弁護士が解説!相続時の遺産分割調停についてイチからご説明します

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「うちの家,相続の時に揉めて大変だったのよ」

・・・このようなお話をお知り合いの方から聞いたり、テレビ等で見聞きしたりしたことが一度はあるのではないでしょうか。人間は誰しもいずれ死ぬ生き物ですから、相続は皆様にとって避けては通れない問題です。決して他人事ではありません。

今回は、相続で揉めてしまった場合に備えて、その解決方法の1つである遺産分割調停という方法をご紹介します。

1、遺産分割調停とは

ご家族やご親戚の方が亡くなった場合、その方の財産をどう分けるかという相続の問題が発生します。この場合の亡くなった方のことを「被相続人」、被相続人の財産を受け継ぐことになる方を「相続人」といいます。

相続人が一人の場合には、その人に被相続人の全財産が相続されますので、特に問題は起こりません。しかし、相続人が二人以上の場合には、被相続人が持っていた財産を誰がどのように相続するのかということを相続人全員で話し合う必要があります。

共同相続人は、家族または親戚関係にあたり、赤の他人とは違って強い信頼関係がありますので、話し合いで上手くまとまることが通常でしょう。しかし、中には、相続人同士が元々不和であったり、相続をきっかけに揉めてしまったりして、やがては骨肉の争いに突入してしまうということも珍しくありません。こうなってしまいますと、もはや共同相続人だけで話し合っていても、永遠に話し合いは平行線のままであり、解決することは難しいでしょう。

そこで、話し合いがうまくいかないようでしたら、家庭裁判所で行われる遺産分割調停を利用することをお勧めします。遺産分割調停は、共同相続人とともに、裁判官1名と調停委員2名以上が間に入ります。そして、対立している相続人それぞれの言い分を分け隔てなく聞き、公平かつ客観的な視点から、意見を述べたり、妥当な分与案について提案をしたりしてくれます。中立的な立場の第三者が間に入ることで、話し合いが進みやすくなる可能性が十分に考えられます。

ただし、裁判とは異なり、調停はあくまで話し合いによる解決を目指す手続ですので、調停委員の遺産分割案には強制力がありません。ですので、共同相続人のうちの誰か1人でも遺産分割案に納得しない場合には、調停は成立せず不調(調停不成立)に終わります。調停手続きが不調に終わりますと、そもそも相続人の範囲や遺産の範囲(例えば、不動産が被相続人のものであり遺産にあたるどうか)に争いがあるなど例外的な場合を除き、自動的に審判手続に移行してしまいます。

他方、共同相続人全員が遺産分割案に合意した場合には、その遺産分割案が調停調書に記載されることになります。調停証書は,確定判決と同一の効力を有するため(裁判をして判決をもらったのと同じことになります)、調停調書の内容に従わない相続人に対して強制執行等の手続を経ることにより、調停調書の内容通りの結果を得られます。

2、遺産分割調停の流れ

(1)共同相続人間で協議

遺産分割調停は、共同相続人間で話し合いがうまくいかない場合に利用できるものですから、まずは共同相続人間で話し合うことになります。

(2)遺産分割調停申立書の作成

共同相続人間で協議がうまくいかなかった場合には、いよいよ遺産分割調停を申し立てることになり、遺産分割調停申立書を作成・提出することになります。

申立書の取得方法や作成方法につきましては後述します。

(3)調停期日への出頭

申立書を裁判所に提出し受理されると裁判所は第1回の期日を決定し、その旨を申立人や他の共同相続人に通知しますので、申立人等は定められた期日に出頭することになります。

そして、話し合いがまとまって調停が成立するか、まとまらずに調停が不調に終わるまで、第2回以降も期日が継続していくことになります。

3、遺産分割調停申立書のダウンロード

遺産分割調停申立書は,下記のリンクからダウンロードできますので、ぜひご利用下さい。当事者目録及び遺産目録も併せてダウンロードできます。

遺産分割調停申立書のダウンロードはこちら

4、遺産分割調停申立書の作り方

遺産分割調停申立書のダウンロードはお済でしょうか。

ダウンロードが終わりましたら、申立書を作成しましょう。どのように記載したらいいかについては、家庭裁判所のホームページでも紹介しています。

詳しくは下記のリンクをご覧下さい。

【Wordデータの雛形付き!】遺産分割調停の申立書を作成するための全手順

5、遺産分割調停の必要書類

(1)申立書関係

  • 遺産分割調停申立書
  • 当事者目録
  • 遺産目録
  • 収入印紙 被相続人1名につき1200円分が必要です。
  • 郵便切手 裁判所によって異なりますので、申立前に裁判所に確認しましょう。

(2)添付書類関係

  • 被相続人の出生から死亡までの連続した除籍謄本,改製原戸籍謄本等戸籍謄本類全て(原本)
  • 相続人全員の現在の戸籍謄本(3ヶ月以内の原本)
  • 被相続人の住民票除票(廃棄済の場合は戸籍の附票)
  • 相続人全員の住民票(3ヶ月以内の原本)
  • 登記簿謄本又は登記事項証明書(3ヶ月以内の原本) 法務局で取得します。
  • 固定資産税評価証明書(3ヶ月以内の原本) 市町村役場で取得します。

6、遺産分割調停にかかる費用は?

(1)遺産分割調停自体にかかる費用

前述したとおり、収入印紙代と郵便切手代がかかります。

(2)弁護士報酬の相場

遺産分割調停を弁護士に依頼した場合の弁護士報酬の相場をご紹介します。

①着手金

  • 事件の経済的利益の額が300万円以下の場合 8%
  • 300 万円を超え3000万円以下の場合 5%+9万円
  • 3000万円を超え3億円以下の場合 3%+69万円
  • 3億円を超える場合 2%+369万円

※着手金の最低額は10万円

②報酬金

  • 事件の経済的利益の額が300万円以下の場合 16%
  • 300万円を超え3000万円以下の場合 10%+18万円
  • 3000万円を超え3億円以下の場合 6%+138万円
  • 3億円を超える場合 4%+738万円

7、遺産分割調停の申立方法

作成した遺産分割調停申立書を、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出することによって遺産分割調停の申立てをすることができます。

8、遺産分割調停の具体的な進み方

(1)調停期日の流れ

調停期日では、申立人は申立人控室で待機し、対立する共同相続人は相手方控室で待機することになります。自分の番がくると、調停委員から呼び出しがかかりますので、申立人と相手方は交互に調停室に入って調停委員に自分の主張を伝えたり、調停委員から話を聞いたりします。この際、基本的にはお互い顔を合わせない状態で手続が進められます。

ただし、初回の手続説明の場合等、必要がある場合には全員が同席することもあります。

(2)調停の成立

話し合いがうまくいけば、調停調書が作成され、調停は無事終了となります。

前述したように,調停調書には裁判をして判決を得たのと同じ効果がありますので、もし調停調書に記載されている内容に従わない相続人がいる場合にはその者に対して、強制執行等をすることできます。そして、その手続を経ることによって、調停調書の内容の実現を図ることができます。

(3)調停の不成立

話し合いがまとまらなかった場合には、調停は不調となって終了し、そもそも相続人の範囲や遺産の帰属に争いがあるなど例外的な場合を除き、遺産分割審判にそのままに移行します。自動的に移行しますので、審判の申立てを別途行うことは不要です。

ただし、そもそも相続人の範囲や遺産の帰属に争いがあるといった場合には別途裁判を起こすことになります。

9、遺産分割調停を有利に進めるためのポイント

(1)相続財産を隠さない

相続財産のことを曖昧にしたり隠したりしても,最後まで誤魔化すことはできません。話が一向に前に進みませんし,隠していたことが後日発覚した場合には調停委員への印象が悪くなります。良いことは何一つありませんので,事実は包み隠さず話すようにしましょう。

(2)自分の希望は素直に話す

自分の気持ちや具体的な希望額は早めに話しておいた方がいいです。その方が調停委員としても解決案がまとめやすいためです。

(3)調停委員への印象を良くする

調停委員は中立の立場ではありますが、調停委員への印象を良くしておいた方がいいでしょう。印象を良くするといっても特別なことをする必要はなく、きちんと挨拶する、マナーを守る、丁寧な言葉遣いを心がける、横柄な態度をとらない、対立する相手の誹謗中傷をしない等、当たり前のことを当たり前にしていれば問題ありません。

また、自分の考えを述べるときは、理由も併せて述べるようにすると説得的になります。

(4)優先順位をつける

調停はあくまで話し合いの場ですので,お互いに譲歩できる部分は譲歩しながら着地点を探していくことになります。ですので,自分の希望に優先順位をつけ、譲歩できる部分と譲歩できない部分をあらかじめ決めておきましょう。その方が話し合いがまとまりやすいですし、早期解決にも繋がります。

(5)メモを活用する

調停の場ではメモをとったりメモを見ながら話したりすることが認められています。慣れない場で緊張してしまって自分の言いたいことが言えなかったり,調停委員の話を忘れてしまったりしないためにも,積極的にメモを活用しましょう。

(6)弁護士に依頼する

お一人で遺産分割調停に臨むことに不安がある方は、弁護士が同席することができます。弁護士は,依頼者の希望を代弁しつつも、感情に囚われず冷静な目でお互いの妥協点を探り、話し合いがまとまるよう尽力しますので、弁護士に依頼すれば事件の早期解決に繋がります。

まとめ

今回は,遺産分割調停についてご説明しました。遺産分割調停の概要や流れ等についてお分かりいただけましたでしょうか。

遺産分割は、専門知識が要求されるうえ、感情的な対立が生じやすい分野でもありますので、公平な第三者でもあり専門家でもある弁護士に一度ご相談されてみてはいかがでしょうか。

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