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離婚条件を理解するための6つのポイント:有利な取り決めの秘訣

離婚 条件

離婚を考える際、離婚条件を有利に進めたいと思うのは自然なことです。

この記事では、ベリーベスト法律事務所の離婚専門チームの弁護士が、離婚条件や取り決めの詳細、および有利な離婚を実現するための方法について解説しています。

信頼できる専門家のアドバイスを基に、離婚における疑問や悩みを解決し、最良の結果を目指しましょう。

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1、法律で定められている離婚方法とは?

離婚の方法は、法的には大きく分けて4種類あります。

以下の通りです。

一般的に9割の離婚は協議離婚だと言われています。

協議離婚できない場合、調停離婚、裁判離婚はよく使われますが、審判離婚は実務上、あまり使われることはありません。

離婚の方法というのは、大きく分けると、

  • 話し合って合意の上で離婚するか
  • 裁判所に認めてもらって離婚するか

のどちらかです。

次の項目では話し合いで離婚が成立せず裁判で離婚が認められるための条件を紹介していきます。

2、話し合いでまとまらず裁判離婚するための条件は?

次は、離婚に向けた話し合いが決裂して裁判離婚するための条件を記載していきます。

(1)法定離婚事由とは

裁判で離婚が認められるためには、離婚したいという原因が、民法第770条第1項で決められている下記5つの離婚原因のうちのどれかが裁判で認められることが必要です。

  1. 配偶者に不貞な行為があったとき
  2. 配偶者から悪意で遺棄されたとき
  3. 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
  4. 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
  5. その他婚姻を継続しがたい重大な事由

以下、それぞれについて詳しく紹介していきます。

①不貞な行為があったときとは?

不貞行為とは、配偶者以外の人と性的な関係を持つことです。

②悪意の遺棄があったときとは?

夫婦間には、以下の3つの義務があります。

  • 同居義務
  • 協力義務
  • 婚姻費用分担義務

この3つの義務のいずれかを果たさない場合を「悪意の遺棄」といいます。

③生死が3年以上明らかでないときとは?

最後に生存を確認したときから3年以上、生きているのか死んでいるのかが分からない状態のときです。
どこにいるのか分からないけれど、メールや電話で連絡を取り合うことはできるというような場合は、生きていることが明らかですので、この要件には当てはまりません。

④強度の精神病のときとは?

上記の夫婦間の3つの義務(同居義務・協力義務・婚姻関係分担義務)は、婚姻関係の本質です。
そこで、配偶者が、これらの義務を果たすことができないほどの強度の精神病で、かつ不治の病である場合(専門医による客観的な鑑定などによって、証明された場合)には、離婚が認められることになっています。

⑤その他婚姻を継続しがたい重大な事由

この要件には、

  • 暴力
  • 暴言
  • 精神的虐待
  • 経済的虐待
  • 性的虐待
  • 義両親との不仲
  • 長期間の別居

などいろいろな事柄が含まれます。

相手が離婚を拒否していても、上記のような離婚原因がある場合には、裁判をすれれば、離婚することができます。

(2)有責配偶者からの離婚請求

上記の離婚請求が認められる原因を作った配偶者のことを「有責配偶者」と言います。実務上で、問題となる有責配偶者の多くは、不貞をした側の配偶者です。

最高裁判所は、昭和27年2月19日の判決で、有責配偶者の側から離婚を請求することは、信義誠実の原則に反すると判断して、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められないと判示しました。つまり、不倫をした側は相手が離婚に同意していない限り、原則として離婚することができないのです。

その後、最高裁判所の昭和62年9月2日判決が、有責配偶者からの離婚請求が、例外として、信義則違反にならないための三要件を示しました。つまり、以下の3つの条件を満たす場合には例外的に離婚が認められるとしたのです。

  1. 相当長期間の別居
  2. 未成熟子の不存在
  3. 相手配偶者が精神的・社会的・経済的に過酷な状況におかれないこと

さらに、最高裁判所は、平成2年11月8日判決によって、上記「1.相当長期間の別居」の判断基準を示しました。

この判例によると、「別居期間と両当事者(夫婦2人)の年齢及び同居期間を数量的に対比するだけではなく、別居後の時の経過とともに当事者双方の諸事情が変容し、これらのもつ社会的意味ないし、社会的評価も変化するから、そのような事情も考慮するべきである」とされています。

有責配偶者が離婚請求を認めてもらうためには、別居期間だけではなく、上記「3.相手配偶者の精神的・社会的に過酷な状況の不存在」という要件を満たすことを意識するべきです。

そのためには、別居中は決められた生活費(婚姻費用)を払い、離婚請求にあたっても、財産分与や慰謝料を十分に支払うという意思を示すなど、誠意ある対応をすることが必要になります。

3、離婚する際に当事者間で決める離婚の条件は?

ここからは離婚が法律上認められるための条件ではなく、離婚することが決まったとして当事者間で離婚時に決めなければならない条件を紹介していきます。

(1)親権者の指定

未成年の子供がいる場合、父と母のどちらを親権者にするのかを決めなければ、離婚届を受理してもらえません。

親権を獲得するための方法は「離婚時に調停で親権を獲得するために知っておくと有利な7つのこと」の記事を参考にして下さい。

(2)養育費

養育費は、未成熟子(未成年者、学生、障害などにより自立できない子など)のために、支払われるもので、「自己の生活と同程度の生活をさせる義務」があります。

具体的どのくらいの養育費を払ってもらえるか(もしくは、払わなければならないか)は、夫婦双方の収入や子供の人数、年齢によって異なります。

養育費のおおよその金額は「離婚時の養育費の相場とできるだけ高額もらうための2つの方法」の記事で説明していますのでご参考下さい。

(3)財産分与

財産分与は、夫名義の財産、妻名義の財産を問わず、夫婦が婚姻中に獲得・維持してきた財産を公平に分けるものです。

子供名義でも、夫婦のお金であると認められれば、財産分与の対象になります。

独身時代に貯めたお金や相続した財産は特有財産ですので、財産分与の対象ではありません(特有財産であることは証明する必要があります)。

また、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産(住宅ローンや生活のための借金)も財産分与の対象になりますので注意が必要です。

なお、財産分与を獲得する方法について詳しくは「財産分与|離婚時にできるだけ高額を獲得するために知っておくべき8つのこと」の記事をご参考下さい。

(4)慰謝料

離婚のときに認められる慰謝料は、離婚の原因となった有責行為(不貞行為や暴力など)によって、

  • 苦しめられたことに対する慰謝料と、
  • 離婚したこと自体(配偶者という地位の喪失)

に対する精神的苦痛に対する慰謝料に分けることができるとされています。

そして、慰謝料額は、婚姻中、有責行為によって苦しめられ、その結果、離婚しなければならなくなったということを一体として、その有責行為の態様によって、決められることになります。

一方、離婚の原因となる有責行為がない場合には、離婚したこと自体の慰謝料のみが認められることはほとんどありません。

離婚慰謝料請求が可能な場合と相場や具体的な請求方法については「離婚慰謝料の相場と弁護士が教える300万円以上獲得する方法」の記事をご参照下さい。

(5)年金分割

年金分割とは、離婚に当たって、婚姻期間中の「年金の保険料納付記録」を分割する制度です。厚生年金や共済年金が対象です。

年金分割には、合意分割制度と3号分割制度の2つがありますから、自分はどちらを利用するべきかはよく確認しましょう。

なお、家庭裁判所では、特殊な事情がない限り、ほとんどの事案で、年金分割は「0.5」の分割が認められています。

年金分割について詳しくは「離婚時の年金分割をできるだけ多く獲得するための全手順」の記事をお読み下さい。

(6)面会交流

面会交流とは、子供と親権者にならなかった親との面会のことです。子供が自由に両親の家に行き来できるような環境が理想ですが、これが難しい場合も多々あります。そのときに、面会の頻度や日時、方法、連絡手段などを決めておくことがあります。

4、よりよい条件で離婚するためには弁護士へ相談

離婚は簡単なように見えて、実は、いろいろと法的な論点があります。

この事案では、こうすれば有利に交渉できるだろうとか、こういう証拠があれば有利になるだろうというような判断とか、的確に調停委員を説得したり、調停で成立させるべきか訴訟提起を行うべきかということの見極めをおこなったりすることなどは、離婚に関する実務経験と判例の知識がなければかなり難しいことです。

インターネットでも十分な知識を得ることはできますが、離婚問題の内容は各夫婦によってそれぞれなのですが、個別具体的な解決策は弁護士に相談してみないと分からないケースもあります。

実際に、弁護士に依頼すると高いと思い込んで、弁護士に依頼しなかったために、本来ならもらえずはずの財産分与がもらえなかったり、本来ならば払わなくてもいいはずの支払いを約束してしまったりして、弁護士費用を払う以上の損をしたということはよくあります(不利な離婚条件)。

離婚の場合は、第三者が話し合いを仲介してくれる離婚調停という制度があります。当事者同士で話し合いがつかない場合に、調停を利用することは有効なことなのですが、調停委員は、必ずしも法律の専門家ではありませんし、中立の立場ですから、あくまでも話し合いを円満にまとめるのが仕事であって、片方に有利なことを教えてくれるということはありません。

あなたにとってベストを考えてくれるのは、あなたが依頼した弁護士だけです。

5、婚姻費用分担請求とは?

夫婦間には、

  1. 同居義務
  2. 協力義務
  3. 婚姻費用分担義務

という3つの義務がありました。

このうち、3.婚姻費用分担義務は、別居していても離婚するまで続きます。

どのくらいの婚姻費用を払ってもらえるか(もしくは、払わなければならないか)は、養育費と同様に、夫婦双方の収入や子供の人数、年齢によって異なります。

婚姻費用のための算定表も裁判所のホームページに掲載されています。

6、公正証書で離婚協議書を作っておくとベター

離婚の条件を決めたら、言った言わないの争いにならないように、書面にしておくことが必要です。この書面のことを離婚協議書と言います。

一方、公正証書とは、公証役場で公証人に作成してもらう公的な文書です。厳格な手続きによって作成されますので、信用性がアップしますし、心理的な強制力もあります。

なにより、公正証書の一番の利点は、約束違反があった場合には、強制執行ができるところにあるのですが、公正証書で強制執行を行うためには、

  1. 金銭の一定の額の支払いまたはその他の代替物もしくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする請求で、
  2. 債務者がただちに強制執行に服する旨の記載がされているもの

という条件を満たす必要があります。

そのため、離婚協議書の場合は、月々の養育費の支払いや慰謝料の分割払いなど将来にわたって金銭の支払いを受けなければならない条項があるときに公正証書を作成することにはメリットがあります。

一方、公正証書の作成には費用がかかりますから、公正証書を作成することが必要なのかどうかの見極めは必要になります。

なお、公正証書について詳しくは「離婚協議書を公正証書にする方法とその書き方として知っておくべき3つのこと」の記事をご参照下さい。

まとめ

本気で離婚を考えている場合には、基本的な知識を身に付けたら、自分の事案についてどうすればいいのかについて依頼するかどうかはともかくとして、法律相談だけは受けてみたほうがいいでしょう。そしてより有利な離婚条件を提示しましょう。

※この記事は公開日時点の法律を元に執筆しています。

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