離婚のきっかけや理由がなく、なかなか離婚に踏み切ることができない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
明らかに夫婦仲は壊れているのに、惰性で流れる日々。離婚後の不安も重なり、きっかけを作ることも怖い気もする。離婚を決意した方たちの離婚のきっかけは、なんだったのでしょうか。
そこで今回は
- 離婚を決意したきっかけ・理由11選
- 離婚が成立するまでの期間や費用
- 相手と穏便に話し合うためのコツ
等について、ベリーベスト法律事務所の弁護士がご説明いたします。ご参考になれば幸いです。
目次
1、離婚を決意したきっかけ・理由11選
それでは早速、実際の離婚経験者が当時の相手と離婚を決意したきっかけについて、具体的に見ていきましょう。
(1)性格・価値観の不一致
離婚のきっかけとして1番多いのは、やっぱり価値観の違い。
ひと口に「価値観」と言っても、金銭感覚、趣味や育児に対する考え方、将来に対する考え方まで様々なものがありますが、だからこそ2人の間でズレも生まれやすく、「この人と一緒に生活していくなんてもう無理!」というストレスに発展しやすいでしょう。
(2)浮気・不倫
相手の浮気・不倫が発覚して、一気に愛情が冷めてしまうパターンもあります。
夫婦は基本的に信頼関係がすべてなので、その信頼を一方的に裏切られていたショックは大きいのです。
(3)お金(浪費・借金など)
「金の切れ目が縁の切れ目」という言葉もあるように、自分の知らないうちに相手が借金を作っていた、勝手にカードでブランドものを買い漁っていた…というような浪費癖には、男女問わず愛想が尽きてしまうことが多いようです。
(4)DV・モラハラ
相手から身体的・精神的な暴力を受けている場合、現状から脱却する1番の近道は相手と距離を置き、離婚することです。
むしろこのケースでは、1日でも早く離婚を決意して自分の身を守ることを優先させましょう。
(5)相手の親族とうまくいかない
相手と2人でいる分には何の問題もないけど、相手の親族とどうしても反りが合わない…ということで悩みを抱えている人も多いです。
親族から自分を守ってくれなかった相手に幻滅するなど、親族とのトラブルがきっかけで離婚を考えるようになる人もいます。
(6)セックスレス
セックスレスも、離婚の大きなきっかけのひとつです。
スキンシップがなくなることで夫婦としての絆を感じることができず、心まですれ違ってしまったような気がして、満たされない気持ちになります。
(7)家族の時間を大切にしてくれない
結婚しているのに相手にその自覚がなく、家族との時間をないがしろにするケースもあります。
どの程度家族との団らんを重視するかはもちろん人によってそれぞれですが、独身気分で遊び歩いてばかり…という相手には愛想が尽きても無理はありません。
(8)自分の時間がない
逆に、結婚してから家族のために尽くすばかりで、自分の時間が持てないことにストレスを感じるパターンもあります。
「このまま家族のために身を粉にして一生を終えるのかな…」と思うと、それで本当に良いのかという迷いが生まれ、離婚を考えるきっかけになるのです。
(9)きっかけがないけど離婚したいと思った
中には「これといったきっかけはないけれど、とにかくもう限界を感じた」という直感的な理由により離婚を決意する人もいます。
レアケースではありますが、そういった人は日々の生活の中で本人も気付かないうちに小さなストレスが積もり積もっているのでしょう。
(10)ケンカが絶えなかった
相手と顔を合わせるといつもケンカになってしまう…という夫婦もいます。
相手との信頼関係を築く上では多少の口論も必要ですが、あまり頻度が多いとケンカをすること自体に疲れ、うんざりして離婚を考えるようになるでしょう。
(11)生理的に受けつけない
ちょっとしたクセや習慣でも、それが「生理的に無理!」な場合、やっぱり一緒に暮らしていくのは難しくなります。
結婚してから発覚したことならなおさら、受けつけることができず離婚を決意するきっかけになることも珍しくないでしょう。
2、離婚しやすい夫婦の特徴
もしみなさんが次のような夫婦なら、離婚は秒読み…!?
離婚しやすい夫婦の特徴をピックアップしてみました。
(1)相手の価値観や性格が受け入れられない
離婚のきっかけで1番にご紹介したのが「性格・価値観の不一致」だったことからも分かるように、どんな性格や価値観であれ、お互いに違う部分を受け入れることができない場合、2人が夫婦としてやっていくのは難しいでしょう。
(2)お金の管理がしっかりしていない
夫婦の間で金銭トラブルが起こると、信頼感が損なわれて離婚に発展しやすくなります。
普段からお金の管理がルーズな夫婦は気を付けましょう。
(3)義両親との関係がギクシャクしている
相手の両親との関係があまり上手くいっていない場合、ストレスを感じることが多いかもしれませんが、実の両親と配偶者との間で板挟みになっているほうもそれ相応の悩みを抱えています。
一方の両親とギクシャクしてしまうことは、夫婦それぞれに余計なストレスを背負い込むことになり、それだけ夫婦関係も一触即発になりやすいのです。
(4)配偶者・子供に対する愛情が薄い
夫婦や家族は、基本的に愛情がなければ成り立ちません。
相手や子供に対する愛情がどうしても持てない、それよりも優先させたいことが他にあるという場合、いずれ離婚することになる可能性も高いでしょう。
(5)夫婦のどちらかがDV・モラハラをしている
夫婦間にDV・モラハラがある場合、夫婦としてはすでに破綻しています。
離婚して別々の道を歩いたほうがお互い幸せになれるでしょう。
(6)完璧を求めすぎてしまう
自分に対しても相手に対しても完璧を求めすぎてしまうことは、危険な兆候のひとつです。
日々の生活を完璧にこなしていくことはほぼ不可能ですし、相手に理想を押し付けることにもなってしまうので、夫婦としては長続きしにくいでしょう。
3、きっかけがない状態でも離婚できるの?
そもそも、夫婦はどういう場合に離婚することができるのでしょうか?
法律的な観点からそのきっかけについて見ていきましょう。
(1)性格の不一致などは離婚事由には該当しない
裁判で離婚を成立させるためには、次のような「離婚事由」が必要です。
たとえば性格の不一致や、些細なことから始まった夫婦喧嘩などでは、この離婚事由には当てはまりません。
そのため、もし法廷で争うことになった場合には離婚が認められない可能性が高いでしょう。
(2)お互いの合意があれば離婚は可能
ただし、離婚は基本的に本人同士の合意があればそれだけで成立します。
それがどんなきっかけでも、たとえきっかけがなかったとしても、お互いに納得すれば離婚は可能なので、上記の離婚事由に当てはまらない場合は話し合いによる離婚を目指しましょう。
4、離婚を決意する前に考えておくべき事
離婚を視野に入れているなら、最低限これだけは考えておきたいというポイントを以下にまとめました。
離婚の意思を相手に伝える前に、ぜひ1度目を通しておいてください。
(1)今離婚した場合、問題なく生活できるのか
たとえばみなさんが専業主婦の場合、離婚後の生活費をどうするかは大きな問題です。
離婚後すぐに仕事が見つかるとは限りませんし、離婚を切り出す前に仕事を始めて、ある程度の貯金を作っておいたほうが安心でしょう。
(2)子供のこと
離婚は子供にも多かれ少なかれ影響を与えます。
子供を連れて出て行くつもりなら家を引っ越さなければならないため、学校を転校する必要が出てきたり、これまでの友達と気軽には会えなくなったりしてしまうこともあるでしょう。
自分が仕事を始めたら、子供を1人にしてしまう時間も必然的に増えます。
そういった離婚後の子供との暮らしも具体的にイメージして考えましょう。
(3)本当に離婚しても後悔しないのか
「離婚したらいつか後悔するかも…」という気持ちがあるうちは、まだ実際の行動には移さないほうが良いかもしれません。
離婚を切り出せば相手との関係は確実に変わってしまいますし、後戻りはできなくなるので、慎重に考えましょう。
(4)財産分与や養育費など
離婚した場合、財産分与や養育費について自分がどんな希望を持っているのかも、話し合う前にはっきりさせておいたほうが良いでしょう。
(5)離婚カウンセラーへの相談
離婚について悩んでいることがあるのなら、カウンセラーに相談してみるのも方法のひとつです。
相談することで、夫婦関係の問題を解決する糸口が見つかることもあります。
(6)相手に非があるなら弁護士への相談
相手が浮気・不倫をしている、DV・モラハラの事実があるなど、離婚事由に当てはまるものがある場合は弁護士に相談し、法律的な解決を目指しましょう。
場合によっては相手から慰謝料を受け取れるケースもあります。
5、離婚成立までにかかる平均期間と費用
ここからは、実際の離婚成立までにかかる期間と費用の目安についてもチェックしていきましょう。
(1)期間
厚生労働省が発表した資料によると、同居をやめたときから離婚届が提出されるまでの平均的な別居期間は「1年未満」が82.5%。
同居をやめたとき=離婚を切り出したときと考えることもできるので、ほとんどの夫婦が1年もかからず離婚を成立させていることが分かりました。
一方、「1~5年」も12.8%、「5~10年」と「10年以上」もあわせて4.7%は存在しており、1年以上の長期戦にもつれこんでいる夫婦も2割弱を占めているようです。
(2)費用
離婚にかかる費用については、どのような形で離婚が成立するかによっても変わってきます。
①協議離婚
夫婦の話し合いのみで離婚が成立する場合、かかる費用は0円です。
②調停離婚
話し合いがまとまらず調停を申し立てる場合は、1,200円の印紙代と、家庭裁判所に書類を郵送するための切手代がかかります。
③裁判離婚
調停でも決着がつかず、離婚裁判を起こす場合には1万3,000円程度の印紙代と、訴状を郵送するための切手代が必要です。
弁護士に依頼する場合にはその分の費用も発生し、相談料・着手金・日当・報酬金などの支払いが必要になるでしょう。
6、配偶者の性格別!離婚したいと伝えるときのポイント
なるべく話をこじれさせず、スムーズに離婚を進めるためには伝え方が何より大切です。
ここでは配偶者の性格別に伝え方のポイントをご紹介していきますので、ぜひみなさんも参考にしてください。
(1)穏やか
相手の性格が穏やかな場合、そもそもあまりひどいトラブルになることはないと思いますが、「離婚するのがお互いにとって1番幸せ」であることをしっかりアピールするとより効果的です。
論理的に話を進めて、その言い分がもっともであれば素直に納得してもらうことができるでしょう。
(2)几帳面
真面目で几帳面なタイプの相手には、あえて生活のだらしない一面などを見せ、一緒に暮らすことに対するストレスを与えておくのがおすすめです。
そうすると、みなさんが離婚を切り出した際にも「やっぱり自分たちって合わないよね」と、向こうからも積極的に話に乗ってきてくれる可能性があります。
(3)寡黙
普段からあまり自分の意見を口にしないタイプの相手とは、話し合いを進めるのがなかなか難しいでしょう。
この場合、「離婚したい」とストレートに考えを伝え、そのまま家を出るなど具体的な行動を起こすのが1番です。
状況のほうを先に動かしてしまうことで、相手もあなたに向き合わざるを得なくなります。
(4)プライドが高い
相手がプライドの高い性格の場合、みなさんのほうから離婚を切り出すのは最終手段にしておいたほうがベター。
「自分のほうが捨てられるなんてありえない!」と怒り出し、話がこじれる可能性が高いので、できれば相手から「別れよう」という言葉を引き出せるように、じわじわと対応を素っ気なくしていきましょう。
(5)わがまま
わがままな性格の相手は、いつもみなさんに甘やかされているので、今回も自分がゴネさえすれば離婚を撤回してもらえると軽く考えがちです。
だからこそ、「今回こそは本気」であることをしっかり伝え、相手が何を言ってきても無視して自分の意志を貫き続けましょう。
まとめ
ご紹介してきたように、離婚経験者が実際に離婚を決意したきっかけには様々なものがあります。
みなさんの中には「こんな理由で離婚したいなんて、我慢が足りないのかな?」と悩んでいる方もいらっしゃるかもしれませんが、何が我慢できて何に耐えられないのかは人それぞれです。
ただ、離婚を切り出す前にはあらかじめ考えておきたいポイントもいくつかありますので、今回ピックアップした内容をもとに、ぜひ1度じっくり自分の気持ちと向き合ってみてください。
それでも「離婚したい」という気持ちが揺らがなかった場合は、最後にご紹介した離婚の切り出し方もぜひ参考にしてください。