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労働相談情報センターとは?労働関係の悩みを解決するための5つ

労働相談情報センター

労働相談情報センターの存在を知っていますか?

  • 毎日残業をしているのに、申告をしても残業代手当は支払ってもらえない
  • タイムカードも、実際の残業時間どおりに刻印することは禁じられ、残業が無かったことにされてしまっている

ブラック企業は、今だに少なくありません。
もし、ブラック企業に入社してしまい違法な労働環境に置かれた際にどのような相談先があるでしょうか。 

ここでは、相談先の一つである「労働相談情報センター」について、

  • そもそも労働相談情報センターとは?
  • 労働相談情報センターで相談できることは?
  • 労働相談情報センターに相談する方法

などの内容をベリーベスト法律事務所の労働専門チームの弁護士が説明していきます。ご参考になれば幸いです。

労働問題について解決したいと考えている方は以下の関連記事もご覧ください。

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1、労働相談情報センターとは?

まず、労働相談情報センターがどのような場所なのかについて説明していきます。

(1)労働相談情報センターは、東京都の相談窓口

労働相談情報センターは、東京都産業労働局の出先機関です。
千代田区飯田橋所在の労働相談情報センターの他に、以下の5ヶ所の事務所があります。

  • 大崎
  • 池袋
  • 亀戸
  • 国分寺
  • 八王子

(2)労働相談情報センターの役割

労働相談情報センターの主な役割は、次のとおりです。

  1. 労働問題全般について相談を受ける
  2. 労使双方が、労働相談情報センターに話し合いの仲介をしてもらって解決することを希望する場合は、話し合いの仲介、調整、解決のあっせんをしてもらう(あっせん制度)
  3. 労働問題、労働に関する制度、法律についての学習、調査を支援するため、セミナーの開催や資料の提供、貸出し等を行う

(3)労働相談情報センターと同様の窓口は、各地方自治体にも

東京都産業労働局は、東京都の内部組織であり(東京都組織条例第1条)、その担当事務が、産業・労働に関する事項とされ(同第2条)、労働相談情報センターが置かれているのです。

このような地方自治体の労働相談機関は、東京都だけでなく、他の都道道府県にも独自に設置されています。

例えば、

  • 大阪府では、「総合労働事務所」、
  • 神奈川県では、「かながわ労働センター」

という窓口を設置しています。

(4)似た名称の「総合労働相談コーナー」は、国の機関

労働相談情報センターと似た名称の組織に、「総合労働相談コーナー」があります。
これは、厚生労働省の下部組織として各都道府県に配置されている「労働局」(東京労働局※や、北海道労働局など)が設けている窓口です。
こちらは、地方組織である東京都の労働相談情報センターとは違い、国の組織です。

※「総合労働相談コーナー」のある「東京都労働局」は、厚生労働省の国家機関であるのに対し、「労働相談情報センター」のある「東京都産業労働局」は東京都という地方の機関です。

名称が非常に紛らわしいので御注意下さい。

2、労働相談情報センターで相談できることとは?

労働相談情報センターは、労働問題全般の相談に応じています。

労働相談情報センターで相談できる労働問題の具体例をいくつか挙げて説明していきます。

(1)賃金不払い問題

業績や財務内容の悪化などを口実に、労働契約どおりの賃金を支払わないケースは多発しています。

しかし、労働契約は、労働者が使用者に労働力を提供し、使用者が対価として賃金を支払う契約関係です。
そのため、使用者は、原則として、労働者が労務を提供している限り、労働者に対して、賃金を支払う義務を負います(労働基準法24条1項、2項)。
労働者は、当然に使用者に対して、未払賃金を請求できます。
賃金不払いは、労働基準法違反として、30万円以下の罰金という刑事罰の対象となります(労働基準法24条、同法120条1項)。

(2)サービス残業

使用者が、労働者を法定労働時間(原則は、1日8時間、1週間40時間。労働基準法32条)を越えて残業させることは原則として違法です。
ただし、事業場の労働者の過半数の代表者か、過半数の労働者が加入している労働組合との間で、書面による協定を締結し、これを労基署に届け出れば、法定労働時間を超えた労働をさせることが可能です(同法36条)。
しかしその場合にも、使用者は、25%等の割増率による賃金を支払わなければなりません(同法37条)。

サービス残業は、法的根拠もなく、所定労働時間を超える残業をさせ、それに対する賃金を支払わないものであり、明白な違法行為です。そのため、使用者はサービス残業をさせた場合、6月以下の懲役刑又は30万円以下の罰金刑という刑事罰の対象となります(同法32条、119条1項)。

労働者は、当然に、割増賃金の支払いを請求できますし、訴訟となった場合は、違反のあった時から、2年以内に請求した分について場合に限り、裁判官の裁量により、制裁として、割増賃金と同一額同額の付加金の支払いを求める命じることも可能です(ただし、付加金は、裁判官の裁量によります。同法114条)。

(3)不当解雇問題

正社員として雇用されていたのに、会社の業績悪化を理由に、人員整理と称して解雇を通告されたケースがあります。

期限の定めのない雇用契約に対する解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、解雇権の濫用として無効です(労働契約法第16条)。
上記のケースは期限の定めのある雇用契約に対する解雇は、やむを得ない事由がある場合に限られます(労働契約法19条)。
たとえ企業が経営上必要とされる人員削減のために行う整理解雇であっても、解雇権が有効であるかは、以下の濫用ではないと言えるには、厳格な4要件(4要素)に基づいて判断されます。

  1. 人員整理がやむを得ないといえるか
  2. 労働者の解雇を回避するために、解雇以外の努力をしたかどうか(例えば、役員報酬のカットや、新規採用の抑制、希望退職者の募集、余剰人員の配置転換などの方策)
  3. 解雇される人の選定は妥当か選定基準は合理的かつ公正か
  4. 手続の妥当性。労働組合や当事者との間で、説明、協議が十分行われたかどうか

各要件(要素)を考慮して、解雇権の濫用に当たる満たされない場合は、整理解雇は無効となります。

労働者は、使用者に対して、解雇の無効を前提として地位の確認原職への復帰を請求できると共に、解雇により就労できなかった期間中の賃金支払を求めることや、場合によっては違法な解雇に対する慰謝料などの請求を行うことが可能です。

(4)セクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントとは、職場において行われる性的な言動で、

  • 労働者の対応により、その労働条件について、不利益を受けるものと、
  • 労働者の職場環境が害されるもの

があります(雇用機会均等法11条)。

セクハラは、不法行為(民法709条)に当たることがあり、使用者、また行為者に対して、慰謝料等の損害賠償請求ができる可能な場合があります。
また、職場でのセクハラは、使用者責任(民法715条)または、債務不履行(民法415条)も生じさせることがあり、被害者は、会社に対して損害賠償請求等をできる場合があります  。

男女雇用機会均等法も、職場でのセクハラを防止するため、使用者が、雇用管理上必要な措置を講じなければならない使用者が適切な措置を講じなければならないことを規定しています(同雇用機会均等法11条)。

(5)出向命令

出向命令とは、雇用先企業に在籍したまま、他の企業で相当長期間に渡り、業務を行わせる人事異動をいいます。
労働契約上の根拠がない出向命令は、無効であり、労働者は出向命令に応じる義務がありません、
また、これらの根拠がある場合でも、次のような場合には、無効な出向命令となり得ます。

①強行法規違反

強行法規に反する出向命令は無効です。
例えば、出向が組合活動の妨害を目的とするような不当労働行為に当たる場合や差別を理由とする場合のことです。

②労働協約違反、就業規則違反

労働協約等に人事協議条項や同意条項があるにも関わらず、これに違反してなされた出向命令も、通常は無効です。

③権利濫用

出向命令は、業務上の必要性、対象労働者の選定等の事情に照らして、権利を濫用したものと判断された場合は、無効となります。(労働契約法14条)。

(6)その他の諸問題

以上のような労働問題以外にも、労働相談情報センターは、広く労働問題全般について相談を受けてくれます。
下記に記載するものも、その一例であり、これらに限定されるものではありません。
労働問題といえるかどうか悩む前に、まず電話相談をしてみることをお勧めします。

  • 就業規則が労働者に不利益な内容に変更された
  • 内定を取り消されてしまった
  • 採用時に提示された労働条件と実際の労働条件が違っている
  • 労働災害にあってしまった
  • 昇進昇給や配置転換に男女差別がある
  • 深夜労働や残業を強要されている
  • 育児休暇や介護休暇を取らせてもらえない
  • 上司からパワハラを受けた
  • 長年、有期の雇用契約を繰り返してきたが、更新しないと言われた(雇止め)
  • 退職勧奨にあってしまった
  • 会社が倒産したが、賃金や退職金を受け取っていない
  • 雇用保険、健康保険の手続き
  • 雇うことを条件に、高額なローンを組んで商品を買わされた 

3、労働相談情報センターを探す方法

労働相談情報センターは、下記の通り都内に6箇所あります。
それぞれに担当区域があり労働相談を受け付けています。

労働相談情報センターと各事務所の一覧

 

住所

相談予約電話

担当区域

労働相談情報センター

千代田飯田橋3-10-3

東京しごとセンター9F

03-3265-6110

千代田・中央・新宿・渋谷・中野・杉並・島しょ

池袋事務所

豊島区東池袋4-23-9

03-5954-6110

文京・豊島・北・荒川・板橋・練馬

亀戸事務所

江東区亀戸2-19-1

カメリアプラザ7F

03-3637-6110

台東・墨田・江東・足立・葛飾・江戸川

大崎事務所

品川区大崎1-11-1

ゲートシティ大崎ウエストタワー2F

03-3495-6110

港区・品川・目黒・大田・世田谷

 

国分寺事務所

国分寺市南町3-22-10

042-321-6110

立川・武蔵野・三鷹・青梅・

昭島・小金井・小平・東村山・国分寺・国立・福生・東大和・清瀬・東久留米・武蔵村山・羽村・あきる野・西東京・西多摩郡

八王子事務所

八王子市明神町3-5-1

042-645-6110

八王子・府中・調布・町田・日野・狛江・多摩・稲城

労働相談情報センターの詳細は、東京都のサイトで見ることができます。

また、東京都以外の方は、各道府県のサイトから、自治体の労働相談窓口を見つけることができます。

4、労働相談情報センターに相談する方法 

労働相談情報センターには、各種の労働相談制度があります。

(1)電話相談

「東京都ろうどう110番」という名称で、電話相談専用ダイヤル「0570-00-6110」に電話をして、労働相談に応じてもらえるものです。

実施日時は、平日9時~20時(相談終了時間)、土曜9時~17時です。

(2)来所相談

飯田橋センター及び各事務所での来所労働相談は、予約制です。
前記の相談予約電話番号にて予約を受け付けています。

実施時間は、平日9時~17時。土曜日9時~17時(飯田橋センターのみ)、夜間相談は、20時までで、これは各場所ごとに実施曜日が異なります。

(3)弁護士労働相談

飯田橋センターにて、月・木・金の14時から16時に実施します。
1人1回30分です。
都内在住者又は在勤者に限ります。
相談希望日の前日までに、飯田橋センターに電話又は来所して事前予約を行います(但し、1日3組まで)。

(4)外国人労働相談

英語・中国語での労働相談を実施しています(予約制)。

  • 英語飯田橋センター、大崎、国分寺
  • 中国語飯田橋センター

以上の各種労働相談の詳細は、東京都のサイトから見ることができます。

5、労働相談情報センター以外の労働問題の相談先

最後に、労働相談情報センター以外の相談先を紹介していきます。

(1)厚生労働省及び各都道府県労働局の「総合労働相談コーナー」

労働局は、厚生労働省の地方機関であり、全都道府県に各1つ設置されています。
東京都の場合は東京労働局、神奈川県の場合は神奈川労働局です。
これら各都道府県の労働局を総称して「都道府県労働局」と呼んでいます。

「総合労働相談コーナー」は、「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」という法律に基づいて、各都道府県労働局に設置された窓口です。
個別労働関係紛争とは、労働条件などに関する個々の労働者と使用者との間の紛争を言います。
要するに、労働組合と使用者の間の問題以外と考えて構いません。

総合労働相談コーナーでは、相談を受けるだけでなく、紛争の当事者に対して、助言や指導も行ってくれます。
さらに、助言や指導で解決しない場合には、当事者の希望により、あっせん制度を利用することができます。
あっせん制度とは、労働問題の専門家である弁護士、大学教員、社会保険労務士などからなる紛争調整委員会が、当事者の言い分を聞き、話し合いの仲介をしたうえで、紛争解決の斡旋を行うものです。

これらの制度は、全て無料で利用することができます。
総合労働相談コーナーの各種サービスに関する詳細は、厚生労働省のサイトで見ることができます。

(2)労働基準監督署

労働基準監督署は、労働基準法などに規定された労働条件の法規制を使用者が遵守しているか否かを監督することを主目的とする労働局の下部組織です。

例えば、労働者が、賃金不払いやサービス残業などの違反事実を労働基準監督署に申告すれば、違反事実の有無を調査し、事実があれば是正を勧告するなどの行政指導を行います。

このように、労働基準監督署は、監督・取締のための機関であり、労働問題における労働者の救済を直接に目的とした機関ではありません。

労働基準監督署の中に、総合労働相談コーナーが設けられていることがありますが、これは厳密に言うと、各都道府県労働局の総合労働相談コーナーが、労働基準監督署の場所を間借りしているだけのことです。

(3)法テラス

法テラスの正式名称は、日本司法支援センターです。
日本司法支援センターは、総合法律支援法という法律に基づいて、国民に対して広く法的サービスを提供する窓口の役割を担うべく設立された、法務省所管の独立行政法人です。

日本司法支援センターでは、弁護士や司法書士による労働問題を含めた各種の無料法律相談を行っており、相談を受けるだけでなく、弁護士や司法書士による援助が必要な場合は、その費用の扶助(立替)も行なってくれます。

(4)法律事務所(弁護士事務所)

弁護士は、労働問題を含む各種法律の専門家であり、法律相談だけでなく、労働者を救済するために、使用者と交渉したり、裁判所に訴訟を起こしたり、労働委員会に救済申立てを行ったりする代理人として活動します。

他の相談機関が、アドバイスや話し合いの斡旋にとどまるのに対し、弁護士は、労働者本人の代理人として、その利益を図る、労働者の味方です。

労働者本人のために、裁判を提訴したり、労働審判の申立などの、労働問題の解決を図る手続きを行うのは弁護士であり、弁護士の活動は、労働紛争を最終的に解決する活動であると言えます。

他の相談機関で相談を受けたり、話し合いのあっせんを受けたりすることは無料なのに対し、弁護士に依頼して、代理人として活動してもらうことは有料です。

しかし、弁護士の活動は、労働問題の最終的な解決に直結するものですから、費用はかかっても、最初から弁護士に相談し、依頼することが、結局、早期に問題を解決することにつながります。

尚、弁護士の法律相談料は、通常30分5,000円(税抜)が相場ですが、労働者側の労働問題に関しては、初回の法律相談を無料としている法律事務所も多く存在していますので、御利用をお勧めします。

まとめ

労働相談情報センターについて詳しく説明をしました。

地方自治体の労働相談窓口であっても、国の労働相談窓口であっても、専門知識のある職員等が対応しますので、解決の糸口が見つかることが期待できます。
悩んでいるよりも、是非、勇気を出して、これらの相談機関を利用してください、あなたが、問題を解決し、明るい気持ちで仕事に励むことができるよう、祈っています。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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