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養育費請求の弁護士費用の相場は?分割可能?払えない際の対処法も解説

「養育費の請求を弁護士に依頼するには、どれくらいの弁護士費用が必要なのだろう?」

「養育費を払ってもらえない状況なので生活が苦しい!弁護士に依頼したいけれど費用が払えない…」

このような疑問や悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

弁護士に依頼すれば養育費の請求手続きを任せることができますが、弁護士費用を用意する必要があります。弁護士費用は事案の内容や依頼する弁護士によって異なりますが、養育費の請求にかかる弁護士費用のおおよその相場は以下のとおりです。

  • 着手金…10万~30万円程度
  • 報酬金…獲得した養育費数年分の10%~20%程度

これから離婚する方で、離婚問題全般の解決を弁護士に依頼する場合には、より多くの弁護士費用が必要となりますが、その中で養育費の問題も併せて解決を図っていきます。

養育費の問題にはさまざまなパターンがありますので、どのパターンで依頼するかによっても弁護士費用は異なってきます。何度も弁護士に依頼することを回避するためには、今後の養育費の未払いを防ぐ対策をするという観点も重要となります。

そこで今回は、

  • 養育費請求のパターン別に必要な弁護士費用の相場
  • 養育費請求の弁護士費用が払えないときの対処法
  • 養育費の未払いを防ぐ方法

について、数多くの離婚問題を解決に導いてきたベリーベスト法律事務所の弁護士がやさしく解説していきます。

これから養育費を請求したい方、相手からの支払いが途絶えてお困りの方など、養育費請求について弁護士への依頼をお考えの方の手助けとなれば幸いです。

養育費を相談する弁護士については以下の記事をご覧ください。

弁護士相談に不安がある方!こちらをご覧ください。

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1、養育費の請求にかかる弁護士費用の内訳

まずは、弁護士費用の仕組みを知っておきましょう。通常、弁護士費用は以下の費目に分けられており、それぞれの費目ごとに、各法律事務所が定めている料金体系に従って料金が計算されます。

(1)相談料

相談料とは、弁護士に依頼する前の法律相談で必要となる費用です。

相場は30分につき5,000円程度です。

無料相談を受け付けている事務所も多くなってきていますが、養育費の問題については初回のみ無料としている事務所がほとんどです。その場合、2回目からは有料となることにご注意ください。

(2)着手金

着手金とは、弁護士に事案の解決を依頼する際に支払う費用のことです。弁護士に事件処理に取りかかってもらうために必要な費用なので、最終的な結果にかかわらず、また、依頼者の方から途中で依頼を取り下げたとしても、原則として返金はされません。

着手金の金額は、事件の相手方に支払いを請求する金額に応じて計算されますが、事案の類型ごとにざっくりと決められることも多いです。

(3)報酬金

報酬金とは、弁護士の事件処理によって依頼者にとって成果が得られた場合に発生する費用です。「基礎報酬」+「相手方から得られた経済的利益に応じた報酬」+「その他成功報酬」で構成されるのが一般的です。

基礎報酬とは、事件終了に伴い当然に報酬のことです。金額は事案の内容ごとに決められます。

経済的利益とは、例えば慰謝料を回収した場合のように、相手方から回収した金額のことを指します。実際に回収した金額の10%~20%というように、あらかじめ定められた割合によって報酬金の額が計算されます。

また、離婚とトータルで依頼した場合、離婚成立に対する成功報酬、新件獲得に対する成功報酬等が発生する場合があります。

(4)実費

弁護士が事件を処理するためには、さまざまな実費がかかります。実費は依頼者の負担となります。

主な実費には、弁護士が依頼者や相手方と郵便でやりとりする際の通信費、事務所以外の場所へ移動するための交通費、裁判を起こすときにかかる印紙代や郵券代などがあります。

これらの実費をその都度精算するのか、事件終了後に精算するのか、依頼時に一定額を預けるのかは事務所によってさまざまです。以前は依頼時に一定額を預けることが多かったですが、最近では事件終了後に精算するケースが増えている印象があります。

(5)日当

日当等は、弁護士が事務所以外の場所で事件処理に従事した場合に必要となる費用です。

相手方のところへ交渉のために赴いたり、裁判期日に出頭した場合などに弁護士の日当が発生します。

金額は、「半日」または「1日」という単位で設定している事務所が多いですが、1時間単位で設定している事務所もあります。

日当をいつ支払うのかも事務所によって異なりますが、実費と同様、事件終了後に精算するところも増えているようです。

2、養育費の請求を依頼するときの弁護士費用の相場

それでは、養育費の請求を依頼するときにかかる弁護士費用についてみていきましょう。養育費請求の弁護士費用の相場は、以下の3つのパターンでそれぞれ異なってきます。

(1)離婚と同時に養育費の請求を依頼する場合

離婚と同時に養育費の請求を依頼する場合は、離婚問題全般の解決を弁護士に依頼し、その中で養育費の獲得を目指すのが一般的です。

離婚問題全般の解決にかかる弁護士費用の相場は、おおよそ以下のとおりです。

  • 相談料…0円~1万円程度:無料相談を利用し、1回の相談のみで依頼した場合、相談料は発生しません
  • 着手金…20万~60万円程度:離婚協議の交渉を依頼する場合の着手金は、20万~30万円程度が相場です。ただ、離婚調停に進む場合、さらに離婚訴訟に進む場合には、それぞれの段階で追加着手金が必要となります。そのため、最終的に60万円程度を要することもあります
  • 報酬金…20万~30万円+成果報酬:弁護士への依頼によって離婚が無事成立した場合、基礎報酬として20万~30万円程度かかるのが相場的です。相手方から金銭を回収した場合は、その分の成果報酬も追加されます

慰謝料や財産分与を獲得した場合は、実際に回収した金額の10%~20%が相場的です。300万円を回収したとすれば、30万~60万円が成果報酬となります。

養育費に関する報酬金については、相手方と取り決めた金額の2年~5年分の10%~20%とされるのが相場的です。例えば、毎月5万円の養育費の取り決めに成功したとすれば、成果報酬は12万~60万円となります。

(2)離婚後に養育費の請求を依頼する場合

離婚後に養育費の請求のみを依頼する場合にかかる弁護士費用のおおよその相場は、以下のとおりです。

  • 相談料…0円~1万円程度:上記(1)と同様です
  • 着手金…10万~40万円程度:養育費請求の交渉を依頼する場合の着手金は、離婚問題全般の解決を依頼する場合よりは安く、10万~20万円程度が相場です。ただ、養育費請求調停や審判に進む場合には、追加着手金としてさらに10万~20万円程度が必要となります。そのため、最終的に40万円程度を要することもあります
  • 報酬金:養育費の請求のみの事案では、基礎報酬はなしで成果報酬のみとされるのが一般的です

成果報酬の相場は、上記(1)でご紹介したのと同様で、「相手方と取り決めた金額の2年~5年分の10%~20%」となっています。

養育費の月額ごとの成果報酬を表にまとめましたので、参考になさってください。

取り決めた養育費の月額

成果報酬の額

3万円

7万2,000円~36万円

5万円

12万~60万円

10万円

24万~120万円

(3)未払いの養育費の回収を依頼する場合

養育費の取り決めはしてあるものの、相手が支払わずに未払いとなった養育費の取り立て、回収を依頼する場合にかかる弁護士費用の相場は以下のとおりです。

  • 相談料…0円~1万円程度:上記(1)(2)と同様です
  • 着手金…5万~20万円程度:養育費の取り決めが公正証書・調停調書・審判書・判決書のいずれかで定められている場合は、5万~20万円程度が着手金の相場となります

これらの場合はすぐに強制執行(財産の差押え)の手続きが可能であり、相手との交渉が不要なので着手金は低めに設定されています。

なお、養育費の取り決めが口約束のみの場合や、書面化していても離婚協議書や合意書を公正証書にしていない場合は、新たに相手方と交渉や調停・審判などから始める必要があります。

その場合、着手金の相場は上記(2)と同様になります。

  • 報酬金:未払いとなった過去の養育費を回収した場合の報酬金は、上記(1)(2)とは異なり、「実際に回収した金額の10%~20%」程度とされるのが相場的です

3、実際に支払うのはいくら?養育費の弁護士費用のシミュレーション

養育費請求にかかる弁護士費用の相場をご紹介しましたが、まだ具体的なイメージを持ちにくいかもしれません。そこで、ここではよくあるケースをいくつか取り上げて、弁護士費用のシミュレーションをご紹介します。

ただし、繰り返しますが実際の弁護士費用は事案の内容や依頼する弁護士によって異なります。以下のシミュレーションはあくまでも一例として参考になさってください。

(1)離婚調停で養育費を取り決めて離婚が成立したケース

依頼者が離婚を望み、離婚調停を弁護士に依頼して、養育費を取り決めて離婚が成立したケースで弁護士費用を計算してみましょう。

分かりやすくするため、争点は「離婚するかどうか」と「養育費を支払うかどうか、支払う場合の金額」のみであったと仮定します。夫婦間には8歳の一人息子がいて、最終的に依頼者が親権者となり、養育費は月額6万円で合意できたとしましょう。

養育費の成果報酬は、「3年分の養育費の金額×10%」と仮定します。

費目

弁護士費用

相談料

 0円

(無料相談のみ)

着手金

40万円

(交渉の着手金20万円+離婚調停の追加着手金20万円)  

報酬金

41万6,000円

(離婚成立の基礎報酬20万円+養育費の成果報酬21万6,000円)                        

合計

81万6,000円

このケースでは、以上合計で81万6,000円となりました。この他に実費、日当、消費税も必要ですので、総額で90万~100万円程度は見込んだ方がよいでしょう。

なお、養育費そのものの相場についてはこちらの記事の解説をご参照ください。

(2)離婚後に話し合いで養育費を取り決めたケース

次に、養育費の取り決めを行わずに離婚した後で弁護士に依頼し、話し合いによって養育費を取り決めたケースで弁護士費用を計算してみましょう。

事案としては上記と同様、8歳の一人息子がいて、養育費を月額6万円とすることで合意できたとします。

費目

弁護士費用

相談料

0円

(無料相談のみ)

着手金

15万円

報酬金

21万6,000円

合計

36万6,000円

この他に実費・日当・消費税がかかりますが、話し合いのみで事件が終了した場合は、調停をした場合よりも実費・日当は少なくなるのが一般的です。

なお、離婚後に調停で養育費を請求するには、「離婚調停」ではなく「養育費請求調停」を申し立てます。こちらの記事では、養育費請求調停について詳しく解説していますので、参考になさってください。

(3)未払いの養育費を強制執行で回収したケース

最後に、離婚時に公正証書で養育費を取り決めたにもかかわらず相手が支払わないため、未払いの養育費を強制執行手続きで回収したケースの弁護士費用を計算してみましょう。

事案としてはこれまでと同じく、8歳の一人息子がいて、養育費を月額6万円で取り決めていたとします。そして、弁護士に依頼することによって1年間の未払い分72万円を回収したと仮定します。

 費目        

 弁護士費用

相談料

0円

 (無料相談のみ)

着手金

15万円

報酬金

7万2,000円

合計

22万2,000円

上記の報酬金は、「実際に回収した金額×10%」で計算しています。

なお、上記「2、(3)」でもご説明しましたが、養育費の取り決めについて公正証書・調停調書・審判書・判決書のいずれかがない場合は、新たに相手方と交渉するか裁判手続きが必要となります。

こちらの記事では、養育費を裁判手続きで請求・回収する方法を解説していますので、参考になさってください。

4、養育費の弁護士費用を払えないときの対処法

養育費請求にかかる弁護士費用の相場やシミュレーションをご紹介しましたが、やはり「高い」と感じる方も少なくないでしょう。

離婚して財産分与や慰謝料を獲得した場合は、その中から弁護士費用を支払うことが可能な場合もありますが、養育費は獲得できても月々数万円にすぎないこともあります。そのため、弁護士費用の負担が重く感じられるのも無理はないのかもしれません。

ここでは、養育費の弁護士費用を支払うのが難しいときの対処法をご紹介します。

(1)分割払いや後払いが利用できる事務所を探す

弁護士費用は費目ごとに支払うタイミングが異なるものの、いずれも原則的には一括払いです。しかし、分割払いに対応している法律事務所も少なくありません。

初期費用が準備できない場合は、着手金の分割払いに対応している事務所を探すとよいでしょう。その際には、報酬金も分割払いに応じてもらえるかどうかも確認しておくことをおすすめします。

また、先ほどご説明した「着手金無料」や「成功報酬型料金体系」を採用している事務所では、手数料が後払いとなるのが一般的です。後払いであっても、まとまった金額を一括で支払うのは難しい場合もあるでしょうから、分割払いが可能かどうかも確認しておきましょう。

(2)法テラスを利用する

法テラスには、資力が乏しい人を対象として弁護士費用を支援する「民事法律扶助」という制度があります。

この制度を利用すれば、一般の事務所の料金体系よりもリーズナブルな料金で弁護士に依頼できます。その上に弁護士費用は法テラスが立て替えて弁護士に支払い、利用者は法テラスに対して原則として月1万円ずつの分割払いで償還すれば済みます。

民事法律扶助制度を利用するには、収入や資産が一定の基準以下であることなど、いくつかの条件を満たす必要があります。詳細はこちらの記事でご確認ください。

(3)無料相談を活用して自分で養育費を請求する

どうしても弁護士費用を払えない場合は、自分で養育費を請求することも考えられます。その場合でも、弁護士に相談しながら進めることをおすすめします。

ただ、無料相談は受け付けている事務所でもほとんどの場合は初回の30分~1時間程度に限られるという限界があります。

無料相談だけで対応するなら、その都度別の事務所へ相談しなければなりません。このやり方は効率が悪いので、あまりおすすめはできません。相談料が数万円かかってでも、同じ弁護士に継続的に相談した方がよいでしょう。

なお、この方法をとるのは、養育費について相手と大筋で合意はできているものの、金額やいつまで支払うかという問題について細かな意見の相違があるようなケースに限った方がよいでしょう。

相手が養育費の支払いを拒否している場合など、真っ向から意見が対立している場合には、弁護士費用を負担してでも弁護士に依頼する方が結果的には得策となることが多いと考えられます。

5、何度も弁護士費用を支払わないために!養育費の未払いを防ぐ方法

一度弁護士に依頼して養育費を獲得したとしても、その後に未払いとなるケースは多々あります。未払いが発生するたびに弁護士に依頼したのでは、さすがに弁護士費用の負担が重くなってしまいます。

ここでは、養育費の未払いを未然に防ぐ方法を解説します。

(1)公正証書などの債務名義を取得する

まず、養育費を取り決めた際には合意を公正証書にするなどして債務名義を取得しておくことが大切です。

債務名義とは、債権債務が確かに存在することとその範囲を公的に証明するために、公的機関が発行した書類のことです。公正証書の他には調停調書・審判書・判決書などがこれに当たります。

債務名義があれば、養育費の未払いが発生した場合には裁判を起こすことなく強制執行手続きを申し立てて、相手の財産を差し押さえてそこから養育費を回収することができます。

また、債務名義があることで相手にも「払わなければ大変なことになる」という心理的強制力が生じるので、きちんと支払われる可能性も高くなります。

(2)面会交流には適度に応じる

離婚後、親権者とならなかった方の親には、子どもと定期的に会って親子の交流を図る「面会交流権」という権利があります。

元配偶者と子どもを会わせることを嫌がる親権者も多いですが、養育費を確保するためには、支障がない限り面会交流権には適度に応じるのが得策といえます。

なぜなら、元配偶者も子どもとの関係を継続することで親としての責任感が維持されるからです。円滑に面会交流を行うことによって、「子どものために養育費をきちんと支払っていこう」と自発的に考えることも期待できます。

(3)養育費保証サービスを利用する

近年では、養育費保証サービスを提供する民間の業者が増えてきましたので、これを利用するのもひとつの方法です。

養育費保証サービスとは、民間の保証会社が養育費支払義務者の連帯保証人となり、養育費が未払いとなった場合は立て替えて支払ってくれるサービスのことです。立て替えられたお金については、保証会社が養育費支払義務者へ取り立てることになります。

このサービスを利用するには、未払いが発生する前にあなた・相手方・保証会社の三者で契約をしておく必要があります。離婚して長期間が経過すると相手の協力が得られにくくなることが多いので、養育費を取り決めたらすぐに契約した方がよいでしょう。

保証料が必要となりますが、話し合い次第では相手に保証料を負担してもらうことも可能です。

6、養育費の問題で困ったらまずは弁護士の無料相談を

養育費を獲得するには、いくら請求できるのか、いつまでもらえるのかという問題から請求方法、調停や裁判の起こし方、強制執行手続きの申立方法など、さまざまな専門知識が要求されます。

ひとりで悩んでいても解決できないことが多いので、困ったらまずは弁護士の無料相談を利用することをおすすめします。

離婚手続きに詳しい弁護士に相談すれば、いつまでに何をすればよいのかや、最適な解決方法についてアドバイスが受けられます。

弁護士に依頼すべき事案かどうか、また弁護士費用の金額や支払い方法についても相談できます。

まずは専門的なアドバイスを受けて、早めに第一歩を踏み出すようにしましょう。

まとめ

離婚して子どもの親権者となれば、元配偶者から養育費をもらえるのは法律上の権利です。

とはいえ、実際に養育費を獲得するのは容易でないケースも多々あります。

参考:厚生労働省の令和3度全国ひとり親世帯等調査結果報告

養育費は、子どもを育てていくためにとても重要なお金です。困ったときは、弁護士のサポートを受けて早期の獲得を目指しましょう。

弁護士の無料相談の際に、弁護士費用についても率直に相談することをおすすめします。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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