離婚後の新しい生活をどうスタートするかは、多くの人にとって重要な問題です。特に専業主婦やシングル親にとっては、住まい選びが大きな課題となります。
この記事では、離婚後の住まいの選択肢を確保するための方法を紹介し、子供のことを考えた住居選びや引っ越しの準備、予算計画について詳しく解説します。
離婚後の住まいに悩んでいる方々は、ぜひこの記事を参考にし、明るい未来への第一歩を踏み出してください。
1、離婚後の住まい、みんなどうしてる?
まずは、離婚後の住まいを離婚経験者はどうしたのか、みんなの離婚後の住まいをチェックしてみましょう。
(1)実家
実家との関係が円満であり、また実家が今の生活圏にある場合では、トップ人気の離婚後の住まいと言えます。
賃料が無料(または安い)、育児や家事の協力者がいるという点もそうですが、離婚で傷ついた心を育った環境が癒してくれると感じる人も多いことでしょう。幼い頃から学生時代に慣れ親しんだ街は、優しく迎えてくれるものです。
(2)賃貸
仕事をもっている妻の場合、賃貸を利用するハードルは下がります。
子どもを養いながらだと十分な収入とは言えない場合では、可能な限り安く入れる賃貸物件を探す必要がありますが、気に入った物件が見つかったときは、これからの再出発に胸も踊るかもしれません。
賃貸は保証人が必要であるイメージがあるかもしれませんが、今どきの賃貸物件は、保証会社が保証人となる物件も多く、知人や家族に頼まずとも賃貸借が可能です。入居時の敷金・礼金についても、なしとする物件も増えていますが、退去時に思わぬ費用が発生する場合がありますので、注意して選んでいきましょう。
そして、賃貸というのは毎月家賃の支払いが発生します。そのため、収入や資産の証明が求められる物件もあるでしょう。この点も注意が必要です。
自治体によっては、「シングルマザー家賃補助」をしてくれるところもあります。金額や条件などは自治体によって様々ですので、離婚後に住む自治体に確認してみましょう。
(3)公営住宅
自治体が貸し出している公営住宅は、収入で家賃が決まるため、収入が少ない場合は頼りにしたいところです。
ただ、離婚の時系列で考えると、できれば離婚前に公営住宅を確保し、その後離婚といきたいところですが、離婚前の収入状況で審査されますので、現在の状況が低収入でない限り入居の権利を獲得することは難しいでしょう。
また、基本的に連帯保証人を求めていること、応募から当選までの倍率が高い地域が多い(基本的に母子家庭優先枠もありません)ことなどから、離婚直後から利用することは難しそうです。
(4)社宅
勤めている会社に社宅がある場合は、社宅を利用するという場合もあります。社宅なら、補助を受けれるため、安く借りられます。
社宅と言えば、会社の近くにある寮をイメージしがちですが、「借り上げ社宅制度」と言って、事業所に賃貸物件を借りてもらい、そこに住むパターンもあります。
例えば、家賃が5万円だとしたら、25,000円は会社が負担し、残り半分は自分で負担します。住居手当をもらわない分、会社が負担してくれるという仕組みになっているのです。
今から仕事を探そうとしている方は、社宅がある会社を探してみてもいいかもしれません。
(5)今の住まい
夫が今の住まいを出て行く場合は、そのまま自分が住み続けるという選択をする方もいます。
ただ、今の住まい自体が賃貸である場合は、離婚後の賃料を支払っていく必要がありますし、持ち家である場合は、残った住宅ローンの返済や固定資産税の支払いは逃れられません。
とはいえ、新しく探すよりは住み続けられることのメリットは大きいと言えます。子どもに引越しをさせなくて済むこともその1つでしょう。
また、離婚の原因が夫の有責事由(浮気、DV、ハラスメント等)であれば、離婚後の支払いについても引き続き夫負担とする協議をして離婚できる可能性もあります。詳しくは「2」(2)をご覧ください。
(6)新しく買った不動産
中には、婚姻中に夫の財産で不動産を買っておき、離婚後に財産分与でもらう、という方法をとる方もいます。
ただし、自分名義の不動産を持つということは維持費・固定資産税がかかります。
不動産を保有する場合は、後々その不動産をどのようにするのか将来のプランを踏まえた上で、購入することをおすすめします。
2、離婚後の住まいはこれ!状況ごとの離婚後の住まいを紹介
様々な離婚後の住まいをみてきましたが、離婚後の住まいをどうするのかは、あなたが今どのような状況なのかによって違います。
本項では、状況別の離婚後の住まいをご紹介していきます。
(1)仕事を探してから離婚をする
もし今まで夫の扶養下にいたのであれば、離婚をするということは仕事をしなければならないということです。専業主婦といういわゆる無職の状態は、結婚している状態にのみ認められる立場だからです。住むところを探すためもそうですが、離婚をするということは、働くということを意味するのです。
仕事をしてさえいれば、賃貸、社宅、そしてゆくゆくは公営住宅も視野に入れることができます。家を出たい衝動に駆られた時でも、ウイークリーマンションやマンスリーマンション、ホテルなどに飛び出すことも可能になります。
長年専業主婦でいたならば、もしかしたら自立することが少し怖いかもしれません。働くことが好きでなかった場合は、特に恐怖を感じてしまうことでしょう。
そこで、この結婚生活を永久就職先と覚悟し、離婚を止めることも1つの考えです。家庭内別居などを上手に取り入れ、あなたの中での夫との心の距離をあなたなりにとっていくことで、ストレスも軽減されるかもしれません。
(2)夫に有責事由があるなら夫に出てもらう
夫の浮気、DVなど、夫に有責事由がある場合は、この離婚は有利に進めていくべきです。
相手方に有責事由がある場合、基本的に「慰謝料」を請求することができます(民法709条、710条)。そのため、あなたが今の家に残りながらも、残りのローンや固定資産税、または賃料を、慰謝料として夫に支払わせる交渉をすべきです。
慰謝料金額は一律ではありません。相手との交渉で決められるものです。あなたの生活が落ち着くまで、または子どもが成人するまでなど、期限付きになるかもしれませんが、この交渉をし、あなたの方が今の自宅での生活を継続すると良いのではないでしょうか。
なお、この方法は交渉力が必要です。DVやハラスメント夫は「マイルール」をもっており、話が通じないと感じる妻も多いものです。そのため、成功させるためには弁護士に相談されることをオススメいたします。
(3)夫に財産があるなら財産分与をしっかりと
夫に財産がある場合は、離婚時の財産分与に期待が持てます。
財産分与とは、婚姻期間中に作った財産を離婚時に折半する(2分の1ずつに分ける)ことを言います。夫の給料が比較的高い、婚姻中に株で儲けたなど、結婚している期間に財産を多く作ってこれた家庭では、財産分与の額も多くなってくるはずです。
現金で財産の2分の1もらえば、賃貸の初期費用にもできますし、すでに所有している不動産があれば、それをもらうことにより住まいを確保することができます。
(4)夫からDVを受けている場合はシェルターがある
夫からDVを受けている場合は、早急に家を出ることを考えることをおすすめします。あなただけではなく、子どもも心身ともに傷つけられてしまいます。
シェルターは、その場所は公開されていません。DV加害者に場所を特定されないためです。シェルター入所を希望する場合は、
- 警察署の生活安全課
- 配偶者暴力相談支援センター
などに相談してみましょう。シェルターでは、24時間受け入れをしており、緊急時にはいつでも頼ることができます。
ただし、ここは「住む」場所ではありません。DVの問題ではとりあえず逃げることがとても大切です。そのため、その「とりあえず」の逃げ込み場所と考えておきましょう。入居期間は2週間程度と大変短くなっています。この2週間で、これからの生活への準備をするのです。
(5)母子生活支援施設
障がいや病気などを原因として自立することが難しい女性に子どもがいるケースでは、「母子生活支援施設」もあります。
母子生活支援施設とは、母と18歳未満の子が一緒に生活する環境を提供する施設を指し、夫からのDV被害に遭った母子の相談や一時保護も行っています。また、何らかの理由で離婚ができない母子も対象となっています。
母子生活支援施設を利用するには、戸籍謄本、住民票、課税・所得証明が必要です。入所基準は、各自治体に問い合わせてみるといいでしょう。
入所後は、2年以内に退所する施設もあります。あくまでも、自立支援を目的とする施設ですので、やはり長くは住めません。
3、住まいを確保できる離婚の仕方は弁護士に相談!
離婚したい!と思うからには、あなたの夫に何らかの原因があったのではないでしょうか。
そんなあなたの離婚をしたいと思う理由から、どのように離婚を進めるのがベストな方法なのか、弁護士に相談してみませんか?弁護士に相談することには、次のようなメリットがあるのです。
(1)離婚前の別居では婚姻費用を請求できる
とりあえずの費用があれば、飛び出したくなることもあるでしょう。しかしこのまま家賃等を支払い続けるのは厳しい・・・。そんな離婚前では、夫に対し、「婚姻費用(生活費)」を請求することができます。
自分から飛び出しても請求できるの?と驚くかもしれませんが、民法では、夫婦は婚姻費用(生活費)を分担することになっているのです(760条)。あなたの収入が低いのであれば、法律上、夫が一定のあなたの婚姻費用を負担しなければなりません。
弁護士に相談すれば、婚姻費用を支払うよう、あなたの代わりに夫と交渉してもらえます。任意に支払わない場合は、法的手段をとることも可能です。
(民法760条)
夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。
婚姻費用の詳しい金額などについては、こちらの記事をご覧ください。
(2)ケースにあった離婚の仕方を提案
夫のために仕事を辞め専業主婦になったあなた。離婚後、夫は仕事をもっているため何ら不自由なく暮らしていけるのに、長年仕事を離れていたからこそ女性である自分だけが不利になるなんておかしいと思いませんか?
前述の通り、離婚後は、経済的な自立は不可欠です。しかし、離婚の自由を保障するためには、離婚直後の経済状況は担保されるべきです。
離婚原因、また夫の資産状況などから、弁護士は、可能な限り離婚直後も夫の支援を受けられるよう、離婚の仕方を提案します。あなたの置かれた状況に応じて、どう行動すべきなのか適切にアドバイスをくれる心強い存在となることでしょう。
(3)弁護士からアドバイスを受ければ話し合いもスムーズに
離婚しようとする夫婦においては、当人同士で話しても、スムーズに進展しないことがほとんどです。慰謝料・養育費・住宅ローンなどのお金に関すること、親権に関することなど、取り決めなくてはいけないことがたくさんあるため、当然のことでしょう。
しかし、弁護士に相談すれば、適切なアドバイスを受けることができます。
また、法のプロである弁護士からのアドバイスに沿って行動すれば、有利な立場で離婚することも可能です。
早く、有利に離婚の決着をつけたい方こそ、弁護士へ相談したほうがいいでしょう。
4、シングルマザーへの様々な公的支援
現代の日本において、非正規社員のシングルマザーはまだまだ多いとされています。
自治体から児童扶養手当は支給されたとしても、全然間に合わないという家庭も少なくはないでしょう。
実は、日本では、シングルマザーの貧困化ストップすべく、シングルマザーを対象とした制度が様々存在します。
詳細については、次のURLを参考にしてみてください!
まとめ
あなた自身に経済力があれば、離婚後の経済的不安は少ない分、離婚に対し、前向きにはなれるかと思います。
しかし、現在、専業主婦・パートであるならば、離婚したとしても生活できるのかという不安にさいなまれていることでしょう。
離婚後、少しでも安定した生活を送るためにも、住まいや仕事のことについては、ある程度のプランを考えておくことをおすすめします。その際は、公的支援を上手く活用するのも一つの手です。
困ったことがあれば、迷わず弁護士に相談してください。最近では無料で相談を受け付ける法律事務所が増えています。これを活用しない理由はありません。
弁護士なら、あなたが抱えている不安を払拭してくれる適切なアドバイスをくれることでしょう。
心の重荷から少しでも早く解放されますよう、願っています。