離婚の相談をしたいと思っているけれど、どの専門家に相談すべきか悩んでいる方は多いです。各自の状況や悩みに応じて、適切な相談先を選ぶことが重要です。
この記事では、離婚についてどの専門家に相談すべきか、相談のタイミング、そして注意点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士の監修のもとで解説しています。これを参考に、離婚に関する適切な相談先を見つけてください。
離婚について相談する弁護士については、下記の記事も参考にしてください。
実際に弁護士に依頼する際の内容についてはYouTubeでも解説しているので併せてご参照ください。
また、離婚全般については以下の記事をご参照ください。
目次
1、離婚の相談先11選
離婚の相談先は、基本的に、何を相談したいのかによって変わってきます。
以下、離婚の相談先を相談内容別に解説していきます。
(1)離婚カウンセラー
離婚カウンセラーは、主に夫婦関係を修復することについてアドバイスをしてくれる相談先です。
一度結婚したのですから、離婚を迷うのは当然です。子どもがいればなおさらでしょう。憎むほど嫌になった配偶者でも、相手がどうしてそのような態度をとるのか、その心理などを豊富なリーディングケースをもとに紐解いてもらえると、気が楽になるものです。
- 本当に離婚して後悔はないのか。
- 本当に修復することはもうできないのか。
離婚カウンセラーは、夫婦間で起こった出来事を一つ一つ聞いていくことにより、その答えを導き出すことを手伝います。
「離婚カウンセラー」とは、国家資格ではありませんが、 NPO法人日本家族問題相談連盟が行う認定試験に合格した人が「離婚カウンセラー」を名乗ることができるとされています。
相談料は、1時間当たり数万円程度が多いようです。簡単な無料相談から有料のカウンセリングに移る事務所もあります。
離婚カウンセラーに相談すべきケースは主に、夫婦関係を修復したい場合と、離婚すべきか迷っている場合です。
離婚カウンセラーについて詳しくは以下の記事をご参照ください。
①夫婦関係を修復したい場合
なんとかやり直せないか。
結婚は、「生活」です。離婚は、軸となる基本の生活をガラリと変える可能性がありますから、やはり簡単にできるものではありません。
相手の癖や性格に対し、自分がこれ以上苛立たないための工夫はできないか、離婚カウンセラーが共に考えます。
夫婦に足りなかったものを客観的に指摘されることにより、噛み合っていなかった歯車がかみ合い出すことも少なくありません。
カウンセラーは、相談者や夫婦が抱える問題について共に向き合い、修復に向けたアドバイスをしてくれます。
②離婚すべきか迷っている場合
離婚について、夫婦の一方が悩んでいて他方は全く悩んでいないケースもあれば、お互いに悩んでいるケースもあります。既にもめているケースも多いでしょう。
- 自分が悪い、でも許してくれない相手も嫌い・・・。
- 許したい、でも許せない・・・。
顔を見るたび怒鳴りあってしまい、疲弊していることもあると思います。
そんな夫婦に対しては、離婚カウンセラーが第三者の視点から、相談者である夫婦の双方にアドバイスをしてくれます。
(2)自治体(役所)
全国の市区町村の役所には、生活上の様々な困りごとについて住民からの相談を受け付ける窓口が設置されています。そこで離婚について相談することもできます。
一般相談は役所の職員などが担当しますが、多くの自治体では定期的に弁護士による無料の法律相談も受け付けています。
離婚に関するあらゆることを相談できますが、相談時間が20分程度に限られていることが多いため、込み入った相談をすることは困難です。
とりあえず離婚について専門的なアドバイスを受けたいという場合に利用するとよいでしょう。
(3)弁護士会(法律相談センター)
全国の弁護士会に設置されている「法律相談センター」では、随時、弁護士による法律相談を受け付けています。
相談料は原則として有料で、30分あたり5,000円(税別)程度となっています。ただし、定期的に無料相談も受け付けていますので、予約を取れば無料で相談できます。
離婚に関するあらゆることを相談できますが、やはり相談時間が限られていることと、相談する弁護士を選べないことから、必ずしも期待に添ったアドバイスが期待できるとは限りません。
とりあえず弁護士に相談したいという場合に利用するとよいでしょう。
東京にお住まいの方は、こちらのページから予約できます。
その他の地域の方は、お住まいの道府県の弁護士会にお問い合わせください。
(4)法テラス
全国の法テラス(日本司法支援センター)では民事法律扶助という制度により、資力に余裕がない方を対象とした弁護士による法律相談を受け付けています。
収入や資産について一定の条件を満たす場合は、同一の相談内容で3回まで弁護士の無料相談を利用できます。
弁護士に依頼する場合には、弁護士費用を立て替えてもらうことが可能です。
その場合、原則として毎月1万円ずつの分割払いで弁護士費用を償還していくことになります。
したがって、初期費用をかけずに弁護士に相談・依頼したいという場合は、法テラスを利用するとよいでしょう。
ただし、法テラスでも原則として弁護士を選ぶことはできませんので、必ずしも離婚事案の経験が豊富な弁護士を紹介してもらえるとは限らないことに注意が必要です。
(5)配偶者暴力相談支援センター
配偶者暴力相談支援センターとは、配偶者からのDV被害に遭っている人の救済を図る機関です。
各都道府県や主要都市を中心に設置されていますが、地域によって機関の名称は異なることがあります。
配偶者暴力相談支援センターでは、DVに関する相談やカウンセリングを利用できるほか、緊急時にはシェルターなどで一時保護してもらうことも可能です。
相談は無料です。
身に危険を感じるほどのDVを配偶者から受けている場合は、配偶者暴力相談支援センターに相談するとよいでしょう。
ただし、離婚に関する専門的な相談については、他の相談機関を紹介されることになります。
最寄りの配偶者暴力相談支援センターの相談窓口は、こちらの男女共同参画局のページで確認できます。
参考:男女共同参画局|相談機関一覧 配偶者からの暴力全般に関する相談窓口
(6)女性センター
女性センターとは、全国の都道府県や市町村等が自主的に設置している機関で、女性のための様々な活動を実施しており、困りごとの相談も受け付けています。
機関の名称は地域によって異なりますが、「男女共同参画センター」という名称となっているところが比較的多くなっています。
配偶者からDVやモラハラを受けているものの、身に危険を感じるほどではないという場合は、女性センターに相談してみるのもよいでしょう。
相談員が危険だと判断した場合は、配偶者暴力相談支援センターにつないでもらえることもあります。
相談料は無料です。
ただし、離婚に関する専門的な相談については、他の相談機関を紹介されることになります。
最寄りの女性センターの相談窓口は、こちらの男女共同参画局のページで確認できます。
参考:男女共同参画局|相談機関一覧 女性問題に関する相談窓口
(7)こころの健康相談統一ダイヤル
全国の都道府県と政令指定都市では「心の健康電話相談」等の名称で公的機関が精神的な悩みに関する電話相談を無料で受け付けています。
この相談を利用するための全国共通の窓口が「こころの健康相談統一ダイヤル」で、ここに電話をかけると、お住まいの地域にある公的な相談機関に接続されます。
- 配偶者の不倫や浮気に悩み、うつ病等の精神疾患を発症した
- 離婚問題の悩みで精神的に疲弊してしまった
- 夫婦生活が辛いので、とにかく悩みを聞いてほしい
このように精神的な悩みを抱えている場合は、こころの健康相談統一ダイヤルを利用するとよいでしょう。
相談料は無料です。
連絡先などの詳細は、こちらの厚生労働省のページでご確認ください。
(8)NPO団体
最近では、離婚問題の無料相談を受け付けているNPO団体も増えてきました。
NPO団体に相談すると、夫婦関係を修復したい場合には離婚カウンセラーによるサポートが受けられますし、離婚に向けて法的手続きが必要な場合には法律の専門家を紹介してもらえます。
探偵や調査会社を紹介してもらえることもあります。
離婚問題に関するトータルコーディネーターのようなイメージです。
お近くにNPO団体がある方は、利用してみるのもよいでしょう。
離婚問題を取り扱っていることで有名なNPO団体として、以下のところがあります。興味がある方はHPをご参照ください。
- NPO法人よつば:https://npoyotuba.com/index.html
- NPO法人日本家族問題相談連盟:https://nikkaren.com/
(9)探偵、調査会社
探偵や調査会社への相談は、「証拠を掴みたいとき」の相談先です。離婚においては主に浮気の場合の相談先となるでしょう。
浮気での「証拠」は、離婚の決定打になるだけでなく、慰謝料をもらうため、財産分与などにおいて有利な結論を導き出すために大変有益です。
最終的に裁判でも使えるような証拠を掴みたい場合は、探偵や調査会社への依頼はとても重要になります。
相談料は事務所にもよりますが、無料のところも増えています。
もっとも、探偵業は調査の質や費用にはかなりの差があり、中には非常に悪質な業者もいるので、注意が必要です。
善良な業者かどうかのポイントとしては、
- 良心的な価格設定か
- 探偵業届出番号を取得しているか
- 弁護士や警察でのみ認められる行為(紛争における代理行為や家宅捜索など)をしないか
などです。
ご心配な場合は、離婚を多く扱う法律事務所では、提携している探偵事務所を持つ所もあります。
法律事務所を通じて紹介された探偵事務所であれば、安心も大きいかもしれません。
(10)家庭裁判所の家事相談室
家庭裁判所の調査官や書記官に対して、離婚に関する調停や訴訟の手続に関することを中心に、短時間ではありますが無料相談をすることができます。
相談内容は、あくまで手続の種類やそれぞれの概要に関する説明のみとなります。
離婚すべきか迷っているときの相談や、離婚する上での実践的な進め方などの相談はできません。
家庭裁判所の家事相談室に離婚相談すべきケースは主に、どのような手続きがあるのかを知りたい場合と、自分で離婚調停をしたい場合です。
①どのような手続があるか知りたい場合
そもそも、離婚するためにどのような手段があるかよくわからない場合や、自分の場合どのような手続がとれるかを知りたい場合にも、家庭裁判所の家事相談室を活用すべきです。
もっとも、夫婦関係の具体的な内容に立ち入った相談や、どうすればこちらに有利に離婚手続きを進めることができるかといった相談には応じてもらえないことに注意が必要です。
②弁護士に依頼する費用がないが離婚調停をしたい場合
弁護士に依頼すると、通常費用がかかってしまいますが、ご自身で調停や訴訟を行えば、当然弁護士費用はかかりません。
その場合、手続の進め方について、家庭裁判所の家事相談室を活用することが望ましいといえます。
最寄りの家庭裁判所の所在地や連絡先は、こちらの裁判所のページで確認できます。
参考:裁判所|各地の裁判所
(11)弁護士
弁護士には、離婚に関するあらゆることを相談できます。
離婚協議や法的手続きについて、請求額にかかわらず代行できるのは弁護士だけです。
離婚は、離婚したい側としたくない側の戦いであったり、または双方が離婚したいと思う場合でも親権や財産分与について譲れない条件があったりと、相手との交渉が欠かせません。
離婚での交渉は、どうしても感情が先走ってしまいます。そのため、言わなくてもいいことを言ってしまい、余計険悪になってしまうこともしばしばです。
弁護士に相談すれば、悪化してしまった相手との関係においてどのように事を進めるべきなのか、また切り出す前であればスマートに進める方法などについて、的確なアドバイスがもらえることでしょう。
さらに、離婚事案の経験が豊富な弁護士の中には、離婚カウンセラーとしての役割も承知している方が多くいます。
法律問題の中でもことに離婚の問題については、精神的な辛さが大半を占めています。そのため、まずは心を楽にしてもらう事を心がけている弁護士は多いものです。
さらに、夫婦の問題解決は、離婚調停のみならず円満調停という制度もあります。
つまり、夫婦を再構築する調停もあるのです。弁護士への相談は、離婚を前提とした場合だけでなく、再構築も視野に入れたケースもあることがお分りいただけたと思います。
相談料は、1時間当たり無料から1万円程度です。離婚を弁護士へ相談するなら、こちらの記事もご覧ください。
上記離婚の相談先について、それぞれの特徴と相談できる内容を以下にまとめました。
離婚の相談先 | 特徴 | 相談費用 |
離婚カウンセラー | 主に夫婦関係を修復することについてアドバイスがもらえる | 1時間当たり数万円程度 |
自治体(役所) | 離婚に関するあらゆることを相談可能 ただし相談時間が20分程度に限られていることが多いため、込み入った相談をすることは困難 | 無料 |
弁護士会(法律相談センター) | 弁護士に離婚に関するあらゆることを相談可能 ただし相談時間は限られており、また相談する弁護士を選べない | 30分あたり5,000円(税別)程度 ただし定期的に無料相談もあり |
法テラス | 弁護士に離婚に関するあらゆることを相談可能 ただし原則として弁護士を選べない | 収入や資産について一定の条件を満たす場合は、同一の相談内容で3回まで無料相談 |
配偶者暴力相談支援センター | DVに関する相談やカウンセリングを利用できるほか、緊急時にはシェルターなどで一時保護してもらうことも可能 | 無料 |
女性センター | 女性のための様々な活動を実施しており、困りごとの相談を受け付けている 離婚に関する専門的な相談については、他の相談機関を紹介される | 無料 |
こころの健康相談統一ダイヤル | 精神的な悩みに対する相談を受け付けている | 無料 |
NPO団体 | 離婚問題に関するトータルコーディネーター | 無料のところが多い |
探偵、調査会社 | 「証拠を掴みたいとき」の相談先 | 事務所による |
家庭裁判所の家事手続案内 | 離婚に関する調停や訴訟の手続に関することを相談可能 離婚すべきか迷っているときの相談や、離婚する上での実践的な進め方などの相談は不可 | 無料 |
弁護士 | 離婚に関するあらゆることを相談可能 | 1時間当たり無料から1万円程度 |
2、離婚の相談先の選び方
離婚問題を専門的な機関に相談するにしても、ニーズは人それぞれ異なることでしょう。
ここでは、離婚問題の相談先をニーズ別に分類してご紹介します。
(1)24時間受付
24時間相談可能な機関は、残念ながらありません。ただし、「相談受付」が24時間可能な機関はあります。
24時間受付可能な相談先は下記のとおりです。
ただし、すべての事務所で24時間相談を受け付けているわけではありませんので、ご利用の際は相談先のホームページなどでご確認ください。
また、深夜や早朝、休日などは留守番電話やメールなどでの受付となる場合がほとんどで、リアルタイムで対応してもらえるわけではないことにもご注意ください。
- 離婚カウンセラー
- NPO団体
- 探偵、調査会社
- 弁護士
(2)費用が無料
前項でご紹介した相談先は、すべて無料で利用することが可能です。
ただし、以下の相談先では事務所によって対応が異なっていたり、無料で利用するための条件が設けられていたりしますので、必ずしも無料で利用できるとは限らないことにご注意ください。
- 離婚カウンセラー
- 弁護士会(法律相談センター)
- 法テラス
- 探偵、調査会社
- 弁護士
(3)電話口での相談ができる
電話口で相談できる機関も数多くあります。
ただし、電話相談ではどうしても相談内容が簡潔なものに限られますので、本格的に悩みを解決したい場合は別途、面談での相談が必要となってきます。
電話相談が可能な機関は以下のとおりですが、やはり事務所によって対応が異なります。利用前に相談先のホームページなどで確認しておきましょう。
また、電話相談の受け付けは新型コロナウイルス感染防止対策のための一時的な措置としているところがあることにもご注意ください。
- 離婚カウンセラー
- 弁護士会(法律相談センター)
- 法テラス
- 配偶者暴力相談支援センター
- 女性センター
- こころの健康相談統一ダイヤル
- NPO団体
- 探偵、調査会社
- 弁護士
(4)ラインで相談ができる
一部の相談機関では、LINEによる相談も可能となっています。
ただし、LINEでの相談は電話相談よりもさらに相談内容が簡潔なものに限られますので、とりあえずの相談方法として考えておきましょう。
LINE相談が可能な機関は以下のとおりですが、やはり事務所によって対応が異なります。
利用前に相談先のホームページなどで確認しておきましょう。
- 離婚カウンセラー
- こころの健康相談統一ダイヤル
- NPO団体
- 探偵、調査会社
- 弁護士
(5)オンライン面談ができる
以下の相談機関の中には、ZoomやSkypeなどを利用したオンライン面談を実施しているところもあります。
オンライン面談なら、電話やLINEよりも詳しい相談も可能となりますので、利用してみるとよいでしょう。
ただし、やはり事務所によって対応が異なります。利用前に相談先のホームページなどで確認しておきましょう。
- 離婚カウンセラー
- 探偵、調査会社
- 弁護士
(6)法律相談ができる
法律相談ができるのは、法律の専門家が対応する以下の相談機関のみです。
- 自治体(役所)
- 弁護士会(法律相談センター)
- 法テラス
- 弁護士
離婚の進め方や手続き、親権問題や養育費の請求(または拒否)、財産分与や慰謝料の請求(または拒否)などは法律に関する事項ですので、相談するなら上記のいずれかの機関で法律相談を利用する必要があります。
(7)気持ちを聞いてくれる
法律問題を解決したいというよりは、とにかく気持ちを聞いてほしい、まずは悩みを聞いてほしいという場合は、以下の相談機関がおすすめです。
- 離婚カウンセラー
- こころの健康相談統一ダイヤル
- 弁護士
ただし、弁護士については、どの弁護士に相談しても親身になって気持ちを聞いてもらえるとは限りません。
気持ちを聞いてほしい場合は、離婚問題に注力している弁護士や、離婚問題の解決実績が豊富な弁護士を選んで相談することが大切になります。
(8)両親の離婚の相談もできる
ご自身の問題ではなくご両親の離婚について相談したい場合も、状況に応じて前項でご説明した相談機関の全てが利用可能です。
ただし、実際にご両親の離婚問題を解決するためには、当事者であるご本人が相談・依頼する必要があります。
離婚問題に注力している弁護士に相談すれば、弁護士からご両親(のどちらか)に話してもらうことも可能ですので、弁護士への相談がおすすめです。
3、離婚について第三者に相談するメリット
離婚問題に直面したら、一人で悩み続けるのではなく、第三者に相談することが大切です。そうすることで、以下のメリットが得られます。
(1)気持ちが楽になる
一人で抱えていた悩みを誰かに対して吐き出すと、それだけでも気持ちが楽になることでしょう。
重い気持ちを引きずっていては、良い解決策を考え出すことも難しくなります。まずは第三者に相談して気持ちを楽にすることが、解決の第一歩となるでしょう。
(2)味方が得られて心強くなる
ご両親や家族、友人・知人などに相談した場合はケースにもよりますが、理解が得られた場合には味方になってくれるので、心強くなるでしょう。
弁護士に相談した場合は、どのようなケースでも相談者の味方としてアドバイスしてくれるので、非常に心強くなるはずです。
(3)冷静な判断が可能となる
第三者に相談することで事態を客観的に見ることができますので、直面している問題や今後の対応策について、冷静に判断することが可能となります。
離婚するしかないと思い詰めていても、冷静に考えれば修復可能なこともあるでしょう。逆に、配偶者のDVやモラハラ、不倫などを我慢するしかないと思っていても、慰謝料をもらって再スタートを切る方が良いと思えることもあるでしょう。
(4)最適な解決方法が分かる
離婚カウンセラーや弁護士といった専門性の高い相手に相談した場合は、最適な解決方法を提案してもらえます。
一人で悩んでいると堂々巡りとなり、問題から抜け出せないような気になってしまいがちですが、専門的なアドバイスを受けることで、今後の人生に光が差してくることでしょう。
(5)弁護士には離婚手続きをすべて任せられる
解決方法が分かったとしても、離婚問題を自分で解決するのは難しいことが多いものです。配偶者と意見が対立する場合には、法的手続きも必要となってきます。
弁護士に相談した場合には、そのまま離婚手続きを依頼することができます。弁護士は配偶者との話し合いから法的手続きまで代行してくれます。
あなたは配偶者と直接やりとりする必要はありませんし、複雑な法的手続きで苦労する必要もありません。
4、離婚を相談するタイミング
離婚問題をいつ相談すればよいのかが分からないという方もいると思いますが、結論をいいますと、相談するタイミングは早いほど望ましいといえます。
多くの方は、
- 離婚協議で相手方ともめた
- 相手方が子どもを連れて家から出て行ってしまった
- 相手方から離婚調停を申し立てられた
というように、状況が大きく悪化してから相談しようと考える傾向にあるようです。
もちろん、このような場合はすぐに相談した方がよいでしょう。
しかし、理想を言えば、このような状態に陥る前に相談することが望ましいのです。
早い段階で適切な窓口に相談すれば、相手方ともめることなく円満に離婚することが可能となる場合もあります。
有利な離婚条件を獲得できる可能性も高まります。
離婚したくない場合は特に、早めに対処することで離婚を回避できる可能性も出てきます。
まだ離婚問題が表面化していないときに相談するのは気が引ける、弁護士等も嫌がるのではないか、などとお考えの方もいらっしゃることでしょう。
しかし、そんな心配は一切無用です。相談される側も、早めに相談してもらって問題解決に役立ちたいと考えています。
状況が悪化してからでは解決が難しくなりますので、むしろ早めの相談ほど快く受け付けてもらえます。病気になったときは症状が軽いうちに医師にかかった方が良いのと同じことです。
後に弁護士を付けた方が良いとお感じになっている場合も、早めに相談しておけば、状況が悪化した場合にもスムーズに対応してもらえます。切羽詰まっていない段階で早めに動き、いくつかの事務所で無料相談を利用するなどして、相性の良い弁護士を見つけておくのがおすすめです。
5、離婚を相談する際の注意点
離婚問題で第三者に相談するなら、できる限りその相談を有効に活用したいところでしょう。
そのためには、以下のポイントに注意する必要があります。
(1)何を相談したいのかを明確にする
何を相談したいのかが明確でなければ、相談された側もアドバイスのしようがありません。
離婚したいのか・したくないのか、離婚したい場合はどのような理由で離婚したいのか、離婚条件としてどのようなことを獲得したいのかなどについて、できる限りご自身の主張を明確にまとめておきましょう。
ただし、細かいところまで具体的に詰めておく必要まではありません。
離婚の際にどのような請求ができるのか、慰謝料が請求できる場合でもいくらもらえるのか、などといった問題は、法律相談を受けて初めて分かることもあります。
まずは自分の気持ちを整理して、何を望むのかを明確にすることが大切です。
(2)感情論に終始しない
離婚問題に直面したときは、感情的になるのも無理はないことです。
しかし、第三者に相談するときには、いったん感情を横に置き、まずは事実を伝えるべきです。
配偶者が不倫をしているケースなら、誰と、いつ頃から、どのような交際をしているのかについて、知っている限りの事実を伝えるようにしましょう。
専門家は、問題を解決するために相談者の話を聞きます。どのような事実があったのかを把握しなければ、適切な解決策を考えることはできません。
「配偶者のことが許せない」などと感情的なことばかり話しても、何も解決できないことにご注意ください。
ただし、本当に精神的に参っている場合には、こころの健康相談統一ダイヤルに相談するなどして、思いの丈を伝えるようにしましょう。
(3)不利な事実も伝える
相談する際には、自分にとって有利な事実だけでなく、不利な事実も包み隠さずに伝えるようにしましょう。
専門家は、有利・不利を問わず一連の事実を把握しなければ、適切な解決策を考えることはできません。
例えば、配偶者が不倫をした事実のみを伝えた場合には、離婚と慰謝料を請求しようという方針になることが多いでしょう。
しかし、実はあなたの方が先に不倫していたという事実があれば、逆に配偶者から慰謝料を請求される可能性があります。
弁護士に依頼した後に不利な事実が次々に判明したような場合には、弁護士とあなたとの信頼関係が破壊され、辞任されてしまうおそれもあります。
専門家には、事実を包み隠さず伝えた上で、最善の解決策をアドバイスしてもらうことが重要です。
(4)電話・メール・LINEなどによる相談だけで解決しようとしない
先ほどもご説明しましたが、電話相談やLINE相談では、相談できる内容が簡潔なものに限られてきます。
とりあえず簡単なことを相談したいという場合には電話・メール・LINEなどが便利ですが、根本的に問題を解決したい場合はどうしても面談での相談が必要となってきます。
専門家としても、面談での相談・打ち合わせを重ねれば重ねるほど、事実を深く把握できますし、お互いの信頼関係も築かれていきます。
そうすることによってこそ、最適な解決方法が見えてくるものです。
(5)アドバイスは素直に受け入れる
事実を正確に伝えた上でアドバイスを受けたなら、そのアドバイスは素直に受け入れるべきです。
納得できる回答ではないからといって専門家に反論したところで、何の意味もないことに注意しましょう。
ただし、アドバイスを鵜呑みにすべきという意味ではありません。
離婚問題の解決方法はひとつとは限りません。
そのため、弁護士に相談した場合でも、弁護士によって異なるアドバイスをするケースが多々あります。
アドバイスに納得できない場合は、複数の事務所で無料相談を利用するなどして様々な意見を聴き、比較検討した上で、最も信頼できそうな弁護士のアドバイスに従うようにするとよいでしょう。
6、離婚は最終的には弁護士への相談が決め手になる
この記事では、離婚問題を相談できる様々な窓口をご紹介しました。
しかし、離婚問題を解決したい場合、弁護士以外の窓口に相談すると、最終的には「弁護士にご相談ください」ということになってしまいます。
離婚を決意した方で、条件でもめている場合や話し合い自体が進まない場合も、離婚を迫られているが拒否したい場合も、最終的には弁護士が強力な味方になります。
もちろん、とりあえず相談してみたいという場合でも、弁護士が相手ならどんな相談でも聞いてくれます。
そうであれば、離婚に関するお悩みを抱えている方は、どのようなケースでも最初から弁護士に相談することで、最もスムーズな解決が期待できます。
ここでは、弁護士に相談するメリットや、弁護士に相談する際の注意点などをご紹介します。
(1)離婚問題に精通した弁護士は相談をじっくり聞く
弁護士の中には、「あなたの望み(したいこと)は一体なんですか?」と性急に結論を欲しがる人もいるかもしれません。
前記「5」(1)でご説明したように、ご自身の望みを明確にしておくことは大切ではありますが、相談前に一人で全てを決められるものではありません。
離婚問題では、自分の気持ちだけでなく、相手の気持ち、子どもの気持ち、そして家庭を取り巻くたくさんの人たちの気持ちにも配慮しなければなりません。
だからこそ、何が最善なのかを悩むのです。
お笑いタレントの明石家さんまさんも、人生で悩んだことがないと自負するほどの方ですが、唯一人生で悩んだのは離婚だったと某テレビ番組で話しています。それだけ自分だけの問題ではないからこそ、悩むのです。
離婚問題に精通した弁護士は、これを理解しています。「話を聞くことで心の重さの半分以上を軽くすることができる」ということを、実体験で経験しています。本当に依頼者に問題を解決してもらいたいからこそ、あなたの心を開く姿勢もわきまえているはずです。ある意味、離婚カウンセラーの役割も果たしていると言えるでしょう。
(2)その離婚に必要な具体的な証拠がわかる
浮気など、配偶者に隠し事があり離婚を考える場合、探偵事務所で証拠を掴むことが必要なケースもあります。
「証拠」にはある意味「レベル」があります。「それらしいな」と思わせる程度の証拠から、疑いの余地を挟まないほどの証拠までさまざまです。
たとえば浮気であれば、
- 「19:00 渋谷 ●子」と書かれた夫のメモ
- 夫の携帯に残された●子からの着信履歴
- 夫が●子と駅にいたのを見たという友人の話
どれが一番浮気を証明する証拠だと思いますか?
証拠で大切なのは、「訴訟で力を発揮できるか」です。
ですから、どのような証拠が必要なのか、まずは訴訟の専門家である弁護士へ相談することが合理的です。
あなたが集めた証拠で十分であると判断されるケースもあるでしょう。探偵にお願いしてまで準備しなければならない証拠が必要となったときに、初めて探偵事務所を訪れるでも遅くはありません。離婚事件の解決件数が多い事務所であれば、実績のある探偵事務所を紹介してくれる場合もあります。
(3)弁護士=離婚 ではない
経済面、今後1人で生きていく寂しさ、これまでの努力への思い、また子どもの養育環境などにより、離婚はしたいがそれでいいの?と思いとどまる人がほとんどです。
弁護士に相談したら、離婚調停、離婚裁判へと、よくわからないうちにどんどん離婚の方向へ進められてしまったなどという話も聞かなくもありません。
そのため、弁護士はちょっと・・・と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、調停は離婚するためだけの手続きではありません。
離婚調停の正式名称は「夫婦関係調整調停(離婚)」といい、このカッコの部分をとって略称として「離婚調停」と呼ばれています。
もう一つのカッコは(円満)であり、「夫婦関係調整調停(円満)」つまりこれが前述した「円満調停」です。
弁護士は、当然この点についてもプロです。今、離婚か再構築かに揺れている状態でも、弁護士はどちらの道でもお手伝いすることはできますから、安心してご相談ください。
(4)離婚での弁護士費用の相場
離婚問題の解決を弁護士に依頼する場合にかかる費用は、事案の内容や依頼する事務所によって異なりますし、どの段階で依頼するかによっても異なります。
一応の目安として、離婚成立のみを求めて依頼する場合の弁護士費用の相場は、以下のとおりです。
- 着手金:20万~30万円程度(税別)
- 報酬金:20万~30万円程度(税別)
慰謝料や財産分与など金銭の請求を伴う場合は、請求額に応じて着手金、報酬金とも加算されます。
一例ですが、弁護士に依頼することで協議離婚が成立し、慰謝料200万円を獲得した場合の弁護士費用は以下のようになります。
- 着手金(離婚のみの着手金+α):35万円~(税別)
- 報酬金(回収した慰謝料額の10%程度):20万円~(税別)
この他に法律相談料や日当、実費がかかることもあります。
また、離婚調停や離婚訴訟といった法的手続きを要した場合は、追加で着手金がかかることが多いです。
大ざっぱに言って、もめているケースではトータルで100万円程度はかかると見ておいた方がよいでしょう。
こちらの記事では、離婚の弁護士費用について詳しく解説しています。安く抑える方法もご紹介していますので、ぜひ参考になさってください。
(5)離婚に精通した弁護士の探し方
弁護士も、医師と同じように、資格の中身に違いはないものの各人において「専門」を有しているのが通常です。
離婚は特に、民法内の家族法に属する分野ですが、条文数もそこまで多くないこと、またその他の法律と関係することも少ないことから、弁護士なら誰でもできると思われがちかもしれません。
しかし、離婚で大切なのは、かけがえのない家族を失おうとしている人の気持ちを理解することです。
大切な人とうまくいかない人の悲しみを理解することです。離婚に精通した弁護士は、この点を大切にしています。このことを理解せずして、依頼者に最高の結果を迎えさせることができないからです。
そのため、どうぞ離婚に精通した弁護士と出会われることを願います。離婚に強い弁護士の探し方は、こちらのページでご紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
離婚の相談のQ&A
Q1.離婚について第三者に相談するメリットは?
- 気持ちが楽になる
- 味方が得られて心強くなる
- 冷静な判断が可能となる
- 最適な解決方法が分かる
- 弁護士には離婚手続きをすべて任せられる
Q2.離婚を相談するタイミングは?
離婚問題をいつ相談すればよいのかが分からないという方もいると思いますが、結論をいいますと、相談するタイミングは早いほど望ましいといえます。
Q3.離婚を相談する際の注意点は?
- 何を相談したいのかを明確にする
- 感情論に終始しない
- 不利な事実も伝える
- 電話・メール・LINEなどによる相談だけで解決しようとしない
- アドバイスは素直に受け入れる
まとめ
離婚問題で悩んだときは、相談したい内容に応じて適切な相談先を選ぶことが大切です。
どこに相談すればよいのかが分からないときは、弁護士にご相談ください。離婚問題に関するあらゆる悩みについて、親身に話を聞いてもらえるとともに、最適な解決方法を提案してもらえます。切羽詰まった状況にある方はもちろんのこと、「まだ弁護士に相談するほどの問題ではないかも……」と思われる方も、早めに相談されることをおすすめします。
経験豊富な弁護士の力を借りて、スムーズな問題解決を目指しましょう。