離婚に強い弁護士に相談したい。
そこで、弁護士に相談する際、少しでも有意義な相談にするために
- 離婚後の慰謝料や親権について
- 離婚に関する法律や離婚のメリット・デメリット
など、詳しく解説します。
目次
1、離婚を弁護士に相談するメリット
一般的には、弁護士に離婚事件を依頼するメリットが大きく、弁護士に依頼する利益を感じられる方がほとんどだと思います。
そこで、まず、弁護士を探す前に、離婚事件を弁護士に依頼するメリットを把握しておきましょう。弁護士に事件を依頼するメリットを知るということは、弁護士ができること・できないことを知ることでもあります。
(1)面倒な手続等を任せることができる
弁護士に事件の処理を依頼すれば、基本的に全ての手続きを代行してもらうことができます。ご自身で、相手方と話をしたり、面倒な書面の作成を行ったりする必要はありません。また、調停や訴訟の期日への出頭を弁護士に任せることも可能です。
(2)弁護士の法的知識・経験を利用できる
この点が弁護士に依頼する最も大きなメリットだと思います。弁護士に委任することで、法律や過去の裁判例についての弁護士の知識や過去の実際の経験を提供してもらえます。特に、訴訟では、相互に証拠に基づき法的な主張を尽くし、それに基づいて裁判官が判断を下す手続きですから、弁護士の法的知識や経験をもとにした助力がなければ裁判においてかなり不利になってしまうことが多いと思います。
(3)離婚の意思が固いことを示すことができる
また、離婚意思が固いということを相手に示すことも出来るでしょう。離婚事件においては、特に交渉や調停では弁護士に依頼しない方も一定数います。そのような中、あえて弁護士に依頼をしているということそれ自体をもって、離婚意思が確固たるものであることを相手方や調停委員に対して知らしめることができるのです。
2、離婚問題を弁護士に相談するデメリット
このようなメリットを考えると、基本的には離婚事件を弁護士に依頼して手続きを進めるのが良いでしょう。
しかし、デメリットもあります。それは、何よりも費用がかかるということです。着手金として20万~50万円程、事件終了後の報酬として20万~50万円程度かかる事務所が多いようです。着手金や報酬の他、印紙代・交通費等の実費や遠方への出張が必要となった場合の日当等がかかることもあります。
より詳細な費用の説明については、「離婚調停の費用を抑えつつ有利な結果を獲得するために知っておくべき3つのこと」「離婚裁判の費用と弁護士に依頼すべきか判断するポイント」をご参照下さい。
「1、弁護士に依頼するメリット」でみたようなメリットと費用との兼ね合いで弁護士に依頼をするかどうか決めることになるでしょう。
3、離婚に強い弁護士に相談したい!見分けるポイント
弁護士に事件を依頼するメリットとデメリットを把握できたでしょうか。その上で、いざ弁護士に離婚事件を依頼したいと思った場合、出来るだけ離婚事件に強い弁護士に離婚についての相談や事件を依頼したいと考えるでしょう。
離婚に強い弁護士を見分ける上では、以下の点が参考になると思います。
(1)離婚問題に関する知識
まず、離婚問題に関する知識をしっかりと持ち合わせていることが重要です。離婚は財産分与、慰謝料や年金分割、お子様がいらっしゃる場合には親権や養育費も問題になります。実際の離婚は、これらの様々な問題が絡み合っていますから、これら全てに精通していなければ全体を適切に処理することができないのです。
(2)離婚事件の経験数が多いこと
そして、事件処理の数というものも重要です。経験数が多ければ、事件の内容に応じて、交渉から始めるべきか、すぐに調停に移行すべきかなどにつき、その経験を活かした適切な手続き選択が可能になるといった強みがあります。また、その際の処理の見立て、事件の進行の方法、相談者にとって不利になる点とその対策等については、単に法律的な知識があればいいというわけではなく、実際に多くの事件を処理し、経験をしないと分からないものですから、事件処理の件数はそれだけ強みになるといえるのです。
4、離婚に強い弁護士を探す方法
では、離婚問題に精通している弁護士はどのように探せばいいでしょうか。次のような方法が考えられます。
(1)親族や知人の紹介
親族や知人などに弁護士を紹介してもらうというのも一つの手段です。実際に親族等が利用した弁護士であれば信頼できるでしょうし、弁護士も、紹介の場合、より丁寧な対応をしてくれるということもあると思います。
(2)法律事務所のウェブサイトを検索する
離婚に強い弁護士を探すためには、離婚に関して詳しく情報が載っているウェブサイトを持っている法律事務所に当たってみるのもよいでしょう。インターネットで離婚に関する事項を検索して、表示された法律事務所のウェブサイトを確認してみるといいでしょう。その事務所の実績や過去の依頼者の声といった情報を載せている事務所もあり、そういった実際の情報を元に依頼する弁護士を探すのも一つの手段です。
(3)弁護士検索サイトを利用する
現在、「弁護士ドットコム」など、多くの弁護士が登録する弁護士検索サイトがいくつか存在しています。各弁護士が自分の得意分野を紹介していますので、離婚を得意分野として挙げている弁護士に連絡をとり面談をしてみるという方法もあるでしょう。
(4)離婚関連の書籍の著者をあたってみる
現在多くの離婚に関する書籍が刊行されており、その著者が弁護士であるということも少なくありません。離婚関連の著書を執筆しているということは、執筆するに足りるだけの離婚問題に関する知識や経験を有しているということだと思います。したがって、離婚関連の書籍から弁護士を探すという方法も考えられます。
5、弁護士に離婚の相談をする際に準備しておくべきこと
相談をする弁護士も決まったら、相談のための準備を行いましょう。せっかく時間と費用をかけて相談にいくのですから、少しでも有意義なものになるように、できることはしっかりしておきましょう。
(1)離婚の原因を説明できるようにする
離婚を望んでいる方にとって、自分は離婚出来るかどうかという点が最も気になることの一つではないでしょうか。これを知るために重要なのが、離婚の原因です。
しっかりとした見通しを得られるように、離婚の原因については背景事情とともにしっかりと説明できるようにしておきましょう。
また、離婚の原因によっては相手方に慰謝料を請求することができますから、その意味でも離婚の原因は重要です。
(2)夫婦の財産状況を把握する
離婚となれば夫婦が共同して築いた財産を清算します。平たく言えば、結婚後に増えた財産を、原則として半分ずつに分ける作業を行うのです。これを財産分与と言いますが、財産分与にあたっては、夫婦それぞれがどのような財産(借金を含む)を持っているかを把握する必要があります。
預貯金、証券や保険、自宅不動産や自動車といったプラスの財産に加えて、それらのローン等のマイナスの財産についても可能な限り正確な状況を調べた上で弁護士に伝えるようにしましょう。
なかなか調べるのは困難ですが、配偶者の退職金も財産分与の対象になりうるので、相手方が退職金をもらえるような職業に就いている場合にはその点もできる限り調べるようにしましょう。
(3)相手方の収入・給与口座を把握する
これは(2)にも関連しますが、別居を考えている場合等は離婚までの生活費である婚姻費用が問題になりますし、お子さんがいらっしゃる場合には離婚後の養育費が問題になります。
これらの婚姻費用や養育費の額は夫婦双方の収入によって決まるものですので、相手方の収入を把握することが必要です。また、これを相手方が支払わなかった場合には、相手方の給与が振り込まれる給与口座等を差し押さえていくことになるため、給与口座等も、差押えの可否等の見通しに当たって必要となってくるのです。
(4)相手方が不倫している場合は、不倫の状況、不倫相手の名前・住所・職業等を把握する
離婚の原因が相手方の不貞の場合、不貞相手に対して慰謝料請求をすることができます。慰謝料のおよその金額を把握するために、不貞の状況を弁護士に伝える必要があります。また、相手方の職業や年齢によってもこの金額は前後する場合がありますから、これらについても把握するようにしましょう。
6、弁護士に相談する際に質問すべき内容
では、実際どのようなことを弁護士に聞くべきなのでしょうか。一言でいえば、法律で答えが出ることです。弁護士は法律の専門家ですので、法律に関することに的を絞って相談を進めるようにしましょう。法律の問題とは大別すると、
(1)離婚自体の問題
(2)お金の問題
(3)子どもの問題
となります。
(1)離婚自体の問題
離婚自体の問題とは、離婚出来るか否かということです。5で述べた通り、離婚の原因によって最終的に離婚出来るか否かの見通しは異なるので、離婚の原因はしっかりと説明できるようにしたうえで相談に望み、ご自身の考える離婚の原因によって離婚できるか否かを弁護士に聞いてみましょう。
(2)お金の問題
次にお金の問題です。これは、大きく、①婚姻費用、②財産分与、③慰謝料、④養育費等に分けられます。別居していて、相手方から生活費を支払ってもらっていない場合などは、収入の低い方の当事者から高い方の当事者に対して、離婚までの生活費である婚姻費用を請求することができます。また、先ほど述べたとおり、離婚に当たっては財産分与を行うことになりますし、相手方に離婚の原因がある場合には慰謝料の支払いを求めることができます。また、お子さんがいて、あなたが親権者になった場合には、離婚後は相手方から子どもたちを育てていくために必要な資金である養育費を支払ってもらうことができます。
これらのお金の問題について、具体的な見込額や分与の方法等を弁護士に聞いてみましょう。
(3)子どもの問題
そして最後は子どもの問題です。これは、①親権と②面会交流の2つです。夫婦に子どもがいる場合は、離婚後は夫婦のどちらかしか親権を持つことができないので、どちらが親権者になるかを決める必要があります。また、親権者になれなかった親は子どもと面会することが認められるので、面会交流についても問題になります。
これらの子ども問題について、親権を獲得の見込みや面会交流の方法について弁護士に聞いてみましょう。
まとめ
以上、弁護士に離婚相談をしようと思った場合に有意義なものになるように必要なことをお話ししてきました。皆様が離婚相談をされる際、これらを参考にしていただき、皆様の相談が少しでも有意義なものになれば幸いです。