する必要が生じました。
こうして制定されたのが大麻取締法だったのです。

これら様々な理由がありますが、他国でも同様の弊害があったとしても、その弊害を「どう受け止めるのか」は弊害に対する環境整備や国民性によります。
他国が良しとしているから日本でもいいのでは、という問題ではなく、(他国の考えはどうあれ)日本ではどう考えるのかという観点から日本では禁止されている、と考えるとわかりやすいでしょう。

3、大麻を止める、縁を切る方法

大麻を止める、縁を切る方法

例えば重婚(複数の人と結婚できること)を認める国があれば認めない国があるように、法律が国によって異なることは仕方ありません。
海外で良しとする理由を持って自国でも良しとする法律に変えたいのであれば、大麻を推進する国会議員になるしかないかもしれません(高樹沙耶さんが議員に立候補した理由がわかると思います)。

ともあれ、現状、日本では大麻は禁止です。

そのため、大麻を使用したくても、大麻を止める・大麻と縁を切らなければ刑事罰を受けることになり、社会的地位も脅かされることになってしまいます。

本項で大麻を止める方法の例を挙げました。
できるなら、大麻に依存する状態になったり、刑罰を受けることになったりする前にぜひ行動に移してください。

(1)なぜ大麻にハマってしまったのか、考えてみる

あなたはなぜ大麻にハマってしまっているのでしょうか。

「気分がよくなるから」だけではないはずです。そうであればもっと多くの人がやっているでしょう。

違法と知りながらもやっている、その理由を考えてみるのです。

「苦しいことを忘れたかった」
「期待に応え続けたかった」
「できる人間になれた気がした」

・・・あなたの理由はなんですか?
大麻その他犯罪行為以外によって、事態に対応する方法はみつからないものでしょうか。

(2)大麻に対する正しい知識、危険を知る

大麻に対する正しい知識、薬物の危険を知ることからはじめましょう。

ネットでは、いつ、誰が、どんな意図で書いたのか不明で、正しい情報を載せているのかわかりません。
下記でご紹介する各都道府県に設置された精神保健福祉センターが開くセミナーなどに参加されてみてはいかがでしょうか?

また、厚生労働省のホームページには薬物乱用に関する情報が掲載されています。ぜひ一度ご覧になってください。

そして、大麻に関する正しい知識、危険性を身に付けた上で「自分は止める、手を切る!」という強い覚悟を持つことがまずは第1歩です。

厚生労働省ホームページ

(3)大麻の入手ルートを断ち切る

ご自分でいくら「止める!」と決意しても、周囲からの誘惑があれば止めること ができません。
そこで、大麻の入手ルートを断ち切ることが必要でしょう。

具体的には、大麻に関わる人物との人間関係を遮断します。
使用していた携帯電話・スマートフォンなどから電話番号やSNSアカウントなどを削除するなどの対策が必要となるでしょう。
また、一人でこれをやることに躊躇を覚える場合には、まず自分から家族などに話して、家族に協力してもらうのもいいでしょう。

(4)家族も学ぶ、学習する

大麻を止めるには、家族などの周囲の協力、サポートが必要不可欠です。

ただし、ここで注意しなければならないことがあります。
それは、本人だけでなく、家族も薬 物について学び、大麻を止めるための対応方法について学習するということです。
家族が不勉強なままサポートすると、そのことが本人のため役に立たないどころか、かえって回復を遅らせてしまうことがあります。

(5)専門機関を利用する

①精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは、県民の精神的健康の保持増進、精神障害者の自立と社会参加の促進のための援助を総合的に推進することを目的として、精神保健福祉法という法律に基づき各都道府県に設置が義務付けられている施設です。
こころの健康や病気についての相談、知識の普及、精神障害者とそのご家族への社会復帰の促進、各関係機関への技術支援などを行っています。

大麻をはじめとする薬物に関しては、「薬物依存回復支援プログラム」を実施したり、「薬物依存家族教室」を開催したり、決められた曜日・時間で電話・面談での相談を受け付けています。

病院では、病院を受診しなければ相談を受け付けてくれないかもしれませんし、更生施設では専門スタッフが在中しているかどうか不安です。
この点、精神保健福祉センターでは受診は必要ありませんし、医師や専門スタッフからの助言・アドバイスを受けることができます。

薬物乱用防止相談窓口一覧

②病院・更生施設

治療が必要なほど病状が進行している場合、医師などに相談した結果、入院・入所 を勧められた場合、ご本人・家族の力だけでは限界がある場合は、病院・更生施設 への入院・入所を検討した方がよいでしょう。
代表的な更生施設はご存知の方も多い「DARC(ダルク)」「NA(ナルコティクス・アノマシス)」です。

その他、薬物依存者を持つ家族のための自助グループなどもあります。

4、大麻で逮捕された場合の手続きの流れ

大麻で逮捕された場合の手続きの流れ

大麻で逮捕された場合、その後はどういう流れを踏むことになるのでしょうか?

(1)逮捕

大麻の所持、譲受、譲渡、栽培の場合は、その場で大麻を押収され、「現行犯逮捕」されるという事案も多く見られます。
輸出入の場合は、「通常逮捕」あるいは「緊急逮捕」される方が多いでしょう。

(2)送検

警察官に逮捕されると、逮捕から48時間以内に検察官の元へ送致される手続が取ら れます(送検)。
送検前に、検察官の判断で被疑者を釈放することもできますが、大麻事件の場合、この時点で釈放することは稀だと思われます。

(3)勾留請求・勾留決定

被疑者の身柄を受けた検察官は「弁解録取」という手続を取ってから勾留請求するかどうかを判断します。

検察官は、被疑者を留置する必要があると思料するときは24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求します。

勾留期間は、検察官が勾留請求をした日から10日間とされ、さらに検察官は、通じて10日間の勾留延長を裁判官に請求することができます。

なお、平成30年度版犯罪白書によれば、大麻事件における検察官の勾留請求率(検察官が勾留請求した件数÷検察官の元に送致された件数)は98.7%でした。

ちなみに、犯罪白書で現れた数字を基に勾留率(勾留請求許可件数÷検察官が勾留請求した件数)を計算してみると、勾留率についても98.7%でした。

つまり、大麻事件では、一度逮捕されると勾留される可能性が高いことを現しています。
再犯の可能性が高いこと、また関係者逃亡の手伝いを阻止するためなどが理由です。

(4)起訴

捜査を経て検察官が「有罪」とするに足りる証拠がそろったと判断した場合は起訴されます。
大麻の場合罰金刑のみを定めた規定はありませんから、
起訴されれば略式手続等の簡易な手続きによることはできず、必ず正式裁判を受けなければなりません。

(5)裁判

しかし、この正式裁判には2通りあります。

一つは通常の裁判です。

起訴されて判決が出るまでの期間が気になるところですが、事実関係に争いのない事件の場合には、通常、裁判にかかる期間は、1か月半から2か月と考えておいた方がいいでしょう。また、事件が複雑になればなるほど期間は長くなります。  

もう一つは即決裁判です。

即決裁判とは、一定の事件について、事案が明白かつ軽 微であって、証拠調べが速やかに終わるなどの事情があるときに、原則、1回の審理で 判決の言い渡しまで行う裁判手続をいいます。

即決裁判を受けるかどうかは、被疑者自身が決めなければなりません。
即決裁判を受けると、必ず有罪とされる(執行猶予付き 判決が付く)、事実誤認を理由として控訴できないなどの不利益がありますから、迷う方は弁護士に相談しましょう。
即決裁判は、原則、申し立ての日から2週間以内に裁判期日が入り、その日に判決(必ず執行猶予付き判決)も言い渡されます。

5、大麻で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリットとは?

大麻で逮捕された場合に弁護士に依頼するメリットとは?

刑事事件において弁護士に刑事弁護を依頼する最大のメリットは、被害者と示談交渉を行ってくれることとも言えます。示談が締結できれば不起訴処分、執行猶予付き 判決の獲得の可能性が高まります。

他方で、大麻をはじめとする薬物犯罪の場合、示談交渉の相手となる被害者が存在しません。
では、薬物事件において弁護士に依頼するメリットとどこにあるのでしょうか?

(1)身柄拘束についての弁護活動

「4」でご紹介したように、大麻をはじめとする薬物事件では逮捕、勾留される可能性は極めて高いといえます。

しかしだからといって、そのまま身柄拘束に従わなければならないかと言えばそうではありません。

弁護士がつけば、罪証隠滅のおそれや逃亡のおそれなどの勾留理由がないことを主張し、身柄拘束の必要性が低いことを訴えていきます。

また、接見禁止が付いている場合は、その裁判に対する不服申し立てを行ったり、裁判官に全部又は一部解除の裁判を促して接見禁止の全部又は一部の解除に努めます。

(2)不起訴処分、全部・一部執行猶予付き判決、無罪判決獲得に向けての弁護活動

起訴される前の捜査段階においては、「起訴猶予」による不起訴処分の獲得と、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」による不起訴処分の獲得が考えられます。

しかし、前者の場合、不起訴処分において考慮の対象となるのは大麻の量や本人の反省の態度、更生の可能性等です。

これらについて、弁護士から意見書を提出することも考えられます。

他方、被疑者が事実を否認している場合、特に、被疑者が大麻などの薬物の存在を認識していたかという「故意」を否認したり、大麻などの薬物の押収手続に異議を唱えている場合に、弁護人としては、被疑者の弁解に沿う証拠を早期に収集して分析し、それを意見書などにまとめて検察官に提出し、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」での不起訴処分獲得に努めます。

起訴された後の公判段階において、事実を認める場合は、弁護人は、被告人が反省していること、再犯可能性がないこと、更生可能性があることを主張して全部・一部執行猶予付き判決の獲得に努めます。

そのために、家族などの適切な身柄引受人と裁判に向けた打ち合わせをしたり、裁判後の入所先(ダルク等)を確保するなどして、その結果を裁判で明らかにしてきます。

否認する場合は、捜査段階と同様の活動を行い、その結果を裁判で明らかにして無罪判決の獲得に努めます。

まとめ

大麻をはじめとする薬物に手を出してしまった場合、それを一人で解決しようとしても限界があります。
必ず、家族、治療施設及び弁護士などの適切なサポートが必要となります。

こうしたサポートを活用するためには、まずはご自身が「薬物を止める」「縁を切る」という覚悟を持ち、コミュニケーションを取りながら進めていくことが大切です。

この記事が大麻など薬物でお悩みの方のための一助となれば幸いです。

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