「共依存夫婦」という言葉を聞いたことはありますか?結婚して夫婦となり仲良く過ごすことは一見良い面しかないように思えますが、中には夫婦の絆が強くなりすぎて共依存(相手がいなければ生きてはいけない状態であり、行動や思考に影響を及ぼす状態)の関係になってしまう夫婦もいます。
独立性を欠き、自己犠牲の上に成り立つアンバランスなパートナーシップはとても健全な夫婦とは言えません。
そんな共依存の関係になると様々な問題が出てきます。
そこで今回は、
- 共依存夫婦の特徴
- 共依存関係から脱出する方法
等についてご紹介します。
トラウマなどの心理的影響や、自己肯定感に問題がある場合は、カウンセリングなど専門家の力を借り、コミュニケーションの改善を図る必要があるかもしれません。
本記事がお役に立てば幸いです。
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1、共依存夫婦とは
(1)共依存夫婦の定義
そもそも、互いに適度な依存関係にあるのが「夫婦」です。
多少行き過ぎた依存があると、第三者から見たら「一人では生きられない」ということが窮屈に見えてしまったり、「愛情と依存の線引きができていない」などと歪んだ関係に見えてしまったりするかもしれませんが、本人たちさえよければ問題ありません。
例えば
- 夫は家事を妻に依存する
- 妻は収入を夫に依存する
こういった関係性は共依存とまでは言えないでしょう。
これに対し、共依存夫婦とは危険な状態を意味する夫婦をいい、文字通りの「単に共に依存しあっている夫婦のこと」ではありません。
共依存夫婦は相手を思うあまりに日常生活上でのトラブルを引き起こす傾向にあります。
たとえば、
- パートナーから常に連絡を強要される
- どこで、誰と、何をしたかについての詳細な報告を求められたりする
などは共依存夫婦によく見られる特徴です。
こういった特徴は場合や程度によって
- 夫婦関係以外の人間関係の破壊
- 仕事への支障
に繋がる恐れがあります。
また、パートナーからどれだけひどい扱いをされたとしてもパートナーの要求に従ってしまうのも極度な依存関係にあるといえるでしょう。
共依存関係が強まると、一方が
- DV
- モラハラ
などを受けてもひたすら我慢してしまうという歪んだ夫婦関係になりかねません。
(2)共依存夫婦の特徴
ここでは、共依存夫婦の特徴について見ていきましょう。
①パートナーの相手は自分でなければ務まらないという思考
共依存夫婦はパートナーにとって自分が替えの効かない唯一無二の存在であると考えています。
自分以外の人ではパートナーの相手は務まらないため、パートナーには自分が絶対的に必要だと感じています。
むしろ、パートナーから必要とされていることで自分の存在価値を見出していることすらあります。
②パートナーの気分に左右される
共依存夫婦はお互いに依存していますので、相手のことを考えすぎてしまう傾向にあります。
そのため、自分のペースで生活するのではなく、パートナーの気分にいつも左右されてしまいがちです。
- パートナーの機嫌が悪ければビクビクおびえる
- パートナーがイライラしていると自分もイライラする
- 自分が原因なのではないかと不安に感じる
など精神的な悪影響を受ける傾向にあります。
③自分の感情を抑え込むのが基本
共依存夫婦は基本的に自分の感情を抑え込むのがベースです。
相手の顔色を伺い、相手の機嫌が悪くならないように相当な気を使います。
共依存夫婦は相手に依存しているため、相手に嫌われることや相手から見捨てられることはこの世の終わりくらいの打撃を感じます。
だからこそ、自分の感情をおさえこんだとしても夫婦生活を継続することを選ぶのです。
④パートナーの非は自分の責任
パートナーの機嫌が悪くなったりパートナーに何かトラブルがあったりすれば、すべて自分の責任だと感じてしまうのが共依存夫婦です。
パートナーにも至らない点や改善すべき点があったとしても、すべては自分の責任だと考えてしまいがちです。
- 自己肯定感が低い
- パートナーなしでは自分の存在価値を見いだせていない
などの思考の傾向から、パートナーの非を客観的に見られない状態になってしまうことがあります。
⑤パートナーの要求は絶対
共依存夫婦はパートナーから嫌われることやパートナーから見捨てられることを極端に怖がります。
そのため、パートナーからの要求に従い、パートナーの要求を守らないことはあり得ないと考えているケースもあります。
⑥きっかけがパートナー
共依存夫婦の一方には、もともと依存体質であったというよりは、今のパートナーがきっかけとなって束縛行為に慣れた、あるいは自分が行うようになったという例もあります。
(3)共依存夫婦の問題点
夫婦の形・在り方には正解がなく、夫婦によってその答えは異なります。
だからこそ、一概に依存してはいけないということではないのですが、共依存夫婦の問題点は、
- 一方が潜在的に苦しみを抱えている
- 社会生活に支障をきたす
などの可能性です。
例えば一方が
- 本当は束縛されたくない
- 本当は過剰な連絡で行動を監視されたくない
- 本当は相手の機嫌にビクビクするのではなくもっと穏やかな毎日を過ごしたい
と思っていたとしても、共依存夫婦ではそれが許されません。
また、パートナーはもちろん大切でありますが、それ以外の全てのことがおざなりになってしまうというのも健全な状態とは言えないでしょう。
2、危険な共依存夫婦とは
先にも述べましたが、夫婦はある程度依存しあっているものです。
しかし、以下のような場合、その共依存は危険であるといえます。
ここではその危険な例をあげます。
- 一方のDVやモラハラがひどい
- 一方の借金がひどい、生活費を稼がない
- 一方の浮気癖がひどい
- 一方の酒癖がひどい
(1)一方のDVやモラハラがひどい
共依存夫婦はお互いに極度に依存しあっており、DVやモラハラがひどいケースさえあります。
DVやモラハラをする側の人は、誰に対してもDVやモラハラをするわけではなく、ターゲットを決めています。
そのため、DVやモラハラ気質がある人は、DVやモラハラをできる相手に依存している傾向があります。
共依存夫婦の場合、一方はDVやモラハラを我慢することで相手に「依存」しているケースがあります。
このように、依存の内容が対等ではなく、一方の依存が(隠れた)「我慢」の上にある状態が、非常に危険な共依存夫婦ということができます。
(2)一方の借金がひどい、生活費を稼がない
夫婦の一方が抱えている借金がひどかったり、家事もやらずに生活費を稼がなかったりするケースもあります。
あまりにも借金がひどかったり生活費を稼がず家事もやらなかったりするパートナーを見ると、第三者は「離婚したほうがいい」とアドバイスすることが珍しくありません。
しかし、共依存関係にあると、どれだけパートナーの借金が増えようが生活費を稼がずダラダラしていようが、
- 自分がその問題を解決しなければならない
- 自分しかパートナーのことを救える人はいない
という気持ちになってしまいがちです。
自分もパートナーに依存しているということを理解しないと、離婚の選択肢すら思い浮かばない人もいます。
(3)一方の浮気癖がひどい
共依存になりやすい人は、感情が曲がった形で表現されてしまうことがあります。
中には、パートナーに対する愛が強いだけでなく、パートナー以外の人との浮気癖がひどいケースもあります。
共依存夫婦の一方が浮気を繰り返している場合、客観的に見れば離婚をしたほうが良いように思えます。
しかし、ここでも共依存関係にある場合、夫婦の一方がどれだけ浮気をしていてもパートナーから離れられないのが共依存夫婦の特徴です。
(4)一方の酒癖がひどい
夫婦の一方がアルコール依存症になったり酒癖がひどかったりしても、なかなか離れられないのが共依存夫婦です。
アルコール依存症になると、本人の健康上に問題が生じるのはもちろんですが、
- お酒を飲むことでパートナーに暴力をふるう
- 子供にも手を出したりする
などの事例も存在します。
アルコール依存症を治療する専門の病院もありますが、それらの病院に入院してもなかなかアルコール依存症から脱出できない人は少なくありません。
むしろ、共依存関係にあるパートナーの存在がアルコールに依存しても問題ないという安心感を与えてしまうこともあります。
3、共依存夫婦の危険な末路
では、共依存夫婦の末路はどのようになっていくのか確認していきましょう。
- 問題が解決しない
- 我慢している側は健康でいられない
- 離婚が難しくなる
(1)問題が解決しない
例えば
- DV
- 借金
- 浮気
- 酒癖
など、相手に治してほしいことがあったとしても、共依存夫婦の場合、夫婦間で常時発生している問題が解決することはほとんどありません。
それでも
- いつか相手が心を入れ替えてくれるだろう
- いつか変わってくれるだろう
と淡い期待を抱いてしまうかもしれませんが、依存関係を脱しないことには相手も変わらないと考えておいたほうが良いでしょう。
(2)我慢している側は健康でいられない
共依存夫婦でパートナーのDVやモラハラに我慢していると、若いうちは我慢できたとしても、段々と無理がたたってきます。
問題が解決される可能性は限りなく低いので、我慢している側は心身ともに消耗します。
(3)離婚が難しくなる
解決しない問題を抱えながら歳を重ね、いいかげん共依存を脱したくなったとしても、積年の依存関係を断ち切ることは精神的にかなり苦しいものになってきます。
結婚生活が長くなればなるほど、共存関係から抜け出し離婚することも難しくなる傾向にあります。
4、危険な共依存夫婦から脱却する方法
ここからは、危険な共依存夫婦から脱却する方法について解説します。
(1)カウンセリングを受ける
危険な共依存夫婦から脱却するのは簡単ではありません。
特に、夫婦は生活を共にしていますから、たとえ一人でいるときに「共依存関係から脱却したい」と思ったとしても、パートナーが家に帰ってきたり一緒に過ごしていたりすると、なかなか共依存夫婦の関係から抜け出せません。
共依存関係から脱するには、
- パートナーと自分は別の人間であると線を引く
- 精神的に自立する
- パートナーとは関係なく自分には価値があると認める
- 夫婦関係以外の世界にも視野を広げる
- 最終的に、相手との関係を客観的に見られるようにする
などのステップが必要です。
強い共依存にハマっている状態からの脱出については、一人でやり遂げられるものではありません。専門的なカウンセラーの協力が不可欠です。
カウンセラーに相談することは恥ずかしいことではありませんので、思い切ってカウンセラーに相談することも検討していきましょう。
(2)別居する
今と同じパートナーとの生活を続けていては、共依存状態から目覚めるのは難しいケースが多いです。
共依存状態から目覚めるには物理的にパートナーと離れることも時には必要になってくるでしょう。
別居をきっかけに夫婦関係に限定されない広い世界をお互いが認識できる可能性もあります。
5、危険な共依存夫婦からの脱却のために離婚が必要な場合もある
共依存は、パートナーの自立の妨げとなるとともに、あなたの人生の妨げになっている可能性があります。
人は、自由な環境で、自由な発想で生きてこそ、あなたを本当に認めてくれる人と出会うことができます。
依存ではなく、自立して初めて、生きている実感が沸く人も多いものです。
もし、今の夫婦関係が、自分や子供の人生の妨げになっていると少しでも感じるのなら、離婚も視野に入れることです。
ただ、離婚は決して簡単ではありません。依存関係にあるとなればなおさらです。
あなたがどのような対応をとることがベストなのか、夫婦関係に詳しい弁護士に相談するのも1つの手段でしょう。
夫婦関係に詳しい弁護士は、離婚だけでなく、夫婦の立て直し方にも詳しいはずです。
もし関係の再構築に努めてもそれが困難であると判断した場合には是非ベリーベスト法律事務所へ相談してみてください。
まとめ
共依存夫婦になろうと思って共依存夫婦になるカップルはいません。お互いが依存し合い、気がついたら度を超えた共依存関係になっていたことに時間が経ってから気づく人が多いでしょう。
いくら夫婦であっても、共依存関係を続けることで精神的ストレスや重圧が増えるのであれば、共依存関係を脱出することが大切です。別居や離婚を視野に入れている方は一人で悩まず、お気軽に弁護士にご相談ください。