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遺言書を見つけてもあわてて開封するな!遺言書開封における5つの注意ポイント

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お父様がなくなり、遺品の整理をしていたところ、机の引き出しの奥の方から封筒に入った遺言書が出てきました。
父からの大切な遺言書。
自分だけで勝手に開けてしまうのはいけない気がしていませんか?

そうです。自宅に保管されていた遺言書は、家庭裁判所の手続きを経てかいふうしなければなりませんから、勝手に開封するのは絶対に避けるべきです。

今回は、

  • 自宅に保管された遺言書の開封方法
  • 思わず開けてしまった!という場合の対処法

について解説していきたいと思います。
ご参考になれば幸いです。

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1、遺言書の種類によって開封方法は異なる

遺言書の種類によって開封方法は異なる

遺言書には3つの種類があります。

  • 自筆証書遺言
  • 公正証書遺言
  • 秘密証書遺言
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もし、遺言書が自宅で発見されたのであれば、自筆証書遺言か秘密証書遺言です。
公正証書遺言は、公証役場で保管されているからです。

自宅で発見した遺言書は、自宅で勝手に開封してはいけません。
「検認」といって、家庭裁判所で開封の手続きを経なければいけないのです(民法1004条)。

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2、遺言書開封に必要な検認の手続き

検認の手続き

本項では、検認の手続きについてみていきましょう。

(1)検認制度の趣旨

まず、検認制度の趣旨は次の通りです。

  1. 相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせること
  2. 遺言書の偽造・変造などを防止すること

そのため、家庭裁判所にて、遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など、検認日現在の遺言書の内容を明確にします。

ただし、遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。
要するに相続人に対して「このような遺言書がありますよ。現在このような状態ですよ。」とお知らせものであり、これだけで遺言が有効であると証明できるものではありません。

(2)検認の手続き

検認の手続きの概要は次の通りです。
検認の手続きが終了するまでは、遺言書は、金庫などで大切に保管します。
紛失したり汚したりしないように気をつけてください。

①検認の申立人

遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人です。

②申立先

遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です。

管轄裁判所を調べたい方はこちら

③申立に必要な費用

遺言書(封書の場合は封書)1通につき収入印紙800円分および連絡用の郵便切手です。

詳細は申立て先の家庭裁判所に確認してください。
各裁判所のウェブサイトの「裁判手続を利用する方へ」中に掲載されている場合もあります。

④申立てに必要な書類

ⅰ)申立書

まず、申立書が必要です。
書式例はこちらになります。

ⅱ)添付書類

以下の戸籍謄本などです。
相続人の確認に必要な戸籍謄本を取り揃える必要があります。

  1. 遺言者の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  2. 相続人全員の戸籍謄本
  3. 遺言者の子(及びその代襲者)で死亡している方がおられれば、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  4. 遺言者の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  5. 遺言者の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  6. 遺言者の兄弟姉妹に死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
  7. 代襲者としてのおいめいに死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本

ご自分で揃えるのはなかなか大変です。
司法書士や弁護士などに相談することをお勧めします。

⑤法定相続人への連絡

遺言書の検認の申立てをすれば、家庭裁判所が法定相続人に連絡してくれますが、連絡がうまくできなかったり、遅れたりするとあらぬ疑いをかけられこともありえます。
あなたからも可能な限り相続人に連絡をすることをお勧めします。

⑥検認期日の案内と出席要否

家庭裁判所から検認期日が指定されます。

検認期日に全相続人がそろうのが望ましいのですが、申立人以外の相続人が検認期日に出席するかどうかは,各人の判断とされています。
全員がそろわなくても検認手続は行われます。
欠席した方に、後日家庭裁判所から検認手続きが完了した旨の通知が送られてきます。

⑦検認期日に持っていく書類

遺言書,申立人の印鑑,そのほか家庭裁判所の担当者から指示されたものを持参します。
ここで遺言書を忘れたりしたら目も当てられません。忘れずに持って行きましょう。

⑧検認期日の手続き

申立人から遺言書を提出していただき,出席した相続人などが立会って封筒を開封し,遺言書を検認します。

⑨検認後の手続き

遺言を執行するためには,遺言書に検認済証明書が付いていることが必要です。
検認済証明書の申請をしてください。
遺言書1通につき150円分の収入印紙と申立人の印鑑が必要です。
裁判所のサイトにも詳細が掲載されています。

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3、検認前に開封してしまったら

検認前に開封してしまったら

もし、検認前に遺言書を開封してしまったらどうなるのでしょうか。

(1)罰金の対象となる

法律上は開封すれば5万円以下の過料という罰則があります(民法1005条)。

遺言書が勝手に開けられ、中身を偽造・変造されたり、破棄、隠匿などされたら、正当な相続人等の権利が失われてしまいます。
遺言書を書いた本人は亡くなっており、真意を確認することもできなくなるからです。

実際には開封手続きを詳しく知らなかったがために開封してしまう方も多いことから、過料になることはあまりないようです。
とはいえ、遺言書を偽造、変造したとか、破棄、隠匿したなどと疑われては、余計な争いになります。その意味でも、勝手な開封は絶対にやめておくべきです。
たとえ相続人全員の目前であっても、開封してはいけません。
相続人以外の受遺者、遺言による認知などが記載されてた場合には、それら相続人以外の利害関係者とのトラブルの元となることがあるからです。

もしも検認前に開封してしまったら、公正に遺産分割ができるように弁護士に相談してください。

(2)相続人としての権利は存続・遺言書も有効

遺言書を開封してしまっても、それだけで相続人としての権利を失うわけではありません。
遺言書の効力が失われるわけでもありません。
ただし、あらぬ紛争の種になりかねないのです。

(3)遺言書の偽造・変造・破棄・隠匿をしたら権利を失う

「相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者」は相続欠格となり、相続人としての権利を失います(民法891条)。

検認前に遺言書が開封されていると、相続争いなどが生じた場合に、争っている相手方から「遺言書の保管者が勝手に開封して偽造・変造・破棄・隠匿した」などと言われて問題になりかねません。
訴訟等にならなかったとしても、相手方は、訴訟をちらつかせて遺産分割で自分に有利に持ち込もうなどと考えるかもしれません。

いずれにせよ、検認前に遺言書を開封することは厳に慎んでください。

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 (4)検認前の開封を防ぐ方法

では、遺言書を作る側からすれば、このような「よく知らずに開封してしまった。」を防ぐためにどうすればよいでしょうか。 

①公正証書遺言にする

これが一番確実な方法です。
多少お金がかかるとか2人以上の証人に内容が知られてしまうとか、そのような問題はありますが、無駄な相続争いを防ぐには公正証書遺言が一番確実です。

②二重封筒・注意書き

相続人は、検認の手続きなど知らないことが普通でしょう。
ついうっかり開けないように二重封筒にしておく、あるいは「開封する前に必ず家庭裁判所の検認を受けること」といった注意書きを表に張り付けるなどの工夫も考えたほうが良いでしょう。

③2020年7月からは保管制度の活用(法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設)

自筆証書遺言を作成した方が、法務局に遺言書の保管を申請することができるようになります。
遺言者が亡くなった後に、相続人や受遺者らは,全国の「遺言書保管所」で遺言書が保管されているかどうかを調べたり、遺言書の写しの交付を請求できますし、遺言書保管所で遺言書を閲覧することもできます。

遺言書保管所に保管されている遺言書については,家庭裁判所の検認が不要となります。
この制度は2020年7月から施行されます。

4、遺言書の開封後の手続き

遺言書の開封後の手続き

遺言書の開封後の手続きは、通常の遺産分割協議と同じように進んでいきますが、いくつか注意点があります。

(1)遺言書の指定通りに財産分けをする

遺言書で指定された通りに財産分けをするのなら大きな問題はありませんが、遺言書の指定でも遺留分の侵害はできないことに注意してください。

例えば、相続人として奥さんやお子さんがいらっしゃるのに、全財産を愛人に遺贈する、などといった例がわかりやすいでしょう。

遺言者の意思であったとしても、法定相続人の遺留分を侵害する事はできません。
遺留分は、兄弟姉妹以外の法定相続人について概ね法定相続分の半分の権利と考えておけばよいでしょう。

遺留分の侵害があった場合には、後述「5」(1)のとおり、遺留分権利者から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。

(2)受遺者・認知・相続人の廃除が書かれている場合

①受遺者とはなにか

受遺者は、一般に相続人以外の人で、遺言によって遺贈が定められている人です。
受遺者の取り分は、遺留分侵害の問題がない限り、遺言書に従います。

②認知(遺言認知)

結婚していない女性との間に子どもができた場合、父親の認知により、認知された子は法定相続人となります。
遺言者は遺言でも子を認知することができます(遺言認知)。

遺言認知には遺言執行者が必要です。
なお、認知に当たっては、認知される子供の承諾が必要ですが、子供が未成年の場合には母親の承諾で足ります。

これらの手続きは共同相続人ではできず、遺言執行者が行います。

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③相続人の廃除

また、遺言者は、遺言によって、相続人の廃除あるいはその取り消しが可能です(民法892~894条)。

廃除とは、相続人から虐待を受けたり、重大な侮辱を受けたとき、その他著しい非行が相続人にあったときに、被相続人が家庭裁判所に請求して虐待などした相続人の地位を奪うことです。

生前なら家裁に請求しますが、遺言書で排除することも可能です。

また生前に廃除していたのを遺言書で取り消すことも可能です。
遺言書で指定された遺言執行者が、遺言者に代わって家庭裁判所に相続人廃除(またはその取り消し)の請求することになります。

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5、遺言書の内容に納得が行かないときは

遺言書の内容に納得が行かないときは

遺言書の内容に納得がいかないならば、次のような対応が可能です。

(1)遺留分侵害額請求

遺留分を持つ法定相続人(兄弟姉妹以外の相続人)は、遺言で遺留分が侵害された場合には、遺留分侵害額を請求する権利を持ちます。

2019年7月施行の相続法改正で、旧法の「遺留分減殺請求権」から改められました。

遺留分侵害があったときに実際の相続財産について持分を請求するのではなく、侵害された額を金銭で請求する、という仕組みに改められたものです。

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(2)全相続人で遺産分割協議

遺言は遺言者の遺産分割の意思を示したものですが、遺産分割を受ける相続人全員の合意があれば、遺言と異なる遺産分割は可能です。

ただし、遺言で受遺者が指定されていたり、前述の遺言認知や相続人廃除などが指定されていれば、遺産分割の対象者が変わることになります。
これを考慮して、関係権利者全員で協議決定する必要があります。

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6、遺言書でお困りの際は弁護士へ相談を

遺言書でお困りの際は弁護士へ相談を

以上の通り、遺言書が出てきたときの取り扱いは決して簡単な事ではありません。
「検認」などという言葉も、殆んどの人は初めて聞く言葉でしょう。

これまで説明した通り、自筆証書遺言にかぎらず遺言そのものについて、様々考慮すべきことがあります。
ご自分で何でも対応するのではなく、早めに相続関係に詳しい弁護士と相談することをお勧めします。
ただでさえ、相続人は葬儀・墓所・親戚知人へのあいさつ回りなど多忙を極めているのです。
面倒なことはプロに任せてみてはいかがでしょうか。

まとめ

遺言書は遺言者が自分の死後のことを考えて、心を込めて作ったものです。
その遺志をできる限り尊重すべきでしょう。
とはいえ、不当な権利侵害と思われることがあれば、泣き寝入りすることはありません。

相続の場で、これまで交流もなかった相続人などの関係者と初めて出会う、ということも少なくないでしょう。ただでさえ紛争になりかねません。

正当な権利主張をしつつも、円滑に交渉してできる限り円満な解決に導かれることをお祈りします。
弁護士は、そのようなあなたのために全力で行動しますから、お困りの際にはぜひご相談ください。

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