離婚した元夫が再婚したという話を聞いたとき、
「自分だけサッサと幸せになって許せない」
「再婚相手に嫉妬してしまう」
と、辛い気持ちになってしまう人は多いものです。
それと同時に、
「現在もらっている養育費が途絶えるのでは?」
「減額されるのでは?」
と、今後の生活に関して差し迫る不安に駆られる方も決して珍しくないでしょう。
そこで今回は、
・複雑な気持ちになるのはなぜ?元夫の再婚でモヤモヤの原因
・元夫の再婚相手が元不倫相手だった場合の対処法
・元夫の再婚でどう変わる?子供の養育費と相続権
これらの疑問について、ひとつずつピックアップしてお答えしていきます。
元夫の再婚によって養育費の金額が変わるのか変わらないのか、自分と子供の生活にどのような影響があるのか、気になるみなさんにとってこの記事が再び心穏やかな生活を取り戻すためのお役に立てば幸いです。
目次
1、元夫が再婚した!妻たちの複雑な気持ち
元夫の再婚が決まって、心の中に様々な不安や感情が渦巻いてしまうのはみなさんだけではありません。
ここではまず、元夫の再婚に少し複雑な気持ちを抱いている妻たちの体験談を、実際にチェックしていきましょう。
(1)元夫の新しい妻が憎い
元夫と6年前に離婚したSさんが元夫の再婚を知ったのは、なんと義父の葬儀の日。
元夫の傍らに佇む女性が新しい妻だと分かり、周りの親戚からも「○○君、再婚して子供も生まれたからもう大丈夫よ」と告げられ、心のどこかで「いつかヨリを戻すことができれば…」と考えていたSさんは、大変ショックを受けてしまいました。
別れた後に元夫が昇進したこと、新しい妻のためにマイホームを建てていることなど、自分が得られなかった幸せを手にしている再婚相手が羨ましいと同時に憎らしくもあり、今もまだ気持ちの整理がついていません。
(2)SNSで再婚発覚!
元夫のSNSを通して、再婚相手の存在を知ってしまった女性(Mさん)もいます。
しかもその再婚相手は元夫との離婚の原因にもなった不倫相手で、見つけた瞬間は思わず驚いてしまいましたが、Mさんの気持ちは案外落ち着いていました。
というのも、元夫には自己愛性パーソナリティ障害があり、不倫の発覚がなくてもMさんは元夫との結婚生活にだいぶ自信をなくしていたのです。
その上元夫は浮気性で、再婚相手となった女性以外にも様々な女性に手を出してきた過去がありました。
元夫の持つ障害も浮気性も、まだ治っていないのだとすれば、Mさんがこれまで経験してきたものと同じような思いを今度は再婚相手がそのまま味わうことになります。
その苦悩を想像すると、Mさんには再婚相手の女性が少し気の毒にすら思えてくるのでした。
(3)子供にとっては唯一の父親
Aさんには7歳と5歳の子供がおり、元夫とは3年前に離婚しましたが、先日「再婚することになった」という連絡を受け、その事実を子供たちにどう伝えれば良いのかを思い悩んでいます。
元夫は再婚後も子供たちとの面会を続ける・養育費も変わらず支払うと言ってくれているものの、子供の立場からすれば父親を再婚相手に取られたような気分になるのもやむを得ないことで、ショックを受けるのではないかと心配です。
(4)「もう連絡してくるな」と言われ…
去年夫と離婚したKさんは、離婚後に看護師を志し、仕事と勉強の両立を頑張っています。
元夫はまともに定職にもつかないようなタイプであったため、離婚時には何の金銭も受け取っていませんでしたが、Kさんが看護師を目指していることを知った元夫は、「応援するよ」と言い月に2万円の養育費の支払いを約束してくれたのです。
しかし、ある日元夫の彼女と名乗る女性からメールがあり、そこには「子供ができて再婚するから、もう連絡しないでほしい」という文字が…。
元夫本人からも「養育費の支払いは無理になった」と手のひらを返され、はじめからそこまで大きな期待をしているわけではなかったものの、どこか悲しくやりきれない気持ちだけが残る結末となりました。
2、どうして複雑な気持ちになるの?モヤモヤした気持ちを徹底分析
そもそも、元夫が再婚することでモヤモヤとした気持ちになってしまうのは、一体なぜなのでしょうか。
よくある理由をピックアップしてみましたので、みなさんも自分に当てはまるものがないかどうかぜひチェックしてみてください。
(1)実は未練があったから
離婚するときには「もうこれ以上あんな人と一緒に生活することはできない!」と我慢の限界を迎えていても、いざ本当に離れてみると「やっぱり色々と良いところもあった」「幸せな瞬間も多かった」と、相手に対する未練が出てくることは多いものです。
あわよくば「いつか復縁できたら…」という気持ちもゼロではなかったのだとすれば、そこにいきなり舞い込んできた元夫再婚のニュースに動揺してしまうのも無理はないでしょう。
(2)再婚後のほうが幸せそうだから
自分と結婚していた頃と比べて、明らかに再婚後のほうが生き生きとしている元夫の姿を目の当たりにすると、「どうして私じゃダメだったんだろう」という劣等感が刺激されてしまうケースもあります。
再婚相手が自分よりも美人であったり、家庭的であったり、「自分の持っていないものを持っている」タイプである場合は特に、相手に対する嫉妬からモヤモヤとした気持ちに陥りやすいでしょう。
(3)子供の父親を取られたような感じがするから
離婚してもまた違う相手と再婚しても、子供の父親と母親であることに変わりはない―。
そう頭では分かっていても、実際に元夫が自分とは違う相手と家庭を持つという状況を迎えると、どこか心の支えを失ったような、心細い気持ちになるものです。
再婚相手に連れ子がいるケースでは、より「父親を取られた」という感覚が強くなりやすく、子供のことで相談したいことがあるときにもついつい遠慮がちになってしまうでしょう。
(4)再婚相手が元不倫相手だから
元夫の浮気が原因で離婚した場合、その浮気相手と元夫が再婚することに対して「許せない」という気持ちになる女性がほとんどです。
「人の家庭をぶち壊したくせに、どうしてそんな2人だけが幸せな生活を手に入れているの?」と、理不尽な思いに駆られてしまいます。
3、再婚相手は元不倫相手-損害賠償請求しましたか?
元夫の再婚相手が元不倫相手だった場合、その悔しさや辛さを癒す手段のひとつとして損害賠償請求を挙げることができます。
どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。
(1)不倫をした元夫、その不倫相手には損害賠償請求ができる
みなさんと元夫が結婚していた当時から、元夫が不倫相手と肉体関係にあったのであれば、それは民法上の不貞行為に該当するため、元夫とその不倫相手に損害賠償請求を行うことができます。
損害賠償とは平たく言うと慰謝料のことで、みなさんが受けた精神的な苦痛に対していくらかの金銭を要求することができるのです。
(2)ただし不倫を知った時から3年以内でなければならない
この損害賠償請求には時効があり、それは「配偶者の不貞行為と不倫相手の存在を知った日から3年以内」と定められています。
「離婚してから3年以内」ではないところが注意しておきたいポイントで、実際に以下のような最高裁判所の判例もあるため、不倫が発覚してからまだ3年以内のみなさんは、なるべく速やかに手続きを検討しましょう。
なお、不倫の損害賠償請求の時効について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
4、元夫が再婚したら子どもの養育費はどうなる⁈
続いて、子どもがいる場合に気になる養育費についても詳しく解説していきます。
(1)養育費とは
養育費とは子どもの健やかな成長のために必要な費用のことで、離婚によって片方の親が子どもと別々に暮らしていても、親である以上は子どもを養育する義務があります。
そのため、一般的には毎月決まった金額を養育費として支払い、子供の生活を間接的にサポートするのです。
(2)養育費の減額が認められるケース
養育費は離婚時の話し合いでその具体的な金額や支払い方法を決定しますが、離婚後どちらかの状況が変わった際には、減額が認められることもあります。
たとえば次のような場合には減額請求が認められますので、元夫の再婚(=扶養家族の増加)をきっかけに養育費が減額されてしまう可能性も残念ながらゼロではありません。
- 元夫の収入が減った
- 元夫に扶養家族が増えた
- 元妻(親権者)の収入が増えた
- 元妻(親権者)が再婚し子どもを扶養する人が増えた
(3)減額請求に対抗する方法とは?
減額請求の最初のステップは、当事者同士での話し合いです。
元夫から減額請求があっても、それに応じたくなければその旨をハッキリと元夫に伝えましょう。
次のステップとして元夫が調停を起こす可能性もありますが、その際には以下の対策を取ることで減額請求に対抗することができます。
- 現在の生活がギリギリであることを主張する
- 養育費を減額されると生活が困窮することを主張する
- 元夫の収入がアップしている場合は、その点を指摘する
5、元夫が再婚して子どもができたら元夫の相続権はどうなる?
元夫と再婚相手の間に子どもができた場合の相続権についても、詳細をチェックしていきましょう。
(1)元夫との間の子どもは元夫の相続人
婚姻中に元夫との間に生まれたみなさんの子どもは、夫婦が離婚しても変わらず元夫の財産の相続人です。
それは元夫が再婚し、その相手との間に新たな子どもをもうけても同じで、この場合はみなさんの子どもと再婚相手との間の子ども、両方が元夫の相続人となります。
一方、再婚相手に連れ子がいた場合、ただ元夫と相手が再婚しただけでは連れ子には元夫の相続権が発生しません。
ただし、再婚と同時に連れ子と養子縁組を行っているケースでは法律上親子とみなされるため、実子と同じように相続権が与えられます。
(2)取り分は減る
元夫が再婚しても、みなさんとの間の子どもの相続権が失われるわけではありませんが、再婚によって相続人となる子どもが増えた場合には、その分みなさんの子どもが相続できる財産の取り分も減ります。
(3)実際に元夫が死亡したらどうやって連絡が来るの?
元夫が死亡した場合、一般的にはその事実を元夫の親族から知らされることが多いかと思いますが、相続絡みの話については元夫の再婚相手やその子どもから連絡が入ることもあるでしょう。
元夫の相続を行うにあたっては、銀行口座の解約や不動産の名義変更を実施するために、原則として相続人全員の署名捺印が必要です。
みなさんに元夫との間の子どもがいれば、その子どもの同意も得なければ相続を進められないことがほとんどであるため、何らかの形で連絡が行われます。
ただし、役所をはじめとする公の機関から連絡を行う決まりなどは特にないため、元夫の親族が意図的にみなさんに連絡を行わなかった場合や、相続にあたって相続人全員の同意を得る手続きが特に必要なかった場合には、元夫が死亡した事実に気付くことができないケースもあるでしょう。
(4)元夫死亡前に相続権を満足させる方法
もし将来、元夫が死亡した際に連絡を行ってもらえないかもしれないなど、相続に関する不安がある場合には、元夫がまだ生きている間に生前贈与という形で子どもへ財産を遺してもらう方法もあります。
年間110万円以上の贈与になると贈与税がかかってしまうため、まとまった金額の贈与を受ける場合は何年かに分けて少しずつ贈与を進めるのもおすすめです。
6、元夫とのトラブルでお困りの際は弁護士へ相談を
元夫の再婚にあたって、養育費や相続権のことで何か分からないことが出てきた場合や、万が一再婚相手からの嫌がらせなどのトラブルに遭遇した場合は、なるべく早めに弁護士に相談を行いましょう。
特に「元夫が再婚後に養育費を支払ってくれなくなった」というのはよくあるケースですが、弁護士を味方につけて対策を行うことで、スムーズな問題解決を目指すことができます。
ベリーベスト法律事務所では初回相談を無料で承っていますので、ぜひお気軽に足を運んでみてください。
まとめ
元夫が再婚するという話を聞いて、動揺してしまったり複雑な気持ちになってしまったりするのはあなただけではありません。
養育費のことなど生活面での不安が膨らんでしまう方も多いかと思いますので、そんなときにはぜひ弁護士に相談を行い、事前の対策を打つなど今後のためにできる行動を起こしていきましょう。
また、元夫の再婚をひとつの良い機会ととらえ、みなさん自身が前向きに新しい生活をスタートさせるためのエネルギーに変えていくことも大切なポイントです。
今回ご紹介した内容を参考に、ぜひ今ある不安を解消して、新たな幸せのための一歩を踏み出していきましょう。