遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)の弁護士費用はどれくらいなのでしょうか。
遺言等で遺留分を侵害され、遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)をするのに弁護士に依頼したい場合、気になるのはその弁護士費用だと思います。
遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)を弁護士に依頼するのに必要な主な費用は、
着手金 : 10万円〜30万円(無料の事務所あり) 報酬金 : 得た財産の15%〜の金額 |
です。
今回は、
- 遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)を弁護士に依頼した際の費用
- 遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)は弁護士に依頼することが必要である理由
などについて、解説していきます。
この記事が、これから遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)を弁護士に依頼して行おうと思っている方のご参考になれば幸いです。
相続の相談について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
目次
1、遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)の弁護士費用相場
遺留分減殺請求(旧遺留分減殺請求)を弁護士に依頼した場合、以下のような費用が発生します。
ただ、弁護士費用は、各弁護士が自由に設定できるため、実は相場というものは存在しません。
そのため、相談をする弁護士に対し、その都度費用を確認する必要があります。
ここでは一般的な費用について解説していきますので、ぜひご覧ください。
(1)相談費用
相談費用とは、『弁護士に相談をした時点で発生する費用』のことです。
30分5,000円で相談を受けている弁護士が一般的ですが、最近では、この相談費用を無料で受けている弁護士も増えてきており、『相談料無料』はなんら珍しいものではなくなりました。
また、
- 初回の相談に限り無料
- 一時間に限り無料
などの制限を設けている弁護士もいます。
そのため、依頼する弁護士がどのくらいの相談費用を取っているのかをしっかりと確認し、相談を依頼するようにしましょう。
(2)着手金
着手金とは文字通り、その事件に着手した時点で発生する費用のことです。
『着手した時点で』ということで、結果の成否にかかわらず、費用が発生します。
一般的に、弁護士はその事件によって得られるであろう利益から計算し、着手金を設定するため、正確な相場はありません。その都度弁護士に確認するようにしましょう。
ただし、一般的な遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)では、だいたい10万円〜30万円ほどが一般的だといわれています。
(3)意思表示
遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)の意思表示(通知)には、およそ1〜2万円を請求する弁護士が多いようです。
これは、遺留分を侵害された相続人が、遺留分を侵害している者に対し、遺留分が侵害されている旨と、その侵害の限度で金銭の支払いを求める旨を伝えるための意思表示のことです。
裁判になった際に意思表示をしたことを証拠として残すために、内容証明郵便で郵送することが一般的です。
なお、内容証明郵便の制作や発送については、別途費用が発生します。
(4)成功報酬
成功報酬とは文字通り、遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)に成功した時に支払う費用のことです。
着手金は設定しておらず、成功した時のみ報酬が発生する弁護士もいますが、そういった場合には、成功報酬がより高く設定されているケースがほとんどです。
この成功報酬は、
- 得た財産の15%の金額
- 得た財産の数%+数百万円
など、弁護士や事務所によってさまざまな金額が設定されています。
基本的には、得た財産の額に応じて変動します。
その計算方法を事細かく設定しているケースもありますので、相談する段階で、その額や計算方法について聞いておくようにしましょう。
(5)その他にかかる費用
その他には、
- 弁護士を呼んだ場合の出張費や交通費
- 事務手数料
- 裁判に発展した際の着手金や成功報酬
- 裁判収入印紙代
- 郵便代
などが挙げられます。
遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)を含む、相続問題に関しての弁護士費用については、こちらの記事も併せてご覧ください。
(6)もしも裁判に発展した場合の弁護士費用は?
裁判に発展した場合の着手金はおよそ30万円、成功報酬は、得た利益の4〜16%ほどが一般的です。
2、遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)を弁護士に依頼するメリット
もちろん、遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)をするにあたり、個人で一からすすめることは可能です。
しかし、法律が関係してきますので、個人で解決しようとするよりも、弁護士に依頼して抜けなく対応することが、よい場合が多いと考えられます。
弁護士に依頼して挙げられるメリットをいくつか挙げていきます。
(1)精神的な安定を得られる
遺留分侵害額請求を行う場面では、多くの場合、相続人間の関係性は穏やかではありません。
穏やかに解決できるのであれば、弁護士に依頼することなく個人的に交渉し、円満に相続して行けば良いだけのことです。
穏やかな関係でない場合、相手が何を考えているのか、こう出たら相手はどう出るのかなど常に探り合いの状態。
これを個人や自分の家族だけで抱えようとすると、とてつもないストレスが生じます。
また、遺留分がどのくらいになるのか、そして遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)をしたあとのゴールはいつになるのかなど、争い事は基本的に終わりが見えるまで大きな不安とストレスを抱えることになります。
そこに法律問題のプロである弁護士をつけることにより絶対的な味方が増え、精神的な安心感を得られます。
問題解決までに長い時間がかかることを考えると、ストレスをいかに少なくするかはとても重要なことなのです。
弁護士に依頼することで、本来は個人で行わないといけない交渉などを弁護士が責任をもって行うことになり、直接連絡が来たとしても、あなたは『弁護士に話している、すべて任せている』と言えば良いのです。
(2)相手はすぐに支払わない
遺留分侵害額請求(旧遺留分侵害額請求)をした場合、された側がすぐに請求額を支払ってくることはないでしょう。
ですから、早期決着をしたいならば、当初から正確な遺留分を計算し、相手の反論を受けない請求でいくべきです。
また、相手に弁護士がついた際は弁護士同士での話し合いに発展しますので、スムースに決着がつくことが多いでしょう。
(3)法的な面からの助言をもらえる
遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)を行うにあたっては、その相手が被相続人からどれくらいの財産を譲り受けたかを明らかにしてらう必要があります。
ただし、相手から伝えられているものがすべてかどうか、調査をしないと確認はできません。
その調査方法についても的確なアドバイスをもらうことができます。
また、もしも話し合いがまとまらなかった場合には、調停や裁判になることもありますが、その際には弁護士が手続きをしますので、スムーズにすすめることができます。
個人で対応するとなると、知識も労力も時間も必要になってしまいます。
3、遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)の弁護士費用を安く抑えるために
ここまで、弁護士に依頼をしたときにかかる費用の種類や、弁護士に依頼することのメリットを紹介しましたが、弁護士に依頼したときの金額を安く抑えることができれば何よりですよね。
では、そのためにはどのような方法があるのでしょうか。
(1)相談料が無料の弁護士を探す
昨今では、初回の相談料が無料をうたう弁護士事務所が増えてきました。
無料といってももちろん時間に限りはありますが、こういったサービスは利用するべきです。
ただし、その際には、その後にかかってくる費用の確認を必ず行いましょう。
また、相談料が無料であるということは、いろいろな弁護士を見て比較することができます。
費用のことはもちろん、これからいろいろな依頼をしていく相手ですので、自分に合う・合わないを見極めて納得したうえで依頼をしたいですよね。
相談料無料といっても限りある時間なので、話す内容をしっかり決め、持ち合わせていれば証拠なども持っていくといいでしょう。
時間を有効に使ってください。
詳しくはこちらの記事も併せてご覧ください。
(2)分割払いが可能か確認する
上記の無料相談と同じく、最近では弁護士費用を分割払いできるところも多くなっています。
例えば、はじめは分割払いで支払をし、遺留分を受け取れたら残りの費用を一括で支払うという方法です。
費用やその支払方法について聞くことは恥ずかしいことではありませんので、相談に行った際、必ず支払方法についても確認するようにしましょう。
まとめ
弁護士に依頼した際のメリットでも記述した通り、遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)は個人で行うことも可能ですが、精神的なサポートも含め弁護士に依頼することが賢明です。
相談費用、着手金、など色々な場面で費用がかさみがちですが、無料相談などをうまく活用して抑えられる費用は抑えていきましょう。
また、大切なのは、かかる費用をあらかじめ弁護士にきちんと確認することです。
ご自身でしっかりと納得したうえで、遺留分侵害額請求(旧遺留分減殺請求)を行うようにしてください。